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輝く女性インタビュー

【後編】AsMama「子育てシェア」の開発秘話を大公開。さまざまな困難を乗り越えて実現したサービスの全容にせまります。甲田恵子さんインタビュー

利用者数が5万人を超える話題の株式会社AsMamaの「子育てシェア」。地域で子育てをシェアするというサービスを多くの方が利用するようになるまでのストーリーと今後のサービス展開、AsMama甲田恵子社長が次に見据えるビジョンなどをうかがってきました。サービス立ち上げ当初から熱すぎる情熱と現実とのギャップに挑み続けるAsMamaの痛快ストーリーをお楽しみください!

前編はこちら:http://www.taisetsujikan.com/?p=231

聞き手:たいせつじかん編集部

アズママ甲田恵子さん

■スタートから1年目に大きな挫折をあじわった

ー誰もが好きを生かして子育てを頼りあえるプラットフォームを作りたいという想いを創業時から持っていたというお話でしたが、まずはどのようなことから始めたのですか?

甲田さん:はじめは、ママたちを中心にご近所のつながりができる出会いの場としてイベント開催からスタートしました。当初は会社というよりも市民活動のような感じでした。

また、子育て世帯が送迎や、託児の依頼を書き込める掲示板を立ち上げてそこで直接コミュニケーションをとってもらったりもしていました。

しかし、このようなことを1年続けても、思うように収益が上がりませんでした。

ーイベント開催と掲示板の運営だけでは収益をあげられなかったんですね。

甲田さん:そうですね。“子育てを頼りあえるプラットフォームはたくさんの人を笑顔にできる”という明確なビジョンを実現するためにがむしゃらに続けていましたが、このころになると自分自身でも、もしかしたら思いと収益性の両立実現は難しいのかもしれないと思いはじめてしまい、自信が揺らいできました。

ーなるほど。明確なビジョンの実現はそれほど甘いものではなかったということですね。

甲田さん:そのタイミングで、創業当時13名いた社員が11名も退職してしまったということも重なり、弱気になった時期でした。

きっかけは、私自身が、ビジョン実現のためにみんなを引っ張ってきていたのに、急に弱気な発言をしてしまい、みんなを不安にさせてしまったんです。

「今ならやめても誰も困らないし、潮時なのかな」と思ってしまいました。

■折れかけた心を支えたのも、やっぱり対象者たちの声だった。

子育てシェアの誕生秘話をかたる甲田社長

ー1年目に存続のピンチがあっても、なぜやめなかったのですか?

甲田さん:最後にもう一度、みんなの声を聞いてみようと思い、街頭で子育て中の人たち1,000人にインタビューを行うと決めたんです。

当時、起業塾に参加をしていて、そこで宣言をしてインタビューを開始したのですが、これもうまくいきませんでした。インタビューってみんなそう簡単に受けてはくれないんですよね。

ー確かに、インタビューの依頼をされることはありますが、私もお断りするかもしれませんね。

甲田さん:そうなんです。開始当初はまったくインタビューが集まらなくて、起業塾のメンターの方に相談したときに「甲田さんって意外と根性ないですね」と言われました。

この一言で、もう一度、1,000人にインタビューをすると心に誓い、1,000人インタビューをやり切りました。この時は、絶対に負けてたまるかって思いましたね。

―甲田さんの心に火をつけたこの一言はすごいですね。

甲田さん:とてもやさしい口調でしたが、火がつきました!

そして、この1,000人のインタビューをやり切ったことで、「やっぱりみんな困っているんだ」と再認識しました。

ー1,000人の声を集めたら、甲田さんが実現したかったことをみんなが求めていると再度自信を強めたんですね。

甲田さん:1,000人に聞いたら、1,000通りのニーズがあったんです。たくさんの預けたい人もいるし、たくさんの預かりたい人もいることがわかりました。

1,000人のニーズを聞いたら、これはどうにかしなければいけないって心から思いましたし、必ず両者をマッチングさせるサービスを実現をさせたいと思いましたね。

■保険を作ってもらえるまで帰りません

ー自信を取り戻して、再始動ですね?

甲田さん:そうですね。そのころには、掲示板の利用者が3,000名を超えていて、さらに1,000名分のインタビュー結果から、子育ての頼りあいを多くの人たちが利用するには3つの課題をクリアする必要があるという仮説がありました。

▼知らない人に依頼内容が見えてはいけない▼

だれにでも依頼内容が見えてしまうということは、どこの幼稚園に通っているとか、何時にひとりでお留守番をしているという個人情報や知られたくない情報が見えてしまうというセキュリティ面での課題がありました。また、ほとんどの親は顔も知らない人にお願いをすることに不安があるということがわかり、オープンなツールではだめだと考えました。

▼支援する側、される側、両方の心理的・経済的な負担が軽減されなければいけない▼

一般的に、急な送迎をお願いしなければならなくなった時は、短時間に複数の方に連絡をして都合がつく人を探し、解決したあとは、みんなにお礼の連絡をする必要がありました。

また、仮に、依頼しなければいけない事態が立て続けに起きてしまった時などは多くの親は精神的に追い込まれてしまいがちで、多くは、親が何かをあきらめてしまいます。こういった、お願いをする側の心理的な負担を軽減する必要がありました。一方、お願いをされる側も都合がつかず断らざるをえない時の罪悪感や何かトラブルがあったときの不安を感じていました。こうした双方の負担を軽減することが必要でした。

さらに、支援者へのお礼については、経済的に負担がありすぎても利用できませんが、無料でもお願いしづらいという問題があります。だからといって、何かモノを持っていこうかと考えると、今度は何が良いかを散々迷うという心理的な負担にもなりますよね。お礼はするほうも、もらう方も大変気を遣いますので、。お互いが気持ちよくやりとりができるようにしなければならないと考えました。そこで、双方に気兼ねない対価について聞き込み調査を行ったところ「1時間500円」とのことだったので、原則ルールとしてそのように設定した、という背景があります。

▼万が一の時の十分な保険が必要▼

最後に、万が一何かがあったときに、だれが責任をとるのかということを解決する必要があり、これには保険が不可欠でしたので、是が非でも保険適応を実現しなければいけませんでした。

保険以外の課題は、出会いの場づくりとITを使って解決できると思っていましたが、保険適応の実現が非常に困難でしたね。

ーこの考えから、今の「子育てシェア」のサービスの全体像が描かれていくのですね。しかし、保険はどのように実現されたのですか?

※「子育てシェア」サービス概要は前編をご覧ください:http://www.taisetsujikan.com/?p=231

甲田さん:はい、今考えても果敢な挑戦だったと思います(笑)。まずは、保険会社に「子育てシェア」のサービス概要を説明し、保険を作っていただくようお願いにまわりました。

100社以上はまわったと思いますが、すべてダメでした。興味があると聞けばどこでもいきましたね。九州まで行って、数分で帰らされるなんてこともありました(笑)

まったく手掛かりがない中で、前職の頃にお世話になった保険会社の方と再会できる機会があり、まさに、私にとっては蜘蛛の糸が下りてきたような希望でした。

このチャンスを逃したらもうあとはないと思い、その方のもとへ通い続けました。熱くビジョンを語り、「保険を作ってくれるまで帰りません」と、直談判を続けました。

そのうちに、先方も徐々に興味を示してくれるようになり、そこから、「子育てシェア」の現場をみていただいたり、利用者の声を聞いていただいたりしながら保険適応に向けて具体的に動き出していただけて、2013年の4月に保険の適応が実装できたんです。

ーすごい!甲田さんの情熱が保険会社を動かしちゃったんですね。

甲田さん:情熱というより使命感に近い気もします。いつでも助けてくださる人がいてこそ、課題が解決できているなぁと、これまでを振り返っても思います。

でも、当時の保険会社のご担当者様には本当にご迷惑をおかけしました。(笑)

ー甲田さんのパワーに圧倒されたんですね(笑) では、この保険適応がかなってから一気にサービススタートに動くわけですね?

甲田さん:はい、同時期にアプリの開発を並行して行い、2013年4月に「子育てシェア」をリリースしました。ここからは、さまざまな賞をいただいたり、メディアに取り上げられたりしていきました。創業して約4年目にしてようやく潮目が変わってきましたね。

■世の中の困っていることを解決し続けたい

今後のビジョンについて語る甲田さん

ー最後に今後の御社のビジョンを教えてください。

甲田さん:「子育てシェア」については、さらに多くの方に、ほかの子育て支援サービスと併用してご利用いただき、それぞれの興味関心や得意分野をもっと生かしてイキイキ活躍されるためにご利用いただけたらいいなと思います。

そして、その先の未来としては、世の中の困っていることを解決するサービスをもっと創りたいと思います。具体的には、高齢者にフォーカスをしたサービスなどを考えています。

また、日本だけでなく世界にも挑戦ができたらいいなとも思います。

ー甲田さんの夢は続くんですね。本当に甲田さんのパワーはすごいですね。とても楽しいお話でした。本日は、ありがとうございました。

 

編集部のひとこと

子育ての頼りあいができる社会を実現するために尽力されているAsMama社と甲田さんのお話は、とてもパワフルでエキサイティングでした。常に困っているママやパパ、支援希望者の方たちの声を支えに実現された「子育てシェア」。これからもサービスの改善を続けていかれるということですので、まだ利用をしたことがないということはぜひ使ってみてはいかがでしょうか?

個人的には、保険適応を実現されたお話をお聞きしているときに甲田さんの「子育てシェア」を実現させるんだという強い信念を感じ、驚きを通り越して感動しました。

みなさんの「好き」を生かせる社会になったらもっと楽しい社会になるんだろうと思います。

▼AsMamaの情報ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

AsMamaオフィシャルサイト:http://www.asmama.co.jp/

子育てシェアサービスサイト:https://kosodate-share.asmama.jp/

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編集部メンバー

編集長
かなさん

ふたりの子どもがいるワーママ。お酒が好き。とにかく声が大きい。

ライター
せいくん

家事全般、特に料理が得意な新人ライター。気も声も小さい。

ライター
ゆめちゃん

好奇心旺盛。食べ歩きや女子会が大好き。いつもTシャツ。

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