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輝く男性インタビュー

広告事業者だからできる地域貢献がある!伊勢原市内すべてのポストにチラシを届ける「いせはらポスト」を展開するハイパーニッチな広告代理店 株式会社感動・創庫 代表取締役 芦川永光さんインタビュー

神奈川県伊勢原市に、質の高いポスティング技術と、「人」を魅了する独創的なチラシデザインで活躍する広告事業者がいます―株式会社感動・創庫。
今回は、株式会社感動・創庫のスーパーニッチな広告戦略と、そこから進化したお金がいっさいかからない広告「応援循環型広告」、そしてその先に見る地域づくり・地域貢献への思いについて、代表取締役 芦川永光さんにうかがいました。

 

■1軒たりとも逃さない、それが「いせはらポスト」

─本日はよろしくお願いします。

芦川さん:どうぞよろしくお願いします。

─「株式会社感動・創庫」(以降、感動創庫)―なんだかワクワクする社名ですね。広告業と理解をしていますが、御社の事業について教えてください。

芦川さん:創業時は、チラシのデザイン制作を行う広告代理業が主たる事業でしたが、現在はポスティング事業と両輪で走っています。感動創庫といえば「いせはらポスト」―伊勢原市の地域密着型ポスティング事業です。

─ポスティングというと、チラシをポストに投函するサービスということですか?

芦川さん:そうです。伊勢原市の生活者のみなさんに、伊勢原市を中心とした事業者さまのチラシを一軒一軒投函させていただいています。―と、このような説明では、読者のみなさんには「いせはらポスト」と他社との違いがわかりませんよね。ですから、ちょっと「いせはらポスト」の自慢をさせてください。

─どうぞどうぞ!(笑)

芦川さん:私たちの「いせはらポスト」は、伊勢原市において“1軒たりとも取りこぼさず配付する”ことをめざすポスティングサービスです。1000軒のおうちがあれば、1000枚のチラシを配付します。市内にあるポストの数を毎月調査して、“分譲住宅が10軒建った”、“アパートが取り壊しになった”などでポストの数に変化があれば、たとえわずかな増減であってもチラシの配付数に反映させています。

─1軒も取りこぼさないというのは、たいへんむずかしいことなのではないですか?

芦川さん:そうですね。多くのポスティング事業者は、1000軒のおうちがあるエリアに対して800枚とか900枚のチラシを配付し「チラシが余らないから無駄がありません」というのですが、私たちは、「1軒を取りこぼすほうが大きな損失」と考えています。だから、明細地図を片手に地域をくまなく歩きまわり、行き止まりにあるほんの1、2軒も見落としません。大山のてっぺんのお家にも配っていますよ。

─スタッフのみなさんの努力が目に浮かびます。しかし、どうしてこのようなこだわりのスタイルでポスティング事業を展開されているのですか?

芦川さん:私が独立した平塚市のポスティング業者(A社)から得た経験からです。
A社は、ポスティング事業専門の会社でした。
A社のポスティング品質は本当にすばらしくて、いせはらポストのように全戸配付を徹底し、配付スタッフのみなさんは「ポストを開けたときチラシが正面を向くように」と、投函のしかたにまで気配りをするほどでした。ところがこのA社、クライアントから「本当にちゃんとチラシを配っているのか?!」とクレームが入ることがあったのです。

─細かいことまで気を配って配付しているのに、どうしてクレームを言われるのでしょうか?

芦川さん:それは、”電話が鳴らない”、”来客がない”つまり”チラシの効果が出ない”からです。スタッフのみなさんが真剣に配付していることは、私も現場にいたので分かっているのです。それでもまったく結果が出ないことがあったのです。

─一生懸命やっているのに効果がでないなんて、とてもつらいですよね。

芦川さん:そう!つらいです。そんなことがつづき、真剣にその理由を考えるうちに、「配っているチラシに問題があるのでは?」と考え始めました。そんなとき、新聞折り込みチラシなどにたくさんの費用をかけてきたものの結果が得られず、“もうあとがない!!”と青色吐息の状態でA社へやってきたヘアサロンオーナーがありました。「3万円しかないが、なんとか相談にのってもらえないか?」と。

─藁にもすがる思い・・・ですね。

芦川さん:そのころから生粋のポスティング事業者だったA社で「自分たちでチラシをデザインしてみよう」という機運が高まっていきました。当時同僚であったのちの妻に相談しながら、このヘアサロンのチラシを初めて自分たちで手掛けました。
資金がないので、会社にあったモノクロの印刷機で3000枚だけ印刷して近所に配りました。
写真といえば店長の顔写真1枚きり。お店のこだわり、店長の人柄を、とにかく全面に出した文字だらけのチラシです。

─一般的に視覚的に文字が多いチラシは嫌われると思っていましたが?

芦川さん:そうですね。美容室のチラシはおしゃれなイメージ写真と基本情報だけで構成されているものが多くて、ここまで文字が書き込まれたチラシは当時センセーショナルだと言われました。しかしこのチラシは大成功。ヘアサロンには大きな反響があったのです。“オーナーの思いが伝わるチラシを配れば効果が出る“という結果が見えた瞬間でした。
案件数を重ねるごとに、私たちが作るチラシデザインは評価を得てきました。「だったら、私たちの作るチラシをほかの地域で配付しても同じように反響がでるはず!」と、意気揚々と周辺地域のポスティング会社で配付してみたのです。しかし、思ったように反響が出ないのです。

─”伝わるチラシ”を配っても、ほかの地域では結果が出ないということですか?

芦川さん:はい。全戸配付か否の差が出たのです。私たちはそこで初めて、取りこぼしの1割に、とんでもない商機があるのだと実感しました。

─「1軒の機会」を大切にするという本質的な違いが、結果の差に表れたということですね。

芦川さん:A社での経験を通して、地域密着型広告事業をやるならば、ポスティングの質とチラシの質、どちらも提供できることが大きな強みになると実感しました。私はそのふたつを握りしめ、2008年にその会社から独立し、感動創庫を創業したのです。

 

■チラシ作りとは、「道」を輝かせること

─それにしても、感動創庫の作るチラシは「見た目で惹きつける」というより、「読ませて引き寄せる」という印象を強くもちました。印象的なのは、提供するサービスというより、広告主の人柄や魅力、事業に対する思いがしっかりと書き込まれている点ですね。

芦川さん:思い起こせばある個人塾の広告を請け負ったときの経験が生きていると思いますね。
この塾のオーナーは、子どもたちに理想の教育を届けられない大手の塾に落胆し、その塾の講師を数時間で辞めた経験のある方でした。塾業界さえ辞めようかと失望していましたが、ならば自身でと、個人塾を開校することになったのです。
お話をうかがいに行ったときの第一声、「大手の塾がなんだって言うの!」と心の底から叫ばれました。いらだちとはがゆさが爆発したのです。

─チラシも一面に「大手の塾がなんだって言うの!」と大きな文字が並んで(叫んで)いますね!教育への思いがとても強い方なのですね。

芦川さん:そう。みなさんね、叫ぶのです。自分の思いを、自分の理想を。そういう方を見ると、これはもう「道」だなと思っちゃう。

─「道」ですか?

芦川さん:武道や茶道など、「道」とつくものにはめざす理想があって、その理想に近づくために精進していく心がありますよね。それと同じ。彼らも「教育道」や「美容道」など、彼らのめざす理想があるのです。そして、理想をめざす過程で生まれるギャップを、彼らは私に語るのです。私はその言葉を紡いでいるだけです。

─芦川さんは相手を心の声を引き出す力をおもちなのでしょうね?

芦川さん:相手に気持ちよくしゃべってもらう「質問力」は大事ですね。質問の質が低いといい答えが返ってこないですから。若いころは雑な質問をして失敗しました(笑)。

─気持ちよくご本人にしゃべってもらうと、その方の本音や人柄も出てきますものね。

芦川さん:自分の言葉で熱量をもって話したことをチラシにするのだからうまくいくのです。その方のアイデンティティやそれまで歩んできた人生、失敗など経験そのものがあって出てくる言葉だからこそ、釣り針のようにサクッと心にフックがかかるのです。
私がお仕事をいただく方は、儲けのためだけじゃなく、この町のために業をたてている方がほとんど。この人たちが本気になって言葉を語れば、必然的に反響するのです。

 

■広告業者だからできる地域貢献がある

─芦川さんはこの「質問力」を生かして、市民団体の活動を支援されているそうですね。

芦川さん:少し前から、私は「芦川永光の時間を0円化する」という取り組みをしています。それで昨年は、横浜市港北区で居場所づくりをする市民団体のビジョンとミッション策定プロジェクトに参画させてもらいました。トンガッたおもしろい活動をしている団体ですが、彼らがめざす社会や活動の魅力が、なかなか周囲に伝わっていない課題がありました。だから、その団体がめざす社会(ビジョン)、そしてそのために実践するミッションについて言語化するお手伝いをしました。自分たちの活動に「道」をもっている団体だからこそ、私の質問に真摯に向き合い、考え抜き、それはもう、出産のような苦しみを経過してビジョンとミッションを誕生させました。その場に立ち会えた幸せを実感しましたね。

─芦川さんの質問に応えるように、この団体のみなさんも彼らの「道」を叫ばれたのですね。それにしても「芦川永光の時間を0円化する」という取り組みにはどんな思いがあるのですか?

芦川さん:お金のことを学んでいくと、いまやこの資本主義経済の世の中はパツパツの状態だということが感じ取れて、自分も含め、人はお金という存在に身も心も制限されてしまっているなと思うようになりました。そこから「お金のために生きているという発想から抜けられたらいいな」、「お金のいらない世界がめざせないかな」という思いに至りました。

─お金が要らない世界ですか?失礼ながら、相当無理があるように感じるのですが・・・?

芦川さん:今のままの思考だと、お金がないと生きていけないとか、お金がないと幸せになれないとか、お金がないと〇〇できないという局面にぶち当たりますが、本当にそうなのでしょうか?
そこで私は、感動創庫のオフィスで「ゼロ円マルシェ」というものを実験的に始めてみました。自分が要らないものを持ちより、欲しい人に循環させていく、そんな場所です。今ではそこで、本やパソコンなど物質的なものだけでなく、施術などまで回るようになりました。実験的に小さく始めましたが、やりたい人がいて、受けたい人がいることで確実に回っています。

─では、0円化した芦川さんの時間も、必要な人が使えるということですね。しかしそれでは芦川さんは何も得られないのではないですか?

芦川さん:そんなことないですよ。私が0円の時間を与えたら、私はいつも何かを受け取っています。それは、与えた相手から受け取るとはかぎりません。ほかの誰かが与えてくれる時もあります。大正9年生まれのいまだ健在の祖母が言うのですが「人間は与えたものが返ってくるし、(悪いことも)やったことが返ってくるよ」と。ああ、本当にそうだなと思いましたね。

─私も子どものころよく言われた言葉だからか、道徳として「当たり前」のように感じるいっぽうで、おとなになった今、そういう心をもって行動できていない自分に気が付きました。芦川さん自身、「最初に与えること(芦川さんの時間の無料化)」は勇気いる一歩だったのではないですか?

芦川さん:自分の手足、言葉を使ってめいっぱい金を稼ごうとしても頭打ちになります。それよりも、人に支援をすることで受け取るもののほうが多いはずなのです。それを私が、私の時間の0円化を通して体現できれば、近隣の町、日本のどこか、もしかしたらほかの国で、それを真似する人が出てくるかもしれない。
お金に心や行動を制限されず、お金がなくても幸せになれると実感する人が増えていけば、私が掲げるビジョン「誰もが思いのままに生きられる、何からも制限をかけられない世界」は実現するだろうと思います。私にかかわって下さる方にお話ししながら、Enroll all―すべての人を巻き込んでいけたら、そう思っています。

 

編集部のひとこと

編集長

かなさん

これまでは、「お金がないから〇〇できない」とか、「お金があったら〇〇するのに」など、お金の有無が自分の選択に影響するのは当たり前のことだと考えていました。
しかし芦川さんのお話を聞いて、自分がもっているものを与えるという、ほんの小さな行動変容で、お金の有無に関係なく、やりたいことを実現するチャンスが巡り巡ってくるのかもしれないという可能性を感じ、与えるとは喜びなのかもしれないと思うのでした。
最後に―インタビューのなかで、芦川さんが自分自身のことを「商いの道=商道」に生きているとおっしゃいました。
芦川さんの商道において「商売がうまくいく」とは、お金儲けではなく、「お金がなくても幸せになれる世界」の実現なのだと実感したインタビューでした。

編集部メンバー

編集長
かなさん

ふたりの子どもがいるワーママ。お酒が好き。とにかく声が大きい。

ライター
せいくん

家事全般、特に料理が得意な新人ライター。気も声も小さい。

ライター
ゆめちゃん

好奇心旺盛。食べ歩きや女子会が大好き。いつもTシャツ。

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