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輝く男性インタビュー

ラグビーワールドカップ決勝が横浜にやってくる!「ラグビーをまったく知らない人にこそ楽しんでもらいたい!」東海大相模高校ラグビー部OBコーチ 前田殊告さんのラグビー愛あふれるインタビュー

東海大相模高校ラグビー部OBコーチ 前田殊告さん

令和元年、日本にとって歴史的な節目の年に、ビッグイベントが日本で開催されます―ラグビーワールドカップ(以下W杯)。その決勝戦は、横浜市港北区の日産スタジアムで行われることが決まっており、横浜市各地では、ラグビー元日本代表選手が出演するイベントを開催したり、学校でタグラグビーの体験授業を行うなど、ラグビーへの関心を高める活動が盛んになっています。一方で、テレビなどでラグビーの試合を観戦する機会があまりないせいか、「ラグビーのルールがよくわからない」とか「どうやって楽しんでいいのかわからない」という声もよく聞きます。でも、学校でラグビーを経験した子どもたちからは、「めちゃくちゃおもしろい!」と絶賛の声があがるのだから、きっと見えていない魅力にあふれているはず。そこで、会社員をしながら東海大相模高校ラグビー部のOBコーチを務める前田殊告さんに、ラグビーについてたっぷりとお話をうかがってきました。自他ともに認めるラグビー愛に満ちた前田さんのお話は、W杯開幕前に、ラグビーを知らない人にこそ知ってほしいラグビーのおもしろさでいっぱいのインタビューとなりました!

聞き手:たいせつじかん編集部

■知ってた!?ラグビーW杯は世界三大スポーツ祭典という事実!

―今日はよろしくお願いします。さっそくですが、ラグビーW杯が日本で開催されますね。しかし、世間では、サッカーのW杯やオリンピックに比較すると、それほど盛り上がっている印象を受けないのですが・・・

前田さん: そうですね。わたしは営業の仕事をしていますので、話のとっかかりで「ラグビーW杯が日本で開催されることを知っていますか?」と聞くのですが、「知らない」という人がとても多い。でもね、世界の三大スポーツ祭典とは、オリンピック、サッカーW杯、ラグビーW杯といわれているのですよ。

―えっ!そうなのですか!?

前田さん:本当ですよ。これは、ラグビー好きの勝手な視点や思い込みではありません(笑)日本ではサッカーや野球がポピュラーですが、世界的にみると、ラグビーの競技人口は野球よりずっと多いのです。ラグビーは、オーストラリアやニュージーランドが強いのは有名ですよね。でも、イギリス、フランス、ウェールズなどヨーロッパも強いですし、南半球、北半球変わりなく強い。ラグビーが盛んな地域が世界的に多いのです。

―確かにそういわれてみると、強豪国といわれる国が、地域を限定せず世界的に存在していますよね

前田さん:アメリカの人気スポーツは、アメリカンフットボール、野球、バスケットボール、アイスホッケーといわれますが、近年ラグビーがプロリーグ化されるなど、アメリカでのラグビー人気も非常に高いです。ちなみに、アメリカのラグビー人口は世界第2位という点も意外性があるでしょ?7人制ラグビーがオリンピック競技に採用されたことからも、ラグビーが世界で人気や注目を集めている証拠といえますよね。

■7人?15人?ラグビーが10倍おもしろくなるマメ知識

ラグビーを語る前田さん

―確かに!前回のリオデジャネイロオリンピックでラグビーの試合を見た記憶があります。ただ、このオリンピックで観たラグビーは、わたしがもっていたラグビーの印象とかなり違っていました。おしゃれというか、スマートというか。わたしの勝手なイメージなのですが、ラグビーはとても泥臭いスポーツだと思っていたので

前田さん:そうですね、スクールウォーズ世代の我々には考えられないことですが、今は人工芝のきれいなグラウンドで試合をします。練習場などが土のグラウンドだったりすると、わたしがコーチをしているチームの生徒たちが「うわっ!痛そう!」とか言ったりするので、「なにをぜいたく言ってるんだ!!」と心の中で叫んだりします(笑)。オリンピック競技になっている7人制ラグビーは、通称セブンスといわれます。オリンピックでセブンスを初めて観た人のなかで、セブンスは「近年のスタイルに合わせて15人制ラグビーをコンパクトにしたものだ」と勘違いされる方が結構いたのですが、じつはセブンスの起源は1880年代と、非常に古い歴史があるのです。当時、15人制ラグビーの大会を開催するにあたり、人数が集まらなかったり、資金的な課題があったなかで、少ない人数で早く勝敗を決するルールとしてセブンスが考案されたといわれています。今回日本で開催されるW杯の15人制ラグビーの試合時間は、1試合前後半各40分に対して、セブンスは1試合前後半各7分。とにかく試合展開が早いのがセブンスの特徴といえるでしょう。このように、セブンスに合わせた変更点はありますが、パスの出し方、トライをして点を取るなど、大きなルールは同じ、フィールドの大きさも同じです。

―え!15人制と同じ大きさのフィールドを7人で戦うのですか??

前田さん:そうです。セブンスでは、どんどんパスを回すので展開が早く、また、抜かれてもそれを全部追いかけているとスタミナがもたないから、そのままながすため、選手がボールを持って独走する場面もよく見られます。一方、15人制はとにかくトライさせないように抜かれたら追って!追って!追って!相手を前に進ませないように必死で阻止します。人数と試合時間が変わると、戦術は大きく違ってくるのですよね。すると、選手に求められる筋肉の質や能力も違ってくるのです。うちの高校出身のある選手の話なのですが、彼は実業団クラブチームに所属していて、前回のオリンピックにセブンスの代表として出場しました。そして、次の東京オリンピックでも代表をめざしているのですが、実業団チームの15人制の体の作り方とセブンスの体の作り方が違うため、非常に難しい調整を行っていると聞きました。15人制はコンタクトが多いので、よりマッチョにする必要があるなど、ポジションによっては15人制と7人制で、体の作り方に相反する部分も出てくるのだと思います。

―そんな違いもあったのですね。こんなマメ知識を知っていると、オリンピックでラグビーの試合を観るのがおもしろくなりますね

前田さん:セブンスは観ていてわかりやすいですから、ラグビーの試合を初めて観る人でも楽しめると思います。オリンピック競技になったことで、セブンスの大会もたくさん行われていて、いろんな学校でセブンスに特化したチームを作る動きもありますし、女の子のチームもずいぶんできていますから、ラグビーがマイナースポーツから脱却できるのではないかと期待を寄せています。

■言葉にできないかっこよさに圧倒されたあの日の出会い

ラグビーとの出会いを語る前田さん

―お話から、前田さんのラグビー愛がぐいぐい伝わってくるのですが、前田さん自身がラグビーを始めたきっかけを教えていただけますか?

前田さん:わたしは東海大相模の付属中学出身で柔道をしていました。高校で柔道を続ける選択肢もあったのですが、同じ道場で練習をしていた高校生を見ていると、笑顔を見せてはいけないという雰囲気がピリピリ伝わってきて、ものすごいプレッシャーの中で柔道していると感じていたんですよね。そんなこともあって、高校へ行ったらどうしようかなぁ・・・と考えることはよくありました。そんなある日、ちょうどスクールウォーズのテレビドラマが放映されていた中学2年のころだと思うのですが、ふと夕方グラウンドの方を見ると、体の大きな集団が学ランで歩いているのが目に入ってきて。それがラグビー部の集団だったのですが、その集団になんともいえないかっこよさを感じてしまったんです。

―具体的にどんなかっこよさだったのですか?

前田さん:プロレスラーの高山善廣(よしひろ)さんは知っていますか?彼もその集団にいたのですが、180センチや190センチの大きな学生が、学ランで歩いている姿そのものが男っぽいというか。そうですね、不良じゃないかっこよさというのでしょうか。その集団を見て、高校へ行ったらラグビーをしようと決めました。そのころ、ラグビーの試合をテレビで放映することもありませんでしたし、プレイ自体まったく理解はありませんでしたが、当時はラグビーを始めるのは高校からという人が多い時代でしたので、スタートが遅れているわけでもなく、ラグビー未経験者の私としても条件がそろっている気がしていました。

■どんな子でも活躍の場がある、それがラグビー

ラグビーの魅力について語る前田さん

―ラグビー部の男の雰囲気・かっこよさに憧れてラグビーを始めたということですが、柔道をしていた前田さんでしたら、力もあるし、ラグビーは活躍ができるフィールドだったといえますよね

前田さん:わたしもそういう思いがなかったわけではないですが、実際ラグビーを知っていくと、体の大きな子や力のある子に有利なスポーツかというと、そうじゃないことがわかってきます。これはラグビーのすばらしいところのひとつだと思いますが、どんな子でも活躍の場があるというのがラグビーの特徴だと思います。

―どういうことでしょうか?

前田さん:ラグビーは、太っている人、痩せている人、大きい人、小さい人、足が遅い人、速い人、どんな人でも必ず活躍できるポジションがあるということです。それぞれのよさを活かせるポジションがあるのです。日本代表の田中選手なんて身長166センチくらいじゃないでしょうか。決して体が大きいわけではない。だから、彼がスクラムを組んでも力負けしてしまうでしょうが、彼はパスセンスがずば抜けてすばらしい。

―なるほど。しかし、一般的にスポーツといえば足が速い人が有利なことが多いと思うのですが、ラグビーだと足が遅い子でも勝てる場があるということでしょうか?

前田さん:そうですね。足が遅くても、相手へのタックルが非常に冴えていて、敵を絶対抜かせないという選手もいますし、体が小さくてもキックが非常にうまい選手もいる。ラグビーは自分の強みを磨いて、チームに貢献できる、必ず活躍の場があるというスポーツなのです。また、ほかのスポーツよりもスタートの時期を問わない、後追いの者にとって不利にならないスポーツでもあると思っています。

■後追いの努力者が報われるラグビーの魅力

熱く語る前田さん

―そうはいっても、今はどんなスポーツも早期教育が盛んですし、子どもの頃からラグビーをやっていた人にはかなわない気がしますが

前田さん:確かにラグビーも幼稚園や小学生から始める子が増えてきました。だから、ラグビー強豪校などでは、全国のラグビークラブチームから選手の取り合いのような状態が発生しています。でも、ラグビーはマイノリティスポーツ。日本ではプレイ人口が限られているので、わたしがコーチを務める東海大相模高校は、おかげさまで強豪校に名を連ねていますが、部員全員がクラブチーム出身者というわけではなく、高校からラグビーを始める子もたくさんいます。

―ラグビー強豪校といわれる場所で、高校からラグビーを始める子たちとは、どんな子たちなのでしょうか?

前田さん:もちろん、ぼくみたいな男のかっこよさに魅せられた子もいるかもしれません(笑) 例えば、野球やサッカー、柔道や相撲など、中学でも続けていたスポーツを、高校でもがんばろうと思って進学してきた子たちのなかで、自分たちの限界を知ってしまう子たちもいます。そういう子たちが、腐ってすべてをやめてしまうのは本当にもったいない。わたしたちはそういう子たちに、ラグビーはいろんなポジションがあるから、自分のストロングポイントをみつけて磨くということができるスポーツだと伝えます。彼らは自分たちのそれまで違うスポーツで培ったストロングポイントを、ラグビーで活かす道を選んだ子たちといえるでしょう。

―多様なポジションがあるという面に加えて、競技人口が少ないことも、ラグビーは活躍できるフィールドがたくさんあるという強みにつながってくるのですね

前田さん:そうですね。東海大相模高校のサッカー部は200人ほどいるようです。それに比べてラグビー部は80人。サッカーは競技人口が非常に多いですし、この学校の中をみただけでも、本当のエースしか公式試合には出られない。でも、ラグビーは違います。けがが多いスポーツというのもありますが、選手の入れ替えも割と多く、高校からスタートしてがんばってきた子が、ファーストジャージを着るチャンスをつかむことも可能です。そういう姿を見ると本当にうれしくなりますね。

―ほかの競技でがんばっていたからこそ、その子がもつストロングポイントが輝いてくるのでしょうね

前田さん:そのとおりだと思います。ラグビーの場合、このように高校からラグビーを始めた子が、ラグビーを続けて東海大学へ行き、実業団まで進む子もめずらしくはありません。ラグビーはいつだって始められるし、努力次第でトップだってめざせるのです。ちなみに、日本代表の大野均選手をご存じでしょうか?07年の世界大会から3大会連続で出場し、代表キャップ歴代最多98を誇るすごい選手。そんな彼の高校時代は野球部。ラグビーとは日本大学在学時出会い、そこから日本代表になりました。彼の不屈の精神、他を寄せ付けぬ努力が実ったものですが、彼のようにラグビーのスタートが遅くても、トップレベルに成長するチャンスがあるのがラグビーの魅力でもあります。

~前田さんのインタビュー前半はここまで、後半をお楽しみ!~

 

編集部のひとこと

編集長

かなさん

ラグビーには、「屈強な男たち」というイメージが先行していましたが、小さい選手、スラリとスマートな選手もいることを知ったりと、驚きいっぱいのインタビューとなりました。また、「どんな子にも活躍できるポジションがあるのがラグビーです」という力強い前田さんの言葉に、ラグビーの懐の広さを感じました。次回は、このラグビーが、人間愛に満ちたスポーツだとわかるお話で、ラグビーの懐の深さが極まるインタビューとなっています!おたのしみに!

編集部メンバー

編集長
かなさん

ふたりの子どもがいるワーママ。お酒が好き。とにかく声が大きい。

ライター
せいくん

家事全般、特に料理が得意な新人ライター。気も声も小さい。

ライター
ゆめちゃん

好奇心旺盛。食べ歩きや女子会が大好き。いつもTシャツ。

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