たいせつじかん ?ほっと一息。少し休憩。幸せな時間?

コミュニティカフェ

スタッフ全員が傾聴ワーカー 心の声を話せる場所「アーモンドコミュニティネットワーク」(横浜市都筑区北山田)

横浜市営地下鉄北山田駅徒歩1分 EKINIWA北山田ビルの2階にアーモンドホープセンターはあります。

アーモンドホープセンターを運営するNPO法人アーモンドコミュニティネットワーク (以降ACN)は、傾聴活動を土台に生きづらさを抱える子どもやおとなが安心して過ごせる居場所を作る団体で、平日の放課後は子どもたちの居場所・学習支援の場「ともにあ・る・く」や、平日午前にお茶を飲みながら心のモヤモヤをなんでも気軽におしゃべりできる「傾聴コミュニティMy Café」など多様な活動を行っています。

その活動のひとつに、シニア向けサロン「アーモンド・カフェ~スープの時間~」があります。傾聴を学んだスタッフが、参加者一人ひとりに寄り添い思いを受け止めるサロンです。今回は、「また来たい!」と、地域のシニアのリーピート率がとても高い「スープの時間」の魅力を、ACN代表の水谷裕子さんとスタッフのみなさんにうかがいました。

 

■「スープの時間」には、アメリカの母の愛が息づく

-本日はよろしくお願いいたします

水谷さん:よろしくおねがいします。

-窓が多くて明るく素敵な空間ですね。色づかいや家具がおしゃれだなと思いました。

水谷さん:ありがとうございます。元々はこの建て物の1階を借りて、不登校の子どもの支援やアート活動をしていました。そのころ、家庭でごはんを作るのがむずかしいという方がいることを聞いていたので、食事の提供がしたかったのですが、厨房が無いので、おにぎりを作ったり地区センターの調理室を借りてイベントをしたりしていたのですね。ある日、ふと同じビルの2階にあるこの場所をのぞいたら厨房があって、「ここが借りられたらいいな」と思っていたのです。その後いろいろな方の協力とご縁で、国際支援の助成金を受けることになり、念願の厨房付きの2階の部屋を借りて、この場所にアーモンドホープができたのです。

-それが、2017年のことですね。

水谷さん:はい。丸見えだった窓に目隠しシートを張ったり、床を上げたり。町づくり支援をする方に設計してもらって、家具も北欧デザインのものでそろえました。学習支援の場でもありますが、「学校・学校」してない、「塾・塾」してない、異空間やアートも感じられるコミュニティカフェにしたかったのです。

-おっしゃるとおりの雰囲気になっていますね。いらっしゃる方もゆったりできそうですね

水谷さん:壁の一面にはアート作品も多数展示してあるのですよ。

-わぁ!個性的なアート作品の数々は物語が感じられてじっくり見入ってしまいます。
ACNの活動のひとつである、シニア向けサロン「アーモンド・カフェ~スープの時間~」を始めたきっかけは何だったのでしょうか?

水谷さん:「スープの時間」は、シニアにかかわる仕事をしていた仲間の提案で2019年の秋に始めました。介護予防のためにシニアが出かけられる場所として、毎週月曜日・水曜日の10時~13時に開催しています。シニアサロンと言っていますが、シニア層以外の方も参加していただけるのですよ。

-シニア以外も参加できるのですね。「スープの時間」という名前がとてもかわいいから、若い人も気になる人がたくさんいるでしょうね。ところで、このサロンの名前は、なぜ「スープの時間」なのですか?

水谷さん:うふふ。スープにしようというのは最初から決めていたのですが、それには私の夫のお話がついてくるのですよ。

-旦那さまですか!?どういうお話でしょう?

水谷さん:私の夫はアメリカ人なのですが、欧米ではチキンスープ=養生食という考えがあって、病気になったときチキンスープを飲む習慣があるそうなのです。じっさい私の夫も病気のときに「チキンスープ飲みたい~」と言うのですが、夫が飲みたいというチキンスープは、私が思っているチキンスープと違っていてね。彼のチキンスープは、スープストックから作るそうで、スロークッカーで皮のままの野菜を一晩煮込んで、まずは琥珀色のスープストックを作るのです。それをスープベースにして、鶏肉や野菜を細かく切って煮込み、のど元にスッと入るスープを作ってほしいと言うのね。夫いわく、そのチキンスープを食べてやっと病気が治ったとなるのですって。

-うかがっているだけで体にしみこむようなやさしい味がイメージできますね。

水谷さん:シニアの支援をやるときに、嚥下ができないとか、入れ歯だとかいう方もいらっしゃるだろうから、飲み込みやすいものが良いと思ったのと、スタッフさんたちにも作りやすく負担にならないものが良いと思ってスープを出そうよとなったのです。夫の国の慣習と、食べやすさという点でスープを選んだのだけど、調べていくと、皮つき野菜で作るスープストックはフィトケミカルと言われるくらい栄養価がとても高いことがわかったのです。それじゃあ文句なしでシニアの方にもいいよねと始めたら、食べに来てくれていた区役所の若い職員さんが、体調が良くなった!と実証してくれたのですよ。

-滋養のスープというわけですね。スープストックはお店で手作りされているんですか?

水谷さん:はい。ここにいるスタッフのみなさんが手作りしてくれています。野菜の端っこも無駄にせずスープストックに作って、それをベースに旬の野菜をふんだんに使った栄養のある食べやすいスープを作っています。近くのパン屋さんの焼きたておからパンとお飲み物もつくのですよ。

-シニアの方だけでなく、若い女性にも喜ばれますね。私も食べてみたいです

 

■多彩なプログラムで個性を発見。楽しみにつながる

-スープの時間に来られるシニアはどの様な方がいらっしゃるのですか?

水谷さん:地域の80代~90代の方が多いですが、60代の方や若い方もいらっしゃいます。

定期的に続けて来てくださる方も多いです。「ここに出会えて良かった、人生捨てたもんじゃないわ!」と言ってくださる方もいるのですよ。

-うれしいお言葉ですね。たくさんのプログラムがありとても楽しそうですね。どの様な種類がありますか?

水谷さん:「書」を扱うもの、リフレッシュ体操、脳トレなどのプログラムがあります。こちら(上写真)は「書で遊ぼう」で作った作品です。

-わぁ!とても素敵な絵手紙や暦ですね!!

水谷さん:「書で遊ぼう」では、好きな書を書いて、自由にちぎり絵をしていただいています。この和紙は、今はもう手に入らない貴重な和紙なのですが、スタッフの知り合いの90代のシニアが寄贈してくださいました。

作品作りに対するシニアのみなさんのアイデアはすごいのですよ。私たちが思いもつかないすばらしいセンスなのです。そして六つの瓢箪をあしらった「六瓢(むびょう)」の作品。このコロナ禍で、無病と願ってできた作品です。家に飾れるように台紙も作ってお渡ししてあるので、「飾ってるよ」と言ってくださいます。

-おうちで作品を見るたびに、「スープの時間」を思いだし、また行きたい気持ちにつながりますね。

水谷さん:以前はみんなでワイワイと楽しくおしゃべりもできていたのですが、今はコロナ禍で、人数制限をしています。1テーブルに参加者のみなさんさんひとりと傾聴ワーカーのスタッフがひとりという形でやっています。

-みんなでワイワイとお話するのも楽しいですが、傾聴ワーカーであるスタッフと1対1の時間がもてることで、心のうちを話せる時間が増えているのかもしれませんね。

 

■子どもとシニアの逆転現象!?

-都筑区はニュータウンでおしゃれな町で子育ての環境など整備されている、子どもが多い印象ですがシニアが多いのですか?

水谷さん:そうでうね。都筑区は、以前は子どもの人口が多かったのだけれど、シニア人口がぐんぐん増えて、数年前から子どもの人口よりシニアの人口が増えるという逆転現象が起きている統計が出ているのですよ。

-どの地域でも高齢化が進んでいると言われていますが、都筑区の高齢化の特徴はどんなところにあるのでしょうか?

水谷さん:都筑区はニュータウンの町、つまり、転入者の町なのです。ほかの地域でおとなになり、ここに移り住んできた方が多いのです。そうすると、その方たちの親はどこに居るかというと、地方にいるのですね。地方にいる親が高齢になって、とくに高齢女性がひとり地方でくらしているということが多いのです。それで、子どもたちは、田舎の家を処分して、自分たちの住む町で近くに親を住まわせるようになりました。このようにして、引っ越してきた方がたを「呼び寄せ高齢者」というのですが、都筑区は、この「呼び寄せ高齢者」が増えているのが特徴ですね。

自分たちの親もこういう世代になってきている。正しく自分たちの足元に押し寄せてきている、身近な問題だと思いました。

-「呼び寄せ高齢者」、初めて聞きました。

水谷さん:たとえば、80年以上その土地でくらし、子育てもして過ごしてきた方たちが、突然何にも知らないところで生活が始まるということはとても大変なことだと思いませんか?ですから、「スープの時間」に初めていらっしゃったころはオドオドしたり元気のない感じの方が多いのですよ。ここに参加して傾聴で人間関係ができてきて、だんだん元気になってきてくださいます。

-住み慣れた町を離れ、知っている人も馴染みの場所も少ない町でのくらしは、気持ちも沈んでしまいますね。

水谷さん:スープの時間に来たときは気楽に過ごしていただきたくて、なるべくカフェのようにするよう心がけています。カフェミュージックをかけて、カフェメニューを置いて、シニア支援の場だけれど、その方にとって特別な場所にしたいと思っているのです。環境づくり、環境デザインはとても大切だと思います。来てくださるシニアも、自分で編んだお洋服を着るなど、おしゃれをして来てくださいます。お帰りのとき、みんなでお見送りするのですけど、「お姫様になったみたい!」と言って手を振って帰られるのです。高齢になっても素敵でいたい。そういう気持ちになってくださるのです。

-「スープの時間」が“おでかけ”の時間になっているのですね。カフェに行ってゆったりしたり、お気に入りの洋服でおめかしして出かけたり、いい気分になれる時間なのでしょうね。

水谷さん:そうですね。これも、スタッフが傾聴で支えることで、そういう気持ちになっていってくださるのだと思います。傾聴ワーカーが介入することで、同じ場にいるシニア同士のコミュニケーションをつなげる役目にもなっていると思います。

 

■元生徒であり、スタッフであり、傾聴ワーカーであり。

-スタッフのみなさんが傾聴ワーカーとおうかがいしたのですが

水谷さん:はい。毎月第1火曜日、第4金曜日「アーモンド傾聴の広場」という傾聴を学ぶ研修会で傾聴を学んでくれていた受講生です。そして、スタッフとして活躍してくれています。とても頼もしいです。

-みなさん凄いですね!シニアだけでなく、お話や悩みを聴いてほしい方はたくさんいらっしゃるのではないですか?

水谷さん:そうですね。このコロナ禍で、家族といっしょに過ごす時間が増えた方は多いと思うのですが、そのことで悩みごとが解決した方もいるけれど、反対に悩みごとが増えた方もいて、両極端のようですね。ACNでは、毎月火曜日2回と木曜日1回10時~12時に、なんでも話せる「傾聴コミュニティMy Café 」を開催して、傾聴ワーカーが心を込めてお話をお聴きする場があります。この場でも彼女たちは活躍してくれています。赤ちゃん連れの方、子どもからおとなまでどなたでも参加できますよ。

-スタッフのみなさんの笑顔がとてもやさしそうなので、参加者のみなさんはきっとお話しやすいでしょうね。
ほかにどのような講座が開催されているのですか?

水谷さん:はい。書を楽しむ会、アーモンドヨガ、不登校の親の集い、居場所支援学習支援など、いろいろな活動をしていますのでお問合せいただけたらと思います。

-傾聴のスキルをもったスタッフの方々が、寄り添いお話を聴いてくださり、あたたかな食事を誰かとともにできる。ACNは老若男女が胸のうちを話せる場として、無くてはならない地域のコミュニティカフェになっていると感じました。本日は長い時間ありがとうございました。

水谷さん:ありがとうございました。ぜひまたいらしてくださいね。

アーモンドホープセンターの店舗情報
店名 アーモンドホープセンター
席数 テーブル席 2名席×4
電話番号 045-594-7040 / お問合せ先 045-594-7586
最寄り駅 市営地下鉄グリーンライン「北山田駅」徒歩1分
アクセス 東急バス「北山田駅」下車徒歩1分(たまプラーザ駅発・鷺沼駅発・東山田営業所発)
住所 横浜市都筑区北山田1−9−3エキニワ北山田ビル2A 室
営業時間 開催しているサロンと活動の詳細については、直接お問い合わせください。
定休日 土曜日・日曜日・祝日
ホームページ https://npoacn.or.jp/
食事の提供 NPOアーモンドコミュニティネットワーク「スープの時間」(月水)でランチ提供  ※詳しくはお問合せ下さい
レンタルスペース なし
レンタル棚ショップ なし
Wi-Fi なし
充電 なし
プロジェクタ投影 -
おむつ替え設備 エキニワ北山田ビル内にあり
ベビーカー入店
離乳食 なし (お湯の提供可)
ベビーシート なし
車いす着席
車いす手洗い エキニワ北山田ビル内にあり

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