生産者インタビュー
- みなさんの顔が見えるから嘘のない商品を届けたい。清川村にある山口養豚場の山口さんと伊藤さんのインタビューです。
2018年8月22日、清川村にてパルシステム神奈川ゆめコープ主催の「神奈川のすくすくパン豚」バーベキュー交流会が開催されました。「神奈川のすくすくパン豚」の生産者である(有)山口養豚場の代表:山口昌興(やまぐちまさおき)さんと場長:伊藤貴徳(いとうたかのり)さんにインタビューしてきました。
「神奈川のすくすくパン豚」は、パルシステム神奈川ゆめコープの組合員限定で購入可能な予約登録商品で、パルブレッド(パルシステムのパン工場)がパンを製造する際に発生する未利用資源であるパン残渣を使った飼料で育てています。資源循環型のしくみを利用した養豚とはどのようなものなのか直接聞いてきました!ぜひお楽しみください。
聞き手:たいせつじかん編集部
代表山口昌興(やまぐちまさおき)さん(右)と場長伊藤貴徳(いとうたかのり)さん(左)
■豚舎は徹底した衛生管理をする
ー本日は、よろしくお願い致します。まず、山口養豚場について教えてください。
山口さん:山口養豚場は、神奈川県愛甲郡清川村にあります。清川村の人口3,000名に対して、飼養している豚は10,000頭近くいますので、豚の方が多いです。(笑)
私たちの農場では、豚の飼い方に特徴があります。
母豚(ぼとん:出荷される肉豚を産むお母さん豚のこと)は、一般的には「ストール」と呼ばれる小さな柵で1頭ごとに仕切り、管理しやすくしています。しかし、私たちの農場では、母豚にできるだけストレスをかけないようにするため、ゆとりあるスペースに群れで飼う「群飼」という飼い方をしています。こうすることで母豚は自由に動くことができます。
肉豚を飼育している豚舎は、太陽の光が入り、風通しがよく常に換気ができるように山の斜面を利用してすべて南向きに作られています。豚は、病気に弱いためこの衛生管理を行う上で、このようなつくりはとても重要です。
ー豚舎の衛生管理にはかなり気を遣われているという印象ですが、いかがですか?
伊藤さん:私たちの衛生管理が特別かどうかはわかりませんが、基本的にやるべきことは徹底していると思います。
山口さん:豚を飼養するうえで一番気をつけなければいけないことは病気です。とくに集団で感染するような病気が蔓延してしまうと、感染しているしていないにかかわらず、すべての豚を処分しなければいけなくなります。しかし、そのようなことがあれば経営面での影響はとても大きくなりますから、衛生管理は徹底しなければいけません。
ー具体的にはどのような対策をされているのでしょうか?
山口さん:4年前から日本に流行したPED(豚流行性下痢)という病気がまだ収束していないため、私たちの農場にこの病気が持ち込まれないように不特定多数の方を養豚場には立ち入れないように制限しています。そのため、組合員の方との交流は、本日のバーベキュー交流会のように別の場所を借りて行っています。
また、食肉処理場へ行く際は、車を2度消毒しその日は農場に入らないなど、養豚家にとって基本的な防疫ルールを徹底しています。
豚舎の清掃消毒は、「オールインオールアウト」という方法をとっています。これは豚舎内のすべての豚が外に出たら清掃・洗浄し、次に入る豚を豚舎に導入します。洗浄を行うの際の消毒は生石灰を溶いて、塗布します。
ーお忙しいなかでここまで衛生管理を徹底されていると大変ですね。
山口さん:小さい農場ではかなり大変かと思いますが、うちは15名のスタッフで対応をしているので徹底できますね。
■「神奈川のすくすくパン豚」の飼料へのこだわりとは
神奈川すくすくパン豚の飼料について説明される山口さん
ーパルブレッドの未利用資源のパン残渣を飼料に使った「神奈川のすくすくパン豚」の生産をしていただいていますが、飼料はすべて自家配合でやられているんですよね?
山口さん:そうですね。離乳食から仕上期の豚まですべて自家配合の飼料を使っています。
「神奈川のすくすくパン豚」の飼料は基本的に、トウモロコシ67%、パン粉が12%、大豆粕が15%、米粉5%、これに塩、ミネラル、ビタミンを含んだ配合です。また、うちの特徴としては、おなかの調整をよくする納豆菌、乳酸菌など整腸作用のあるものを入れます。これにより、においも減らすことができるんですね。
パン残渣は、パルブレッドから発生したパン残渣を乾燥・粉砕したパン粉の状態で毎週約2トン送られてきます。
私たちが一番感心している点は、送られてくるパン粉になるまでの温度管理が徹底されているので、カビの生えたものなどが送られてくることが一切ないことです。通常は廃棄するものですので、管理されていない場合が多いのですが、パルブレッドから送られてくるものはこのようなことがありません。
このように、すばらしい原料を使った飼料を食べていると豚の調子もよくなるんです。
市販されている配合飼料は、成分は保証されていますが原料は保証されていないので、どのような原料をつかって配合された飼料なのかわからないことが多いです。そのため、私たちの農場では「自家配合は手間がかかるし、面倒だから配合飼料を使おう」とは思いません。
ーやはり飼料はとても大切なんですね。
山口さん:そうですね。飼料によって豚の味は変わりますからとても大切です。
ーそんなに影響があるんですね。
山口さん:新鮮なもの、私たちが目で確かめたものを与えるというのが基本です。
■組合員の顔が見えるから正直に向き合いたい
バーベキュー交流会でパン豚を食べていただきました。
ー今日のイベントではたくさんのお子さんにパン豚を食べてもらい大好評でした。わたしもいただきましたが、臭みがなく甘味があってとてもおいしかったです。塩コショウだけで食べることが一番おすすめですね。タレはいりません。
山口さん:組合員から生産者の顔が見えて、生産者からも組合員の顔が見えるパルシステムだから、こちらも正直なものをださないといけないと思っています。だから、素材の味を大切にして召し上がっていただきたいと思います。
ーでは、最後に生産者の立場からメッセージをお願いします。
山口さん:これからはもっと組合員の前に私たちが出向く機会を増やしていきたいと思っています。実際に食べていただく機会を設ければ違いが分かっていただけると思います。
実際にお会いすると、「うちの子はいつもはこんなにお肉を食べないのに今日はすごく食べてくれてうれしい」などお話をお聞きできます。そんな一言が私たちには本当にうれしいです。
伊藤さん:僕らは引き続きがんばって良い豚を作っていきます。徐々にでいいので、多くの人にパン豚の商品が広がっていくように応援してほしいなと思います。
ー本日はありがとうございました。
■「神奈川のすくすくパン豚バーベキュー交流会」参加者の感想をご紹介
生産者と組合員がいっしょに鉄板を囲みました。
「パン豚の生産者のみなさんのまじめな人柄や細やかな管理を知り、パン豚への愛情を感じました」
「とても楽しかったです。いろいろ準備していただいてありがとうございます。いつもは少食な子どもたちが夢中でパン豚をモリモリ食べていたのでびっくりしました」
「娘が生まれてはじめて経験したバーベキューで大好きなパン豚を大変おいしく食べることができました。
車椅子での参加は無理かと思いつつ今回は申し込んでみましたが、多くのみなさんにご協力いただき、おかげさまで貴重な経験ができました。
娘は生産者の方の説明を聴きながらパン豚の資料を熱心に見ていました。大変お世話になりました。みなさんによろしくお伝えください。本当にありがとうございました」
▼「神奈川のすくすくパン豚」の情報はこちら▼
オフィシャルサイト:http://www.palsystem-kanagawa.coop/syouhin/zukan/kanagawa_no_sukusukupanbuta
※パン豚は完全予約販売となります。購入をいただくことは生産者のこだわりの養豚を支えることにもなります!
▼パルシステム未加入の方はこちらからご連絡下さい。▼
http://www.palsystem-kanagawa.coop/service/
■編集部のひとこと
生産者のお話をお聞きする度にそのこだわりにいつも驚きます。しかし、このこだわりも組合員が購入してくれることが前提です。山口さんのお話もありましたが、お互いの顔が見えることで生産者は嘘のない商品をつくり、組合員は安心な商品が持続的に購入できるように応援する=購入するという関係がとても素敵だと思います。
こんなストーリーをひとつでも多くたいせつじかんでみなさんにお伝えできるようにこれからも取材をがんばります。
とてもやさしい気持ちになるインタビューとイベントでした。
編集部メンバー
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ふたりの子どもがいるワーママ。お酒が好き。とにかく声が大きい。 |
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家事全般、特に料理が得意な新人ライター。気も声も小さい。 |
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好奇心旺盛。食べ歩きや女子会が大好き。いつもTシャツ。 |