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輝く女性インタビュー

日常生活のなかで使用して笑顔が生まれる風船をもっと作っていきたい!横浜風船株式会社のデザイナー花城未和さんと池上芙美子さんインタビュー

横浜風船株式会社でデザイナーを務める花城未和さん(左)と池上芙美子さん(右)

1954年に合資会社京浜ゴム製造所を設立、2008年に「横浜風船株式会社」に社名を変えた横浜風船株式会社は今年で創業67年目を迎えました。

子どものころ風船をもらって喜んでいた記憶が思い返されますが、近年では風船を見る機会が減ったように思います。

なぜ風船を見る機会が減ってしまったのか、また現代の風船はどのようなものなのかというお話を花城さんと池上さんにうかがってきました。

横浜風船株式会社が手がける風船の進化をお楽しみください。

 

聞き手:たいせつじかん編集部

 

■ヘリウムガスが高騰している

横浜風船の池上芙美子さん

-まずは、御社の歴史について教えていただけますか?

池上さん:1954年に合資会社京浜ゴム製造所を設立したことから始まり、主要な事業内容の変更とともに社名と組織が変わりましたが、いっかんして横浜で継続してきた風船事業を主体として2008年から横浜風船株式会社となり今に至っております。

創業からは67年目で、横浜の地に根ざして風船を作っていこうという思いとどこで何をしていている会社かわかりやすいように横浜風船としました。みなさまから覚えやすいとよく言われます。

-たしかにわかりやすいです!では、当時からゴム風船を製造されていたのですか?

池上さん:当時はゴム風船を製造せずに、海外製のゴム風船を仕入れて自社で木製の印刷版を作成し、ゴム風船に空気を入れて印刷版を押し当てて印刷加工をしておりました。

のちに東南アジアと中国でゴム風船工場を設立し、ゴム風船の製造、印刷、風船の付属備品を製造しておりましたが、年々激しく変わる海外工場の環境により対応がむずかしくなり、ゴム風船の製造は2015年に撤退することになりました。

-そうだったんですね。現在、国内でゴム風船を製造している会社はどのくらいあるのですか?

池上さん:環境とコストの問題から国内では数社しかありません。日本製の風船の需要が増えれば状況は変わるかもしれませんね。

また消費量も日本は欧米と比較して非常に少なく、アメリカの風船市場の10%と言われています。欧米では日常のさまざまなイベントやパーティーでたくさんの風船を盛大に装飾する文化がありますが、日本ではそこまで日常生活に食い込めていないのが現状です。今でこそホームパーティーやお誕生日などで風船を使ってもらえる機会が増えましたが、海外に比べると非常に少ないのが実情です。

-えぇ、そうなんですか!私が子どものころ、休みの日に家族でショッピングモールに出かけると、いつもどこかで風船が配られている記憶があるのですが、今ではそういう光景を見る機会も減ったように思います。

横浜風船の花城未和さん

花城さん:昔に比べると非常に減っておりますね。要因のひとつにヘリウムガス(以下、「Heガス」という)の値上がりがございます。

国内で使用されているHeガスの80%以上はアメリカ製です。Heガスの特徴である軽量・分子が小さい・超低温で液化(-269度)できることからおもににMRI装置・光ファイバー・半導体・リークテストで生産量の半分以上を占めております。

ちなみに私たちが取り扱っている風船の用途は3%以下です。

昨今の新興国の成長とともに需要が急に増加し供給が追いつかず、安定して入荷しないうえに毎年値上がりをしているのが現状です。

これによりお子さまがいちばん喜ぶ空を浮遊する風船を街中で見る機会が減ってきました。

-Heガスが高騰しているなんて知りませんでした。やっぱり、時代が進むにつれてさまざまなことが変化しているんですね。ちなみに風船を浮かせるにはどのくらいの量のHeガスが必要なんですか?

花城さん:じつはHeガスは微量ですが空気中にも含まれており、目視ができないのでイメージしにくいと思いますが、Heガス1Lで約1gの浮力がございます。風船や物体を浮かせたい場合は、物体の重量以上のHeガスが必要になります。一般的なゴム風船の重量は約2.5gで浮かせるために約10LのHeガスを使用しています。

-そんなに必要なんですか?想像以上でした。

 

世界初の漢字風船とひらがな風船はこうして生まれた

-風船のお話をしていると、子どものころに親からHeガスの入った風船を渡され、『もう少しで買いものが終わるからがまんしてね』と言われたことを思い出しました(笑)。

池上さん:空を飛ぶ風船は、空中に浮くという非日常的な演出が魅力的で、もらうとうれしいですよね。

Heガスの高騰により浮かせる風船の使用が減少したので、Heガスを使わずに楽しめる風船の企画開発をここから始めました。

-空気を入れて楽しめる風船?丸い風船しか想像ができないですね(笑)。

花城さん:見たことがない新しい用途が生まれて喜ばれる風船とは何か?社内スタッフ全員で考え出てきたたくさんのアイデアについて話し合いましたが、他国ではすでに商品化されていたり、現行の技術では製造不可だったり、開発に莫大なコストを要する案が多く難航しました。

これらの案の文字を眺めていたら、そういえばフィルム製のアルファベットの風船は見かけるけど、漢字や平仮名のフィルム風船は見たことがないな、漢字や平仮名の形状風船なら日本人としてのアイデンティティも生かせ、日本だからこそ喜んでいただけると思い具現化に向けて文字の選考を始めました。

-そういえば漢字やひらがなの形状をした風船は見たことがないですね、どうしてなかったのでしょうか?

花城さん:バルーンは欧米が発祥で使用頻度が低いアジア圏では要望があまりなかったのと、開発を始めてすぐ思い知らされましたが、漢字やひらがなはアルファベットに比べて形状が複雑で設計が困難だからと思われます。

-たしかに漢字は画数が非常に多いし、濁点など本来はつながっていない箇所もあるので表現するのが大変そうですね。

池上さん:そうなんです。そしていろいろな製作候補の文字の中から、初めて製作する漢字は結婚式でご利用いただける『寿』に決定し、予想以上に設計が困難を極めました。

風船は膨らましたあとに必要な形状になるように平らな状態を設計しています。理想的ではない箇所の形状を修正すると、ほかの箇所が修正の影響を受け変形してしまい、修正の繰り返しとなり30回作成しても終わりが見えず途中で何度もやめたくなりました。そのうえ決定したサイズが1m以上のため、1回修正するのに相当な時間を要していました。

-華やかな風船の開発の裏側は相当壮絶なんですね(笑)。

池上さん:当時フィルム製風船の製作に関する経験と知識が乏しいうえに、いきなり複雑な形状の風船の開発に挑戦したので非常に苦しみましたね。

しかし、設計デザインをやり遂げた際のうれしさと高揚感は、今となっては大きな励みになっています(笑)。

-それでついに完成したんですね!?

池上さん:それが私のハンドメイドを繰り返して決定した設計デザインのいち部が量産設備では製造できないことがわかり、再度何度か量産用に修正したあとに、ようやく商品化することができました。

-ようやく完成した世界初の漢字風船、反響はいかがでしたか?

池上さん:発売当初、なぜバルーンで漢字?と予想外のアウェーな反応でしたが、結婚式の際の装飾や記念撮影で徐々に使われて認知度も向上し、今では喜んでいただけております。

花城さん:そのあとは、さまざまなお祝いのイベントにご利用いただけるように【祝 文字風船】、キラキラきらめくようにホログラム素材を使用した【煌 文字風船】、新元号が決まった際には【令和 文字風船】、さまざまな祝辞に使用できる【おめでとう 文字風船】などを製作してきました。

-初めて見ましたが、風船で文字の形状を表現するのは大変なんですね!商品の進化の裏側には、もっと良いものを作って喜ばせたいというみなさんの熱い思いがあったんですね!
需要に対しての開発ではなく、思いからも風船は進化しているのだと感じました。
おふたりは、どのようなところに風船の魅力を感じていますか?

池上さん:装飾している風船を見たときや、風船をもらった方々に笑顔が生まれるところですね。

-たしかに、とくに風船をもらって喜ぶお子さんは多いですよね。

花城さん:弊社には、「横浜から風船を送り出して笑顔を作りたい」というキャッチコピーがあります。風船を通じて老若男女すべての方に笑顔を届けたいと思ってます。

現在のコロナ禍では、みんなで盛大にお祝いをするイベントはありませんが、事態の収束を願い観光地、ホテル旅館、レストラン飲食店、あらゆる施設にみなさんが戻って来た際の歓迎を表した【おかえり】文字風船とお互いに感謝の気持ちを表した【ありがとう】の文字風船を製作しております。

早くコロナが終息して以前のような平穏な日々が来るのを心から願うばかりです。

-新型コロナウイルスで環境も生活もいっぺんしましたからね。笑顔が生まれる場所には風船がある、という存在になればいいですね。
街中で【おかえり】と【ありがとう】の文字風船が見られる日常が来るのが待ち遠しいです。

 

■世界初!横浜風船の「和紙風船」

世界初!横浜風船の和紙風船

話は変わりますが、御社にはめずらしい風船がたくさんありますね!

花城さん:はい、いつも喜ばれそうな風船ってなんだろう?を意識しながらさまざまな風船を製作しております。最近はゴム風船よりフィルム風船の企画開発が多く、【おかえり】などのレターバルーン、夜みんなで空に掲揚して回収する【LED付属ランタンバルーン】、犬と猫好きが生じて製作した【ミニバルーン わんこ・にゃんこ・肉球】、水性ペンやクレヨンなどでお絵描きができる風船、叩いたら光る風船などがあります。

池上さん:レーヨン和紙で作った和紙風船も世界初ですね。

-クレヨンで絵が描ける風船も、とてもおもしろいですよね!実際にお話を聞かないと風船について知らないことばかりでした。
では、最後に横浜風船の今後のビジョンを教えてください!

花城さん:欧米や東南アジアに比べて日本国内の風船消費量は非常に少ないのが現状です。

今までにない変わった風船やおもしろい多種多様の風船を世の中に発信して、みなさんの普段の生活の中で笑顔の促進剤としてご利用いただけるような風船をお届けしたいです。

クレヨンで好きな絵を描ける風船

-風船の更なる進化と笑顔の促進剤になる風船を楽しみにしています。本日はありがとうございました。

 

編集部のひとこと

ライター

せいくん

インタビューでは、風船の製造技術を応用してバリア性の高いバルーン素材の飛沫予防の簡易防護服もご紹介いただきました。まさか、風船が防護服に繋がるなんて思いもしませんでした。
今後は思いもよらないところで風船が利用されていることがあるかもしれませんね。

横浜風船ではご用途に応じたオーダーメイド風船も受けております。
こんな風船がないかな?と思ったあなたはぜひホームページから問い合わせみてください。

編集部メンバー

編集長
かなさん

ふたりの子どもがいるワーママ。お酒が好き。とにかく声が大きい。

ライター
せいくん

家事全般、特に料理が得意な新人ライター。気も声も小さい。

ライター
ゆめちゃん

好奇心旺盛。食べ歩きや女子会が大好き。いつもTシャツ。

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