輝く男性インタビュー
- 【後編】川嶋勝重さん一問一答。そして、奥様を交えたアナザーストーリー。
ボクシング引退後は、奥様といっしょに東京都世田谷区でアクセサリー店を経営されている川嶋さん。インタビューは、奥様同席のもと、おふたりのお店で行いました。当日は、おもしろいエピソードがたくさんあり、前編では書ききれなかったので、書ききれなかったエピソードを一問一答形式でお届けします。そして、最後は奥様の目から見た世界チャンピオンになるまで川嶋さんのお話をアナザーストーリーとしてまとめました。
では、お楽しみください。
聞き手:たいせつじかん編集部
前編はこちら:https://www.taisetsujikan.com/?p=964
■おもしろいエピソードを一問一答でお届けします!
エピソード1:いちばん印象に乗っている試合はどの試合ですか?
川嶋さん:世界戦の2回目の防衛戦、ホセ・ナバーロ選手との試合です。
この試合は、ボクシング人生の中で唯一楽しいと思えた試合でした。顔を3カ所切ってしまい、いつ止められてもおかしくないなと思いながら試合をしていましたね。ナバーロ選手も打ち合いにこたえてくれましたし、この試合は僕自身のベストバウトです。
エピソード2:試合中のことは覚えていますか?
川嶋さん:鮮明に覚えています。
おそらくボクサーはみんなそうだと思いますが、試合中はすごく冷静なんです。ですから、セコンドの声もしっかりと聞こえますし、やじだって聞こえていますよ。
エピソード3:数々の試合の中で最も印象的なシーンを教えてください!
川嶋さん:徳山選手に勝って、世界チャンピオンになった瞬間ですね。
徳山選手とは3回戦っているんですが、2回目の対戦で僕が勝って世界チャンピオンになりました。この試合は、1RにKOして勝つんです。
この時に、あれっ、これで世界チャンピオンになったんだよな。夢だったらどうしようかと思いました。1Rということもあってちょっと信じられなかったですね。
あと、徳山選手が倒れたときのパンチがローブローに見えたようで、相手セコンドの方が怒っている姿がすごく怖かったですね(爆笑)
エピソード4:パンチは痛くないですか?
川嶋さん:試合中は痛くないです。
試合中はアドレナリンが出ているのでほとんど痛くないですね。唯一痛いのは目に当たったパンチですね。これは少し痛いです。
あと、パンチを受けることに慣れてくると痛くなくなるということもあります。今でも、女性であればノーガードで顔にパンチをもらっても痛くないと思います。
エピソード5:またボクシングやりたいですか?
川嶋さん:からだが若返るならすぐにでもやりたいですね。
後悔なく辞められる選手はなかなかいないと思いますからね。もう一度世界チャンピオンをめざしたいですね。
■奥様が見た元世界チャンピオン川嶋さんとは。
川嶋勝重さんと奥様 川嶋環(たまき)さんの似顔絵
ー奥様と川嶋さんの出会いはどこなんですか?
環さん:私も大橋ジムに通っていたんです。
ーそうなんですね。では、チャンピオンになる前からのお知り合いということですね。どんな印象でしたか?
環さん:試合には勝っていたのでボクシングが強いんだなという印象でしたね。前向きな話が多いですが、でも、私の目からみると、ジムの中でも注目されづらい立場が長かったので腐っているようなときもありましたよ。
ジムには、たくさんの将来有望な選手が次から次へと入ってくるのでどうしても注目されづらいですよね。
川嶋さん:日本ランクに入ってから日本チャンピオンになるまでの数年はなかなか前に進まなくてイライラしていた時期ではありましたね。
環さん:忘れもしないですが、屋台でたこ焼きを食べながら「もう辞めちゃおうかな」って言っていましたもんね。やっぱり、生活が大変なんですよね。彼の場合はスポンサーがいるわけでもないので、ボクシングだけで食べていけなかったですからね。
その状況で、次に進む試合がなかなか組まれなければそんな気持ちにもなるんだろうなと思います。
そうこうしているうちに、松本トレーナーとの出会いで少しずつ変わったように思いますから、この出会いが彼にとっては大きかったんではないですかね。
川嶋さん:そうだね。いつも腐るなよって言ってくれていましたからね。
ーでは、そのように経済的にも厳しく、また命の危険だってあるボクサーとの結婚に踏み切った理由はどこにありますか?
環さん:私は彼に賭けたんですね。2回目の世界戦当日の朝に役所に婚姻届けを出しに行きました。私にとっては、世界戦の前でなければ意味がなかったんです。
ーそして、その日に世界チャンピオンになったんですね。
環さん:賭けに勝ちましたね(笑)。あとは、やはり目標に向かう姿をみてかっこいいと思ったんでしょうね。私も自分のお店を続けていくという夢があったので共鳴したんではないでしょうか。
ーいい話ですね!ほかに今だから言える世界チャンピオンの裏話はありますか?
環さん:彼が1回目の世界戦直前にギックリ腰になったことがあったんですが、このことは印象的ですね。
川嶋さん:そうなんです。世界戦の1カ月前に、急に腰が痛くなったんです。いつものように寝れば治るかなと思っていたんですが、どんどん痛くなったので、どうしようかと思いました。
環さん:いろいろな人が苦労して実現した世界戦ですから、まさか腰痛で辞めるなんて言い出せないんですよね。だから、次の日も普通に朝からロードワーク行っていましたね。
川嶋さん:ぜったいに腰が痛いなんていえるような状況じゃなくて、さらにギックリ腰だなんて思ってもいなかったんです。だから腰痛を抱えたまま普通にロードワークを走って、練習もしましたね。
環さん:そのあとに、大橋会長に腰が痛いって伝えたんだよね?
川嶋さん:そうだね。いろいろな先生のところに診察に行って見てもらって、どうにか治りました。
環さん:彼は自分からはぜったい痛いと言わないので、コーチから私に状況の確認がありましたよ。大丈夫と言っているが本当に大丈夫かよく聞かれました。
ーそうなんですね。やっぱり奥様からお聞きすると印象が少し変わりますね(笑)お忙しいところ、ありがとうございました!
編集部のひとこと

ライター
せいくん
川嶋さんのお話は、おもしろいエピソードがたくさんあり、そして、インタビュー後の奥様も交えてのお話がこちらも非常に楽しいものになったので、抜き出して記事にさせていただきました。
世界チャンピオンになった裏には奥様の支えがあったんですね。おふたりの掛け合いはとても息があっていて、テンポがよく、みんなで笑いながらお話が聞けました。
常に前向きに物事をとらえて、深く考えすぎない。やりたいのかやりたくないのかを軸に判断をするというのはとてもむずかしいことですね。川嶋さんは、そういった世間的な常識や、ボクシング界の常識にとらわれず自分の意思にぶれずに挑戦し続けて世界チャンピオンにまでなられました。
とても元気になれるお話でした!
- Ring公式ホームページ:
- http://ring-kawashima.com/
編集部メンバー
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ふたりの子どもがいるワーママ。お酒が好き。とにかく声が大きい。 |
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家事全般、特に料理が得意な新人ライター。気も声も小さい。 |
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好奇心旺盛。食べ歩きや女子会が大好き。いつもTシャツ。 |