輝く女性インタビュー
- 無限の色を重ねて描く世界観 画家 奥山知佳さんインタビュー
胸がしゅぅぅぅ・・・っとふるえる。
とってもとっても細やかな振動
これは、鎌倉在住の画家・奥山知佳さんが2022年の冬に発表した絵本「With me」に添えられた帯コメントの抜粋です。その言葉が表すとおり、奥山さんが表現する絵の世界は、やさしく華奢で神秘的。その一方で、静かだけど確かな生命力を感じます。そう、それは「とっても細やかな振動」のような感覚です。
今回は鎌倉を拠点に活動する画家 奥山知佳さんにインタビューしました。奥山さんの創作活動や絵本「With me」を通して、奥山さんの心を包み込むような世界観に触れてみてください。
■込める思いとか、ないですよ(笑)
─奥山さん、本日はご自宅兼アトリエへお招きいただきありがとうございます。アースカラーの絵に囲まれて、森や草原にいるようで、深呼吸をしたくなるお部屋です。
奥山さん:ありがとうございます。
─北海道のアイリッシュハープ奏者・池野真理さんが奥山さんの絵に強いインスピレーションを受けて、絵に曲をつけられたそうですね。
( https://www.youtube.com/watch?v=Z9P12Hl90_o )
奥山さん:池野さんにお会いしたことはないのですが、SNSで絵を見てくださっていました。絵本購入直後に原画も購入いただき、絵本を見て惹かれてくれたのかなと感じて、とてもうれしかったです。
絵に曲をつけてもらったのも初めてで、私の創作が別の創作につながったと思うと、じんわり。私の創作もいろいろなつながりからなので、影響し合っていると感じてうれしいです。
─奥山さんの絵は、独特の世界観があふれていますよね。オーダーをくださるみなさんは、そんな奥山さんの絵をどのようにオーダーされているのですか?
奥山さん:ほぼお任せでのオーダーから、さまざまなテーマの方もいます。樹の絵や、水の絵、こういう気分になる絵、幾つかのシンボルが組み合わさることも。最近は新たなスタートや記念に絵をというのが多いです。同じパターンの依頼が続くことがよくあって、おもしろいです。「それ描きたいと思ってた〜っ!」ということが多くて。ご縁を感じています。
─では奥山さんが描き始めるときには完成のイメージがあって、そこへまっすぐに向かっていく感じなのですか?
奥山さん:イメージはありますが、描いていたら違う色を乗せたくなったり、予想外にすすむことが多いです。でも途中で乗せた色が下地として生きてくるのですよ。
「絵が描きたいけど描けない」とよく聞きますが、頭のイメージのまま描こうとするのが原因じゃないかなと。わからないですが、私がそうなので。
”こっちのが惹かれるな”というのが出てきたら「気に入られなかったらしかたないや」と開き直って描いてしまう。葛藤するときもありますが、描いていてつまらなくなり進まなくなりますから。
─すり合わせと異なるイメージの絵が出てきて、お客さまはびっくりされませんか?
奥山さん:すり合わせ言うほどの打ち合わせをほとんどしないというのもありますが、喜んでいただいているように感じています。
私自身がオーダーメイドで依頼する場合、作品が好きで依頼しますから、作者が楽しんで納得するのを作って欲しい。そして想像以上に心ときめく物が出てきたらめっちゃうれしい!そんなときめき感じるもの出せたら最高ですね。
ハードル上げること言っててドキドキします(笑)
ちょうど昨日お渡しした絵は、とある原画がまだ有ったら欲しかったという方からの依頼で「本当にあの絵がよかったのなら、それが(その方のもとへ)行っていたよね」と感じて、とらわれず描きました。
実際は少し迷走しましたが‥(笑)
とても喜んでいただいてるのを感じて、改めてこの感覚で描いていこう、絵描き楽しい!と感じました。
─絵には縁とか運命的なものがあることを感じるお話ですね。奥山さんの絵のようにスピリチュアル性を感じる絵は、念が込められているとか、波動を与えるとか聞いたことがあるのですが、そういった影響もあるのでしょうか?
奥山さん:何も込めてないですよ(笑)描きたいように描いているだけです。単純に、受け取った人がより幸せを感じたら良いな〜とは思ってます。
あ、これが込めると言うのでしょうか?
そうするには、私が幸せに描くことだなと思っているので、結局好きに描くことしかできないなと。
■絵の変化、周りの変化
奥山さん:絵に特別な何かがないといけないと思っていたときもありました。そうでないと売れないというような。
でも「ただ好きだから」という気持ちで描くようになると、純粋に絵に惹かれてとか楽しくてという人と出会うことが増えてきました。反映されているのを感じておもしろいです。
─不思議ですね。言葉では説明しづらいですが、奥山さんの絵は精神部分で人とつながっているのかもしれませんね。
奥山さん:つながっていますね〜。つながっていないことはないですから。私は絵が好きなので、絵を通していろいろなつながりや感じることが多いですが。絵に限らず媒体は何でもありだと思います。記事を書いていてもつながりを感じることはないですか?
─インタビューをしていて、自分にはない価値観の話を聞いているのに、その方の思いが「スゥッ!ストン」と入ってくる瞬間があります。こういう感覚でしょうかね?
” 絵に特別な何かがないといけない”と思っていたときもあったそうですが、現在の絵になるまでには変化があったのですね。
奥山さん:変わってきていると思います。今の絵しか見たことがない人だと驚かれるのですが、黒色をたくさん使うダークファンタジーな絵を描いていた時期もあります。
そのころは音楽もロックやパンク聞いてたり(笑)
─今の絵からはまったく想像できません(笑)!!!
奥山さん:その後クラシックやヒーリングミュージックを中心に聞く時期があり、今では激しい音楽も鳥のさえずりのような音色も好きです。
自然も都会も好きです。人が作った物も含め自然だと感じています。
─2021年12月、奥山さんにとっては初めての絵本を発表されました。なぜ絵本を作ろうと思ったのですか?
奥山さん:数年前から「絵本いいな」と思っていました。でも文章を書くことに苦手意識があって、文章は誰かに、いずれ〜とぼんやり心に置いている感じでした。
去年の夏、久しぶりの友人と会い「知佳ちゃん絵本だよ!絶対やりなよ!」と言われました。何でそこまで言われなあかんねんって、ちょっとイラッとするくらい(笑)
ですが、絵本に対するワクワクに灯火が付き、それから2日後に、別の友人と出先で素敵なレシピ絵本と出会い、いっしょに作りたいねとなりました。
─絶妙なタイミングでの展開ですね。
奥山さん:そのときはまだ「(自分で)文章を書くなんて〜」という感覚だったので、いっしょに作る仲間を得て、さらに本作りへのワクワク感が上がりました。
─でも、最終的にはレシピブックではなく絵本ができありました。しかも、イラストも文も奥山さん本人が手掛けることに。いったい何が起きたのですか?
奥山さん:「このメッセージで作りたい!」という言葉が浮かんできて、一気に作り始めました。結局ひとりで作るんかいっ!ですが、これまでの流れがあって作れたのだなと、徐々にできる感覚に添えてもらいました。
じっさいはひとりでやっていることなんて何もないと感じています。
コラボ本もいずれタイミングが来る予感、楽しみです。
■絵本『With me』
「子どものころの私に何かひとつ届けられるとしたら、この本を届けたい」
─奥山さんを絵本作りに駆り立てたメッセージとはどんなものだったのでしょうか?
奥山さん:言葉にしづらい感覚なのですが、端的に言っちゃうと、”本そのままの文章”になっちゃいますね。
欠けてるのを治す、成長する為ではなく
そもそも完全な存在の私達、色んな感覚を味わいたいが為に
わざわざ分離してやってきました。
なので楽しんじゃおう!
です。
もはや楽しめなくても成功。
─このメッセージで、子どもの奥山さんに何を伝えたいのですか?
奥山さん:「大丈夫だよ」ってことです。
すべて選択可能ななかから、今の私となるすべてを選んできました。
何かに押し付けられたのではなく。
思えないときは思えないし、酷に感じるときもあるけど
でも、今にみてなはれ‥と。
今の私も、未来の私からしたら今にみてなはれ思ってそう(笑)
終わりは無いです。
─子どものころの奥山さんはどんなお子さんだったのですか?
奥山さん:疑問であふれていました。いちばん身近な自身のからだも何でできているかわからない。臓器は細胞でできていて、細胞は原子で、原子は粒子でできている。そうやってさかのぼっていったとき、いちばんのもとは何でできているのだろう。動かしているのは何だろう?コップ同士がぶつかるのは何故だろう。
「授業より気になるっちゅーねん!」でした(笑)
ニュースに出ている加害者を見て、それに至った経緯を意識すると、何が悪かわからない。そして私自身もこのイライラがどこからくるのかわからない。
親やかかわる人に対する不満も感じていました。
私とは何かと見る角度や、悪者なんていないのではっと知識的には思っていましたが、ぜんぜん良い子ちゃんではなかったですよ。
動植物が好き、でも基本、人は敵視。私も人なのに(笑)
今思うと笑っちゃいますが、ごめんなさいなことがいろいろあります。
─感受性の高いお子さんだったのですね。
奥山さん:感情が追いついてなかったので頭でっかちだったようにも思います。
とりあえず深呼吸しようよと、絵本を渡したい。
─子どものころの奥山さんに届けられるといいですね。
奥山さん:ありがとうございます。届いていると思います。
「私は絵描きだ」と、子どものころから根拠なく感じていたので、今の私から通じていたかなと。
褒めてあげたい(笑)
これからも届けたくなる作品をたくさん作りたいです。
本来一つで完全なる私達
無限の彩りから
私となる色を選択して生まれた
違いを作ることで
感じる心が生まれ
喜びを知り
希望をもつ
全てを写す世界を信じ
私を生きる
今この瞬間
全ての物語りが始まる
編集部のひとこと

編集長
かなちゃん
豊かな感受性は、おとなになって奥山さんのようにアーティストとしての深みとなる人もいますが、子どものころは自分の感情の扱いに苦しむ子どもたちもたくさんいると言います。
彼らのすばらしい感受性に気付き、すてきな花を咲かせられるように、見守ってあげられるおとなが増えればいいなと思います。
ぜひ、奥山知佳さんのWith meを手に取って、お子さんといっしょにページを眺めてみてほしいです。
鎌倉市御成通りの人気ジェラード店 GERATERIA SANTi
ギャラリーに飾られている奥山さんの絵
- instagram:
- https://www.instagram.com/okuyamachika03
- SHOP:
- https://okuyamachika.thebase.in
編集部メンバー
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ふたりの子どもがいるワーママ。お酒が好き。とにかく声が大きい。 |
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家事全般、特に料理が得意な新人ライター。気も声も小さい。 |
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好奇心旺盛。食べ歩きや女子会が大好き。いつもTシャツ。 |