輝く男性インタビュー
- 戦後の復興の願いをこめて始まった湘南ひらつか七夕まつり。2回の中止をへて70回目の開催となる今年の思いを平塚市産業振興部の西海豊さんにお聞きしました!
平塚市産業振興部の西海豊さん
神奈川県平塚市で毎年7月初旬に開催されている「湘南ひらつか七夕まつり」をご存知ですか?JR平塚駅周辺にたくさんの出店がでて、毎年たいへんなにぎわいをみせる国内有数の七夕まつりです。
そんな、湘南ひらつか七夕まつりは、2020年が開催70年目の節目の年でしたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により中止を余儀なくされ、その後2年連続で中止となっています。
しかし、2022年は平塚市制90年目の節目でもあること、そしてコロナ禍からの復興をメッセージとして70回目の開催が決定しています。
そんな湘南ひらつか七夕まつりの開催にむけて奮闘されている平塚市産業振興部の西海豊さんにお話をうかがってきました。
コロナ禍からの復興をめざす湘南ひらつか七夕まつりは、戦後の復興を象徴するようなおまつりでもありました。
ぜひ、お楽しみください。
聞き手:たいせつじかん編集部
■商人の町「平塚」が作りあげた復興の象徴
湘南ひらつか七夕まつりの歴史について語る西海さん
─湘南ひらつか七夕まつりは次回で70回目の節目の開催とのことですが、まずはこの大きなおまつりが平塚市で開催された経緯についておしえてください。
西海さん:開催の経緯についてお話をする前に、まず平塚大空襲についてお話する必要があります。当時、平塚市には大きな軍需工場がありました。平塚大空襲とは、この軍需工場をねらって昭和20年7月16日〜17日にかけておこなわれた大規模な空襲のことです。これにより平塚市域の7割が焼け野原となったといわれています。
─平塚大空襲については私も聞いたことがありますが、かなり大きな空襲だったようですね。
西海さん:そうですね。焼夷弾が40万本以上も投下されたということです。これは、国内の空襲で2番目に多い数であったそうです。そのことを聞いただけでも、平塚大空襲の被害の大きさが想像できると思います。
これほど大きな被害を受けた平塚の復興の象徴にしようと始まったおまつりが七夕まつりなのです。
戦前から平塚は、商業の町として栄えており三浦半島から小田原のほうまで買い物といえば平塚といわれるほどたくさんの商店がひしめきあうような町であったそうです。
そんな活気のある平塚を取りもどすべく開催した「平塚復興まつり」が昭和25年に開始されました。これが、翌年から七夕まつりと名前を変えて今でも続いている湘南ひらつか七夕まつりとなります。
─今でも続くおまつりですから、平塚復興まつりが好評だったということなのですか?
西海さん:それはそれは大賑わいだったそうです。開催が7月であったこともあり、農家さんたちの田植えが終わり、中休みの時期ともかさなったこともよかったようです。
そして、翌年も7月の同じ時期におまつりを開催しようということになり、7月と関連のあるおまつりということで七夕まつりとなったわけです。復興は進んでいますからいつまでも復興まつりはおかしいよねということになったのだと思いますし、実際に復興はすごいいきおいで進んでいたのだと思います。
─なるほど!だから七夕まつりなんですね!おもしろいエピソードですね。
西海さん:なぜ七夕かということのより詳細な当時のエピソードなんですが、商工会議所に仙台出身の方がいらっしゃって、その方が「仙台七夕まつり」が非常ににぎわっているから参考にしてはどうかという提案がきっかけだったそうです。
そして、仙台七夕まつりから多くを学び、仙台は旧暦7月7日開催なので新暦の8月開催に対して、平塚は新暦の7月7日に開催としたらしいです。
商業の町・平塚の商人たちの底力はすごかったのだと思いますよ。仙台の七夕まつりに負けないおまつりを作りあげるぞという意気ごみを今でも感じるように思いますからね(笑)
■150万人が訪れるおまつり
天の川のようにみえる湘南ひらつか七夕まつりの飾りの列をうつしたポスター
─今年(2022年)の開催で70回目をむかえるということですが、ながい歴史のなかでのエピソードなどをおしえてください。
西海さん:商業の町平塚だからこそ、ここまで大きなおまつりになったわけですが、実際にそのことを物語るエピソードがあります。
昭和48年に国鉄が日本で最初に手がけた駅ビル「ラスカ」が平塚駅で開業しました。ラスカは駅と商業施設を一体化した施設として当時はめずらしい形で注目をあつめたようです。
しかしこのことに対して、駅前の商店街の方々がつよく反対の姿勢をしめしたようなんです。そして、その年の七夕まつりへの参加をボイコットされたんです。
そのことで、開催中止が検討されたのですが、結果として露店を出さずに開催をしたところ、来場者が激減したということがありました。
前年は300万人近い来場者だったのですが、その年は85万人の来場者だったそうです。やはり、七夕まつりは商店街、および協力いただく町のみなさんの協力があってこそなのだということを物語るエピソードですね。
─このエピソードはおもしろいですね!しかし、300万人もの来場があるイベントであるというのはすごいですね。
西海さん:そうなんです。2005年までは開催期間が5日間ありましたので、毎年300万人ちかい来場者がありました。その後4日間開催をへて2011年は東日本大震災の影響で計画停電などがあり、開催期間を3日間に変更し、今日にいたっています。現在は150万人前後の来場者ですね。
─それでも平塚にそれだけの方がおとずれるイベントですからひじょうに大きなイベントですね。
西海さん:そうなんです。今となっては、平塚といえば七夕といっても過言ではないと思っていますから、平塚市にとってもひじょうに重要なイベントですね。
─平塚の七夕の特徴や見所をおしえてください。
西海さん:いくつもありますので、ひとつづつ整理してご紹介させてください!(笑)
─すごい気合ですね!よろしくおねがいします!
西海さん:まずは、露天商の数ですね。毎年400件近い露天商が軒をつらねています。この露天商の数が平塚の七夕まつりを大いに盛りあげてくれています。
もうひとつは、飾りに特徴があります。仙台の七夕まつりは和紙で作られていますが、平塚の七夕まつりは梅雨の時期に開催されます。そのために、和紙では雨に耐えられないので、プラスチックの素材をもちいたものに変化していきました。また、動くように作られているものもあったりと全体的にはでな七夕飾りがおおいですね。
そして、最大の特徴は、夜景なんです。平塚の七夕まつりは夜も開催されているので、飾りに照明がしこまれていますのでとてもきれいなんです。
上からみると、この飾りの列が天の川のようでとてもきれいです。
こういった特徴や見所をまとめると豪華絢爛な七夕まつりだといえると思いますね。
─でも、これだけのおまつりですと、運営がかなり大変でしょうね。
西海さん:これも湘南ひらつか七夕まつりの特徴かと思いますが、おおくのボランティアさんにささえられています。毎年500〜1,000名程度のボランティアさんの参加があり、ほんとうにたすかっています。
─それはすばらしいですね。ほんとうに、市民のみなさんで作りあげるおまつりなんですね。
ますます、楽しみになってきました!しかし、この2年間は、コロナウィルス感染拡大の影響で開催ができなかったのですよね。
西海さん:そうなんですよね。しかし、2022年は平塚市制施行90周年とかさなりますので各所と協力のうえで開催できることとなりました。
■もう1度立ちあがろう。そのために七夕まつりが必要だ。
─2022年は湘南ひらつか七夕まつりの開催が決まりましたが、今のお気持ちはいかがですか?
西海さん:このおまつりが始まった経緯もそうですし、平塚の町が69年間も続けてきたおまつりをここで途絶えさせてなるものかと思っていました。
世代をこえて続いているこのおまつりを後世につたえていくことには大きな意味があると信じています。
また、戦後の復興を願って始まったこのおまつりがもつメッセージは、前代未聞のパンデミックから復興をめざす私たちへの、先輩たちからの贈りものかもしれません。
湘南ひらつか七夕まつりを開催し、もう1度みんなで新たな時代にむかって歩みだす大きな追い風になるとこれ以上のよろこびはないと思います。
─今年の開催は、さまざまな意味をもつおまつりとなりますね。
西海さん:そうですね。これまでとおなじように開催することはまだむずかしいですが、少しでも日常がもどってきていることを実感できるおまつりとなるといいですね。
実際は、海外の方からの開催のお問いあわせも少なくはないおまつりなので来年以降はもっとこれまでの開催にちかづけていけるようにしたいですね。
─今日はありがとうございました。
編集部のひとこと

ライター
ゆめちゃん
戦後の復興をめざし始まった湘南ひらつか七夕まつりは、今年70回目の開催が決まりました。これまで2年は新型コロナウィルス感染症拡大の影響で中止を余儀なくされましたが、ついに平塚に七夕まつりがもどってきます。
パンデミックにも負けず、先輩たちが続けてきたおまつりを継承していくことはとても意味があることだと感じました。
私は今年の湘南ひらつか七夕まつりにはぜひ参加してみようと思います。
※今年の開催概要は以下の公式サイトのリンクをご確認ください。
- 第70回 湘南ひらつか七夕まつり:
- http://www.tanabata-hiratsuka.com/
編集部メンバー
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ふたりの子どもがいるワーママ。お酒が好き。とにかく声が大きい。 |
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