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輝く男性インタビュー

ビールで文化を繋ぎ横浜の街を盛り上げたい!「ビール×◯◯」を実践する株式会社横浜ビールの横内 勇人(よこうちはやと)さんインタビュー

株式会社横浜ビールの横内勇人さん

横浜ビールで企画を考える横内勇人さん

最近ではスーパーでも販売されているクラフトビールですが、国内で出まわるようになった要因は、1994年の酒税法改正が関係しているようです。

そして、この横浜の地に生まれたクラフトビール「横浜ビール」をもっとたくさんの方に親しんでもらうため、さまざまなジャンルとかけ合わせた企画を考えている株式会社横浜ビールの横内さんに横浜ビールの魅力についてお聞きしてきました。
ぜひお楽しみください。

 

聞き手:たいせつじかん編集部

 

■27年前、日本のビールはほとんど1種類だった

日本のビールの歴史について語る横内さん

日本のビールの歴史について語る横内さん

-これまでたいせつじかんの取材をさせていただくなかで「横浜◯◯」というものが結構あるな〜と思っていたら、やっぱりありました、横浜ビール!今日は、ビールの歴史や横浜ビールの魅力、活動内容についてお聞きしたいと思います!

横内さん:よろしくお願いします!

-まず、日本でのビールの歴史について教えてください!

横内さん:昔は、日本のビールのほとんどを大手の5社で造っていました。というのも、日本で醸造するには、酒税法で一定量(年間200万L)以上を造らないといけないと定められていたので、小さい醸造所ではなかなか造ることができなかったんです。

ですが、1994年に酒税法が改正されたことにより、年間200万L以上製造しないといけないと定められていたものが、6万L以上に引き下げられたことにより、小さな醸造所でもビールを造れるようになったことで、各地の特徴をもったクラフトビール(地ビール)が造られるようになりました。

-酒税法の改正が日本のビール業界を大きく変えたんですね。

横内さん:そうなんです。日本人がお店でビールを注文するとき、「生ください」ってほとんどの方が言うと思います。

-確かに、ビール=「生」みたいなイメージがありますね。

横内さん:そうですよね。でも、海外の方は「ヴァイツェン」とか「ピルスナー」のように、ビールの種類で注文するんです。なぜかというと、海外ではビールの種類がたくさんあったにも関わらず、日本ではほぼ1種類しかなかったからなんです。

-1種類しかなかったんですか?

横内さん:そう、ほとんど1種類だったんです。

ひとつは、先ほどもお伝えしたように、改正前の酒税法により多くの種類のビールを造れる下地がなかったということ。たとえばアメリカでは、小規模でもビールが造れたので自然と個性的なビールの種類が増えました。こうやって小規模な設備で造る個性あふれるビールをクラフトビールと呼んでいます。

そしてもうひとつは、世界では一般的なエールタイプのビールやフルーツなどの副原料を使ったビールよりも、今の日本のビールの多くを占めるピルスナーというスタイルが、ごくごく飲めて日本人の口に合ったのではないかと思います。

ビールをたくさん飲んでもらうためには、日本人が好むビールを大量に造る必要があったので、個性的なクラフトビールがなかなか普及しなかったんです。

-なるほど〜。新しい味のビールを造るにはそれなりの勇気と覚悟も必要だったんですね。

横内さん:けれど、酒税法の改正により、ビール造りのハードルが下がったので、日本各地の醸造所でその地域に根付いた地ビールと呼ばれるビールが造られるようになり、ビールの種類がどんどん増えていきました。

-地ビールとクラフトビールってどう違うのですか?

横内さん:「小さい醸造所で造っているビール」という意味合いでは、ほとんど違いはありません。ただ、クラフトビールという言葉はアメリカからきた言葉で、職人が小規模な設備で生産している手工芸品のようなビールのことをクラフトビールと呼ぶようになったのはここ10年くらいですかね。

-横浜ビールさんたちが自社ブランドの「横浜ビール」を造るきっかけは何だったんですか?

横内さん:横浜発祥のものは意外とたくさんあって、ビール文化も横浜発祥と言われています。

今、私たちが運営しているレストランの下に、仕込み釜を設置し、レストランを併設した醸造所を造った会社があったんですが、当時の日本ではクラフトビールが日本人にそこまで馴染みあるビールではなかったので、1年でうまくいかなくなってしまいました。

そこに私たちが居抜きで入り、親しみやすくもっとわかりやすい名前で、みんなでわいわい飲めるものにしたいという思いから横浜ビールが生まれました。

-それが横浜ビールの始まりだったんですね!

 

■「価値」を伝えることが飲食店の役目

横浜ビールをいろいろな角度から知ってもらおうとさまざまな企画を考える横内さん

さまざまな企画を考えている

-現在は、横浜ビールの製造とレストラン運営をされていますよね?レストランにも何かコンセプトがあるのですか?

横内さん:最初は、地ビールが飲める和風イタリアンのようなコンセプトでオープンしました。今年で22年目(ビール醸造は平成11年6月、レストランは平成11年4月スタート)になります。当初は、お得感を前面に出して、たくさん宴会をやるようなレストランでした。

あるとき、おいしい野菜を作るために肥料から細部までこだわって野菜を作っているひとりの農家さんに出会いました。

その出会いをきっかけに、物づくりの背景にあるストーリーをお客さんに価値のある価格で伝えることが飲食の役目だって気づいたんです。農家さんがどれだけこだわって野菜を作っても、それを料理としてお客さんに提供する私たちが、その苦労や価値を考えず安売りしてしまうことは非常にもったいないことです。

-お客さまを呼ぶためのひとつの策として価格を下げがちだけど、それでは本来の物の価値を伝えられないと考えられたんですね。

横内さん:そうです。それから考え方が変わって、農家さんや横浜発祥のものを作っている方々と繋がりができて、地域のものを使ってそれをどんどん発信していくレストランに生まれ変わったんです。

やっぱりこだわって作っているだけあって、品質もいいですし実際においしいですからね。

-現代では、口から入れるものにはとくに気をつかう消費者が増えてきて、生産者の見える化も進んできていますよね。それがどのようにして作られてきたのか?という物づくりの背景に価値を感じる方が増えてきているでしょうね。

横内さん:とても重要な要素だと思います。

私は、5年ほど前にこの会社に入ってきて、生産者との取り組みもすごい大事だなと思ったんですけど、ビールもただ飲むだけじゃなくて、さまざまな文化と繋がれる可能性があるなと感じたんです。

ビールと音楽の相性はいいし、ほかにはアートとかもいいですよね。最近ランニングを始めたんですが、ビールとランニングっていうのもいい!

月1回ランニングイベントをしてみんなで汗を流したあとにビールを飲む。

-それは最高ですね!「ビール×◯◯」というふうに繋いでいくわけですね!

横内さん:そうすると、ビールを知らなかった人にも違う視点からビールに関わる機会を作れますし、私たちもいろいろなところで繋がりができることで、横浜をもっと盛り上げられるんじゃないかと思ったんです。

株式会社横浜ビールが経営するレストラン「驛の食卓」に飾られているビールの流れをイメージした絵

ビール×アートで、ビールの泡をイメージした絵
(レストラン「驛の食卓」の店内に飾られている)

-「ビール」を中心にして、人と人との繋がりが広まっていくことを考えられたんですね!

横内さん:そうですね。人と人ともそうですし、横浜ならではの文化も繋いでいけたらいいなと思っています。

-「ビール×◯◯」では、さまざまな発見があるでしょうし、初めての試みだとどうなるのかというわくわく感もありますね!ちなみに、クラフトビール(や地ビール)の醸造所は現在どのくらいあるのですか?

横内さん:だいたい400カ所くらいあると言われています。神奈川県でも40カ所くらいありますし、横浜だけでも10カ所くらいはあると思います。

-結構多いんですね!

横内さん:たくさん造っている地域はやっぱり東京なのですが、密集度でいうとこの住吉町あたりがいちばんです。この辺だけでも5つくらい醸造所がありますから。

-勝手なイメージですが、醸造所といえば自然豊かなところにポツンとあるイメージでした。では、この辺だと歩いて飲み比べができるんですね!

横内さん:横浜といえばクラフトビールと想像できるようにしていきたいし、いろいろな形で試行錯誤しながらやっていければと思います。

 

■クラフトビールが横浜を代表する存在となるために

横浜ビールの醸造設備

レストラン1階にある横浜ビールの醸造所

-では、ここからは横内さんたちが造っていらっしゃる「横浜ビール」についてお聞きしたいのですが、現在はどのくらいの種類があるのですか?

横内さん:レギュラービールが7種類と季節ごとのビールを2〜3種類置いているので、だいたい月に8〜10種類の横浜ビールを置いています。

-季節ごとの味を楽しめるのはクラフトビールの魅力のひとつですね!では、横浜ビールを造るにあたってこだわっている部分を教えてください!

横内さん:横浜ビールとしてこだわりをもっているところは、22年の経験値を生かしクラシカルな醸造設備にあったビール造りをするということです。

ビールを造る基本の材料は、ホップ、麦芽、酵母、そして水の4つなのですが、それぞれに種類があって、組み合わせやタイミング、温度などの環境で味や品質が変わっていきます。

ですので、計算されたレシピづくりと手作業の技術の高さがビールの味や品質にかかわってくるので、まずその部分をこだわっています。

良い品質のビールを造るためでいえば、タンクの洗浄・掃除にも気を配っています。

機械ではなく手作業で造っているので、品質が悪くならないようにとにかく掃除します。設備をきちんと管理していくこともこだわりのひとつですね。

◆横浜ビール 缶ビールを発売しました!コンセプトムービー◆
〜横浜ビールスタッフ編〜

※ページ下部には「〜街の人編〜」があります

-以前日本酒を造っている方にお話をお聞きしたとき、その方の日本酒づくりにおいては酒蔵の環境も大きな要素のひとつであるとおっしゃっていたので、それぞれの環境づくりがあっておもしろいですね。

横内さん:それぞれのやり方があっておもしろいですよね。

味のこだわりとしては、ずっと飲み続けられるビール、料理に合いやすいビールを意識して造るようにしています。

ブランド名には横浜の地名がついていますし、なるべく飲みやすく誰もが親しみやすいように造っています。さらに、1杯目はおいしいけど、2杯目はいいやとならないように、どんな料理にも合いやすく何杯目でもおいしく飲めるように、というところをこだわっていますね。

-すごくこだわっていらっしゃるんですね。いちばん人気はどのビールですか?

横内さん:「横浜ラガービール」が人気ですね。日本人が好むピルスナーと同じタイプなんですが、ホップがきいていて香りも楽しめる飲みごたえのあるビールです。

-想像しただけで飲みたくなってきました(笑)。では、最後にこの先考えていることを教えてください。

横内さん:まずこれまで続けていることはこれからも続けていきたいと考えています。

たとえば、横浜の水源にもなっている山梨県道志村との取り組みです。

-最後と言いましたが、その取り組みについて詳しく教えてください!

横内さん:今から100年以上前に道志村の水源を守るために横浜市がその水源を購入したという歴史があります。

道志村は、自然にあふれていて水もきれいだし野菜もすごくおいしくて、本当にいいところです。道志村のわき水を使って造ったビールもあります。

道志村のわき水を使った横浜ビール

道志村のわき水を使った横浜ビール

ただ、村自体は過疎化が進んできていて、1,500人くらいしか住んでいないのが現状です。

農地があるので野菜を作っている農家さんたちはいるのですが、売り先がないと作っても売れないので作らないという悪循環に陥ってしまいます。

そこで、横浜ビールで何かできないかということで、私たちのレストランから出る食材の端材やビール造りで出る麦芽の搾りカスを道志村の堆肥にして、そこで作ってもらった野菜を私たちのレストランや近隣の飲食店に卸して循環させるということをしていました。

売れる環境が作れれば雇用が生まれますし過疎化を防げます。さらに、環境にとってもいい。

-すばらしい活動ですね!

横内さん:そういうことは以前からもしていましたし、「海と日本プロジェクト」に横浜ビールもかかわっていましたが、今はコロナの関係もあって中断しています。

なので、この状況がよくなったら環境問題への取り組みも再開したいですし、やっぱりビールとさまざまな文化を繋いで横浜をもっともっと盛り上げていきたいですね!

そうすると、横浜のクラフトビール文化がさらに発展すると思いますので、クラフトビールを飲みに横浜に行こうよ!と言う人たちが増えるようにしていきたいです。

-まずは、横浜ビールを飲んだことがない人にぜひ飲んでいただいてビールの楽しさを知っていただきたいですね!今日はありがとうございました!

 

編集部のひとこと

ライター

ゆめちゃん

横浜ビールさんは、以前たいせつじかんで取材をさせていただいた横浜醤油さんにご紹介いただきました。

お話を聞けば聞くほど横浜ビール造りに対する強いこだわりを感じました。
さらに、驚いたことはビール造り以外での活動です。

道志村での取り組みでは、横浜市から「横浜市食の3Rきら星活動賞」を受賞されています。
横浜ビールからも目が離せませんが、それ以外の活動にも注目です!

横浜ビールは、レストラン「驛の食卓」などで飲むことができますので、ぜひ飲んでみてくださいね!

編集部メンバー

編集長
かなさん

ふたりの子どもがいるワーママ。お酒が好き。とにかく声が大きい。

ライター
せいくん

家事全般、特に料理が得意な新人ライター。気も声も小さい。

ライター
ゆめちゃん

好奇心旺盛。食べ歩きや女子会が大好き。いつもTシャツ。

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