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お出かけスポットインタビュー

自然を感じながらアートを楽しむ!横須賀美術館 学芸員・立浪佐和子さんのインタビュー

横須賀美術館の学芸員・立浪佐和子さんインタビュー

横須賀美術館 学芸員の立浪佐和子さん

横須賀美術館は、観音崎の自然を背に東京湾を望む場所にある人気の美術館です。アート作品だけでなく、美術館自体の建築様式や美術館から見える絶景など魅力に溢れ、見どころ満載の横須賀美術館について、学芸員の立浪佐和子さんにお話をうかがってきました。

日常のなかにいろどりを添えてくれるすばらしい美術館です。ぜひお楽しみください。

 

聞き手:たいせつじかん編集部

※取材は、2020年12月に実施したため展示作品はそのときのものとなりますので、展示が変わっている場合がございます。

 

■外観と一体化した美術館

横須賀美術館の設立経緯について話す立浪佐和子さん

-横須賀美術館は、どういった経緯でつくられた美術館なのですか?

立浪さん:2007年に横須賀市制100年を記念して開館しました。県立観音崎公園の敷地内に建てられている横須賀市立の美術館です。

-自然に囲まれて、さらに目の前には東京湾があるというすばらしい立地ですね。

立浪さん:そうなんです。目の前は海、左右と後ろが公園ということですごく自然に恵まれた美術館です。とてもすてきな立地なので美術館だけでなく周りの風景、環境を楽しんでもらおうというコンセプトで作られていて、建物自体もとても工夫されたつくりになっています。

横須賀美術館の建て物と自然が見事に融合している

観音崎公園の緑を背にする横須賀美術館。建て物自体がとてもすてきです。

横須賀美術館の目の前には東京湾が広がっており、房総半島も見える

横須賀美術館から見た東京湾。天気が良く房総半島がすぐそこに見えます。
芝生に設置された作品は「倉重光則+天野純治展」(2020.11.11〜12.25)の出品作で、倉重光則《EBE》2020年

-建て物は、地下2階地上2階建てになっているんですね。

立浪さん:この自然の中に背の高い建て物があったら景観を壊してしまいますし、景観と一体化した外観を保つために半分が地下になっているんです。

-なるほど、ほかに建て物自体で見てほしいところはありますか?

立浪さん:この建て物はいくつも見どころがありますが、いちばんの見どころは自然を感じていただける解放的な空間になっており、各所で周囲の環境とリンクしたつくりになっているところでしょうか。

館内の各所に大小の丸穴があり、外の光を取り入れるようになっています。

丸穴からは外の景色が見えます。 

―確かに、外の光をとても感じられますね。

立浪さん:そうなんです。これにも仕掛けがあって海が近いので塩害対策が必要ですし、展示品を守るためには光の調整が必要です。

そのため、横須賀美術館ではガラスと鉄板によるダブルスキン構造を採用しています。外側はガラスにして塩害から建て物を守っています。光を制御したい場所の鉄板には穴を開けないようにするなどして外の光を調整しながら館内に入れるんです。それが先ほどお話した丸穴なんです。

-なるほど、そうすることで外の光を感じながらアート作品を楽しめる空間を作っているんですね。だから、ほかの美術館と比べて解放的な印象があるんですね!

 

■企画展や美術を楽しむためのさまざまな普及活動も行う

横須賀美術館は館内にも拘っている 

とても印象的なエントランス 

-企画展などは実施されているのですか?

立浪さん:1年に6回の頻度で企画展を実施しています。企画展は、学芸員同士でディスカッションして、内容を決めています。

-どういった視点で企画を考えるのですか?

立浪さん:ひとりの作家を紹介する展示会や、テーマを決めていろいろな方の作品を紹介する展示会などさまざまですが、見てみたいと思っていただけるような魅力のある内容にしたいということがひとつです。また、たとえば「わかりにくい」と言われがちな現代アートの展示会であっても、そのおもしろさを感じてもらったり、来ていただいた方に何かメッセージを受け取っていただけるようにしたいといつも考えています。

むずかしく考えることなく、作品と向き合ううちにメッセージを受け取っていただけたり、自分なりの見方や楽しみ方が見つかるような企画展であればいいなと思いますね。

また、当館では美術をより楽しんでいただくために教育普及活動にも力を入れています。

たとえば、小中学生のための美術館鑑賞教室や、お子さま向けのワークショップなど幅広く活動しています。

感染症対策のため、来館型の事業は数が減っていますが、代わりにWEBで楽しむことができるコンテンツを用意しているので、ぜひ美術館のホームページなどでご確認いただきたいですね。

 

■近現代の作品を楽しむ

横須賀美術館の館内

ゆったりとした空間に展示があり、とても落ち着いた雰囲気です。 

-所蔵されている作品について教えていただきたいです。

立浪さん:所蔵は約5,000作品あり、明治以降の、近現代の日本人作家の作品が中心となります。

所蔵品展は、だいたい明治初期の作品からはじまります。回廊式のギャラリーや展示室を見ていくと、明治から現代にいたるまでの美術の流れを感じることができます。展示室では、特集を組んで、所蔵品の新たな魅力をお伝えしたり、地域ゆかりの作家をご紹介したりするなどしています。

谷内六郎の作品が表紙になった「週刊新潮」

-別館に谷内六郎館がありますが、どのような由縁でこちらにあるのですか?

立浪さん:谷内六郎さんは東京生まれですが、この近くにアトリエをもっていらっしゃったことが縁となり、ご遺族から作品を寄贈いただきこちらの展示館があります。

-谷内六郎館の魅力や見どころなどを教えてください。

立浪さん:谷内六郎さんは週刊新潮の表紙絵を26年間に渡り担当されたので、約1,300点の原画が残されています。

それらにはかわいい子どもたちが、想像力を巡らせて遊んでいる様子や、イタズラして怒られている様子など、いきいきとした姿が描かれているんです。

また、当時の四季折々のくらしぶりも描かれており、六郎さんと同じ時代に生きた世代の人は懐かしさを感じるでしょうし、そうでない世代の人でも、共感できる作品となっています。

親子もしくはおじいちゃんおばあちゃんと見ていただいても、みんなが楽しめる作品が多いと思います。

-では、最後に立浪さんから見た横須賀美術館の魅力を教えてください。

立浪さん:横須賀美術館は、海側と山側の両方に入口がありますので、海や公園で遊んだついでにふらっと寄ることができるようになっています。お気軽にお立ち寄りいただき、この自然と一体化した美術館で美術作品とふれあっていただければと思います。

きっと新しい美術作品との出会いがあると思います。

図書室で美術関連の書籍にふれたり、併設のミュージアムショップやイタリアンレストランもあわせてゆったりとした時間をお過ごしいただければと思います。

 

編集部のひとこと

ライター

ゆめちゃん

横須賀美術館は、美術作品だけでなく建て物自体もすばらしいですし、とにかく景色がすばらしいです。立浪さんもおっしゃっていましたが、無理にわかろうとせずに目の前にある作品にフラットに向き合うことができる美術館だと思います。

そうすると不思議と自分なりの「好き」が見つかるような気がします。

忙しい毎日の合間に、リフレッシュも兼ねた横須賀美術館へのお出かけはおすすめです!

編集部メンバー

編集長
かなさん

ふたりの子どもがいるワーママ。お酒が好き。とにかく声が大きい。

ライター
せいくん

家事全般、特に料理が得意な新人ライター。気も声も小さい。

ライター
ゆめちゃん

好奇心旺盛。食べ歩きや女子会が大好き。いつもTシャツ。

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