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輝く女性インタビュー

若いアーティストが才能をあきらめるなんて悲しい!「ART HOUSE クスクス」を運営する入澤日彩子さんと画家・瀬川祐美子さんのインタビュー

2018年4月辻堂駅近くにある、アーティストのアトリエとレジデンス、そしてワークショップのできるスペースを兼ねた「ART HOUSE クスクス」をオープンしたアプリュスセー合同会社代表の入澤日彩子さんと「ART HOUSE クスクス」をアトリエとする画家・瀬川祐美子さんのインタビュー。金融機関で働いていた入澤さんがアートの世界でアーティストマネジメントを始めるきっかけはふたりのアーティストとの出会いでした。

アートが無い世界なんて考えられない。にじみ出る愛情と情熱でつながったおふたりのインタビューです!

聞き手:たいせつじかん編集部

画家の瀬川祐美子(せがわゆみこ)さん(左)と入澤日彩子(いりさわひさこ)さん(右)

画家の瀬川祐美子(せがわゆみこ)さん(左)と入澤日彩子(いりさわひさこ)さん(右)

■ふたりのアーティストとの出会いがきっかけ

ー入澤さんがアートの世界でお仕事をを始めるきっかけを教えてください。

入澤さん:この仕事を始める前はずっと金融機関で働いていたのでアートとはいっさい関係ない仕事をしていましたし、そもそもアートに関する仕事をするなんて考えてもいませんでした。

しかし、アーティストの中島由夫さんと瀬川祐美子さんとの出会いが大きな転機となりました。

ーおふたりのアーティストとの出会いが入澤さんを変えちゃったんですね!出会いのお話をお聞かせください。

入澤さん:中島由夫さんは、スウェーデンで長い間活動されている日本人画家ですが、たまたまデンマーク旅行に行く飛行機で彼と席が隣だったのです。中島さんのお話をお聞きするうちにこんなに自由にいきいきとお仕事にしているアーティストってすばらしいなと感動してしまったんです。

そのまま、旅行の予定を変更してデンマークからスウェーデンの彼のアトリエに、実際にこの目で彼の活動を見にいきました。この出会いがきっかけでアートに興味を持って、帰国後に、絵画教室に通い始めました。

ー最初のころはご自分で描いてみるということから始めたんですね。

入澤さん:そうなんですよね。その絵画教室で学生講師をしていたのが、東京藝術大学在学中の瀬川祐美子さんだったんです。

ーここで、瀬川さんと出会うんですね。

入澤さん:ここからおつきあいがはじまって、彼女から就職活動の相談をされたんです。

その時、私は絵を描く才能があるんだから、そもそも画家になるものだと思っていたのでびっくりしたんです。

瀬川さん:正直、絵だけで食べていくというイメージが無かったので、画家として生きていくのか、就職をするのか悩んでいましたので入澤さんに就職について何気なく相談をしたんです。

入澤さん:才能のある若者が大学卒業とともに、作家をあきらめている現実を初めて知りました。もったいないし、悲しかったですね。そして、日本には文化をはぐくむ若いアーティストを育てる環境がないと感じました。それとあわせて私に何かできる事はないのかと強く思ったことが、アーティストマネジメントの仕事をしようと思ったきっかけになりました。

■2年待って。私がやる!

設立当時のお話を語る入澤さん

ー若い才能のために何かをしたいと思ったということですが実際に何をしたんですか?

入澤さん:私はアートの素人ですし、さらにアートでビジネスをするための準備期間が必要だと思いましたので、瀬川さんに大学院に進んでもらい2年待ってもらいました。それとその間に瀬川さんには、海外でどのようにアーティストが活動しているか、人々が日常の中でアートをどのように楽しんでいるかを少しでも知ってもらうため、スウェーデンの中島さんのアーティスト・イン・レジデンス※に行ってもらいたと思っていました。日本だけでは分からないこともありますから。

※様々なアーティストが滞在しながら作品制作が出来る場

ーおおお、それはすごいお願いをしましたね!入澤さんは瀬川さんが画家をあきらめてしまう事が絶対嫌だったんですね。

入澤さん:はい、絶対嫌でした。こんなことはおかしいと思いました。アーティストが創作で生活できない社会になっている現実を変えたいという思いと、このままでは日本からアートを育む文化が完全に廃れてしまうという思いを強く持ちました。

また、このような社会になっている一因を大人である私も担っているのだと思ったら、自分が若いアーティストたちのためになる仕事、もっとたくさんの人がアートに触れる機会をつくれる仕事ができるようであれば起業をしたいとおもいました。

海外ではアートは生活の一部なんです。家を建てたら、家具を買って、家電を買って、アートを買うんです。しかし、日本ではアートを買うという文化はありませんから、これでは若いアーティストは食べていけないので才能をあきらめるしかない。これを食い止めたかったんですね。(笑)

ーたしかに、私もアートに触れる、アーティストの創作活動を見る機会はほとんどないですね。

入澤さん:美術館に見に行くということはあるかもしれませんが、ギャラリーになると、急に敷居が高いと感じる方が多いですよね。

でも、本当に日本にはたくさんの素晴らしい若手アーティストがいらっしゃるんです。だから、もっとそのことを知っていただきたいですよね。

ーアートを身近に感じる機会が増えることで、みなさんのアートに対する意識を全体的に底上げできれば、日本におけるアーティストの創作環境が変わると信じていらっしゃるんですね?

入澤さん:そうなんです。なかなか難しく、大変ですが頑張っています!

ー金融業界からアートの世界への転身は180度違うお仕事のように感じますが不安はなかったのですか?

入澤さん:アートの世界で当たり前に使われている言葉から覚えたり、商習慣を知ったりということからスタートでしたから、そうかもしれませんね。

しかし、アーティストが生活ができるようにするためには、アートを中心にお金がめぐるしくみを作らないといけないと思っていたので、その観点では金融業界にいたことは必ず生きてくるなと思っていましたね。

ーなるほど、アートに対する底上げと仕組みづくりが必要なんですね。一足飛びにはいかないですね。

入澤さん:そうですね。長い目で見てやらないといけないなと思っています。

ーそして、実際にアーティストマネジメントをする事業を起こされたということなんですね。

入澤さん:そうですね。アーティストは創作をして、私がプロモーションやマネジメントをするという関係性の事業ですね。

ー瀬川さんが契約アーティストということになるんですね!

入澤さん:そうですね!(笑)

■やりたいことが詰まったART HOUSEクスクス

瀬川さんのアトリエ

ART HOUSEクスクス内にある瀬川さんのアトリエ

ーでは、ART HOUSEクスクスをスタートされた経緯を教えてください。

入澤さん:この一軒家のオーナーの方も希望されていたアートに関することで自由に使っていいよと言われていたタイミングと、瀬川さんがアトリエを探しているタイミングが重なったので、ART HOUSEクスクスを作りました。

ART HOUSEクスクスは、アトリエ・ワークショップをするためのイベントスペース、アーティストが滞在制作ができるレジデンスの3つの機能を持っています。

ー瀬川さんはここがアトリエなんですね。

瀬川さん:はい、とてもいい環境をつくっていただいているのでありがたいですね。

入澤さん:今後は一般の方がここに気楽に訪れて、アートにも触れられるし、アーティストの創作活動を見ることもできるスペースとして広めていきたいです。

ーこれは、入澤さんが課題として感じられていたアートの対する意識の底上げにつながる「アートに触れる機会」を増やすことにつながるんですね。

瀬川さんの作品

瀬川さんの作品

入澤さん:今後はもっとたくさんのアーティストの方にワークショップを開いていただいたり、創作活動をしていただいきたいですね。

また、作品をこちらに展示販売しているので、生活空間の中にアートを取込むイメージをもってもらいたいとも思っています。

ーここをアートを中心としたプラットフォームにするぞ!という感じなんですね(笑)

入澤さん:そうですね。たくさんのアーティストさんとファンの方であふれるスペースになってほしいですね!

ー本日はありがとうございました

■番外編①:画家さんにずっと聞いてみたいことを聞いてみました

爆笑する瀬川さん

私の質問に爆笑する瀬川さん・・・

ー画家さんにずっと聞いてみたいことがあったんですが、ひとつ質問していいでしょうか?

瀬川さん:はい、どうぞ。なんでも聞いてください。

ー瀬川さんの作品もそうですが、抽象的に描かれるじゃないですか。これって瀬川さんの頭の中ってどうなっているんですか?目にはこのように見えているんですか?

瀬川さん:それ、よく聞かれる質問なんですね(爆笑)。

当然、学生時代は見えているものを見えている通りに描くということも学びますので、抽象的に描くアーティストさんはみなさん見えているとおりに作るということはできると思います。

ーそうですよね。どおりで、私なんか見たままを描くことさえできないので、抽象的に描けるはずありませんよね… でも、抽象的に描くときはどのようなことを考えているんですか?

瀬川さん:そうですね。私が感じたこと、伝えたいことは見えているもの以上のものなんですね。私たちは五感がありますので、見えているものだけでなく、その時の温度、聞こえたもの、その場の空気感のようなものを表現しようと思っているんです。

目に見えているものだけでなく、からだ全体で感じたことを描くことを意識しています。

ーなるほど、作り手さんの立場からしたらこう見えてほしいなという思いはあるんですか?見る側からすると絵を見たときに、解釈の正解があるのかなと思うとちょっと怖いかもしれませんが…

瀬川さん:当然、最初はこういうものを描きたいとおもって書きます。ですが、展示会なのでみなさんの解釈を聞くことがすごく楽しいんです。だから、絵に対する解釈に正解不正解は無いでしょうね。それよりも、この絵を見て何かを感じてくれるということが大切なんだと思います。

ーそうですよね!よかったー。そう言っていただけるともっと気楽にアートを見られる気がします!瀬川さんありがとうございました。

■番外編②:入澤さんの新しい取り組み「Art in the Clinic」について

ーArt in the Clinicについて教えてください。

入澤さん:藤沢駅近くの「たかばやし胃腸科クリニック」にご協力をいただき、病院の待合室や病室に展示するというプロジェクトをさせていただいています。現在は菊地雅文さんの絵画を飾っています。

Art in the Clinic

「たかばやし胃腸科クリニック」の受付に飾られた画家 菊地雅文の絵

ー待合室に絵を飾るというのはいいアイデアですね!

入澤さん:そうですね。少しでもアートに触れていただく機会を増やすために、今後もこのような取り組みを増やしていきたいですね。アーティストにとっても発表と販売につながる良い機会となりますし。

編集部のひとこと

ライター

ゆめちゃん

畑違いのお仕事に飛び込んだ入澤さんの気迫がすごい!何かを変えたい思う人の芯の強さを感じるインタビューでした。また、画家の瀬川さんとお話をさせていただいた印象は、とっつきやすい!なんか、画家さんって気難しいとか、変な質問したら怒って帰っちゃいそうとか思っていましたが、終始笑顔でお話をしていただきました。

何かを変えようとしている入澤さんの挑戦は、たくさんの困難があるんだろうと思いますし、実際にむずかしいことも多いですよと言っていました。しかし、若いアーティストを取り巻く環境に一石を投じたかったという思いは、すでに達成されていると思います。行動することってとてもむずかしい。でも、入澤さんが挑戦をはじめているということは事実です。

みなさんもアートに触れる機会をもってみてはいかがでしょうか?それが何かを変えることになるかもしれません!

編集部メンバー

編集長
かなさん

ふたりの子どもがいるワーママ。お酒が好き。とにかく声が大きい。

ライター
せいくん

家事全般、特に料理が得意な新人ライター。気も声も小さい。

ライター
ゆめちゃん

好奇心旺盛。食べ歩きや女子会が大好き。いつもTシャツ。

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