たいせつじかん 〜ほっと一息。少し休憩。幸せな時間〜

生産者インタビュー

農業の未来を考える!ジョイファーム小田原のおふたりにインタビューしてきました!

神奈川県小田原市を中心に130名の農家が集まるジョイファーム小田原。今回は、ジョイファーム小田原事務局・大須真希(おおすまき)さんと、若手農家の安藤隆(あんどうたかし)さんにインタビューをしてきました。

ジョイファーム小田原の活動内容とは?今後の農業における課題は何か?など根掘り葉掘り聞いてきました。とても身近なはずなのに、なぜか遠い農業について考えてみました!

ぜひお楽しみください。

聞き手:たいせつじかん編集部

ジョイファーム小田原の安藤さんと大須さん

安藤隆(あんどうたかし)さん(左)と大須真希(おおすまき)さん(右)

■自分たちが作ったものは自分たちで売ろう

ージョイファーム小田原の設立の経緯を教えてください。

大須さん:基本的に生産者が作った農作物は、農協や市場に商品を卸して販売流通にのります。この方法ですと、生産者は価格決定にかかわることができません。

ーいくらで販売されるのかわからないということですか?

大須さん:そうですね。その年の需給のバランスで価格が売り手と買い手の間で決まります。そのため、生産者は最後まで価格はわかりません。

しかし、生産者自身が農作物の販路を持つことができれば価格決定にかかわることもできます。そのために、はじめは東京へ販売をしに行くという活動を始めました。その後、パルシステムの前身の組織と協業することが決まり、ジョイファーム小田原が設立されました。

ー自分たちの農作物は自分たちで売ろうという思いから設立されたんですね。

また、御社の掲げられている言葉に「食べる立場で作りました」と「地域農業を守る」というものがありますが、こちらについて教えてください。

ジョイファーム小田原について語る大須さん

大須さん:まず、「食べる立場でつくる」についてですが、ジョイファーム小田原から出荷する農作物には、基本的には栽培時に農薬を減らし、除草剤・化学合成肥料を使わず(一部野菜には化学合成肥料の使用もあります)、商品とするために防腐剤やワックスを使わないことを決めています。

また、「地域農業を守る」には、現在ふたつの意味があると思っています。ひとつは、農薬や化学肥料を使わないことで環境にやさしい農業をするという考えです。実際、これを続けていることで、蛍が戻ってきたり、珍しい蛙が戻ってきたりと目に見える結果も出ています。

安藤さん:私たち生産者は、「自然に食べさせてもらっている」という思いを忘れてはいけないと思います。

有機JAS認証※を取得されている生産者もいらっしゃるんですよね?

※JAS法に基づく「有機農産物の生産行程管理者」の認証

大須さん:10名のキウイの生産者が認証をとっています。これは毎年監査があるのですが、今年もしっかりと認証をとっています。

すばらしいですね。ただつくるだけでなく、どのようにつくったかを確認されるんですね。

大須さん:もうひとつは、農業に従事する後継者を育成するということです。この問題は、今後の日本の農業におけるもっとも大きな課題だと思っています。そのため、ジョイファーム小田原では、就農希望者を研修生として受け入れをしていて、一人前の生産者として独立できる研修制度をつくっています。

■生産者の後継者問題についてどう思っているのか?

農業について話す安藤さん

農業を仕事にするということについて語る安藤さん

ー農家、生産者の後継者問題についてはニュースでも取り上げられることが多いので、多くの方が課題として認識されていると思います。実際に、おふたりの実感としていかがでしょうか?

大須さん:ジョイファーム小田原は現在、130名の生産者が所属していますが、平均年齢が70歳前後ですので後継者問題は課題です。

また、廃業された生産者の畑などは管理がされないため鳥獣被害が拡大するという問題もあります。

ー実際問題として、人手不足は顕著なんですね。

安藤さん:そもそもの問題として、就農(農業という仕事に就くこと)についてみなさんがよくわからないという問題が大きいと思います。代々、農業を生業にしている家に生まれたということがない限り、農業を体験することがないし、どのように農家になるのかわからないことが問題だと思います。

ー確かに、農業を仕事にしようとしたらどうすればいいのかわかりません。

安藤さん:私はオーストラリアの農家で働いて生活していたことがあるのですが、オーストラリアでは、普通に学生が夏休みのアルバイトで農業を経験するということがあるんです。

でも、日本では、それが当たり前ではないですよね。仮に、農業を仕事にしようと思ってインターネットで求人情報をさがしても、情報自体があまり出てこないです。

大須さん:日本では、農業や農作物に対する評価が低いように感じることはあります。

ーたしかに、学生の頃に農業でアルバイトをするという発想自体がないですね。また、畑やビニールハウスの存在は意外と身近ですが、なぜか生産者のこととなると急に自分ごとではなくなる感覚があるように今気がきました。

大須さん:実際に私は、小田原出身なのですがこんなにたくさんの生産者がいて、みかん以外にこんなにたくさんの農作物を作っているとは知りませんでしたね。

ーでは、なぜ大須さんはジョイファーム小田原でお仕事をされているんですか?

大須さん:もともと、国際協力の活動に興味があり、ミャンマーに関係のあるお仕事をしていたんです。そのなかで、経済発展している日本とミャンマーを比較していろいろ感じたことをもとに、私は人と人、人と自然をつなぐ仕事をしたいと思っていろいろ探していたときに、ジョイファーム小田原を知り、農業に出会いました。

その時も、パルシステムの講座にたまたま行ったことをきっかけにジョイファーム小田原を知ったので、その講座に行かなければ出会えなかったと思います。

ー安藤さんは、実際に農業をお仕事にされているわけですがきっかけはどういうことだったんですか?

安藤さん:私は、20代の前半の頃から、環境問題に興味がありました。このなかで、徐々に自給自足や地産地消について興味をもつようになってきて、農業か林業の仕事に就こうと考えたことがきっかけです。

そして、研修制度があり、研修期間中に給与が出る求人を探していたところジョイファーム小田原と出会い、今は独立して梅・キウイ・みかんを生産しています。

ー今のお話をうかがって、農業について知らないことがさらにあることに気がいたのですが、農家の方は独立されて、ご自分で経営されているんですよね。

安藤さん:そうですね。農家は基本的には個人事業主です。私は、畑を借りて生産をしていますが、自分ががんばった分だけ稼ぎも増えますので、個人的には将来性もあると思いますね。

ー実家の農業を継ぐということではなく、新規就農された方に初めてお話をうかがっているのですが、安藤さんのまわりには新規参入されている方はいらっしゃるんですか?

安藤さん:ジョイファーム小田原で同じ時期に研修を受けていた人はほかにふたりいますし、ネットなどを見ていると、私たちのような生産者ではなく、農家の定義を広くとらえると携わっている人は増えているように思います。

やはり、農業に関心が高まっていることと、震災を通じて環境問題について考える人が増えると、必然的に農業に行きつくということは個人的に理解ができますね。

■これからのジョイファーム小田原について

これからのジョイファーム小田原について語る安藤さんと大須さん

ー最後にこれからのジョイファーム小田原についてお考えを教えてください。

大須さん:まずは、若い生産者を増やしていくこと、そして、若い人たちで盛り上げていきたいと考えています。

安藤さん:そのためには、ジョイファーム小田原が先頭を切って、農業が魅力的な職業であることを提示していかなければいけないと思います。人任せでは絶対にだめだと思っています。

大須さん:ジョイファーム小田原を立ち上げた当初は、安定的な収入が確保できるということが魅力であったと思いますが、今はそれだけではいけないのかなと思います。

安藤さん:経済的な話は、当然だと思いますね。たとえば、農業だけで子どもを大学に行かせたり、高い車に乗ったりできるということを提示する。さらに、「農業」という響きがかっこいいものだと思ってもらえるようにするということなどがあると思いますね。

みなさん、生産者の年収がどのくらいなのかとか、イメージつかないと思いますし、いくら給料がもらえるのかわからない仕事につかないと思います。

そのために、ジョイファーム小田原が新しいモデルケースになる必要があると思います。

ありがとうございます。では、読者の方にメッセージをお願いします。

安藤さん:人も、農作物も見た目で判断しないでください!(一同爆笑)

大須さん:もう少しでいいので、ご家族やご自身が食べるものに対して関心をもっていただけるとうれしいですね。

ー今日はありがとうございました!

編集部のひとこと

編集長

かなさん

おふたりのインタビューを終えて、「農業についてまったく知らない」のではなく、「関心がない」というなのかもしれないと思いました。

生産者がいなければ、私たちは、野菜も果物も食べられないのに。当たり前に買えるものだと思っている。

でも、この当たり前がもしかしたら当たり前ではなくなるのかもしれないという現実に、なぜか現実味がない。

でも、おふたりのお話を聞いて、もっと関心をもち、たくさんの生産者のお話を聞きたいと思いました。今後もたいせつなじかんでは、たくさんの生産者のお話をお届けできるようにがんばります!

編集部メンバー

編集長
かなさん

ふたりの子どもがいるワーママ。お酒が好き。とにかく声が大きい。

ライター
せいくん

家事全般、特に料理が得意な新人ライター。気も声も小さい。

ライター
ゆめちゃん

好奇心旺盛。食べ歩きや女子会が大好き。いつもTシャツ。

あわせて読みたい