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コミュニティカフェ

公園のそばのJAZZ喫茶「TOMMY’S BY THE PARK」(横浜市都筑区仲町台)

TOMMY’S BY THE PARK

「コミュニティカフェ」=“人が集うところ”・・・だけではない。

居場所(=サードプレイス)という意味では、自分らしく“ひとりの時間”を過ごせる場所もまた、コミュニティカフェの魅力のひとつでしょう。

今回は、横浜市都筑区仲町台にあるジャズ喫茶TOMMY’S BY THE PARKをご紹介したいと思います。上述の通り、ここは“いわゆるコミュニティカフェ”ではありません。そしてまた、いわゆる一般的なイメージのジャズ喫茶とは違ったセンスをもつジャズ喫茶といえます。それらがもつ概念から外れたこのカフェは、どんな時間をつむぎ、どんな人とのつながりを作っていくのでしょう。

 

■第2の人生を送る私の「城」

TOMMY’S BY THE PARK オーナーの和田さん

オーナーの和田さん。店名の“TOMMY”は、米国駐在員時代のニックネーム。米国人には日本人の名前の発音がむずかしいため、ニックネームをつけるのが一般的なのだそう

並木道の遊歩道と公園に包まれた町・仲町台。ヨーロッパを思わせる街並みのこの通りは、すてきなカフェがよく似合います。TOMMY’S BY THE PARKは店名の通り、この並木道がつながる公園のすぐそばにあり、ターコイズブルーに白い文字が印象的な看板が目印です。このカフェは、60歳で大手企業を退職された和田知行さんが、セカンドライフとして2014年にオープンさせたJAZZ喫茶。学生時代から深かったJAZZへの関心は、入社後の若き日の米国研修や、その後に駐在員として過ごした米国での5年間でさらに深まり、JAZZ喫茶を開く夢は、いつも心のどこかにあったそうです。

JAZZ喫茶というと、グッと落とした照明とたばこの煙があいまって、ムーディーな雰囲気をかもしだしているのかと想像していましたが、店内は思いのほか明るく、清潔感のある雰囲気に意外な印象を受けました。

内覧1

細長い店内は明るくすっきりしたデザイン。

内覧2

壁際の棚には5000枚を超えるCDが整然とならび、小さな図書館のようにも見えました

和田さん:この店はほかのJAZZ喫茶とはずいぶん違います。お酒は出しませんし、オープン当初から全面禁煙です。受動喫煙対策を率先した極めてまれなジャズ喫茶です(笑)。地域の人にJAZZを身近なものとして親しんでもらえるよう、「初心者でも気軽にJAZZを楽しめる普通のカフェ」をデザインしました。

■「気軽」と「ぜいたく」がミックスした空間

レコードジャケット

センスにあふれたレコードジャケットなども飾られて、アートも楽しめる

「初心者が気軽に楽しめるジャズ喫茶」といっても、ここは、JAZZに詳しい人でも感激する要素であふれています。まず、和田さんのJAZZに関する知識は、JAZZ専門誌に寄稿するほど深い点です。また、幅広いジャンルを網羅した膨大なコレクションから選曲してくれる点も要素のひとつです。米国駐在中に収集したCDを含め、店内には5000枚ものCDが整然と並んでいます。和田さんは、お店がお休みの日は精力的に都内に出向きCDを求めたり、さまざまなJAZZ関連のお店やライブハウスへ足を運んで新しい情報を蓄積するなどして、このカフェを進化させ続けています。

そして極めつけは、マニアックなJAZZファンの間でも「あこがれ」の存在だというJBLのハイエンドスピーカーでJAZZを聴くことができるという点です。JAZZファンにとってもこれほど恵まれたこのカフェで、本当に「気軽に」JAZZを聴くことなどできるのでしょうか?

JBLのハイエンドスピーカー

JAZZファンのあこがれJBLのハイエンドスピーカー。「JBLが聴ける店」として当店が紹介されています。スピーカーだけでなくアンプ、CDプレーヤーもジャズを聴くための王道といって良い組み合わせです。

和田さん:もちろん、JAZZ喫茶としてJAZZの音を楽しみに来られる方もいますが、音楽はBGMにしておしゃべりを楽しんだり、ひとりで来られて、読書や趣味の作業をされる人もいます。お子さん連れもOKですよ。JAZZの敷居を下げたいと思っているんです。私ひとりでお店をまわしていかなくてはならないので、手の込んだことや気取ったことはできません。だからお酒は出ませんし、メニューは5種類しか用意していないんですよ。

■ハンドドリップのコーヒーと自家製焼き菓子が叶える至福の時間

TOMMY’S BY THE PARKのお菓子

コーヒーには自家製焼き菓子がひとつついてくる

TOMMY’S BY THE PARKのメニューは、コーヒー、カフェオレ、エスプレッソ、アイスコーヒー、アイスラテの5種類のみ。横浜の自家焙煎店のオリジナルブレンド豆を採用して、ハンドドリップでていねいに淹れます。価格は550円~600円(エスプレッソは450円)で、すべてのドリンクに、自家製の焼き菓子がつきます。この焼き菓子がじつにやさしい味がして、おいしい。とても印象深かったので、どこの焼き菓子かと尋ねたら、

和田さん:“自家製”とだけお答えしておきましょう(笑)

と、にっこり。一杯のコーヒーと音楽に寄り添うような、絶妙な存在感を感じてならない焼き菓子でした。

コーヒーの準備をするオーナーの和田さん

コーヒーの準備をする和田さん。ペリカンポットがおいしいコーヒーの香りを期待させます。

■JAZZランチ―地域とコラボした人気のメニュー

コーヒーしか出さないこのカフェに、JAZZランチというメニューがあります。隣のパン屋さんBoulangerle Flour(ブーランジェリー・フルール)のパンをカフェでイートインできるサービスです。

パンをイートインすると、11:30~14:00まではコーヒーが150円引き、14時以降は100円引きになります。宮城県粟駒産の米粉を使用したブーランジェリー・フルールのパンは、米粉を6割の比率で使っていて、重すぎずふんわり。小さなお子さんでも食べやすいと定評があります。総菜パンやスイーツパンなど食感や種類も豊富で、パンを選ぶ楽しさもあります。JAZZランチは、近所の主婦やちいさなお子さん連れのお客さまに、とても人気が高いメニューだそう。

TOMMY’S BY THE PARKの食事

パンはトレーのまま店内へ。米粉の焼き立てパンのふんわりやさしい味が楽しめます。ブーランジェリー・フルールのサイトでお好みのパンを探してみてください

■JAZZでつなぐ地域と人

Saturday Afternoon JAZZ Liveのワンシーン

Saturday Afternoon JAZZ Liveのワンシーン。

「昨夕のライブは、小畑和彦さん(gt)と大塚雄一さん(accordion)のデュオ。CD「木漏れ日」の曲を中心にジャズ、ラテン、シャンソンと幅広く演奏。目の前で繰り広げられる両名人のアドリブ交換に満員のお客さまも大満足。真夏の薄暮(木漏れ日)の「清涼感溢れる静謐のSwing」素晴らしい」 (TOMMY’S BY THE PARKツイッターより)

TOMMY’S BY THE PARKの魅力のひとつに、毎月1回、土曜の夕方に開催される「Saturday Afternoon JAZZ Live」があります。以前は、年3~4回の開催だったのが、今では毎月開催するまでになりました。着実に人気があがってきたのには、いくつかの理由があります。

ひとつは、この町に音楽が必要だったという理由です。公園も駅も近く、遊歩道も整備されている閑静なこの地域周辺には、高齢者専用の住居がたくさんあります。住み慣れた地域から、新しくこの地に転居してきた人々は、この町で自分たちの生活を彩る場所を探します。それが、音楽だったのです。彼らが誘い合ってこのライブに参加して、夕刻のひとときをともにゆったりと過ごすようになったそうです。高齢者専用の住宅では、さまざまな設備が備わっていて、住宅のなかだけで過ごしがちになるものですが、このライブに出かけることで、自分の住居以外の地域の人とも交流が生まれたことでしょう。気軽にJAZZを楽しむ、気軽にライブに出かける、そんなぜいたくな時間の過ごし方を提供するこのカフェは、この地域にとって、大切な場所となっていたのです。

またもうひとつ、このライブが口コミで人気を高めていった理由は、ライブがとても上質である点です。和田さんは、お店が休みになると、積極的にさまざまなライブハウスに出かけては、いろいろなJAZZ奏者の演奏を聴き、ご自分のお店にマッチするアーティストを探されてきました。

和田さん:原則は私が楽しめること。それが大切。ただ、できるだけ若い人を応援したいと思って、若いJAZZ奏者さんに注目しながら活動してきました。もうひとつ大切にしたことは、性格のいい人を選ぶこと。「素敵だな」と感じたアーティストさんときちんとお話しをして、「この人だ!」と思う方に演奏をお願いしてきました。

たくさんの演奏を聴き、たくさんのJAZZ奏者と出会った和田さんは、「本当に一流になる人は、人としても素敵なひとですよ」と断言されます。人の気持ちを揺さぶる演奏ができる人には、技術だけでなく、そのひととなりが演奏に出るということでしょう。

TOMMY’S BY THE PARKJAZZ Liveのワンシーン2

Saturday Afternoon JAZZ Liveのワンシーン。聴衆がJAZZに酔いしれている雰囲気が伝わります。

「昨夕のライブは、堀秀彰さん/高瀬裕さんのデュオ。高瀬さんが、ご近所の縁で実現。ベースを担いで徒歩10分。米モンタレージャズ祭に招聘された「Encounter」のメンバーの二人の熱演に超満員のお客様も酔いしれました。新発売のお二人のデュオ「CHRISTMAS TIME」とても素敵大推薦です」(TOMMY’S BY THE PARKツイッターより)

和田さんのポリシーを通して、Saturday Afternoon JAZZ Liveは口コミで広がり、いまでは仲町台だけでなく、近郊のほかの地域からも楽しみに通って来られるお客さまも増えたそうです。最初は高齢者が多かったこのライブも、回を増すごとに、30~50代のお客さまも増えていき、今では多世代の交流の場となっているそうです。

和田さんが初リリースしたJAZZのCD

和田さんが初リリースしたJAZZ CD。構想から制作まですべての工程に参加し、つい最近までその興奮が冷めなかったそうです。

■この場所にJAZZがあり、気がつけば居場所となった

常連のお客さまは、ゆったりとひとりの時間を過ごしていく方も多いそう。お店にうかがった日も、そっと和田さんに曲のリクエストをしたあと、カウンター席でもってきた本を読みふける男性の姿が印象的でした。

多くの男性は、仕事を辞めた後、急に社会とのつながりがなくなり、毎日どう過ごしていいのかがわからなくなる人が多いといいます。ゆったりとひとりの時間を過ごすこの男性を見ていて、このカフェは、そういった人の居場所になっているのではないかと感じました。

和田さん:その通りだと思います。ご家族の介護をされている男性が、ひとりでここへ来て、しばらく時間を過ごして「また来るね」と帰っていかれる。そういうこともあります。

JAZZにはある種、人びとに“あこがれ”を抱かせるチカラがあると思います。一方で、おしゃれすぎる、むずかしくてよくわからないと、縁遠く感じることもあるJAZZ。しかし、和田さんの気取らない雰囲気や、心地のいい明るい空間のおかげで、JAZZに満たされて「ひとりでいる自分」は、店の外で抱えていた哀愁を微塵もまとわず、満足気にすら感じられるのではないでしょうか。

和田さん:わたしも38年間企業戦士として働き続け、海外駐在や大阪への転勤もあり、50歳になるまで自分の地域とつながりがありませんでした。50歳の時に、高校から始め大学・社会人の20代後半までやっていた剣道を20年ぶりに地元の剣道同好会で再開しました。その道場で子どもたちを相手に剣道を教えたりするなかで、私自身が地域に役立ち、地域のなかで生かされる場所を得たように思います。少しずつですが、剣道仲間や子どものお母さんが、お店やライブにも来てくれるようになり、第2の人生のライフワークのジャズと剣道が地域でリンクし始めうれしいですね。

「地域の人が気軽にJAZZを楽しめたら」そんな思いでスタートしたTOMMY’S BY THE PARKが、いつしか地域のコミュニティカフェのような役割を果たすようになったのですね。夢だったJAZZ喫茶を開き、大好きなJAZZに没頭していく中で、このカフェは地域の人の “居場所”として大切にされるようになっていきました。でもそれは、自然の流れだったのかもしれません。ここにはひとりの時間を彩ってくれるものがあったのです―それがJAZZだったのでしょう。

 

TOMMY’S BY THE PARK

横浜市都筑区仲町台1-33-21-101

045-507- 8871

TOMMY'S BY THE PARKの店舗情報
店名 TOMMY'S BY THE PARK
席数 テーブル 4名席 x 1 2名席×2 カウンター4席
個室 なし
電話番号 045-507- 8871
最寄り駅 横浜市営地下鉄ブルーライン「仲町台駅」
アクセス 横浜市営地下鉄ブルーライン「仲町台駅」徒歩3分
住所 横浜市都筑区仲町台1-33-21-101
営業時間 [月・木〜日]11:30-18:00 [火]    11:30-15:00
定休日 水曜日
ホームページ https://seseragi-jazz.com/
食事の提供 なし  (となりのパン店「Boulangerie Fleur」(ブーランジェリー フルール) のパンをイートイン可・割引あり)
レンタルスペース なし (地域の方に限り応相談)
レンタル棚ショップ なし
Wi-Fi あり
充電
プロジェクタ投影
おむつ替え設備 なし
ベビーカー入店
離乳食 なし (お湯の提供可)
ベビーシート なし
車いす着席 可  (玄関にスロープありますが、少し勾配がきつくなっています。店主が入店の際お手伝いできないこともあるため、介護者様とお越しいただくようお願いします)"
車いす手洗い なし

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