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輝く男性インタビュー

お互いを認め合い、もてる力を発揮できる社会をめざす!大和市国際化協会 石川和友さんインタビュー

大和市国際化協会 石川和友(いしかわかずとも)さん

2020年12月末時点で、神奈川県大和市には81カ国7,238人の外国籍の方が住んでいます。そんな大和市で、外国人市民の社会参加と市民の相互理解促進を目的とした事業を展開する大和市国際化協会の石川和友さんに現状、そしてコロナ禍をとおして見える未来についてお話をうかがってきました。

私たちにもできることがたくさんあるのではないかと考えさせられるインタビューとなりました。ぜひ、お楽しみください。

 

聞き手:たいせつじかん編集部

 

■外国人市民が多く住む大和市

活動内容について話す石川さん

-大和市国際化協会の活動内容を教えてください。

石川さん:たくさんありますが、外国人市民の自立と社会参加への支援と、市民の相互理解および国際化推進活動の促進のふたつに分けられます。

-神奈川県内のほかの市町村にも同じような活動をされている組織はあるのですか?

石川さん:公益財団法人として立ち上がっているのは、横浜市と川崎市にあります。横須賀にはNPOがありますが、それ以外はすべて任意団体です。

大和市のように20万人規模の自治体が外郭団体を作り地域の国際化を進めるケースは少ないのではと思います。

-大和市がそのような活動に力をいれている理由は、外国籍の居住者が多いからですか?それとも、歴史的な背景などがあるのでしょうか?

石川さん:そうですね。理由は両方あると思います。

まず、大和市は外国人市民の数が県内で5番目に多く、その半数は長くくらしている永住者です。さらに、多様な国籍の方が住んでいらっしゃることも特徴です。

そして、歴史的な背景もあります。

ひとつは、市内にアメリカ海軍の厚木基地があること。もうひとつは、1980年から1998年にかけてインドシナ難民の受け入れ施設「大和定住促進センター」が、市内の南林間にあったことです。そこでの研修をおえた難民の方の多くはいちょう団地など、公営住宅に入居することが多かったようです。今でもいちょう団地の20%程度は外国人市民の方と言われています。

そして、そのあとは大和市ではペルーの方が多いのですが、南米の日系人がデカセギ労働者として家族といっしょにくらすようになり、近年は全国的な傾向と同じで留学や技能実習で来日し、生活している方が多くなっています。

 

■外国人にとっての壁

さまざまな言語で情報提供されています。

-外国人の社会参加、また市民同士の相互理解の促進において現状で障害となっている課題はどのようなことがあるのですか?

石川さん:制度・言葉・心の壁と表現されることが多いですが、制度と言葉の壁がとても厳しいと思います。

-言葉と心については想像がつくのですが、制度ではどのような壁があるのですか?

石川さん:もっとも大きい壁は、在留資格ではないかと思います。外国人の場合、在留資格がないと日本での滞在や就労が認められません。とくに技能実習の場合は原則として転職できないしくみになっているため、コロナ禍で収入がなくなったり、帰国できなくなったりして生活困窮する方が急増しました。

昨今では、在留資格をもたない外国人を収容する入国管理局の施設で病気が悪化したり、亡くなったりする方がニュースで取り上げられており、人権上の問題になっています。

在留資格のことで窓口に相談に来る方は多くないのですが、日本で生まれ育った人でも両親が外国人で在留資格がなければ、国から国外退去を命じられる事例も出ています。

在留資格については日本人だと意識することすらありませんが、外国人市民の多くは何かと気をもんでいるのが現実です。

-在留資格についてのニュースは目にしていましたので聞いたことはありましたが、それほどまえに外国人市民にとって壁になっているとは知りませんでした。

石川さん:そうですよね。そして、言葉の壁があります。

日本語は、発音自体はそれほどむずかしいものではないようです。そのため、聞く、話すということについては、ある程度の習得は可能であるようです。しかし、書く、読むとなると、そうはいかず、漢字の習得となると相当なハードルになっていると思います。

このことを頭においてお考えいただければと思いますが、市役所などの行政場面で提出する書類に記載のある日本語は、日本人でもあまり使わない漢字があったり、使わない言い回しがあったりしますよね。

行政としては法律や制度について正確に伝える使命があるのでしかたない側面もありますが、日本語が母語ではない外国人市民にとっては厳しいですね。

-本当にそうですね。とてもよくわかります。

石川さん:ですので、最近では「やさしい日本語」という考え方が広まってきています。しかし、まだまだ行政手続きの場面までは広がっていないので進めていきたいです。

実際に、「やさしい日本語」は外国人だけでなく高齢者にも好評なようですから、相手に届く、伝わる手段や方法のひとつとして有効であると思います。

そもそもアメリカやヨーロッパでは、移民に対する公的な言語習得プログラムを実施している国が多いようなのですが、日本ではまだ制度設計が整っていない状況です。

そして、学校現場でも言葉の壁が課題となっています。日常会話の習得はそれほどむずかしくないようですが、教科書を読んだり、問題文を解いたりする学習言語と言われる日本語力を習得するのは子どもでも長い年月がかかるようです。文化的背景も異なり、学校の先生は日本語教育の専門家ではないので教える側もたいへんだと感じます。

大和市では、来日した子どもに対して学校に編入する前に4週間のプレクラスを用意していますが、それだけではなかなかむずかしいというのが現状です。

 

■力を合わせてより良い社会を作るチャンス

大和市の外国人市民の数

-では、今後のビジョンについて教えてください。

石川さん:外国人か日本人かの違いにとらわれず、その人の個性に着目してもっている能力が最大限生かされるような地域環境を作りたいです。

お話したように課題も多いですが、いろいろな方がいる地域というのはそれだけ活力も生まれると考えています。

ですから、地域のみんなが活躍できる社会になるといいなと思いますし、たとえば当協会では日本語ボランティアの登録数が増えていて、1対1で外国人市民の日本語学習をサポートしています。

仕事があるので土日、夜間しかできないけれどボランティアをしたいという方やシニアで海外での生活経験がある方、そして、主婦の方ですね。近くに住んでいる外国人のお母さんがたいへんそうで、困っているように見えるから日本語のボランティアをしたいと希望される方もいます。

-課題、問題は多いですが足元では少しずつ変化の兆しがあるのというのはすばらしいですね。

石川さん:そうですね。外国人学習者と日本語ボランティアのやりとりを拝見していると、地域の国際化が着実に進んでいることを実感します。

 

編集部のひとこと

ライター

ゆめちゃん

近くにいる外国人の方に生活するうえでさまざまな壁があるとは、想像していませんでした。しかし、こういった社会課題に対して活動している方へのインタビューでいつも思うことは、課題は大きいが変化が見られているということです。そして、ボランティアに支えられているということ。

いろいろな人の思いで動く地域社会のすばらしい発展を少しでもあと押しできればと思いました。

編集部メンバー

編集長
かなさん

ふたりの子どもがいるワーママ。お酒が好き。とにかく声が大きい。

ライター
せいくん

家事全般、特に料理が得意な新人ライター。気も声も小さい。

ライター
ゆめちゃん

好奇心旺盛。食べ歩きや女子会が大好き。いつもTシャツ。

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