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輝く男性インタビュー

ラグビーをとおして感じる真のグローバル、そして人類愛 東海大相模高校ラグビー部OBコーチ 前田殊告さんのラグビー愛あふれるインタビュー【後編】

東海大相模高校ラグビー部OBコーチ 前田殊告さんのラグビー愛あふれるインタビューの後編です。後編もラグビー愛があふれるインタビューとなっております。ぜひ、お楽しみください!

前編はこちら:https://www.taisetsujikan.com/?p=849

―学校にラグビー部があったり、五郎丸選手のことは知っていたりと、ラグビーはほかのマイナースポーツに比べると認知度が高い印象がありますよね

前田さん:そうですね。ラグビーを観たことがない人でも、五郎丸選手やニュージーランド代表のオールブラックス、彼らが試合前に行うハカの舞踊のことなど、情報としてラグビーについて知っている日本人は多いでしょうね。でも、実際のプレイ人口は、世界と比較すると非常に少ないといえます。

―その問題と関連するのでしょうか、とても不思議に思っていたことがあります。日本代表選手の中に、「この方、日本人ではないでしょう?」という名前や顔立ちの人がたくさんいらっしゃいますよね?これはどうしてなのでしょうか?

前田さん: これは、ラグビーの代表選出の際のルールが、ほかのスポーツと異なっていることが要因です。多くのスポーツで代表選手になるには、その国の国籍をもっていることが条件になりますよね。一方ラグビーは、その国の国籍がなくても、「出生地が当該国である」、または「両親・祖父母のうちひとりが当該国出身」、または「当該国で3年以上継続して居住している」のいずれかひとつ条件を満たしていることが代表選出時のルールとなります。ですので、外国籍の選手であっても、まちがいなく日本の代表選手というわけです。

―そうなのですね!?これは初めて知りました

前田さん:付け加えると、これは日本代表に限ったことではありません。このルールはラグビーユニオン共通の規定であり、トンガやオーストラリア、イングランドなどの強豪国といわれる国や、前出の世界最強の呼び声高いニュージーランド代表のオールブラックスにおいても同様の現象は起こっています。

―ラグビーがマイナースポーツとして認知される日本だから起こる現象ではなく、強豪国であっても同じ条件が適用され、外国人がその国の代表として戦っているということなのですね!?

前田さん:はい。代表選出の別のルールとして、ひとつの国の代表になった選手は、ほかの国で代表にはなれないというものもあります。つまり、日本代表として戦っている外国籍の選手たちは、二度と母国の代表にはなれないということです。日本代表の中には、外国籍のままプレイする人もいれば、日本に帰化する人もいたりといろいろですが、それでも、日本でプレイしようと決めたときの話を聞くと、日本に好意をもって日本へ渡ってきたことがよくわかります。たとえば昔、大東文化大学出身のシナリ・ラトゥ選手に、なぜ日本を選んだのかと聞いたとき、「そろばんの勉強がしたい」と言っていたことを思い出します。また、「日本語を覚えたい」「勉強をしながらラグビーをしたい」など、日本の文化や日本という国に愛着をもって日本を選んで道を決めてきたのだなということを感じる選手はたくさんみてきました。日本人だけでなく、多くの人にとって、国籍を変えるとか捨てるということは非常に大きな問題ですが、ラグビーを介して考える彼らにとって、そんなことはこだわることではないのです。国籍にこだわらない、わたしはこれぞ真のグローバルな精神だなと感じます。

―なんだかとても不思議な感じがします。世界大会というと、国と国のプライドのぶつかり合いのような印象をもちますが、ラグビーは国境という枠をまったく感じさせない、おおらかで、人類愛に満ちたものさえ感じてしまいます

前田さん:そうですね。ラグビーでは、「one for all ,all for one」、ひとりはみんなのために、みんなはひとりのためにという言葉が有名です。ラグビーという競技は、自分が倒れたとしても、自分が犠牲になりながらも、チームのためにボールをつないでトライへ結び付けていくスポーツです。わたしは、自己犠牲的な状況がチームへの貢献へつながっていく過程で、チームやチームメイトへの愛を感じ、ラグビーをとおした人間同士のつながりになっていくのだと思います。そこに国籍や国境を感じないのです。ラグビーを競技としてみるだけでなく、こういった土壌や精神的な部分も知ってもらえると、今年のラグビーW杯をもっと楽しく観ていただけるのではないかと思います。

番外編 田園ラグビースクールに行ってきました!

「どんな子どもでも活躍の場がある」、前田さんの言葉がとても印象的で、今どんな子どもがラグビーをしているのか気になり、横浜市都筑区で活動する田園ラグビースクールの体験会にお邪魔してきました

田園ラグビースクールの体験会の様子

幼児から中学生までいっしょのグラウンドで、学年ごとに分かれて練習をする当クラブ。当日もスクールに通うたくさんの子どもたちにまざり、各学年でラグビー体験に参加する子どもたちがいました。印象深かったのが、その練習をみるおとなたちのまなざし。自分の子どもだけでなく、ラグビーをする子どもたちの姿をみんなで見守っている雰囲気がありました。前田さんのお子さんもこちらに通われているそうで、田園ラグビースクールについてこうコメントされています。

前田さん:ここにかかわるおとなは、ラグビー愛が強い人が多く、親のラグビー愛がいい形で影響しています。マイナースポーツだからこそ、子どもたちがラグビーのよさに気づいてラグビーを続けられるよう、おとなは手を尽くし、懇切ていねいに指導しています。最近は、いろんなスポーツをはやくから始めて、ちょっとセンスのいい子と自分の差を敏感に感じ取り、自分がそのスポーツに向いていないと結論付けてしまう子が多いように思います。しかしここでは、褒めて、褒めて、褒めて、彼らが自分たちのいいところに気づけるようにサポートしてくれるので、自分の限界を感じず成長できる、子どもにとってはとてもいい場所だと思っています。

田園ラグビースクールの様子2

幼稚園生は鬼ごっこやかけっこみたいで楽しそう。一方で学年があがるごとに真剣さが増していきます。各学年の練習を拝見し、中学1年生の体験生の様子を見学したあと、彼らにお話を聞くことができました。

―どうしてラグビーの体験会に参加したのですか?

A君:足が速くなりたくてラグビーをしようと思ったからです。ここに所属しながら、中学では陸上部に入ります。

―ラグビーは楽しかったですか?

B君:おもしろかった。小学校のときはサッカーをやっていたけど、これはこれで楽しい。やってみたいなと思った。

インタビューの中、体験に来ていたC君のお母様ともお話ができました。

―どうしてラグビーの体験会に参加したのですか?

C君:小学生のときは6年間サッカーをやっていたのですが、レギュラーチームには入れなくて。長くやってきたわりに、サッカーに自信をもっていないので、部活もサッカー部に入るか迷いがあったようです。ですから、いろんなスポーツをみてみたら?といって連れてきました。

そんな話を聞いていた体験担当のコーチが、体験者を集めてプレイスキックを蹴らせてくれました。H型のゴールに向けてボールを蹴り、ポールの間、かつ、バーより上に入れば得点となります。元日本代表の五郎丸選手が得意とするあのキックですね。すると、このC君がふわりと蹴ったプレイスキックが、なんと3回すべて成功しました。すかさずそこにいたすべてのコーチが「おお!すごいじゃないか!」「さすがサッカー選手だな!」とC君に声をかけます。C君は気恥ずかしそうにしながらも、芝のグラウンドにゴロンところがり、にこやかに空を見上げていました。

田園ラグビースクールの様子3

このキックの後、C君にお話を聞くと、

C君:入ると思わなかったけど、サッカーと同じように蹴ったら入った。ちょっとびっくりした。自分もけっこう蹴れるようになっていたんだなと自信になった。

子どもが自分のストロングポイントをみつけるには、おとながいいタイミングでそれに気づくサインを出してあげられることが重要なのだなと感じた一瞬でした。田園ラグビースクールでは、幼稚園年少の年齢から中学生までを対象に、随時体験会を実施しています。関心がある方は、HPやFacebookを参考になさってください。

田園ラグビースクールの様子4

 

編集部のひとこと

ライター

せいくん

ラグビー愛に満ちた前田さんのお話をうかがって、ラグビー事情に驚き、ラグビーの印象が大きく変わったインタビューとなりました。今年開催されるW杯、どの国の試合を観るときも、「彼らはどこの出身なのだろう?」「それぞれの国でどんな生活をしているのだろう?」と、そんな思いも浮かべながら、それぞれの国の代表としてのプライドを背負って戦う彼らに、尊敬の念をもち、国境にこだわらず、力いっぱいの応援をおくりたい気持ちになりました。

編集部メンバー

編集長
かなさん

ふたりの子どもがいるワーママ。お酒が好き。とにかく声が大きい。

ライター
せいくん

家事全般、特に料理が得意な新人ライター。気も声も小さい。

ライター
ゆめちゃん

好奇心旺盛。食べ歩きや女子会が大好き。いつもTシャツ。

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