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コミュニティカフェ

レトロな雰囲気でお食事を―昭和初期の家屋で営むコミュニティカフェ  「もりのお茶の間」(横浜市金沢区六浦東)

もりのお茶の間外観

雨の金曜、13時。一般的にはランチが終わったこの時間でも、この場所はとてもにぎやか。食後のお茶を飲みながら、スタッフとお客さまが会話をはずませています。するとまた、あらたに4人の若い女性客が入ってきました。

―横浜市金沢区六浦東 コミュニティカフェ「もりのお茶の間」。いまどきのカフェのような、斬新でおしゃれな家具やインテリアはないけれど、昭和13年に建てられた家屋を改築してできたこのカフェは、懐かしい雰囲気と温かな空気感にまとわれています。

今回は、もりのお茶の間・事務局長の滝澤 右弥子(たきざわ ゆみこ)さんにお話をうかがいながら、コミュニティカフェ「もりのお茶の間」についてご紹介したいと思います。

■レトロな空気を感じるままに―築80年の家屋がつむぐ寛ぎの時間

もりのお茶の間ロゴ

もえぎ色の壁に、大きなガラス窓が印象的な2階の外観。昭和13年建築の建物だといわれると、「え?そんなに古いの?」と意外な驚きがあります。戦前・戦後・激動の昭和、そして平成の時をも過ごしたのに、この建物にはひなびた印象を受けません。逆に、風にはためくのれんやのぼりが、船の帆のように力強くさえ感じます。

もりのお茶の間・事務局長の滝澤 右弥子(たきざわ ゆみこ)さん

もりのお茶の間・事務局長の滝澤 右弥子(たきざわ ゆみこ)さん

―「この地域に拠点を作りたい!」という思いで、まちづくりを応援する補助金事業“ヨコハマ市民まち普請事業”のコンテスト(以降、まち普請コンテスト)を優秀な成績で通過されたそうですが、いざ拠点の候補となる空き家探しをしてみると、非常に難航したそうですね。

滝澤さん:そうなのです。空き家探しはどこの団体もご苦労されると思いますけれど、私どもも、最後の最後にこの建物と出会いました。しかし、ご覧の通りとても古い建物で、耐震検査をしてみると、崩壊に近い0.1という結果が出てしまって。そこから耐震工事の課題が重くのしかかってきました。

―これだけ古い建物だと、耐震工事も大掛かりになるのでしょうね。

滝澤さん:まち普請コンテストで得た補助金は、規定で耐震工事には利用できないことが決まっていますので、あらたな資金収集が必要でした。急いで地域に事情を回覧してもらって、304万円の寄付が集まりました。地域住民のほか、地域内の関東学院大学や横浜南共済病院、そして病院工事中の企業からも篤志していただきました。とてもありがたいことですが、お金もさることながら、工事費用を予算内に抑えるために、たくさんの住民のみなさん、関東学院大学・中津ゼミの学生の方々、ケアプラザや区社協のみなさままで、耐震工事に参加してくださったことがとてもありがたかったです。結果、のべ350人の支援をうけ、耐震工事を乗り越えました。また、内装工事も同じようにたくさんの人が関わってくださり、オープンまでにのべ600名の方の手を借りてこの拠点はできたのです。

■相席がもたらす楽しい時間

もりのお茶の間イベントの様子

―たくさんの方の力を合わせて築いた拠点だから、ここは地域の人にとって集いの場所になっているのですね。今日も13時をまわっているのに、ランチを楽しまれるお客さまが絶えませんね。

滝澤さん:11時からランチがスタートするのですが、まずはシルバー世代のお客さまがどっと押し寄せます。12時過ぎると、関東学院大の職員さんがよく来られますね。

―え?大学だったらリーズナブルな学生食堂がありそうですが、わざわざこちらに出かけて来られるのですか?

滝澤さん:ゆっくりひと息つきに来られるのだと思います。

―職場から離れてしっかりOFFモードになる!ここは、ホッとするために必要な場所なのでしょうね。

滝澤さん:そう思っていただいているとうれしいですね。

ホームページで1カ月分のランチメニューを掲載していますので、お客さまの多くがその日のメニューをチェックして、人気のメニューの時は“売り切れ”を案じて予約を入れてくださるのですよ。みなさん毎日のように利用していただいているので、“売れるメニュー”がわかっていらっしゃるのですね。

―ホームページでその日のメニューがチェックできるのは便利ですね!しかし、1カ月分のメニューを予め決定しておくのは、とても大変ですよね。

滝澤さん:みなさんも毎日変わるメニューを見るのを楽しみにしてくださっているので、毎月新しいメニューを登場させるなどして、メニューはこだわりながらサロン部会のみなが集まって決めています。おかげさまで、ランチ時は2階席も満席になって、1階・2階の大きなテーブルでは相席で食事をする機会が自然と多くなります。常連さんもいれば初めてのお客さまもいますが、相席だからこそ生まれる楽しい会話もあるのですよ。

―同じ地域に住まっていても、話をしたことがない人もたくさんいますよね。たまたま同じテーブルに居合わせて食を囲むという素敵な偶然が、ここでは毎日生まれているということですね。

滝澤さん:はい。もっともっとお客さまによろこんでいただけるよう、ポイントカードを取り入れるなどして、“通いたい場所”になるようにスタッフもいろいろと工夫をしています。

もりのお茶の間のメニュー

手作りランチやケーキは、この地域の人気の味。ポイントカードもうれしい

■ここは京都?!町屋から川辺をのぞむ風情アリ

りのお茶の間2階メインフロア

2階のメインフロア。川辺が映る大きな窓は、この部屋をいっそう素敵な空間にする

―1階は大きな梁が印象的な空間でした。それに対して2階は、なんともいえない風情がありますね!

滝澤さん:建築当時、こういう建築デザインがはやったのでしょうね。天井や柱や壁板などに独特の木彫り模様が施されています。また、外壁には広い範囲にガラス製のしきりが用いられていますし、窓もずいぶん広く作っています。ほとんどの壁を取っ払う大きな耐震工事をしましたが、家屋の素敵な部分はできるだけ残すように努めました。

―本当にめずらしい作りですよね!壁も柱も、一見の価値があります!電灯もモダンで素敵です。それに、この大きな窓から見える景色はとても風情がありますね。なんだか、京都の町屋の2階から高瀬川を見ているような趣です。

滝澤さん:ちょうど建物の前に侍従川(じじゅうがわ)という川が流れていますしね。時代を感じる窓枠を通して映る景色は、それだけでこの場所の価値になっているなと感じます。

―2階はランチ以外の時間帯は、どのように使われているのですか?

滝澤さん:14時以降は歌声サークルや美術史、お琴、茶道などを学ぶカルチャーサークルを開いたり、2時間1000円でレンタルスペースとして貸し出すほか、子どもたちの寺子屋としても利用されています。ご覧の通りとても広いですし、階段にベビーキーパーも設置していますので、ママと小さなお子さんや赤ちゃんたちが集まって、安心して寛ぐ場にもなっています。

―靴を脱いで、足を伸ばして、ごろんと寝転がれる!小さい子連れのママにとってはうれしい場所ですね!

滝澤さん:夏休みには小学生たちの希望もあり、“お茶の間早朝勉強会”を開催しました。工作、手芸、寺子屋、茶道、書道など、のべ147人の子どもたちが参加してくれました。このときは、2階だけでは対応しきれず、1階も含めて教室に変身したのですよ。夕食を提供する子ども食堂では、家族みんなで利用してくださるスタイルも増えていますし、小さい子どもとママだけでなく、小学生やその家族もここで気軽に時を過ごしてくれています。

―まさに、全世代が集う場となっているのですね!

もりのお茶の間内観

2階の別フロア、モダンな電灯が印象的。隣室は茶室にも変身する

■おとなと子どもがふれあう時間を―もりのお茶の間の原点

レンタルボックスのカメラ

レンタルボックスに飾られたフィルムカメラたち。レトロな空間をいっそう引き立たせる

滝澤さん:“おとなと子どもがふれあう時間をもちたい“―これが活動の原点にあります。じつは、20数年前、この地域の中学生がとても荒れていて、保護者のみなさんもとても心配して過ごした時期がありました。ちょうどそのころ、国で主任児童員という制度が始まり、私はその1期生を担うことになりました。「私に何ができるだろう・・・」と考えた末、保護者のみなさんにアンケートをとったところ、「子どもたちとおとながふれあう時間をたくさん作ってほしい」という希望があがってきたのです。

―核家族化が進み、子どもたちが深く関わるおとなは、親と学校の先生くらい。昭和の古き良き時代のように、近所のおとなと気軽に関わることはほとんどありませんよね。

滝澤さん:はい。そこで、私たちは平成8年に【人材マップ】というものを作りました。人材マップとは、この地域の9つの町内会の人たちが、自分の特技や得意なことを登録するもの。この特技を通して、地域の子どもとおとながふれあう時間をつくり、地域ぐるみで子どもたちを見守り育てたいという思いがありました。

―どんな特技が登録されたのですか?

滝澤さん:音楽、スポーツ、英語やパソコンなど多岐にわたって登録していただきました。登録者はどんどん増え、20年たつ今では登録者が100名を超えています。人材マップを生かして地域や町内イベントを開催すると、おとなと子どもがふれあう時間はどんどん増えていきましたが、たくさんの活動やイベントをやりくりするのはとても大変で、課題のひとつとなっていました。「これからどうしたらいいものか・・・?」と悩んでいた時期に、地域づくり大学校という講座を受講する機会を得ました。そこでいろいろな事例や学びを通して、この地域の【拠点】の必要性に気付いたのです。それが、このもりのお茶の間につながっていきました。

―20年前にたくさんのおとなたちが願った“子どもとおとながふれあう時間”を、このもりのお茶の間が作りだしているのですね。

滝澤さん:はい。先ほどの“お茶の間早朝勉強会”や“子ども食堂”でも、子どもたちはおとなとふれあう時間を得ています。また、多世代交流“お茶の間食事会”では、近隣の関東学院の高校生ボランティアや大学生がスタッフに参加してくれたりして、子どもたちはさまざまな世代のおとなとふれあう経験を得ています。

―年の近い高校生や大学生のお兄さんやお姉さんとのふれあいは、子どもたちのあこがれや目標が見つかるかもしれない貴重な時間ですよね!また、学生さんたちも、おとなのスタッフや地域の高齢者など、自分たちと異なる世代と関わる経験を得られますね。もりのお茶の間は、どの世代にとっても貴重な場所だと思います。

滝澤さん:そうですね。原点は“おとなと子どものふれあう時間”でしたが、いまや人材マップは、おとな同士のイベントや、施設への訪問活動など、地域とのつながりのためにも生かされています。また、関東学院の先生が高齢者サロンで講座を開いてくださったり、区が主催のミニ講座の会場に使っていただいたり、まち普請コンテストや拠点づくり活動を通してつながった方との縁も、しっかりと根付き育っています。もりのお茶の間という拠点を中心にして、地域がよりつながりを深められていることを実感しています。

 

もりのお茶の間の店舗情報
店名 もりのお茶の間
席数 1階(2席×1 8席×1 4席×1)/2階(2席×4 4席×2)
個室 あり
電話番号 045-701-4860
最寄り駅 京浜急行本線「追浜駅」徒歩12分
アクセス 京急バス停「内川橋」徒歩1分
住所 横浜市金沢区六浦東1丁目2-8
営業時間 【サロン営業】 ・月曜~金曜 10:00~16:00  ランチは11時00分~13時30分 ・16:00~ その他貸し切りなどはご相談ください
定休日 土曜・日曜・祝日
ホームページ https://www4.hp-ez.com/hp/mutuhi/info
食事の提供 あり
レンタルスペース あり(お茶の間営業日の14:00~16:00の2時間:1000円)
レンタル棚ショップ あり(1000円/1か月~)
Wi-Fi あり
充電
プロジェクタ投影
おむつ替え設備 あり
ベビーカー入店
離乳食 なし (お湯の提供可)
ベビーシート なし
車いす着席
車いす手洗い

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