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パルシステムインタビュー

「おいしい」だけじゃない!冷凍食品は「安全安心」なものを選ぼう!健康志向の冷凍食品を作りつづける株式会社ニッコー

「こんにちは!」「いらっしゃいませ!」。人の姿が見えると、直後に明るいあいさつが響きます。今回は、「自分の子どもに安心して食べさせられる食品を作る」をモットーに、安全安心な冷凍食品の開発・生産・販売を行っている神奈川県大和市の株式会社ニッコー(以降ニッコー)本社におうかがいしました。パルシステム神奈川でも、アレルギーが気になる方向けの商品カタログ「ぷれーんぺーじ」にて、多くの商品を取り扱っている企業です。

食品の安全安心は「当たり前の価値」として言われるようになった時代に、ニッコーはその当たり前をどのように実現し、この先の未来にどんな「食の在り方」をめざしているのでしょうか?本日は、常務取締役 青柳俊博さんと、社長室販売管理課長 菊田潤哉さんに、”安全安心の食品づくりに挑戦しつづける”株式会社ニッコーのお話をおうかがいしました。

 

■大豆が育んだ食の探求心、株式会社ニッコーのルーツ《根源》

-本日はよろしくお願いします。

青柳さん・菊田さん:よろしくお願いします。

-インタビュー開始早々・・・なのですが、いい香りがしてきました!

菊田さん:はい。ぜひ、わたしたちの自慢の商品を試食していただきたいと思ってご用意しました。左から、『産直野菜の中華丼の具』『ミニアメリカンドック』『ミニたい焼き』『豚ごぼうひじきハンバーグ』です。どうぞ、お召し上がりください。

-どれもとてもおいしいです!そして、自然でやさしい味がしますね。

菊田さん:ありがとうございます。私たちは“自分の子どもに安心して食べさせられる食品を作る“をモットーにしていますから、原材料にこだわり、化学調味料を使わず、本物の味をお届けできるような商品づくりに努めています。たとえば中華丼の具で利用している白菜は、私どもの自社農園で収穫したものを利用しています。また、『ミニアメリカンドッグ』と『ミニたい焼き』は、熊本県八代市にある関連会社である株式会社山﨑食品(創業者の甥が経営)の商品で、卵、小麦粉、乳を使っていませんので、アレルギーが気になる方でも安心して召し上がっていただけます。

-一つひとつの商品に、ニッコーのこだわりが詰まっていて、安全安心な製品開発に対する意気込みを感じます。製品開発については後ろの章で詳しくおうかがいさせていただくとして、ここでは、ニッコーの沿革について教えてください。

青柳さん・菊田さん:もちろんです。

-先ほど、熊本県八代市に関連会社があるとお聞きしました。また、ニッコーの自社工場も同じ地にありますね。なぜこの地に工場や関連会社がたくさんあるのですか?

青柳さん:じつは、熊本県八代市は創業者山﨑貞雄(現会長)の出身地なのです。ニッコーは1984年(昭和59年)に、神奈川県大和市で創業したのですが、創業者である山﨑が、地域に貢献したいという想いから、かの地に自社工場を建てました。2013年(平成25年)のことです。

-ふるさとへの貢献として熊本県に工場を建てたということなのですね。

青柳さん:そうです。当地は田んぼや畑ばかりの地域で、しかも住民は高齢化していましたので、なにか産業が必要だと考えたのです。工場だけでなく、私どもの人気商品である『冷凍揚げナス』の原料であるなすについても、周辺の農家のみなさんに生産していただくなど、相互協力の形ができあがってきています。

-工場という新産業を作り、農産物を購入することで、これまであった産業にも寄与しているということですね。すばらしいです。創業者の山﨑貞雄さんのご実家自身も農家だったのでしょうか?

青柳さん:いえいえ。じつは、山﨑の実家は豆腐店だったのです。朝早くから家の工場で豆腐を作り、外に売りに行くような昔の豆腐店です。山﨑自身は、東京の研究所へ進み、食品研究所で大豆の研究を行いました。その後、就職した某メーカーで豆乳飲料を開発します。そういう意味では、大豆に対する思いがとても強い男なのです。

菊田さん:だから弊社の製品には豆腐や大豆を使用した製品がとても多いのですよ。

-大豆愛があふれている方なのですね。では、その山﨑さんがニッコーを創業したきっかけは何だったのでしょうか?

青柳さん:自分の子どものためです。現社長である山﨑雅文に幼いころ食品アレルギーがあったので、子どもに安心して食べさせられる食品を作りたい!という思いが、ニッコーの創業へとつながったのです。

 

■わたしたちは、安全安心な《冷凍食品》を選べているだろうか?

-さて、ここからはニッコーのプライドとこだわりが詰まった商品開発についてお話を聞かせてください。

青柳さん・菊田さん:はい。

-昨今は共働きやひとりぐらしの家庭が増え、多くのスーパーで調理が簡単にできるチルド商品や冷凍食品が手軽に買えるようになりました。しかし、スーパーによって価格のばらつきがありますし、場合によっては生鮮食品よりも安い冷凍野菜なども見られます。多くの消費者は、どの商品が安全安心な冷凍食品なのか意識せず購入しているのではないでしょうか。
しかし、見た目では品質の良し悪しが判断できない冷凍食品だからこそ、食品の安全性を把握したいと考えます。ほかの冷凍食品と比較したとき、ニッコーの商品が安全安心に配慮している点があれば教えてください。

菊田さん:私どもは自社で検査室を設け、生産された全商品について細菌検査を行ったり、工場ラインにおいて抜き取り検査を行ったりすることで、製品の衛生を保持するしくみを確立しています。またもちろん、工場内の衛生を保つため、工場に入場するための服装や手洗いなどの手順を規定し、それらを全員が遵守するしくみを確立しています。これらは食品を取り扱うものとしては当たり前の努力ですが、そのうえで、商品の原料の安全性にも配慮しています。

たとえば先述の『冷凍揚げナス』やこの写真の『かき揚げ』、試食していただいた『ミニアメリカンドック』などの揚げ油は、すべて非遺伝子組換え(NON-GMO)の菜種油を使っています。

-菜種油は健康に良い油だと聞いたことがあります。一般の食用油と比較するとコストがかかるのではないですか?

菊田さん:はい、おっしゃるとおりものすごくコストがかかります。それでも、安全安心の食品づくりのために、こだわって非遺伝子組換えの菜種油を使っています。

-冷凍食品を選ぶとき、どのような油で調理しているかなど今まで考えたことありませんでした。でも揚げ物などは、油が食品にたくさん吸収されるわけですから、油の品質が商品の品質におおきくかかわりますね。

菊田さん:そうですね。油だけでなく、調味料全般的に同じことが言えますね。もちろん食品素材も重要な部分ですから、私どもは顔の見える生産者から素材を仕入れるようにしています。また、安全安心はもとより、栄養価の高い商品づくりにも力を入れています。

-先ほど試食した『豚ごぼうひきじハンバーグ』も、ごぼうとひじきがたっぷり入っていて歯ごたえはシャキシャキ!とても栄養価の高い商品だと思いました。

青柳さん:パルシステムさんでも販売いただいたのですが、ほかにもモロヘイヤ餃子やつるむらさき餃子なども開発しています

-とても変わった餃子ですね。どのような味がするのでしょう、たいへん興味深いです。
いっぽうで、モロヘイヤはものすごく栄養価が高く「王様の野菜」という別名を聞いたことがありますが、つるむらさきはどのような野菜なのですか?

菊田さん:つるむらさきはモロヘイヤやオクラのようにねばねばのある食感で、モロヘイヤのように栄養価も高い野菜です。健康志向で体によい商品開発のために、こういった栄養価が高い野菜を自社農場で栽培して、原材料の生産にも取り組んでいます。

皮も国産小麦粉を使用して工場内で生産しているニッコー自慢の手作り餃子

 

■安全安心は当たり前。その一歩先へ―。

自社農場NYファームの農場長 石井さん(右)とミャンマーからの実習生チョーさん(左)

-安全安心な商品づくりのため、原材料の調達は契約農家で行うという企業は多いですが、ニッコーは自社農園での原材料の生産にも踏み切りました。さまざまな面で契約農家からの原材料調達よりも手間もコストもかかると思うのですが、なぜ自社農場をもとうと思ったのですか?

青柳さん:商品を生産していると、大量の生ごみができてしまい、以前はそれらを焼却処分していました。環境保持の観点からも、工場ででる食品廃棄物をできるだけ減らすしくみを作ることは、我々の大きな使命だと思っていました。そこで、食品廃棄物をたい肥にして自社農場の畑に戻し、野菜を育て、それがまた我々の商品となるサイクルを作りだしたのです。

-なるほど!自社農場は、安全安心な原材料を作るだけではなく環境を守る目的も併せもっているのですね。

菊田さん:社会全体で、食の安全安心は当たり前になっていくと思うので、それは根幹として続けていくのはもちろんですが、フードロスや脱プラスチックなどの対策もプラスαして、未来に継続してできる新しい取組みをしていかなくてはならないなと思っています。

-具体的な取組みのアイデアはありますか?

菊田さん:工場の食品廃棄物を循環させ野菜を栽培するベースはできていますから、これからは有機農法で野菜を作り商品化するチャレンジをしていきます。有機農法は手掛ける人によってやりかたが異なるのでマニュアルもなく、いまだ正解がないともいわれています。だからこそ、ニッコー独自の有機栽培を確立させ、”安全安心”で、”おいしくて”、”栄養価の高い”、”有機野菜を使った”商品を開発したいですね。

本社の工場入口には、地域の方向けに自社農場の野菜が無人販売されています

 

■安全安心な食の未来を、いっしょに作ろう

-マニュアルも正解もない有機農法のむずしさのなかで、試行錯誤のチャレンジが続いているわけですね。

菊田さん:農協に所属していないので独学的なところはありますが、地域で50年以上農家を営む方に教えていただいたり、パルシステムさんの農法研究会にも出させていただいたりして貴重な情報を得られています。

青柳さん:パルシステムさんからは、農法に関する情報だけでなく、「こんな安全安心な原材料があるよ」とか「こんなこだわりの生産者がいるよ」など、わたしたちの商品開発のための貴重な情報やご縁をいただくことがとても多いです。

-生協は、ニッコーの商品づくりに欠かすことができないパートナーというわけですね。

青柳さん:私どもの取引の原点は東京南部生協、38年前なので小さな生協でした。しかし、生協同士の横のつながりはとても強く、ほかの生協や生産者を紹介していただくなど、つねに真ん中に立っていただくことで、私たちはいっしょに大きく成長してきたと思っています。生協の大きな理念は我々と共通しています。安全安心な食という同じ理念のもと、めざすものは同じということです。

 

編集部のひとこと

編集長

かなちゃん

ニッコーの人気商品に卵・麦・乳を使用しない『米粉ショートパスタの豆乳グラタン』があります。アレルギーが気になる方にとても人気のある商品だといいます。
ニッコーが食品アレルギー対応商品を開発するようになったきっかけには、生協がかかわっていたといいます。20年ほど前、首都圏コープの大和センターに訪問した際、アレルギーチームの組合員のみなさんが非常に熱心に勉強会を開かれていて、「子どもたちがいっしょに食べられる商品を作ってもらえないか」という熱いリクエストをもらったのが始まりだったそうです。
ほかの商品と同じ生産ラインで食品アレルギー対応の商品を生産するには、膨大な手間とコストがかかるはず。それでもニッコーがアレルギー対応商品の生産に力を注ぐのは、創業者自身が子育てのなかで、食品アレルギーの子どもをもつ親の苦労を実感していたからなのでしょう。
食の安全安心を追求する姿勢のなかに、ひとりの親としての愛情がしっかりと根付いていることを強く感じたインタビューでした。

編集部メンバー

編集長
かなさん

ふたりの子どもがいるワーママ。お酒が好き。とにかく声が大きい。

ライター
せいくん

家事全般、特に料理が得意な新人ライター。気も声も小さい。

ライター
ゆめちゃん

好奇心旺盛。食べ歩きや女子会が大好き。いつもTシャツ。

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