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コミュニティカフェ

《かわいい》、《ゆかい》、《ほどけてる》アートとカフェと自由な空気、カプカプ川和を感じに来て!(横浜市都筑区川和町)

横浜市都筑区川和町、横浜市営地下鉄グリーンライン川和町から早歩き1分。真新しい2階建ての建て物の1階にカプカプ川和はあります。カプカプ川和は、「生活介護」という障害福祉サービスの通所施設で、カフェとアトリエを運営しています。”障害福祉サービス”と聞くと、障害をもつ人とかかわった経験がない人のなかには、ちいさな戸惑いを感じる人もいるのではないでしょうか。しかし、カプカプ川和の魅力である「カプカプ川和らしい空気感」に触れることで、そんな戸惑いが“秋の澄んだ青空”のように晴れるかもしれません。この記事を読んでカプカプ川和に興味をもち、ひとりでも多くの人が障害のある人との共生の場へ一歩前進することを願います。

今回は、カプカプ川和の支援員である幸田拓也さんを中心にお話をうかがいました。取材当日のカプカプ川和は、横浜市内のNPO法人が共同で開催する「ココロはずむアート展」の展覧会場となっており、色とりどり、個性豊かな作品が元気に出迎えてくれました。日常のなかで、カプカプ川和のカフェとアトリエのスペースが、地域をどのように彩ってくれているのでしょう?カプカプ川和のご紹介です!

 

■木のぬくもりとアートの空間

-本日は、よろしくお願いします。

幸田さん:こちらこそ、よろしくおねがいします。

-素敵なカフェですね。木のぬくもりを感じるテーブルや白いピアノ。それに、色とりどりのアート作品がみごとに調和しています。

幸田さん:ありがとうございます。ちょうどいま、横浜市の障害者支援に携わるNPO法人などが共同で開催している「ココロはずむアート展※」の会場になっていて、ほかの施設の作家さんの作品も展示しているのでとてもにぎやかです。

-では、この作品はすべて、障害のある方が創作したということなのですか?

幸田さん:一角には地域の方の展示コーナーもありますが、障害のある作家さんの作品がほとんどです。障害のある人を“できない人”という感じでとらえる人もいますが、作品を見て、「こんな素敵にできちゃうの!?」「えっ!?すごい」という驚きを感じてもらえたらなと思います。

あ!わたしがすごく紹介したい作品があるので、少し待っていてくださいね!!

・・・

これです!!

-すごいインパクト!!色使いも勢いも大きさも!「すごい」のひとことです!!

幸田さん:いつもはノートにアニメのキャラクターとかを書いているメンバーさんなのですが、突然「段ボールに絵を描きたい!」と言うので、さっそく用意するとわずか数日で描き上げてしまいました。ピンクが好きなのでシマウマはピンク。自由でしょ?

わたしたちは”支援員”と言われているけれど、”支援”というのは違う気がします。彼らの自由で豊かな発想を表現する手伝いをしているだけ。

-いわば・・・アーティストのアシスタントですね!

幸田さん:それですね。「こんな風にしたらできるよ」とか「ここをこうした方がいいんじゃない?」なんてことは言いません。作家さんが思うがまま、自由に表現してもらいます。だから個性が現れるし、そのいろいろな個性が集まって、カプカプ川和の色になっているのだと思います。それがわたしたちアシスタントのおもしろさだと思います。

これらの作品は非売品なのですが、販売をしている作品もあります。制作した作家さんのタグをつけていますので、お気に入りの1点ものを探す宝探し気分で、作品を見に来ていただけたらと思います。

※ココロはずむアート展 PART10
今年で10回目の開催。今年は2021年9月から2022年1月までで5つの会場を移転しながら展示を行っています。見逃された方はぜひ、ほかの会場に足を運んでみませんか。

 

■カプカプ川和にとってのアートの存在

幸田さん:これらは、ココロはずむアート展のイベントの一環で、作家さんといっしょにアートを制作してみようという企画のなかででき上がった絵です。今回講師を務めた作家さんがこだわるのは「麺」!なので、みんなで「麺」の絵を描きました!

-麺ですか(笑)

幸田さん:そう!麺です!彼は麺料理が好きなので、ふだんはナポリタンや冷やし中華やラーメンなど、さまざまな麺を描いています。写真の上(チラシの左側)が彼の絵で、下3枚が参加者さんの描いた絵です。どの絵にもストーリーがありますよね!

-本当にそうですね。アーティストといっしょに、アーティストの真似をして描くと、こんなに素敵な作品が描けてしまうのですね。作家さんの自由な発想空間に入り込んでしまった感覚ですね。

幸田さん:はい。去年は特徴的な似顔絵を描く作家さんに講師をお願いしました。彼女は大勢の前で制作実演する機会があったのですが、そこで彼女を見た人が「彼女と絵を描いてみたい!」といってワークショップに参加してくださいました。そういうふうに、「カプカプ川和に行こう」というよりは、「カプカプの〇〇さんに会いに行こう」という感じでここへ来てもらえたらうれしいですね。

-これまでのお話をうかがっても、アートはカプカプにとって重要な要素というのは間違いないですね。

幸田さん:そうですね。じつは、2021年10月からカプカプ川和は近所に分室を設けました。ここはカフェとして、分室はアトリエとして制作を中心に行います。

10月にオープンしたアトリエの様子 

-では、アトリエで作家さんたちがどんどん作品を制作して、カフェがいまよりもアートでいっぱいになっていくのですね?

幸田さん:そうなっていくといいですね。アトリエの方もカフェと同じく、どなたでも自由に遊びに来ていただける場所になればと思っています。アトリエなので、「お茶を飲みに来る」という目的をもてない分、外から入って来るのはもっと敷居が高くなると思うのですが、「カプカプの〇〇さんに会いに行く」という目的をもって遊びに来ていただけたらなと思います。

-「どこかで〇〇さんの作品を見た」、「どんな人か知りたくなった」、「そしてカプカプ川和に会いに来てみた!」という感じですね。

幸田さん:もちろんアートを通してメンバーさんを知ってもらうのでもいいのですが、カフェに立ち寄って、お茶を飲んでいるうちにメンバーさんとおしゃべりするようになり、そのメンバーさんに会いに来たという方もいらっしゃいます。また、Hさんはコスプレをしてお店の前でよくジャンプをしているので、近所の小学生にはとても有名人。彼に会いに来る人もいます。現在、毎月最終の金曜日に開放デイというのを実施しています。カフェだと「何かオーダーしなくちゃ」と思われがちですが、何も頼まなくても大丈夫。ただ、おばあちゃんの家に来た、友達の家に来たという感じで使ってもらいたいと思っています。

 

■ゆるい、自由、ほぐれてる

-開放デイ!素敵ですね。まずは交流できる空間や時間を作ることがスタートということですね。しかし、カプカプ川和に初めて来る人や障害のある人と接した経験のない人にとってカプカプ川和は未知の世界。戸惑いがある人もいるのではないでしょうか?

幸田さん:そうですね。移転前(2021年2月に現在の場所へ移転)は、建て物の前に駐車場があって、何をしているところかがわかりづらい立地でしたが、今回は道路に面しているので、「何をしているところだろう?」と外からのぞいてくれる人が多くなりました。しかし、おっしゃるとおり戸惑いがある人はいらっしゃいますよね。

わたしたちは「何も注文しなくてもいいから、居場所としてぼーっとするだけのために使ってほしい」と思っています。そのうえで、メンバーさんとは、構えず友達としゃべる感覚でいいのです。かしこまると相手にも伝わるから、普通に接してみてください。こっちもまったく気を使いませんから(笑)。

-ブログなどを拝見すると、メンバーさんのことを「ゆかいな人たち」と表現されていますね。日常のいろいろなことを見ている支援員のみなさんの愛ある表現だと思います。メンバーさんを理解するうえで、この「ゆかいな人たち」を具体的に説明していただけないでしょうか?

幸田さん:そのままと言えばそのままの意味。いっしょにいて「ゆかいになれる」人たちです。「仕事行きたくないなぁ」とか「仕事させられている」という感覚は、みなさん理解できると思うのですが、たぶんカプカプ川和にはそれがない。長期休みなどになると「たいくつだった」「来たかった」「つまらなかった」と口々に言います。ここにいることが楽しいと思ってくれているのだろうと思います。みんなに会えてうれしいから、いろいろゆかいなハプニングも起こる。けれど、それを笑って過ごせる空気があるのです。

みんな自由で、のんびりしている。その空気感は、メンバーさんだけでなく、わたしたち支援員も含めて楽しませてもらっている。空気が、ほぐれているのです。

-それ、感じました!空気のほぐれている感じ。

幸田さん:そう、だから初めての方も、障害のある人と接したことがあまりない方も、この空気感に触れて、ほぐれて帰って下さいね。という気持ちです。

 

■いちいちかわいくて、いちいち本格派なカフェメニュー

台湾好きの幸田さんのオシでメニュー入りしたル―ロー飯

-ここからはカフェメニューについてお話を聞かせてください。まず、このルーロー飯のおいしさ!なんなのですか!?!?

幸田さん:ありがとうございます(笑)。カプカプ川和では、お食事として4種のカレーとル―ロー飯を用意しています。すべて手作りで、ボークカレー・チキンカレーと緑のカレー(ほうれん草)と肉団子のカレーはそれぞれルーのベースが違います。

-とても手間がかかっていますね。

幸田さん:施設長の石井さんが料理好きというのもあるのですが、一つひとつの工程のどこかでメンバーさんに携わってもらいたいという考えもあります。また、カレーやルーロー飯をメニューに採用したのは、製品として作っているクッキーでスパイスを使っているので、それらをうまく利用できないかな?といった経緯もありました。

-では、スパイスから作る「本格手作りカレー」というわけですね!

幸田さん:そうですね。チキンカレーなどのトッピング具材は毎週変わります。これはメンバーさんに考えてもらって買い物も行ってもらいます。毎週内容が変わるから、飽きずに毎日来てくださる常連さんもいます。

-ル―ロー飯のパクチーもさることながら、テーブルに「追い」五香粉をもって来てくださるので、スパイスふんだんの本格的な味になりました。「追い五香粉」もめずらしいですが、カプカプ川和ではコーヒーの「大盛」もあるのですね?

幸田さん:はい。以前お客さまに「コーヒーの大盛できない?」と言われて、「たしかにあったらいいな・・・」ということで大盛をメニューに追加しました。

-ハンドドリップで一杯一杯ていねいにいれてくださるので、コーヒーがおいしいのでしょうね。

幸田さん:ハンドドリップだと時間はかかりますが、ゆったりした時間ってあったほうがいいですよね。そのほうがおいしいし。

-コーヒーはメンバーさんがいれてくださるのですか?

幸田さん:そうですね。コーヒーをいれるのを楽しみにしているメンバーさんもいますし、喫茶がしたくてカプカプ川和へ来た人もいます。

-楽しみながら、心を込めていれてくださる一杯は格別ですね。それに、コーヒーの提供のしかたにもカプカプ川和らしさがあふれています。素敵なコースターは、メンバーさんの作品ですか?(トップ写真)

幸田さん:はい。言葉を紡ぐのが好きな方の作品です。

-コーヒーをもちあげるとコースターにこんなふうに詩が書かれている―思いがけない発見でしばし驚きながらも、紡がれている文章に思いふけってしまいました。

幸田さん:はい!

話題になったアマビエもモチーフに!流行を見逃しません! 

-おみやげにできるパウンドケーキも、カプカプ川和ならではの空気感があります。メンバーさんの作品をシールにして貼っているのですね。英字新聞で作った袋に入れてもらって、ほんとうに・・・「いちいちかわいい!!」と叫びたくなります!

幸田さん:ありがとうございます(笑)

今月(2021年10月)から分室ができたことで、日中のメンバーさんはそれぞれの場所で少ない人数で過ごしています。だからかな・・・わたしにとっては、この時間帯のメンバーさんの姿は若干静か。本当のカプカプ川和らしさが出ていない気もしています。でも、始業の朝と終業の夕方(15時~16時ごろ)、みんなが一堂にカフェに会したときは、まがいもなく「カプカプ川和らしさ」が発揮されていて非常にパワフルです。ぜひ、そんな一面も感じていただきたいですね。またメンバーさんは16時には帰ってしまいますが、18時までカフェはオープンしてお食事もできます。カプカプ川和のゆかいな人たちに会ったり、ゆったりお食事を楽しんだりして、カプカプ川和でほぐれていってください。

 

カプカプ川和の店舗情報
店名 カプカプ川和
席数 テーブル席 2名席×2 4名席×1
電話番号 045-938-5801
最寄り駅 市営地下鉄グリーンライン「川和町」
アクセス 市営地下鉄グリーンライン「川和町」 はや歩き1分
住所 神奈川県横浜市都筑区川和町1288−1
営業時間 月曜~金曜 11時~18時
定休日 土曜日・日曜日・祝日
ホームページ https://twitter.com/kapukawawa
食事の提供 あり
レンタルスペース 応相談
レンタル棚ショップ なし
Wi-Fi なし
充電 可(お声がけください)
プロジェクタ投影
おむつ替え設備
ベビーカー入店
離乳食 お湯の提供可
ベビーシート なし
車いす着席
車いす手洗い

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