たいせつじかん ?ほっと一息。少し休憩。幸せな時間?

輝く女性インタビュー

おなかの中に宿った「命」は、事情や気持ちに関係なく平等です。どの命も愛情をもって育ててもらえる権利をもっています。 これまでの経験を生かし、みんなが明るく元気に生きていける未来を実現するために活動する一般社団法人はぐみの代表理事 丸岡 紀子(まるおかのりこ)さんインタビュー

一般社団法人の代表理事を務める丸岡紀子さん

一般社団法人代表理事の丸岡紀子さん

特別養子縁組を支援する民間の団体は全国にいくつかありますが、現在神奈川県にはひとつもないというのが現状です。

都内の特別養子縁組団体で働かれていた丸岡さんは、現在川崎市に民間団体を作るべく日々活動されています。

助産師として働いていたころ、予期せぬ妊娠に立ち会う場面があり疑問を抱くことも多かったそうですが、それと同時に予期せぬ妊娠をしてしまった女性を理解することも必要なんだと気づかされたと話します。

自分の意思にかかわらず誕生する命は、平等に愛をもって育てられなければいけないという言葉に、胸を打たれました。ぜひ、ご覧ください。

 

聞き手:たいせつじかん編集部

 

■愛情をもって育む

子育てについて話す丸岡さん

-現在、川崎市から民間の特別養子縁組団体設立の許可を得るために活動中とのことですが、以前は都内の特別養子縁組団体で活動されていたんですね。

丸岡さん:はい、2020年1月まで都内の団体で勤務していました。ただ、神奈川県には、民間の特別養子縁組支援団体がひとつもなく、神奈川の地でも特別養子縁組の制度を広げていきたいと思い、2020年7月に一般社団法人はぐみを立ち上げ、川崎市から許可をもらうために活動しています。

-特別養子縁組団体とは、具体的にどのようなことをする団体なのでしょうか?

丸岡さん:ざっくり言うとわけあって実親からの養育を受けることができないお子さまと養親になる方々を繋げるための支援をします。基本は子どものための福祉制度です。

養親になる方は、長い間不妊治療を続けてもどうしても妊娠に繋がらず、けれど自分で子育てしたいという気持ちを諦められない方が多いです。もちろんそういう方への支援でもあるのですが、どちらかというと自分の意思に関係なく生まれてくる子どもが出生前後やすべてにおいて平等に愛情をもって育てられるべきであり、育ててほしいという制度なんですね。

望んだ妊娠であっても予期せぬ妊娠であったとしても、おなかにいるときから平等なんです。それが生まれたときの状況でその子の運命がまったく違うものになるのは不平等じゃないですか。

なので、育てたい人というよりは、育てられる子どもに向けた制度だという認識は間違えないようにしてもらわないといけません。

そして養親になるためにもたくさんの研修や実習を受けていただき、面談ではこの認識を履き違えていないかということを何度も確認します。どんな子どもでも幸せにするために愛情をもって育てますという意思確認ができましたら養父母の認定をさせていただきます。

-養親になるにも研修や条件があるんですね。では、お子さまを託すお母さんはどういったケースがあるのですか?

丸岡さん:具体的には話せませんが妊娠中から、いろいろな事情があって自分では育てられないという相談をお受けしています。生まれる前から何度もやり取り、面談をします。私たちとも信頼関係が築けていくなかで、なかには、生まれた赤ちゃんを見て「自分で育てます。」と気持ちが変わる方もいらっしゃいます。それが本来の姿なので、まったく問題ないことです。そのあとも保健センターなどと連携して私たちは支えていきます。

出産後、産みのお母さんの特別養子縁組への意思に変わりがなければ、お子さまを託すときには、養親候補の方にきていただいて産みのお母さんと面会しています。そのほうが産みのお母さまも、養父母の方もそのあとの関係性がよく、前向きに生きていける様子がうかがえます。面会された方は、双方「安心しました。」と話されます。

産みのお母さまと養親候補の方の面談はすごく良い場になりますし、いっしょに育てていきましょうとなることもあります。

団体によって支援の方法はさまざまですが、私たちはそのようにお願いしています。また、養親候補の方には子どもになるべく早く自然な形で真実を告知してくださいね、とお願いしています。

-なぜ真実の告知をお願いしているのですか?

丸岡さん:思春期になると自分のルーツを知りたくなるものです。

想像してみてください、思春期に初めて自身のルーツを知るのは、かなりショックを受けるのではないでしょうか。自分自身のことがわからなくて答えられないというのは平等ではないと思うんです。

-すばらしいですね。以前助産師をされていたとのことですが、実際の現場で予期せぬ妊娠に立ち会ったことはありますか?

丸岡さん:あります。たとえば、陣痛がくるまで1度も妊婦検診に行かず救急車で運ばれてきて出産されたことです。

-そんなことがあるんですか?

丸岡さん:あるんです。どうしてこんなことが起こるんだろうと、助産師として経験が浅いころは思ってしまっていました。しかし、予期せぬ妊娠をして運ばれてきたお母さんにお話を聞くと、成育歴に恵まれなかった方も少なくありません。こうなったその方の背景を理解しないといけないと思うようになりました。

その方の背景をお聞きすると、やっぱりおなかにいるときから子どもに愛情をもって育てていくことの大切さを痛感します。

私は地域のなかで子育てをするお母さんたちやご家族の方とかかわってきて、実子でも実子でなくても地域のなかで楽しくいきいきと子育てをして、育てる側も人間として育っていってほしいので、そういう思いで活動を続けています。

 

■想像もできなかったコロナ禍でのひとり出産

助産師の経験もある丸岡さん

-近年、「イクメン」などの言葉が生まれたように、子育てが変わってきたように感じます。助産師の丸岡さんから見る子育てとはどのようなものでしょうか?

丸岡さん:私もふたりの子育てをしましたが、ひとり目のときはがんばりすぎて本当に疲れてしまいましたね。病院で看護師をしていた経験もあったので子育てを心配していなかったのですが、実際は精神的にも不安定な状態だったと思います。

-子育てはやっぱり大変なんですね。その要因は何だったのですか?

丸岡さん:私は里帰り出産だったのですが、看護学生のときには育児についても学んでいましたし、看護師として働いていた経験もありましたからひとりでもできると思い2週間ほどで実家を離れました。

自分で計画を立てて子育てに取り組むのですが、やっぱりそううまくはいかないんですよね。それに加えて、「理想の子育て」像をもちすぎて、がんばりすぎて疲れてしまいました。

夫も忙しくかなり「孤育て」でした。あのころは本当に子育てを楽しめていなかったですし、子どもが毎日成長する過程を見逃していました。こうしなければということに追われて、かわいいと感じる心を失っていたと思います。(ひとり目ごめんなさい。でも今は大好き)

けれどふたり目のときは、すこし余裕もできて気楽に子育てができたので子どもの成長過程をしっかり見ることができましたし、かわいいなと思える時間も増えて、楽しく子育てができていたと思います。

子育て中の方には、そんな経験をしてほしくないですし、楽しく子育てしながら、お子さまにたくさん愛情を注いであげてほしいです。

丸岡さんはアドバンス助産師の資格をもっている

-子どもの成長をいちばん近くで毎日見てあげるということが、子育ての重要なポイントなのかもれないですね。

丸岡さん:そうだと思います。子どもは毎日成長していきますし、子育てに必死になりすぎないよう気楽に余裕をもって取り組むものだと思います。

-でも、昨年はコロナで本当に大変でしたよね。立ち会いができない出産など、誰も想像できなかったと思います。子育てにおいてお父さんが気をつけなければいけないことはどんなことがありますか?

丸岡さん:コロナ禍での立ち会いもそうですし、入院中面会もできません。母親学級がなくなるなど出産前後のサポートを充分に受けられていないことや、実家の援助が受けられないことがあり、産後うつも増えてきています。

産後うつは出産から3〜4カ月後に発症するケースが多いと研究発表されています。出産を経験すると、骨盤やさまざまな関節がゆるくなって自分のからだを支えるのにも精いっぱいなんです。

からだに負担もかかりますし、自分が寝たいタイミングで寝られないとなると肉体的にも精神的にもストレスがかかっているので、お父さんは率先して育児に取り組む姿勢が大事ですね。

お父さんが良かれと思ってやったことに対して注意を受けることもあるかもしれないですが、やさしく受けとめてサポートしてあげてほしいです。

-子育て中のお父さんは必見ですね!

 

■いっかんしたサポート体制を作っていく

丸岡さんは、時折笑顔を見せながらお話してくれました

-これまでのお話で、現実として予期せぬ妊娠があるとお聞きしましたが、その場合、女性が不利な立場になることが多いと思うのです。そのようなことにならないようにするために、女性たちにできることはありますでしょうか?

丸岡さん:むずかしいことですが、嫌なことは嫌だと言えるようになること、もし予期せぬ妊娠をしてしまったとしてもひとりで抱え込まず、親や私たちのような団体に妊娠SOSを出すことが重要だと思います。

はぐみでも妊娠SOSの窓口を設けていますが、10代の生理がこないという相談が多いです。

基礎体温のことについても知らないし、生活習慣の乱れからからだの変化に気づきにくくなるということが起こってしまいます。

自分のからだは自分で守るという意識をもっともつべきだし、教育のなかできちんと学ぶ必要があると思います。

-それに加えて、まわりからのサポートも重要ですよね。では、最後に丸岡さんが描く理想の未来について教えてください!

丸岡さん:みんなが地域のなかで明るく元気に楽しく前向きに生きていけるような未来が理想です。

私は特別養子縁組の支援もしますし、妊娠SOSもします。たとえ予期せぬ妊娠があったとしても、愛情をもって育ててもらえる環境を提供していきますし、それで終わりではなく就労支援や生活支援などをされている方々とも手を組み、ずっとサポートし続けてネットワークを広げていきたいですね。

どんな子どもでも子育てに変わりはありません。その子を幸せにするためにがんばればいいし、子育てをしながら自分も成長していけばいいと思います。

まだまだ課題はありますが、助産師としての経験を生かし行政やいろいろな団体と連携しながら困っている方々の力になって、相談しやすい環境づくりをしていければと思います。

-本日はありがとうございました。

 

編集部のひとこと

編集長

せいくん

幼児虐待や育児放棄などは決して許されるものではないですし、私もそういう事件を見て何で?と思うことがありましたが、そうなってしまった背景を理解する気持ちも必要なんですね。

そして、いちばん大事なことは同じことを繰り返さないこと。どこかで食い止めなければこの問題はなくなりません。

自分の悩みを誰かに話すことはとても勇気がいることですが、この問題を食い止めるためにも悩みをおもちの方ははぐみにご相談してみてください。丸岡さんがやさしくサポートしてくださいます。

そして、プロジェクトが成立したクラウドファンディングページにて丸岡さんの思いを読むことができますので、ぜひ読んでみてください!

編集部メンバー

編集長
かなさん

ふたりの子どもがいるワーママ。お酒が好き。とにかく声が大きい。

ライター
せいくん

家事全般、特に料理が得意な新人ライター。気も声も小さい。

ライター
ゆめちゃん

好奇心旺盛。食べ歩きや女子会が大好き。いつもTシャツ。

あわせて読みたい