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輝く男性インタビュー

性的マイノリティの人々が自然に生活でき、周囲もきちんと理解できる社会をめざして!居場所づくりと啓発活動に励む特定非営利活動法人SHIPの代表 星野慎二(ほしのしんじ)さんに性的マイノリティの社会問題についてインタビューしてきました。

特定非営利活動法人SHIPの代表 星野慎二さん

特定非営利活動法人SHIPの代表を務める星野慎二さん

2014年のオリンピック憲章の改訂にともない急速に広まっていった「LGBT(Q)」という言葉。1度は目にしたり耳にしたりしたことがあるかもしれませんが、きちんと意味を理解している人はそう多くないのではないでしょうか?

一般的に性は「男」と「女」のふたつに分けて考えがちですが、これは生まれつきの「からだの性」(戸籍上の性)で決められています。しかし、性には「からだの性」のほかに、自分が感じる「心の性」、恋愛対象で「好きになる性」、自分の性をどのように表現したいかという「性別表現」の4つの要素がありますので、性は人それぞれ違います。

同性が好きな人や自分の性に違和感を覚える人、または性同一性障害をもっているいわゆる性的マイノリティの人たちが自然に生活できる社会をめざして活動する星野さんに、性的マイノリティの現状や課題についてお話をお聞きしてきました。

このお話が多くの方に関心をもってもらえるきっかけになるとうれしいです!

 

聞き手:たいせつじかん編集部

 

■性的マイノリティで悩む人たちを孤立させないために

性的マイノリティについて詳しく説明する星野さん

-最近になって「LGBT(Q)(=以下、LGBT)」という言葉を目にしたり耳にしたりする機会が増えてきたなと感じるのですが、私自身理解できているようでできていないというのが正直な気持ちです。
今日は星野さんのご活動内容や性的マイノリティにかかわる問題についてお話をお聞きしたいと思いますが、その前にLGBTの定義を確認させてください!

星野さん:LGBTは、レズビアン(L:女性が好きな女性)、ゲイ(G:男性が好きな男性)、バイセクシャル(B:男女両方が好きになる人)、トランスジェンダー(T:自分のからだの性に対して違和感がある人)の頭文字をとった言葉からできています。

そして、新しくクエスチョニング(Q:自身の性自認や性的指向が定まっていない、もしくは意図的に定めていない)が追加されました。これは別名、Xジェンダーとも呼ばれています。

ここ最近目にしたり耳にしたりする機会が増えてきたのは、2014年12月にオリンピック憲章が1部改訂されたことが大きく影響していると思います。

オリンピック憲章のオリンピズムの根本原則に、「人種、肌の色、言語、宗教などで差別をしないように」と記されているのですが、そこに「性的指向」が追加されたんです。

-性的指向とは、どの性に好意をもつか、ということですか?

星野さん:そうです。性的指向とは、恋愛や性愛の対象とする「方向」を指し示すものです。

オリンピックが動き出したことにより、日本国内でも国や自治体をはじめ、一般企業やメディアが動き出し「LGBT」という言葉が急激に広まっていきました。

-なるほど〜。では、星野さんも2015年あたりからこの活動を始められたのですか?

星野さん:いえ、私が本格的に活動をスタートさせたのは2002年からです。

-19年前になるんですね!きっかけは何だったのですか?

星野さん:当時、私も自分の性について違和感を感じていたのですが、自分がゲイなんだと気づいたのは高校を卒業してからでした。

私の場合、恋愛対象が同性に向くことで周囲との違和感を感じることはありましたが、早い時期から同じ仲間との出会いがありましたので、深く悩むことはありませんでした。

しかし、人によってLGBTの人たちはさまざまな悩みを抱えたり孤立したりしてしまうことから自己肯定感が低くなり、自傷行為に及んでしまう人たちもいます。

そして、2000年に新木場の夢の島公園での事件がきっかけで、私も同性愛者や人権について考えるようになり、LGBTの人たちが孤立しないための居場所を作ろうと活動を始めました。

-具体的にどのような活動をされているのですか?

星野さん:ここではコミュニティ支援と健康支援、あとは行政や教育機関とのネットワークづくりを行っています。

コミュニティ支援では同じ仲間たちが自由に集い情報を得ることができる場所の提供、健康支援ではHIVの検査と電話相談、それから対面のカウンセリングを行っていて、ネットワークづくりでは講演活動や学校などへの資料配布を行っています。

-ちなみに日本のLGBTの割合はどのくらいなのでしょうか?

星野さん:だいたい20人に1人で3〜5%とされていますので、みなさんの学校や職場、もしかしたら家族の中にもいるかもしれませんが、一般社会の偏見や差別のなかで自らのことを隠しているんです。

-そんなに多いんですね。想像よりも多くて驚きました!こちらではおもに、LGBTの人たちの居場所づくりや相談窓口としての機能をもっていらっしゃるとのことですが、まだオープンにできていない人たちは感覚値としてどのくらいいると感じますか?

星野さん:むずかしいところですね。調査で言うと、親にカミングアウトしている人は22%、職場などでカミングアウトしている人は27%ですので、多いとは言えないですね。

-だいたい70%くらいの人が周りに言えず抱え込んでしまっているんですね。私が知らないだけで学校の同級生のなかにもそうやって悩んでいる人たちがいたかもしれないですね。

 

■性別の決めつけをなくすことが重要

星野さんがSHIPで活動を始めてから19年が経つ

-実際に活動を始められてから19年が経ちますが、そのなかで見えてきたものがたくさんあるだろうと思うのですが、現状として世界から見た日本のLGBTへの取り組み具合はどのくらいのものなんでしょうか?

星野さん:まだ遅れている方かなと思います。というのも、アメリカやオーストラリア、南米やヨーロッパなど29カ国では同性の婚姻が認められています。

そのいっぽうで刑罰を受ける国もあるのですが、日本は特定の法律がありません。罰せられることもなければ同性婚も認められていません。

-どっちつかずになっているんですね。

星野さん:そうです。ただ、LGBTに対する日本の意識も2015年をきっかけに徐々に変わってはきていると思います。日本で同性婚は認められていませんが、国内では約70の自治体において、同性パートナーのふたりの関係を証明するパートナーシップ宣誓制度を始めています。

-でも、少しずつLGBTに対する意識が変わってきたとはいえ、周りに言えず悩みを抱えながら生きている人たちはたくさんいらっしゃるんですよね。星野さんが活動をとおして変えたいと思うことはどんなことですか?

星野さん:男女の性差別ですかね。やっぱりこれが根底にあって、それによってLGBTの人たちが生きづらさを感じていると思います。

たとえば、生まれたときの性別は男性、心の性が女性という方が、性別適合手術を受けて見た目も女性に変わったとしても、女性の更衣室やトイレを利用してほかの女性から拒否されることがあるんですね。

それはなぜかというと、性被害は女性が男性から受けるものが多いということが現実としてあって、それと同じように扱ってしまうからなんです。もともとは男性でしょ?って。

-変えることができない身長や骨格から男性らしさを感じ、それが性被害に結びついてどうしても受け入れられないということが起こるんですね。

星野さん:そうなんです。だから性的マイノリティの問題だけでは解決できないことがたくさんあるんです。

電車では女性専用車両がありますよね。それって性被害から女性を守るために作られたものなのですが、その女性車両に乗ることができない人もいます。一般社会の性差別がなくならないかぎりこの問題も解決しないと思います。

-むずかしいなぁ。星野さんから見てもっともわかりやすい性差別ってどんなものがありますか?

星野さん:簡単にいえば性別の決めつけによる男女の力関係ですよね。男だから強くなくちゃいけないとか、自然に教えられてきていますよね。

-たしかに、根本的にある前提条件みたいなのが知らず知らずのうちに性的マイノリティの人たちを苦しめているんですね。

星野さん:性別の決めつけはいろんなところにありますよね。たとえば、おもちゃで「男の子用」、「女の子用」で分けられたり、男の子だったら水色で女の子だったらピンク色みたいな。

-LGBTうんぬんの前に、そもそもの男女問題が根強く残っているんですね。

星野さん:戸籍上の性別で男性と女性のふたつに分けて、恋愛対象を異性と決めつけがちですが、全員がそれにぴったり当てはまるともかぎらないわけです。そこに生きづらさを感じているのが性的マイノリティの人たちなんですね。

-なるほどな〜。性差別がなくならないかぎり性的マイノリティの問題が解決しないのは、そういう理由があるからなんですね。星野さんのお話をお聞きしてほんの少しですが理解が深まったような気がします。

星野さん:まずは知ってもらうことや関心をもってもらうことが第1歩だと思いますよ。

 

■一人ひとりの関心が明るい未来を作る

SHIPは2015年に横浜弁護士会から表彰されている

-今回、性的マイノリティの社会問題についてお話をお聞きして、知れば知るほど奥が深くてむずかしい問題だなと思ったのですが、とはいえ輝いている未来も見えているんだろうと思うし、そう思いたいという気持ちがあるのですが、星野さんが描く理想の未来はどのようなものですか?

星野さん:私の最終目標は、私たちのようなところを必要としない社会です。

誰もがどこにでも自分の居場所があって、普通に生活できる環境がいちばん大事かなと思いますね。

でも、この5〜6年でだいぶ変わりましたよ!私が活動を始めたころは、まさかこんなにも早くこういう時代がくるとは思っていませんでしたから。

-そうなんですか!では最後に、星野さんから読者の方々へメッセージをお願いします!

星野さん:先ほども言いましたが、まずは関心をもってもらいたいと思います。

今でこそLGBTを題材にしたドラマがあったり、ニュースで情報が発信されたりしていますが、まだ関心がある人にしか届いていないと思います。

そこで情報の格差が広がってしまいますし、どんなことがきっかけでもいいので、まずは関心をもってもらいたいなと思います。

-今日の星野さんのお話がたくさんの方に届いて、少しでも多くの方に関心をもってもらえるきっかけになれば私もうれしいかぎりです!今日はありがとうございました。

 

編集部のひとこと

ライター

ゆめちゃん

見た目から当たり前のように男女のどちらかに区別してしまっていることが、無意識のうちに性的マイノリティの人たちへ生きづらい生活環境を与えているかもしれないということが、すごく恐ろしいことだなと感じました。

しかし、オリンピックをきっかけに世界の意識が変わったように、星野さんたちの活動が未来を明るくさせるきっかけになるのだろうと信じていますし、明るい未来を作るためには性的マイノリティではない人たちの理解が不可欠です。

そして今、日本ではLGBTが主流となっていますが、WHOではSOGI(Sexual Orientation & Gender Identity)という「性的指向と性自認はみんなそれぞれ違っていい」という概念が使われているそうです。

そうやって世界も常に動いているので、星野さんのお話がこの社会問題に目を向けるきっかけになってほしいと強く願います。

編集部メンバー

編集長
かなさん

ふたりの子どもがいるワーママ。お酒が好き。とにかく声が大きい。

ライター
せいくん

家事全般、特に料理が得意な新人ライター。気も声も小さい。

ライター
ゆめちゃん

好奇心旺盛。食べ歩きや女子会が大好き。いつもTシャツ。

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