輝く男性インタビュー
- 「FMカオン」地域住民にとって本当に大切な情報をお届けしたい。海老名市を中心とした神奈川県 県央エリアのコミュニティFM局の局長 天野哲也さんインタビュー
FMカオン局長 天野哲也さん
神奈川県海老名市を中心に神奈川県 県央エリアをカバーするコミュニティFM局「FMカオン」。地域住民の方が本当に必要としている情報とは?コミュニティFM局として地域に果たすべき役割とは?
地域に密着したラジオ局として大切にしていることや、運営方針などをお聞きしてきました。
スマートフォンを使えばたくさんの情報にいつでも簡単にアクセスできる時代だからこそ、地域に特化したラジオの必要性を再認識するインタビューでした。
ぜひお楽しみください。
聞き手:たいせつじかん編集部
■コミュニティFM局を開設するには覚悟が必要
FMカオンの放送ブースの様子
ーFMカオンの設立の経緯を教えてください。
天野さん:もともとは、クラシックやジャズなどの音楽好きが集まった市民グループ「カオン音楽事務局」のイベント告知用の媒体を自分たちで作ろうという話が盛り上がったことが発端なんです。
併せてこの頃に、知り合いのご自宅の近くで化学薬品を積んだタンクローリーが横転し、化学薬品が漏れ出すという事故が起こったのです。しかし、自宅近くで起きた大きな事故を知り合いがまったく知らなかったということがあったんです。
このときに、地域のニュースを迅速にお伝えするコミュニティラジオが必要だと思いましたので開設に向けて動き出しました。
そこから約6年の準備期間を経て、2011年に無事開局を迎えることができました。
ーコミュニティFMの開局には準備期間に6年もかかるんですね!
天野さん:そうなんです。総務省への申請なども含めると6年かかりました。やはり、始めるからには責任が伴いますので、こういった期間を乗り換えてでもやる覚悟があるのかを問われているのかもしれませんね。
ー市民グループのみなさんが設立されたということですが、運営や番組制作はどうされているんですか?
天野さん:放送に関わるスタッフは3名ほどであとは外部の方の協力で24時間放送の運営ができています。また、番組は86%が自社制作の番組ですね。
ー非常に少ない人数で運営されているんですね!
■地域住民の方が本当に必要な情報とは何かを常に考え番組作り反映させる
ーでは、FMカオンを運営するうえで大切にされていることを教えてください。
天野さん:大きく分けて三点です。
①地域住民の方にとって身近なニュースを迅速にお届けする
②地域の歴史・文化を積極的に発信し伝えていく役割を果たす
③地域経済の活性化に貢献する
私たちコミュニティFMは、全国ネットのラジオ局で扱うようなニュースや話題は、そちらにお任せして地域住民の方が本当に欲しい情報をお届けしたいと考えています。
ーインターネットと違ってラジオは発信される情報をリスナーが受け取る形であることも、特徴的ですね!では、大切にされている3つのポイントについてお聞きしたいのです。
まず、地域住民の方にとって身近なニュースをお届けするためになされていることを教えてください。
天野さん:日替わりで可聴エリアの市町※にスポットを当てて放送をしています。また、人気のコンテンツとして「県央の輪」という、一般の方をゲストにお呼びして放送する時間があります。
これは、一般の方がご自身のことや、身の回りのトピックスなどをお話しいただくものなのですが、とても人気があります。
※月曜日/海老名市、火曜日/綾瀬市、水曜日/座間市、木曜日/寒川町・伊勢原市、金曜日/厚木市
ー一般の方がゲストとしてしゃべるというのはとても面白いですね!
天野さん:当然ですが、地域情報は地域住民の方がいちばんもっていらっしゃいます。さらに、この放送は生放送で指定原稿なしでお送りしています。
ー一般の方がラジオに出てしゃべることはむずかしいと思いますが…
天野さん:番組パーソナリティーがお話をお聞きしますので大丈夫です。ゲストの方は楽しんでいただいていますし、毎回のゲストはすべて出演されたゲストの紹介で決まっているのですよ!
あとは、防犯情報については、現場の警察官の方に来ていただいてお伝えしています。海老名・厚木・座間警察署の方に曜日別に来ていただいています。こだわりは、各警察署の広報の方ではなく現場の警察官に来ていただくことで、よりリアルタイムに犯罪情報をお届けできるようになっています。
ー地域情報を迅速にお届けするしくみがしっかりできていてすばらしいです!これであれば、FMカオンでしか聞けない情報がたくさん聞けますね。では、歴史・文化を伝えるためになされていることを教えてください。
天野さん:このエリアに残る方言や言い回しを使うということがありますね。
ー神奈川県にも方言があんですね!
天野さん:そうですね。わかりやすいものをあげると、このあたりではアクセントを語尾にもってくるという特徴があるんです。たとえば「座間」は、全国的には「ザ」にアクセントが来ますが、このあたりでは「マ」にアクセントがくるということですね。
また、古い呼び名を使うということもやっています。厚木の七沢(ナナサワ)も公式には七沢ですが、古くから七沢に住まれている方は奈良沢(ナラサワ)と言いますので、私たちもこちらを採用してお伝えしたりします。
ー言葉に残っている文化は、文字情報では残すことはむずかしいですから音声としてお伝えできるラジオとは相性がいいですよね!
天野さん:そうですね。使わなければ消えてしまう文化を少しでも残せるようにしたいですね。
あとは、このあたりはじつはとても古い歴史がありますので、そういった地域に残る歴史的な伝承もしっかりと伝えていきたいですね。
ー神奈川県では、鎌倉や小田原、箱根などが歴史が深い印象がありますが県央も歴史的におもしろいお話があるんですね!
天野さん:そうですね。歴史はとても古くヤマトタケルノミコトに由来する伝承もありますので、ロマン溢れるお話がたくさんあるんですよ!
ーなるほど、県央の歴史を掘り下げてみるというのはとてもおもしろそうですね!
天野さん:そうなんです。県央には長い歴史がありますからそれを少しでもお伝えできるといいですね
ーでは最後に、地域経済に貢献するということについてなされていることを教えてください。
天野さん:そうですね。広告媒体として2,000円からご利用いただけます。紙媒体や映像媒体とは違って広告用の原稿制作費用が必要ありません。地域のたくさんの方にご利用いただき、地域経済の活性化にご利用いただけるとうれしいです。とはいえ、多少の制作費や税金等は別途かかってしまいますので、まずはお気軽にご相談いただけるとうれしいですね。
また、地域の情報を広めることは、地域の経済の活性化につながることだと考えていますので、継続していきたいですね。
■うれしいことは意外な結果をみることができること
ーコミュニティFMを運営されていてうれしいことはどのようなことですか?
天野さん:しっかり反応があることです。とくに、意外な結果をみることができることがうれしいですね。
たとえば、県央の輪にゲスト出演された方が、40年ぶりに友人と再会したというお話があるんです。
ゲストがお話されたことと共通のエピソードや思い出をお持ちで、リスナーの方が友人だと気がついたそうなんです。その後連絡をとり合って、交流が再び始まったというお話を聞くととてもうれしいですよね。
ー「ラジオから自分と同じ思い出やエピソードが流れてくる」なんか、映画の始まりみたいですてきですね!
天野さん:そうですね。もっと、地域の掲示板のようにお使いいただけるようになるとうれしいですね。
ー今日はすてきなお話をたくさんお聞かせいただき、ありがとうございました。
編集部のひとこと

編集長
かなさん
スマートフォンがあれば手軽に情報にアクセスができます。しかし、それは自分がほしい情報のヒントとなるキーワードを知っている、もしくは、知っている人とSNSでつながっているという条件が満たされている場合だけかもしれないなと思いました。
その点で、コミュニティFMは地域に特化した情報をその地域の方に知らせることができる媒体として非常に有効な手段であるという考え方にとても共感しました。
また、FMカオンを通じて古い友人と再会をしたというエピソードもとても心温まるエピソードでした。
「いつも聞いているラジオから、聞いたことのあるエピソードが流れてくる。それは、40年も前の学生時代の学校の先生の話。
そして、この番組のゲストが自分の友人だと知り、うれしくなって連絡をとり、駅前の喫茶店で再会する」
こんなふうに地域貢献するラジオ局のお話はとてもすてきでした。
- FMカオン公式ホームページ:
- http://www.fmkaon.com/
編集部メンバー
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ふたりの子どもがいるワーママ。お酒が好き。とにかく声が大きい。 |
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家事全般、特に料理が得意な新人ライター。気も声も小さい。 |
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好奇心旺盛。食べ歩きや女子会が大好き。いつもTシャツ。 |