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輝く男性インタビュー

育児中はマジックタイム!そのときにしか描くことができない姿を残したい!イラストレーターエイイチさんのインタビューです!

イラストレーターのエイイチさん

日経DUALでの人気連載「スキンヘッドパパの育児日記」の作者でイラストレーターのエイイチさん。お父さんの視点での妊娠、出産から小学校入学までの子育ての日常を描いた本作は、たくさんのママパパの共感を得て先日書籍として発売されました。

そんなエイイチさんに育児日記を描くうえで大切にしていることや、今後の活動についてお話をお聞きしてきました。

作品以上に、やさしくて温かいエイイチさんの人柄を感じられたインタビューとなりました。
エイイチさんのイラストも満載です!ぜひ、お楽しみください。

 

聞き手:たいせつじかん編集部

 

■「自分のイラスト」を探し求めた

イラストレーターとしての悩みを語るエイイチさん

-エイイチさん、今日はよろしくお願いします!私はエイイチさんの描かれる育児日記が大好きで、この度取材のオファーをさせていただきました。早速ですが、イラストレーターとしてのこれまでご経歴から教えてください。

エイイチさん:就職から10年は、商業イラストレーターとしてお客さまからご注文いただいたとおりにイラストを描くという仕事をしていたんです。

その仕事のいっかんで、結婚式に飾られる似顔絵のウェルカムボードを描く仕事もあったんですね。そのときのお客さまのおひとりから、掃除中にウェルカムボードを落として額縁を割ってしまったから新しい額縁を送ってほしいと言われたんです。

額縁の交換だけだと、たいした仕事ではないなといっしゅん思ったのです(笑)。でも、よく考えたらその方は結婚式から1年以上経過しているのに、私なんかが描いたイラストを大切に飾ってくれていたんだと気がついたんです。

そのときに、イラストレーターはとてもすばらしい仕事なんだと再認識したんです。

そして、就職して10年が経ちイラストレーターとして独立して、自分だけの力でがんばってみたいと思うようになりました。私自身のイラストを評価してくれるお客さまもいたので、思い切って脱サラして、フリーのイラストレーターとして独立しました。

-ご自身のイラストにも自信があったんですね!

エイイチさん:依頼されたイラストを描くという点では自信がありました。その反面で、自分のタッチのイラストがないということがコンプレックスでもあり悩みでした。

この悩みを抱えていたころは、自分で「私はクリエイターではなく商業イラストレーターなんだ」と納得させようとしていたんですが、なかなか自分を納得させられずに悩んだ時期がずっとありました。

これは、商業イラストレーターが悪いとかいうことではないです。そこだけは強調したいですが、私は自分のタッチのイラストが描きたいと思っていたんですね。

 

-でも、育児日記はエイイチさんのイラストだなという感じですがこれがご自身のタッチではないのですか?

エイイチさん:育児日記を描き始めてから、たくさんの人に見ていただけるようになって、これがエイイチさんの絵と言われるようになりました。徐々に仕事の依頼で、いつものエイイチのタッチでイラストを描いてくれと言われるようになりました。

育児日記は、私としては誰かに依頼されたわけでもなくニュートラルに描いたイラストなので、とても不思議な気持ちでした。

それまでも、大好きな「イラストを描く」ということで生活ができていたので充分楽しかったのですが、エイイチのタッチで描いてほしいと言われるようになって、より仕事が楽しくなりました。

-探していた自分のイラストが見つかったんですね。

エイイチさん:そうですね。でも、今思うと自分らしい絵とか、イラストいうのは自分で見つけるのではなく、それを見た人がエイイチらしいイラストとして見つけてくれるのだと思いました。

私は、講師として絵やイラストを教えることがあるのですが、同じような悩みをもつ生徒がいたときに、あなたのそれを見つけてくれるのでとにかくたくさん描くようにしたほうがいいと伝えるようにしています。

そして、今は、これだけSNSが普及しているので、どんどん作品を発表してたくさんの人に見てもらうといいと思いますね。

 

■見えている姿をそのまま残したい

子育日記について語るエイイチさん

-育児日記は、子育ての日常にある泣き笑いをとても上手に描かれていることが多くの共感を呼んでいるのだと思います。しかし、これは絵を描くだけでなくストーリーを創る技術も必要かと思うのですが、その点で気をつけていることはありますか?

エイイチさん:「あっ、これはおもしろい」と思ったことはメモをするようにしています。

-私も日記を書こうと思ったことがあるのですが、その日にあった印象的なことは意外と覚えておくことがむずかしいですよね?

エイイチさん:そうかもしれませんね!でも、私は育児日記を始める前の独身時代から、その日にあったことや、思ったことを毎日イラストで書いていたんです。ですから、長い間の習慣になっているのでできているのだと思います。

-えええ、毎日書いていたんですか?

エイイチさん:そうなんです。自分の日常を描くことはイラストの練習になるということもあって、毎日書いていました。今は、子どもの寝かしつけといっしょに寝てしまうことが増えたので描きたいときに描いています。

-それはすごいですね。では、育児日記を描くうえで気をつけていることはありますか?

エイイチさん:ふたつあります。ひとつは嘘を描かないことです。子どもとの間で実際にあったことしか描かないように決めているんです。

子どもが大きくなったときに見せたいなと思っているのですが、そのときにひとつでも嘘や作り話があると嫌なので実際にあったことだけを描くと決めています。

もうひとつは、私の目線で見える姿形を描くようにしています。子どもはどんどん大きくなるので単純に膝に座らせるだけでも、1歳と3歳では私から見える子どもの姿形は違って見えますよね。それを私の目線で見たままに描きたいんです。

主観で描かれた1枚をお借りしました。

-なるほど!今言われて気がつきましたが、主観の絵があるのはそういったお考えからなんですね!確かに、写真ですと第3者に撮影してもらうことが多いですから、主観の写真は残りづらいですね。

エイイチさん:そうなんですよね。子どもは、どんどん成長しますので、そのときにしか見ることができない姿形を描きたいと思っています。

私がこの先どんなにイラストが上達したとしても、小さい子どもの絵はリアルタイムで子育てをしながら描いた絵を超えることができないと思っていて、今がちょうどそのときなんだと思っているんです。私は、この時期をマジックタイムと呼んでいますね(笑)。

-すごくいいお話ですね。この思いがあるから見ている方からたくさんの共感を得て書籍化に至るんですね。育児日記のなかで印象的なエピソードはありますか?

エイイチさん:育児中は本当にいろいろなことがありますが、そのなかでも子どもの成長を感じて、勇気を感じた瞬間はとくに残しておいてあげたいなと思っているんです。

たとえば、子どもが3歳のころに妻が10日間入院したときの話が印象的なんです。

妻の入院初日に「今日からお母さんがいないけどいっしょにがんばろうな」と、伝えたら「わかったよ!がんばるよ!」といつもどおり元気に答えてくれたんですね。

そうしたら、本当に9日目までいっさいお母さんの話を出さずにいつもどおり過ごしてくれていたんですが、私とふたりきりの最後の夜に突然「お母さんはなんで帰ってこないんだろう」と言い出したんです。病院や診察ということはなんとなく理解できていたようですが、入院がどういうものかわかっていなかったようなんです。

初日に私が伝えた「いっしょにがんばろうな」をずっと守ってくれていたんです。お母さんがいない寂しさを隠して子どもなりにがんばってくれていたんだと知りました。

このときの日記も、私から見た子どもの視点で描きました。

お母さんの入院時期のイラスト

 

■ライフステージの変化にともなって描きたいことは増えていく

ご自身の未来を語るエイイチさん

-最後の質問ですが、今後の育児日記とエイイチさんのイラストレーターとしての活動について教えてください。

エイイチさん:育児日記は子どもが許してくれるかぎり、続けていきたいと思っています。できれば、子どもが就職するまでを描きたいですね。そこまでくると私自身の大河ドラマにもなりますよね(笑)。

しかし、ほかの育児日記を見ると多くが小学生低学年で終わっているんですよね。理由としては、子どもが嫌がるということと、話のネタがなくなってくるということがあると思うのです。ここをうまく突破していけるといいですね(笑)。

イラストレーターとしては、親の介護とか、私自身の子育て後の第2の人生を描いていくというのもおもしろいかなと思います。ベビーブームの世代なので、同世代が多いためライフステージの変化を描くことでまた共感してもらえる物語を描けるのではないかなと思っています。

-私の私見で恐縮ですが、小学校入学式のときのイラストが本当に印象的なんです。コロナ禍の入学式ですから、お父さんが参加できず校門で見送るシーンですが、成長していく子どもの姿がうれしくもあり、少し寂しいような感情が見えて何とも言えない気持ちになるのです。
今のお話を聞いて、ぜひ、思春期の会話が減ったときの微妙な親子関係を描いてほしいと思いました! 

エイイチさん:そうですね。これからは、子どもと相談しながら続けていければいいなと思います!

-エイイチさん、今日はありがとうございました!

小学校入学式のイラスト。なぜでしょう、何度見ても泣けます。

 

編集部のひとこと

ライター

せいくん

エイイチさんのイラストは、やさしさに溢れています。意識しなければ忘れてしまうような日常を切り取ってイラストにして、私たちに何気ない日常でもすばらしいできごとで溢れていると教えてくれます。

私ももっと家族や、友人、同僚との日常を観察してみようと思いました。きっと、イラストに残したいようなできごとで溢れているのだと思います。

コロナ禍でいつもと違う日常が続きますが、目の前の日常をもっと大切に過ごしたいと思うインタビューになりました。

編集部メンバー

編集長
かなさん

ふたりの子どもがいるワーママ。お酒が好き。とにかく声が大きい。

ライター
せいくん

家事全般、特に料理が得意な新人ライター。気も声も小さい。

ライター
ゆめちゃん

好奇心旺盛。食べ歩きや女子会が大好き。いつもTシャツ。

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