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コミュニティカフェ

迷い込みたいまちの路地!コミュニティスペース「並木ラボ」(横浜市金沢区並木町)

「並木ラボ」は、2013年横浜市立大学が文部科学省の「地(知)の拠点整備事業」の採択を受けスタートした金沢シーサイドタウンのまちづくり拠点。さまざまな取り組みを経た現在、産(地元企業)×官(行政)×学(大学)×民(地域住民)が一体となって進めるまちづくり活動「あしたタウンプロジェクト」を通してまち全体で育むコミュニティスペースとなっています。

いつまでも“住み続けたい”“訪れてみたい”まちであり続けることをめざした取り組みを通して、並木ラボやこのまちはどのように彩られたでしょうか。今回は、並木ラボの創始・運営に関っておられる横浜市立大学 三輪律江准教授に、並木ラボとそれを取り巻くまちの素敵な様子をお聞きしました。

※並木ラボ設置のきっかけや取り組みについてうかがった三輪准教授のお話はこちら

■集いの場は、まちの「通路」にアリ!

―本日はよろしくお願いします。

三輪准教授:よろしくお願いします。

―ここは広いスペースをぜいたくに使って、さまざまな座席が設置されていますね。シンプルなオフィスデスクだけでなく、スタイリッシュなソファやスツール、オットマンまで。どの座席に着こうか楽しく迷ってしまいます(笑)。

三輪准教授:こあがりもありますし、グループの人数やメンバーに合わせて好きな座席を選んでいただけます。関連企業が取り扱ったモデルルームで利用したおしゃれなインテリアをそのまま譲っていただくことができたのですよ。

―どうりでスマートなデザインのインテリアがそろっていると思いました!ところで、コロナ以降並木ラボにはどのような影響がありましたか?

三輪准教授:ほかの多くのコミュニティカフェや公共施設と同じように、2月末から6月まで閉館していました。7月からは並木ラボ主催のイベントに参加する方のみスペースの利用を可能にして、ゆるやかに再開をスタート。10月から一般の方がふらりと立ち寄れる時間を増やし始めたところです。コロナ前は、学生のグループやママのグループが作業やおしゃべりをするなかに、ふらりとここに立ち寄って、本を読んだりごはんを食べたりしてくつろぐ個人の利用がたくさんありました。この姿に戻るまでにはまだ時間が必要ですね。

―不定期であってもふらりと立ち寄れる場所が戻ってきたのは、地域の方にとってはうれしいことですね。今は、コロナの影響でイートインスペースを閉鎖してしまうスーパーなどもあるなかで、このような場所はとても貴重だと思います。

三輪准教授:そうですね。並木ラボができる以前、もともとここは、この商店街の共有のイートインスペースでした。ですから地域の人にとってこのスペースは、隣の薬局へ行くためのショートカットコースであったり、買い物途中の休憩ポイントであったりと、「並木ラボへ行く」という意識がなくても立ち寄れる場所なのです。

―地域の人にとっては、あって当たり前の場所なのですね。

三輪准教授:並木ラボは2018年に、商店街の同じ通りからこの場所に移転しました。旧並木ラボは普通の店舗物件でしたので、シャッターを開けてスペースをオープンさせていました。それに対して、ここはある意味まちの「通路」。この違いには大きな意味があります。それは、新しい並木ラボには間仕切りやシャッターがない分、旧並木ラボよりも人が立ち寄りやすい場所になっているということです。

―ふだん何気なく通う「通路」に地域の集いの場があると、意識しなくても地域へつながるきっかけを得られそうですね。しかし一方で、並木ラボのように間仕切りがないスペースでは、イベントの参加者とふらりと立ち寄った通行人が、共存しながらスペースを利用するのはむずかしいことではないかと感じました。

三輪准教授:コロナ以降は、人の密集を避けるために、イベント開催時は参加者以外の人はスペースの利用をご遠慮いただいていますが、コロナ以前は、イベント開催時にイベント参加者ではない方が同じ空間にいらっしゃる場面は普通にある光景でした。イベントを行うみなさん自身が“自分のイベントに参加する目的をもたない誰かが横にいる”感覚を理解してくれていたと思います。一方で、管理の面では悩ましい部分があったのは確かです。間仕切りがないので、このグループはどこまで占有できるのか、またその対価はどのように計算すべきかなど課題は残っています。

―この地域は、産(地元企業)×官(行政)×学(大学)×民(地域住民)が一体となって並木ラボを拠点としてまちづくりを進めていますから、さまざまな組織による主催イベントが起こりえますから、スペース利用におけるルール作りも複雑になりそうですね。

三輪准教授:そうですね。この地域ではエリアマネジメント協議会というまちづくりを推進する協議体が「あしたタウンプロジェクト」というまちづくり活動を進めています。その活動の一環で、拠点でもあるこの並木ラボを舞台として、地域の中からは「ここでカフェのようなことをやってみたい」とか「イベントをしてみたい」とか、企業からもさまざまな提案・申し入れがあり、非常にポテンシャルの高い場所となっていると思います。2021年4月からこのエリアマネジメント協議会が新体制になる予定なので、並木ラボもコロナ以後の生活様式の視点を加えた新しいルール作りが必要になっています。

―自粛明け以降は、具体的にどのようなイベントを開催されているのですか?

三輪准教授:9月からは全4回にわたり、「市民ライター養成講座」を開講し、地元在住の方や横浜市立大学の学生16名が参加しました。

―自分の地域を取材することで、いろいろな気づきを得られそうですね!また、大学生と交流しながら講座を受けられるのは刺激的!並木ラボの魅力のひとつと言えますね。

三輪准教授:はい。また、やはり横浜市立大学の学生と近くのコミュニティ拠点、地域のママ、そして金沢区のママの自主活動団体がコラボして、ハロウィンイベントを開催しました。

―さまざまなイベントが中止となっているなかでハロウィンイベントが開催され、子どもたちはとても喜んだでしょうね。また、大学生のお兄さんお姉さんと交流する機会は、子どもたちにとってもめずらしいもの。この点でも、大学がかかわる地域交流拠点は、いろいろな人にとって大きな魅力となりますね。

 

■あしたひろばで会いましょう

―ところで、スペースの奥にある“こあがり”はとても広いですね。子どもたちもママたちもゆったり過ごせそう。このこあがりも、並木ラボの魅力のひとつではないかと思います。

三輪准教授:ありがとうございます。前述のように、現在はふらりと立ち寄る時間は制限されていますが、コロナ前は小さなお子さんとママのグループがたくさんいらっしゃっていました。とくに、毎週月曜日の午前中は「あしたひろば」という地域のママたちが運営する親子向けのイベントを行っていて、たくさんの親子連れでにぎわっていました。年度当初はお休みしていましたが、7月からゆるく再開してきたので、最近はまたお立ち寄りいただく方も戻りつつあります。

―「あしたひろば」とはどのようなイベントなのですか?

三輪准教授:主に3歳未満のお子さんとそのご家族が、ゆるくつながりながら情報交換や交流ができる場です。出産前のプレママの参加も歓迎しています。ここでも横浜市立大学の学生が、英語の絵本の読み聞かせをするなど、子どもたちとママ、そして大学生との交流が生まれています。また、大人気のコンテンツ“物々交換DAY”もあります。毎月第1月曜日のあしたひろばで、サイズアウトしたお洋服や、いただいたけれども使用していない物などを持ち寄り、必要とする人と交換する催しを行っています。不用品を持ち寄った際、品物にひとことメッセージをつけるルールになっているのですよ。

―メッセージをつけるというのは素敵なアイデアですね。交換していただいた物との間に、縁や愛着が生まれる感じがしますね。

三輪准教授:コロナの自粛中の間にママたちは、“物々交換DAY”に出品された洋服などのうち保管期限が切れた物をマスクにリメイクして地域の方々へお届けする取り組みもしたのですよ。

―温かい気持ちを感じますね。それにしても、地域のママたちのチカラがすばらしいですね。

三輪准教授:じつは、並木ラボには職住近接を促すための「地元で働こう」というこの地域に限定した求人掲示板があるのですが、この掲示板の管理を、地域のママたちにお願いしています。掲示板に関する活動日を月曜日にしていると、「せっかく私たちが月曜日にここに来ているのだから、この時間を有効活用したいです!」という申し出をしてくださり、あしたひろばの開設につながりました。厳密にいえば、あしたひろばは並木ラボが主催しているイベントなのですが、あしたひろばのなかのイベント企画や物々交換DAYなどの発案など、ママたちが主体的に動きながらかかわってくださっています。あしたひろばは、コロナ自粛期間中は、オンラインでの開催も試行しましたが、現在は並木ラボでリアルにつながって開催しています。もちろん、物々交換DAYも第1月曜日に開催していますので、ぜひ遊びに来ていただけたらと思います。また12月からは「英語でおはなし会」という学生とのコラボ企画も始まっています。

―社会の変化に適応しながら、ママたち自身が、子どもたちやママたちが笑顔になる場を続けてくれているのですね。また、この地域に限定した求人情報は、「そろそろ働こうかな」と考えるママたちにはありがたいサービスです。求人情報を見たその場で、ママ同士で情報交換できるのもうれしいですね。

2019年5月10日撮影

 

■そうだ、「居心地のいいまち」へ出かけよう

―並木ラボも素敵ですが、このまち全体がとてもセンスがあって、居心地の良さを感じます。

三輪准教授:この金沢シーサイドタウンは、1970年代ごろから著名な建築家や都市計画家によって設計されたまちです。みなさんがイメージされる1970年代以降多く建てられていた団地のイメージとはまったく異なるまち並みを見ることができると思います。

―建築年は完全に昭和真っ只中なのに、「昭和感」のような古さは感じず、どちらかといえば新しさを感じます。新しさと言っても、現在の大型集合住宅のような都会的な新しさとはまったく異なる印象で、時代を超えても新鮮さを漂わせる「計算されたデザイン」というのでしょうか・・・。

三輪准教授:ぜひこのまちに来て、いろいろな建築物を歩いてご覧になるといいと思います。

建物だけでなく、まちを形作る道や空間もまた、建築家たちの作品といえます。

―並木第一小学校も都市設計を手掛けた建築家が設計されたそうですね。また、並木幼稚園には、あの岡本太郎氏の壁面画があるとか!まち全体がデザインを感じる場所なのですね。

三輪准教授:建て物だけでなく、並木ラボから徒歩数秒で行ける“ふなだまり”もこのまちの景勝ポイントといえます。

―横浜の古いニュータウンが、芸術性に富み、見どころがたくさんあるまちだったとはまったく知りませんでした。

三輪准教授:建築家たちが設計したすばらしいまちのデザインという価値を維持するための取り組みも行われています。2019年12月~2020年1月には、芸術家がじっさいにこのまちに滞在し、地域と関わりながら作品やプログラムを生み出していく企画として「猫の小林さんとあそぼう プロジェクト」を開催し、まちの中に、巨大なピンクの猫“小林さん”のオブジェを設置したり、“猫の小林さん”にまつわる作品を作るワークショップを並木ラボで開いたりしました。

―地域の人たちは、まちなかのパブリックアートを見たり、並木ラボで作品にまつわるワークショップに参加したりして、この地域のすばらしさを再発見できているのですね。

三輪准教授:今年はこの「猫の小林さんとあそぼう!プロジェクト」 を継承し、「ナミキ・アート・プラス」を開催しています。建築家たちが携わって整備したすばらしいまち並みを、現代の芸術家の観点で魅力を発掘し、新しい風景を作り出すプロジェクトです。2020年11月から12月に制作を、2021年1月に発表を予定しています。並木ラボがある金沢シーサイドショッピングセンターでも展示会を予定しています。

―猫の小林さんも必見ですが、新しいパブリックアートもワクワクしますね。まち並み、ふなだまり、パブリックアート、このまちに出かけたくなる理由がたくさんできました。また、並木ラボでは、これまでのまちづくりの様子のパネル展示もしていますから、ぜひ、見ていただきたいですね。

三輪准教授:コロナのため、スペースのオープン時間が不規則になっています。お越しの際には、並木ラボのFacebookやあしたタウンプロジェクトのホームページのイベントカレンダーでスケジュールを確認してお越しください。

なお並木ラボの運営母体であるエリアマネジメント協議会は2021年4月に法人化(一般社団法人)するべく準備を進めています。新体制でのあしたタウンプロジェクトの活動や新生「並木ラボ」にもご期待ください。

 

並木ラボの店舗情報
店名 並木ラボ
席数 オフィステーブル ソファ ベンチ スツールなど多数
個室 なし
電話番号 045-349-5665
最寄り駅 金沢シーサイドライン 並木北駅
アクセス 金沢シーサイドライン 並木北駅より徒歩5分 京浜急行 京急富岡駅より徒歩15分
住所 横浜市金沢区並木 1 丁目 17—7 号棟 金沢センターシーサイド名店街(HAC となり)
ホームページ http://ashitatown.jp/

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