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輝く女性インタビュー

「子育ては大変だったけど、楽しかったね」と20年後に振り返ることができるように!NPO法人さくらんぼの理事長・宮本早苗さんと伊藤保子さんインタビュー

NPO法人さくらんぼの理事長を務める宮本早苗さん(左)と伊藤保子さん(左)

横浜市瀬谷区を拠点とするNPO法人さくらんぼは、職員の方々が少しずつ出資して事業を始めたことから始まり、現在では10種類の事業を展開し活動されています。

事業を始めたからこそ世間が求めていることがわかり、世間が求める声に応えながら自分たちがやりたいことを実現し続けた結果が事業拡大に繋がっているとおっしゃいます。

何ごともゼロから始めることは簡単ではないし、思いがけない壁にぶつかることもありますが、動くことで道はひらかれていくのだと実感したインタビューでした。ぜひご覧ください。

 

聞き手:たいせつじかん編集部

 

■「先のことはそのときまでに考える!」

2年前に理事長に就任された宮本さん

-ホームページを拝見してたくさんの事業を展開されていることを知ったのですが、始まりは何だったのですか?

伊藤さん:1997年に保育室「ネスト」を立ち上げたことから始まります。子どもが大きくなるにつれて子育てに手がかからなくってきましたので、私たちのグループ8人で何か始めてみようよという話になり、自分たちで少しずつ出資して20人規模の保育園を始めました。

-なぜ保育園だったのですか?

伊藤さん:私たちが子育てをしていたころは、専業主婦が多い時代でした。20数年前の当時は男女共同参画社会が推奨されていましたが、現実はまだまだ男性社会であり、女性はパート雇用が多い状況でした。

その状況を少しでも変えたかったので、子どもをおばあちゃんの家に預けるような感覚の保育園があれば、もっと女性が社会に出ていけるのではないかと考えました。

当時の感覚では、一時保育は今ほど市民権を得ていなかったように思いますので、24時間365日つきっきりの子育ては、どれだけ子どもが好きな方でも苦労するものです。

なので、開放的な保育園をやりたいと思い始めたのが、「横浜保育室」です。

-みなさん自分の子どもの子育て経験はあっても、保育室を運営することにかんしては未経験ですよね?

伊藤さん:そうですね。保育未経験の人たちが保育室を始めるというのは本当にめずらしい形でした。

保育室を始める1年くらい前から準備をしていましたが、いざ保育室を始めると現実は事前に想定していたこと以外のことで成り立っているケースが多かったです。

-サービスを提供する側と受ける側のあいだでニーズの相違があったということなんですね。

宮本さん:どういうサービスがあればみなさんに喜んでもらえるか、少しでも子育てにかかる負担を減らすことができるか、というのは今子育てをしている親御さんと直接お話をしていくなかで見えてくることがありました。

たとえば、横浜保育室だと期間は2歳まで、どれだけ融通をきかせても3歳までだし、認可保育園でも5歳までなので、また別のところを探す必要があります。

入園活動もひと苦労なのに、それが仕事をしながらだと余計に大変です。子どもたちもせっかく慣れたころにまったく違う環境へ移るわけですからかわいそうですよね。

さらに、子どもたちの特性に合わせた幼稚園を親御さんだけで探すのは容易ではありませんでしたから、私たちが幼稚園と手を組みお子さんの特性に合わせた選択肢を提供する、そしてその幼稚園バスが保育室に停まって保育室から幼稚園に通うことができればいいなと考え始めました。

-おもしろい試みですね!保育室を続けていくなかで考えられたのですか?

伊藤さん:保育室の入園説明会で「子どもが3歳になったらどうなるんですか?」と質問された方がいまして、スタッフの誰かが「その先のことはそのときまでに考えます」と返答しちゃったみたいなんです。

だから、なんとかするしかなくなっちゃって(笑)。

それとは別に、自分たちでも「ネストキッズ」という預かり保育も始めましたね。

-まさに有言実行ですね!というより、発言することでやるしかない状況に自らが追い込んで実現する、決意表明に近いような気がします。

伊藤さん:けれど、質問をされた方が、「子どもが小学校に入学したらどうなりますか?」と質問されて(笑)。

そのときには私たちも経験を積んでいましたから、じゃあ学童保育も考えましょうねと準備を始めていきました。

 

■必要としている人がいるかぎり

立ち上げメンバーのひとりである理事長の伊藤さん

-親御さんのニーズに合わせて事業を作っていった結果が事業拡大に繋がっていったんですね。事業を拡大していくなかでむずかしかった事業はありますか?

宮本さん:ヘルパー派遣事業は今でもむずかしいですね。

初めて事業を立ち上げてから5年後には保育園も2拠点に増え、ある程度運営資金にも余裕が出てきましたので、保育園以外の領域で新しくチャレンジした事業なのですが、ヘルパー派遣事業は今でもまったく制度がなくて苦労しています。

-それでも続けられている理由はなんですか?

宮本さん:たとえば、コロナ禍での出産で産前産後に実家に帰ることができない、逆に自宅に来てもらうこともできない状況下のなかで、出産者が孤独になってしまう場合があります。

そんなときにヘルパーさんがいたら相談もできますし、他愛もない会話だけでもメンタルケアをすることができます。

そう考えると、必要性のある事業だなとつくづく思います。

現代では、積極的に育児に参加する男性の方も増えていると言われていますが、男性の方も気をつけなければいけません。

お父さんもお母さんも大変ななか育児をするわけなので、そこにヘルパーさんの力が少し加わるだけでゆとりをもてるようになると思います。

子どもがどれだけかわいくても、子育ては手がかかるものだし苦労するものです。これは当然のことなんですよ。

けれど、それが原因で子どものことが嫌いになってほしくはないし、大変さを少し減らしてあげることができれば、子育てを振り返るときに「子育ては大変だったけど、楽しかったね」と思ってもらえるんじゃないかと考えています。

-今では一時預かりの受け入れも増えてきたように思うのですが、一時預かりについてはどうお考えですか?

伊藤さん:一時預かりは、緊急の場合でないと利用しづらいと考えている人も多いかと思いますが、私たちも乳幼児預かり事業を行っていますし、どんどん活用していっていいものだと思います。

たとえば、美容室に行きたいからやお友だちとゆっくりランチをしたいからという理由でもかまわないです。

こんな理由で預けてもいいのだろうかと戸惑われる方もいるかもしれないですが、自分の時間をもつことは大事ですし、安心して預けられることがわかれば預けている時間を長くしてみてもいいと思います。

これは、子育てを放棄しているということでは決してなくて、子育てを有意義な時間にできるひとつの手段だと思います。

実際に利用されている方の顔つきが良くなっていったという報告も受けていますし、これはうれしい誤算でした。

-リフレッシュがあるからがんばれることもありますよね。お話をお聞きしていて、預けることでいっしょにいる時間をもっと大事にしようと前向きな考え方に繋がればいいなと思いました。

 

■昔ではなく今を変える

多岐に渡った事業展開をしている

-さくらんぼが考える理想の子育て像は、どのようなものですか?

伊藤さん:子育てをしているお父さんお母さんが子育てにより心身ともに摩耗してしまったり、自信を失ったりしないような環境づくりが必要だと思っています。

子育ては必ずしもふたりだけでしないといけないということはないですし、おじいちゃんおばあちゃんだけでなく、地域の方々と助け合いながらいっしょに子育てすればいいものです。

社会を変えることは簡単ではないし、昔はこうだったとか、周りではこうしているなど、さまざまな子育ての方法があるかもしれないけれど、大事なのは今子育てをしている当事者であって、その方たちが20年後、30年後に子育てを振り返ったときに「あの時期は大変だったけど、子育ては楽しかったよね」と笑顔で話しくれることを望んでいます。

やっぱり、子どもも好きだし子育ては楽しいものと思ってもらえることが理想ですよね。

-時代が進むにつれて変化していくことは当たり前ですし、昔を変えにいくのではなく、今当事者である人の環境を変えていくことに尽力されているんですね。
では、最後に今後考えられていることを教えてください。

宮本さん:3年前に始めた共生事業で下宿施設の運営をしているのですが、1年目は助走期間、2年目に初めての入居者が入り、今年3年目に初めて入居者を送り出します。さらに、来年4月にはまた新しく入居する方も決まっています。

-本当に幅広いですね!

宮本さん:下宿に関しては女子学生が対象となるのですが、新しく始めた「JIKKA」では学生でないといけないということもなく対象者を絞らずに行っています。

JIKKAは、誰かに行きなさいと言われていくものではなく、自分の意志で行く場所にしたいと思っています。

もし行き場を失ってしまっても、「JIKKAに行けば泊めてくれるらしいよ」という会話が自然に生まれて、とくに若い子どもたちに利用してもらえればいいなと思います。

-わかりました。本日はありがとうございました。

 

編集部のひとこと

ライター

ゆめちゃん

お話をお聞きしていると、ただサービスを提供しているのではなく、利用者さんもスタッフの方々もいっしょになって地域全体で協力しあって子育てをしているんだなと感じました。

もともとサービスを利用していた方がスタッフになられていることもあるそうですから、自分が助けてもらったぶん、ほかの人にも協力したいという思いをおもちなんですね。

どんな些細なことでも気になることがあれば1度相談してみてはいかがでしょうか?

編集部メンバー

編集長
かなさん

ふたりの子どもがいるワーママ。お酒が好き。とにかく声が大きい。

ライター
せいくん

家事全般、特に料理が得意な新人ライター。気も声も小さい。

ライター
ゆめちゃん

好奇心旺盛。食べ歩きや女子会が大好き。いつもTシャツ。

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