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輝く女性インタビュー

南仏プロヴァンスの穏やかなくらしのブログ「トゥールーズの空の下」筆者・吉田直子さんに「南フランスでの赤ちゃんとのくらし」についてインタビュー

吉田直子さん

「トゥールーズの空の下」、ひょんなことで見つけたこのブログには、恋をして結婚し、日本から遠く離れたこの地でふたりの子どもを授かった日本人女性・吉田直子さんの、彩り豊かなくらしの記録でした。

フランス南西部の都市・トゥールーズ。日本人にはあまり聞きなれないこの町で、彼女がどんな時間を過ごしてきたのか。今回は帰国されていた吉田さんに、「南フランスでの赤ちゃんとのくらし」についてお話をうかがいました。

聞き手:たいせつじかん編集部

■フランス生活といえば・・・Marche(マルシェ)!

フランスのマルシェ

―今日はよろしくお願いします。ブログ「トゥールーズの空の下」拝読しました。写真のすべてがおしゃれ!最近はインスタ映えなどといいますが、吉田さんがブログを始められた2011年ごろにさかのぼっても、ふつうの生活写真がなんて素敵なのかしら!と思いました。

吉田さん:ありがとうございます(笑)。パリなどに比べると、トゥールーズは日本の方には親しみのない町かもしれませんが、じつはフランスでは人口第4位の大都市に位置付けられているんですよ。

フランスの地図

―そうなのですね!じつは私もトゥールーズという名前を聞いたのは初めてでした。でも、ブログの写真を見ると、おいしそうな料理やこなれた雑貨に街並み、そして何より人がにぎわうマルシェは、私のフランス生活のイメージそのものでした。

吉田さん:そうですね。市場の関係だと思いますが、どのマルシェも月曜日は休みですが、それ以外はどこかしらマルシェがたっていました。特定の通りに週6日間常設しているもの、公園や広場などに特定日や特定の時間だけ立つもの、建物の中に常設されているものなどさまざまです。

フランスのマルシェ2

―日本のようにスーパーやショッピングセンターもあるようですが、やはりマルシェでの買い物が主流になるのですか?

吉田さん:もちろんショッピングセンターなども利用しますし、そこでお野菜などを買うこともあるのですが、やはり季節のものや新鮮なものを手に入れようと思ったらマルシェですね。マルシェの品物は、1日前やその日の朝に収穫したものなので、スーパーなどに比べると品物のもちが全然違うのです。

フランスのマルシェ3

―へえ!お値段などはどちらが安いのですか?

吉田さん:値段はそう変わらないですね。でも、農家から直接買うこともできるので、野菜の使い方や状態も詳しく聞けますし、マルシェを渡り歩く果物商などは、商品に絶対の自信をもっていましたので、確かにおいしい食べ物が手に入ったと思います。

―今はクリスマスマルシェもにぎわっている時期ですよね?

※2018年12月に取材を行いました。

吉田さん:そうですね。生のもみの木をマルシェで購入する方は多いですね。その際、香りやフォルムにこだわりをもって選ばれる方いました。お友だちの家に行くと、もみの木のなんともいい香りがしたりして。でも、うちはイミテーションツリーだったのですけど(笑)。もみの木は、シーズンが終わるとお店へ返却するリサイクルのしくみを活用する家庭もありましたが、一方で廃棄するという家庭も多くあり、年始になると道端にもみの木置き場がお目見えします。

また、とても不思議な感じがしたのですが、フランスではクリスマスにライチを食べる習慣があるのです。マルシェでたくさんのライチを見かけるのですよ。

―ライチは楊貴妃が好んだ果物と聞いたことがあったので、アジアの食べ物かと思っていました!日本ではファミリーレストランなどで夏のデザートとして使われることもあるので、クリスマスに食べる習慣があるなんてなんだか意外です。

マダガスカル産のライチ

マダガスカル産の生のライチ

■フランスも保育園入園は大激戦!しかし・・・!!

吉田直子さん2

―それにしても吉田さんの食卓はとてもおいしそうなお料理が並んでいますよね。マルシェが充実しているので、どの家庭も毎日こんなに手の込んだお料理がならぶのですか?

吉田さん:共働き率がとても高いので、平日の夕食は質素だと思います。その代わり、金曜の夜や土日にオーブン料理などをしっかりと作って家族が集まって食べることが多いですね。

吉田さんの食卓

―共働き率が高いということは、保育園に入る競争率も高いのでしょうか?

吉田さん:激戦ですね。私は子どもが生まれてからトゥールーズの隣のブラニャック市に引っ越しをしたのですが、この市だと両親がフルタイムであれば席は確保できますが、トゥールーズでは妊娠直後に申し込みをしていても「2年目もだめだった・・・」と、プライベートのベビーシッターや保育ママという制度を利用することになります。

―保育ママというのは何ですか?

吉田さん:保育ママとは、保育士の資格をもった人が、自宅で3人まで預かれるというフランスの保育制度です。フランスではこの保育ママの数が充実していて、保育機能の一端を担っています。よく犬を連れて公園を散歩していると、この保育ママたちが子どもたちを連れて遊ばせているのを見かけました。お昼前まで遊んで、パンを買って、それぞれおうちに帰ってお昼寝するなど、保育スケジュールが似ているので、公園でいっしょに遊びながら、保育ママさん同士も情報交換などをしていたようです。

―保育園の代替え手段がきちんと整備されているのは、働く親は心強いですよね。さすが出生率を回復できた唯一の先進国フランスですよね。子育て制度が手厚いです。

吉田さん:フランスでは日本の妊婦さんがつける妊婦マークなどはありませんし、トラム(路面電車)やメトロ(地下鉄)にも優先座席というものもありません。しかし、大きなベビーカーで乗ってもみんな自然にスペースを空けてくれますし、赤ちゃんが泣き止まず困っていると、「こうすればいいんじゃない?」とか「おしゃぶりがないからじゃない?」と自然に周りが声をかけてくれていました。空港などでも子どもを連れていると、自然と手を貸してもらえて、赤ちゃんや小さい子のいる人を支えてくれる雰囲気がありました。

フランスのトラム

■超厳しいフランスの教育事情!小学1年生で留年があるの!?

勉強するフランスの子ども

吉田さん:ちなみに、フランスでは3歳になると100パーセントの子どもが公立の幼稚園に進級します。幼稚園は就学機関と位置付けられていて、とても求められるものが多かったように感じていました。幼稚園に入るまでにおむつは外れていないといけませんでしたし、パソコンや字の学びもあって、小学校に入るころにはフランス式の筆記体が書けるようになっています。次男は発達がゆっくりでしたので、幼稚園で求められることがうまくできず、気分のアップダウンが激しくなり、家に帰るとワーッとためこんだものを吐き出すように大きな声を出すことがありました。

―年少さんに入った時点でおむつが外れているということですよね!?それは早いですね。このくらいの年の男の子は、女の子よりずっと発育がゆっくりですから、集団で過ごすとどうしてもできる子とできない子が生まれてしまいますよね。

吉田さん:でも、幼稚園をしっかり過ごさないと、小学校で落第してしまうのです。小学1年生を2年目というお子さんもいました。親は「もう3年目はよしてちょうだいよ!」と。だから小学1年生の年は、親は本当に努力します。毎晩宿題も見て、ハッパかけて。そうでもしないと本当に落第するので親も必死。幼稚園も年長ともなると集大成という感じで、「さあ、これからだぞ!」という並々ならぬ思いがあります。

―日本では小1の壁などといいますが、フランスでは幼稚園ですでに壁があるのですね。こちらも驚きです。

■フランスの赤ちゃんは誰もが持っている「キリンのソフィ」

キリンのソフィ

―お国が変われば、常識も変わります。フランスだと当たり前だけど、日本だと驚くような子育ての常識はありますか?

吉田さん:そうですね。わりとお友だちに話してびっくりされるのが、粉ミルクをミネラルウォーターで溶くことです。有名な銘柄だとエビアンですが、写真のように哺乳瓶マークがあるものはミルクに適したミネラルウォーターで、常温で溶かすお母さんもいるとか。

―え!?あのエビアンですか?!私は水を煮沸して、人肌の温度まで冷まして・・・。面倒くさいなと思っていましたが・・・!

エビアン

吉田さん:また、主に白人の文化のようですが、歯の生え始めの不快感の軽減のために、赤ちゃんに琥珀のネックレスをする慣習があります。薬局で買えるので効果があるんでしょうか。私は次男に買ってみましたが、ガジガジかじるので切れて飲み込んでは怖いとすぐ外してしまいましたが・・・。

―これは聞いたことがあります。フランスだけではなくヨーロッパのほかの国でもこんな慣習があるそうですよね。琥珀に鎮痛作用があると聞きました。

琥珀のネックレス

〔リトアニア産の琥珀ネックレス〕薬局で11.5ユーロ

吉田さん:あと、母子手帳はありません。子どもが生まれたらカルネドサンテという健康手帳のようなものがもらえます。この手帳には、予防接種や検診の時期が書いてあるので、これを参照して予防接種を受けに行きます。しかし、予防接種の受け方は少し特殊かもしれません。日本では、病院に行くか、保健所のようなところで集団接種したりしますよね。フランスでは、ホームドクターに処方箋をもらって、薬局でワクチンを購入し、予約した接種日まで自宅の冷蔵庫に保管しておきます。

フランスのBCG

フランスのBCGは一本針、ジュクジュクしないといいけれど

―注射の中身を、自分で買って自宅で保管するのですか!?いろんなフランスの常識に驚かされます。ところで、先ほどからおっしゃっているホームドクターというのは何のことですか?

■フランスの医療や社会保険は手厚い!

吉田直子さん3

吉田さん:ホームドクターとはかかりつけ医のことをいいます。しかし、かかりつけ医は、日本のように患者側が一方的に決めるものではなく、社会保険(健康保険制度セキュリテ・ソシアル)を利用するために登録が必要な情報で、ドクターに「かかりつけ医になってください」とお願いして書類を書いていただかなければなりません。かかりつけ医とそれ以外の医師では診察料がずいぶん違いますし、大きな病院を受診するにはかかりつけ医から紹介状が必要なので、みなさんかかりつけ医を決めていらっしゃいます。このセキュリテ・ソシアルを利用できるようになると、医療費控除を受け自己負担金を軽減することができます。

しかし、それでも超過する自己負担金に備えて、ミュチュエルという保険にも入ります。たとえば病院で23ユーロの支払いがあったとして、セキュリテ・ソシアルで17ユーロ控除してくれたとします。ミュチュエルは残りの6ユーロを賄い、自己負担金をゼロにするしくみです。ミュチュエルはいろいろな種類があり、保障する割合によって加入金が違います。

―高額な医療費の不足分を補填するという意味では、ミュチュエルは日本の民間医療保険と同じ考え方のようにも思いますが。

吉田さん:日本の場合は、大きな病気やけがをした時の為に備えとして医療保険に入りますよね。フランスでは癌など特定の大きな病気にかかると、医療費が全額免除になるため、どちらかというと日々の診察やお薬など医療費の自己負担を軽減するためにミュチュエルに加入している人が多いと思います。使える対象という意味では、ちょっとしたケガなどに対して保障する共済などの方に似ているかもしれませんね。

ちなみに、フランスは妊婦に対する保障が手厚く、出産費用はもちろん、妊娠6ヶ月目からは妊婦健診だけでなく、歯科診療なども含めてすべての医療費が無料となります。

―手厚いですね!日本では、妊婦検診の一部は確かに助成されますが、妊娠に関わらない医療費は助成対象外ですものね。聞けば聞くほど、フランスは妊婦さんを大切にする制度がとても充実していますよね。ところで保険の話になったので、人のものを壊したり、人にケガをさせた時のための損害保険についても教えていただけますか?

吉田さん:フランスの損害保険は住宅保険に付加されていました。住宅を借りるとき、住宅保険に加入しなければならないので、だいたいの家族は加入していたと思います。日本に帰ってきた時、住宅の火災保険や地震保険などにはこの損害保険が付加されてないことを知ってどうしようと思っていたところ、姉が共済だと1家族100円程度の追加料金で家族全員分の損害保険に加入できると教えてくれました。とても少額な負担金で、家族全員分をまかなえるなんて、とても助かりました。

―フランスと日本では、社会保障制度もそうですが、医療や損害など保険に対する考え方も違っているので、情報を集めるのは大変でしたよね。

今日は、フランスのくらしの中にある赤ちゃんとの生活術だけでなく、赤ちゃんを守るさまざまな制度や人々についてお話をうかがいました。フランスのさまざまな面がうらやましいと思うと同時に、日本も赤ちゃんや子育て世代を優しく支える国でありたいなと思いました。今日は本当にありがとうございました。

今回はパルシステム神奈川ゆめコープにて取り扱う「コープ共済」の知識を深める学習の一環として、たいせつじかん担当職員が有識者へ取材要請し作成した記事です。
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編集部のひとこと

編集長

かなさん

ブログでは、フランスらしい雑貨や風景写真がふんだんに載せられ、吉田さんの彩り豊かなフランスでの生活や子育ての様子をみることができますが、私には、ひとりフランスに渡った吉田さんの勇気や、トゥールーズでのくらしに溶け込もうとするひたむきな覚悟をひしひしと感じ、女性としての強さがあらわれた素敵なブログだと思いました。
みなさんも、吉田さんのブログ「トゥールーズの空の下」をのぞいてみてはいかがですか?

編集部メンバー

編集長
かなさん

ふたりの子どもがいるワーママ。お酒が好き。とにかく声が大きい。

ライター
せいくん

家事全般、特に料理が得意な新人ライター。気も声も小さい。

ライター
ゆめちゃん

好奇心旺盛。食べ歩きや女子会が大好き。いつもTシャツ。

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