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輝く男性インタビュー

世界に向けてメイドインジャパンのジーンズを製造、発信する!株式会社サーブ 澤上順二社長インタビュー

株式会社サーブ 澤上社長

神奈川県平塚市で工場をかまえ、世界最大のジーンズブランド 「リーバイス」の日本製ジーンズを専属で製造しているサーブ社は、世界にメイドインジャパンのジーンズを広めようとさまざまな挑戦を続けられています。

国内のジーンズ市場が大きく変化するなかであらたな挑戦は必然だったという澤上社長のインタビューは、世界の市場を見据えた希望に溢れたものとなりました。

ぜひ、お楽しみください。

 

聞き手:たいせつじかん編集部

 

■メイドインジャパンジーンズの復活を直談判

創業期のお話をされる澤上社長

-まず、御社の設立と平塚に工場をかまえている経緯について教えてください。

澤上社長:弊社は、2021年で設立から33年になります。もともとは、リーバイスの倉庫が平塚市にあったことから、そこから近いということで厚木に倉庫を借りて、ジーンズの洗い加工をメイン事業として設立したんです。

-洗い加工とはどのようなお仕事なのですか?

澤上社長:縫製された状態のジーンズに、自然なシワや使い古したときにでる独特の風合いをつけていく作業です。

風合いを入れる作業は、手作業で一つひとつていねいに行われています

-なるほど!店頭に並んでいるジーンズのさまざまな風合いは、御社のような専門の会社が作られていらっしゃるのですね!

澤上社長:そうなんです。そして、設立当初はジーンズバブルと呼ばれていた時代でしたので業績拡大により、より広く、そして洗い加工に必須な地下水の利用が可能である場所を探しているなかで、現住所にもともと工場をもっていた会社が撤退されるということを知り、そのまま私どもがそこに移らせていただき、平塚市に工場および本社をかまえるにかたちになりました。

-今でも、本業はジーンズの加工になるのですか?

澤上さん:そうですね。弊社の強みは加工ですので、そこは変わりませんが、時代の流れのなかで縫製も行うようになりました。

-どういった変化があったのでしょうか?

澤上さん:時代の流れのなかで、リーバイスのグローバルな展開において再編があり、日本国内でリーバイスのジーンズを縫製しないという方針になりました。それにともない、国内で縫製請負をしていた工場が廃業になり、その工場の2工場を買い取ることにしたんです。

-ということは、今はリーバイスの縫製はしていないといことですよね?

澤上さん:いや、そこから米国のリーバイス本社に直接掛け合って、今では、弊社がメイドインジャパンのリーバイスジーンズを作れるようになりました。ですから、世界で販売されているリーバイスのメイドジャパンジーンズは当社が作っています。

サーブ社のリーバイスジーンズ

-御社が、米国のリーバイスにメイドインジャパンのジーンズを作るように直談判したのですか?

澤上さん:そうです。3年くらいかけて、直接プレゼンをしにアメリカ本社に通いました。本社の日本担当の方も協力してくださったのでどうにか作ることができるようになりました。

-想像がつかないのですが、どのくらいリーバイスのメイドインジャパンジーンズを作っているのですか?

澤上さん:年間で約25万点くらいだと思います。アメリカの会社はすごくシステマティックに動きます。そのため、当社が可能な本数以上の発注は来ませんので現状ではこの25万本くらいが上限ですね。うちがもっと作れますよと言えば本数は増えるのだと思いますが、工場の稼働と収益を考慮すると今はこの本数が限界ですね。

-それにしても1度決定されたことを再度交渉しに行くというのは、なかなか大変なことだったのではないでしょうか?

澤上さん:交渉を進めるなかで、リーバイス社内にたくさんの支援者が増えていったのでその方たちの協力が大きかったですよね。また、アメリカの企業なので、白黒はっきりしているので逆にやりやすかったですね。「こうしてほしい」を明確に伝えてくれるので、その要望をクリアすれば基本的にはOKです。そして、事後で「じつは違った」は、ほとんどありませんので基準が明確なんですよね。

 

■世界も認める技術で勝負 

 

-現在御社で作っているジーンズは、すべてリーバイス向けのものなのですか?

澤上さん:7割がリーバイス向けで、3割が国内メーカー向けに作っています。

-国内のジーンズの需要は増えているのですか?

澤上さん:需要本数自体に大きな変化はありませんが、ファストファッションブランドのジーンズのシェアが上がっています。基本的に彼らは製造と販売を自社でやります。ですから、昔に比べるとジーンズ自体の需要は変わっていませんが、どこで買うかという点になると大きく変わりました。業界の構造自体が大きく変化しましたね。

しかし、グローバルの視点で見るとジーンズは成長の余地が大きいと考えていますから、リーバイス社への交渉もそこから考えたことですし、さらには、リーバイス以外の海外ブランドへの発信を強化しています。

加工工場の様子。手作業で行う工程もたくさんあるようです

-ジーンズを作る工程について教えていただけますか?

澤上さん:ジーンズは、最少で20のパーツからなりたっていて、縫製は弊社では53工程ありますが、その中で自動化できているのは裁断とポケットの縫い付けだけです。ジーンズは、種類が豊富ですから縫う作業のほとんどは人の手作業が中心になります。

さらに加工も、独特の風合いは機械ではどうしても出せないので人による手作業で1本1本作っていく必要があります。

-勝手なイメージですが、かなりの工程で自動化が進んでいるものだとばかり思っていました。そうなると、1日あたり作れるジーンズの本数はどのくらいなのですか?

澤上さん:弊社ですと1日で700本が上限ですね。人による作業が中心ですので、本数を増やすために、工場を拡張すればいいという問題ではなく、技術をもった人を増やさなければいけないという問題あります。

 

■厳格なルールが世界で戦えるちからをくれた

-御社が世界に挑戦するなかで大切にされていることはありますか?

澤上さん:他社にはまねができないものと作り続けることですね。縫製も加工もしっかりと手間をかけて行っていますので、さまざまな要望にこたえることができますし、さらに誰もまだやったことがないようなことにも挑戦できる体制になっていますので、新しい挑戦を続けていきたいです。

-では、海外で挑戦が続けられている要因はどこにあるとお考えですか?

澤上さん:当社はリーバイス社との取引が長いため、海外ブランドが求めてくる基準をすでにクリアしています。ここは、かなりアドバンテージだと考えています。

-どういった基準なのですか?

澤上さん:たとえば、年に1度実施される工場の監査です。

日本では考えられないですが、小さい子どもが働いていたり、給与がしっかりと支払われていない工場も海外にはありますからそういったことを含めた人事労務面から、環境に良くない染料の使用有無の確認、排水の処理のしかたを含めた環境に対する考え方など広範囲で厳格なクオリティを維持しなければいけないです。

あと当然ですが、納品するジーンズに対する品質ルールですね。「cm」単位で厳密に確認が入りますので手を抜くことはできません。

しかし、当社はこういった基準を守りながら運営を行ってきました。この考え方がベースにありますので、ここ数年で日本を含めた世界のさまざまなブランドが、このような基準を求めるようになってきたことに対して、とくに抵抗なく対応できています。

-これまでの経験が世界で戦える理由を作ってくれているということですね!最後の質問ですが今後の御社のビジョンを教えてください。

澤上さん:日本のマーケットだけを見てしまうと、ジーンズの市場は減少傾向にありますので、しっかりとヨーロッパやアメリカに向けての発信を強めようと思います。

そのための1手として、昨年よりアムステルダムにショールームを作り、ヨーロッパ向けに発信しています。

その結果として、何社かヨーロッパの方でもオーダーをいただけるようになってきましたので、継続していきたいです。

私たちが入り口となり、生地メーカーさんなど日本のみなさんといっしょのチームとして世界に挑戦していきたいですね。

 

編集部のひとこと

ライター

ゆめちゃん

平塚から世界に挑戦しているサーブ社の澤上さんのお話は、希望に溢れていました。日本の高いクオリティで世界に勝負するというストーリーはテレビをとおしてよく耳にするフレーズです。しかし、実際に挑戦している企業のお話を聞いて、そのクオリティの維持がどれだけ大変であるかを目の当たりにし、だからこそのクオリティに価値があるのだと知りました。

世界の誰かが日本製のジーンズを履いていると想像し、壮大なストーリーに胸が震えるようなインタビューとなりました。

編集部メンバー

編集長
かなさん

ふたりの子どもがいるワーママ。お酒が好き。とにかく声が大きい。

ライター
せいくん

家事全般、特に料理が得意な新人ライター。気も声も小さい。

ライター
ゆめちゃん

好奇心旺盛。食べ歩きや女子会が大好き。いつもTシャツ。

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