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輝く男性インタビュー

箱根寄木細工の技術とその美しさの可能性を追求する露木木工所 4代目露木清高さんのインタビューです。

 

200年近い歴史があるとされる箱根寄木細工は、箱根・小田原地域を中心にその技法を代々受け継ぎ、現在では伝統的工芸品に指定されています。さまざまに異なる材質の木を寄せ合わせて作られた寄木細工は美しく、その繊細さに言葉を失うほどです。

そんな寄木細工の技能師であり、露木木工所の4代目として技術を継承しながら新しい挑戦を続ける露木清高さんのインタビューです。

生活文化の創造をミッションとして活動される露木さんの箱根寄木細工に対する愛情溢れるインタビューとなりました。

ぜひ、お楽しみください。

 

聞き手:たいせつじかん編集部

 

■この地だからこそ栄えた箱根寄木細工

 

-箱根寄木細工とはどのようなものなのか教えていただきたいです。

露木さん:木を寄せて作る工芸品なので、名称は箱根寄木細工です。

-箱根寄木細工と呼ばれるものの定義はあるのですか?

露木さん:伝統的工芸品に指定されていますので、そういった観点からみると伝統的な技法や素材で作っているか否かということで定義はありますが、大きく言えば木を寄せて作っているかどうかということになると思います。

-木を寄せて作るとはどういうことでしょうか?

露木さん:基本的には、木を切って釘などを使わずに接着剤を使って木を寄せて模様を形成して作る工芸品なんですね。

-先ほど、いくつか拝見いたしましたがとてもきれいな模様なので驚きました。では、箱根寄木細工の歴史を教えてください。

露木さん:箱根寄木細工は江戸時代末期に箱根の畑宿で石川仁兵衛さんという方が始めたことが起源とされています。ですので、200年くらいの歴史があると考えることができますね。

小田原は城下町として、江戸期には宿場町として商業も盛えたと言われていますし、そういった歴史的背景から独特な産地形成がなされたのではないか、また、箱根・小田原エリアには1,200年程度の木工の歴史がありそこに箱根の豊富な種類の樹木があったのではないかというさまざまな推測が繋がり、以前から作られていたものが技術的に確立されてきたのだろうと考えています。

-なるほど、この地だからこそ箱根寄席木は工芸品とし日本全国に知られるようになったのですね。
では、御社はいつから箱根寄木細工を作られているのですか?

露木さん:創業は大正15年です。石川仁兵衛さんのお孫さんにあたる方に私の曾祖父が弟子入りしてからですので、正確にはわからないですがかなり前から作っていたのだと思います。そして、私は露木木工所の4代目になります。

-現在、箱根寄木細工を作っている木工所はどのくらいあるのですか?

露木さん:組合に加入しているという観点で数えると10数軒あり、伝統工芸士と呼ばれる方は7名ですね。

-実際にこの数の増減はあるのですか?それとも昔から変わっていないのですか?

露木さん:私の父のころから比べると半分くらいになっていると思いますので確実に減少しています。

しかし、同世代や下の世代では独立して工房をもっている方も数名いますので若手の職人は増えているといっていいと思います。

 

■手作業で作る。同じものはふたつとない。

-では、箱根寄木細工を作る工程を教えていただけますでしょうか?

露木さん:かいつまんでのご紹介となりますが、まずは原材料となる木をしっかりと乾燥させるという作業から始まります。板は、「木」が「反る」と書くほどですからここの作業はとても大切です。

そして、乾燥させた木材を思いおもいの形に細かく切り出していきます。そして切り出したものを寄せ集めていき、さまざまな模様を作っていきます。

切り出した木材の組み合わせでさまざまな柄ができます。

-専用の機械とかではないんですね?

露木さん:そうなんですよね。専用のものではなくあるものを使って職人たちが自分の作りたいものを作ります。

寄せた木材をカンナで削った「ズク」。
まるで1枚の紙のようになったズクは木に貼りつけて使うそうです。 

-ほとんど手作業なんですね。

露木さん:そうなんです。ですから、同じものがふたつとありません。逆に言えば、同じものを作ろうと思っても、作れませんね(笑)。やはり自然の材料を手作業で仕上げますのでどうしても違ってきます。

しかし、これが箱根寄木細工の魅力だと思います。各工房でもそれぞれの特徴があります。ですので、表現の幅が広い工芸品であると思いますね。

 

■技術を突きつめ続け、新しい挑戦をする

露木さんオリジナルデザインの小箱
「マッチングスクエア」

-では、今後のビジョンについて教えてください!

露木さん:まず、大前提として一人前の職人になるということが当面の目標ですね。技術を身につけるまで10年とよく言われますが、10年やっても常に課題が見つかりますから技術に上限はありません。ですから、10年ではまったく足りません。

-常に、課題が見つかるわけですね。

露木さん:そうなんですよね。その課題も、「何をどうすれば解決する」とわかるようなものではありません。日々の積み重ねのなかから答えが見つかるまで探し続けていくような感覚で、課題をクリアしてもその先にはまた別の課題が待っている。こういった課題を一つひとつクリアしていっています。

また寄木細工を作り続けてきた経験と、寄木細工以外から刺激を受けたり体感したりすることによって得られる感性が蓄積されて、それが新しいデザインや表現に繋がっていきます。

その部分を突きつめていくと伝統工芸という枠組みから1歩飛び出した表現もできるようになると思います。日々の追求している箱根寄木細工の技術を落とし込んで新しい表現をしていくということを続けたいと思います。

-なるほど。箱根寄木細工を追求していきながら新しいことに挑戦するということなんですね。

露木さん:私たちは、「生活文化を創造する」という理念を掲げています。生活のなかに何でもいいので箱根寄木細工をひとつ取り入れていただけるようにしていきたいですね。お盆でもいいですし、携帯電話のストラップでもいいです。

-歴史ある伝統工芸品の箱根寄木細工だからこそ、今の時代にそった新しい提案がみなさんに受け入れられるのかもしれませんね。歴史は作れるものではありませんから、そこに代えがたい魅力を感じるのかもしれません。
今日はありがとうございました。

 

編集部のひとこと

ライター

ゆめちゃん

箱根寄木細工の魅力は、ふたつとして同じものを作ることができないということなのだと感じました。工芸品の一つひとつが個性やストーリーをもって語りかけてくるような感覚と、その感覚をもとに選んだものはしっかりと大切に扱おうとする気持ちが生まれる。

大量生産される製品とは違う、人とものの関係性を感じることができました。

そんな箱根寄木細工をぜひ1度お手にとってご覧いただければと思います。

編集部メンバー

編集長
かなさん

ふたりの子どもがいるワーママ。お酒が好き。とにかく声が大きい。

ライター
せいくん

家事全般、特に料理が得意な新人ライター。気も声も小さい。

ライター
ゆめちゃん

好奇心旺盛。食べ歩きや女子会が大好き。いつもTシャツ。

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