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輝く男性インタビュー

映画監督 三澤拓哉さんのインタビュー。茅ケ崎と大磯を舞台とした作品について、そして映画監督というお仕事についてお聞きしました。

映画監督の三澤拓哉さん

映画監督の三澤拓哉さん

神奈川県寒川町で生まれ育った三澤拓哉さんがなぜ映画監督になったのか?さらに、なぜ茅ケ崎と大磯、ふたつの町を舞台とした映画を撮影したのかなど、さまざまなお話を大磯町のロケ地をまわりながらお聞きしてきました。

映画監督という職業を身近に感じられるエピソード満載の楽しいインタビューとなりました。
ぜひ、お楽しみください。

 

聞き手:たいせつじかん編集部

 

■映画監督になろうとは思っていなかった

学生時代のお話をする三澤さん

学生時代のお話をする三澤さん

-三澤さんが、映画監督になった経緯からお話をお聞きしたいのですが、映画監督になりたいと思っていたのですか?

三澤さん:いえいえ、まったく思っていませんでした。大学生のころはずっと教員になろうと思っていました。教員免許も取得し教育実習にも行ったんです。

でも、いざ大学4年生となり就職が具体的に見えてくると、何か違うなと思うようになっていたんです。

私の両親が教員なので漠然とこの先の人生が見えたような気がしたのかもしれないですね。

-なるほど、ご両親の教員人生を見てきたからこそそう感じたんですね。

三澤さん:そうですね。そして、それと重なるようにして、大学があったお茶の水で『お茶の水JAZZ祭』というイベントの学生ボランティアの募集があり、卒業の記念にと思って参加したんです。

そこで、音楽家の宇崎竜童さんと出会って、映画が好きだということをなんとなしに伝えたら、映画関連の人をたくさん紹介してもらったり、映画祭に連れて行ってもらったりと、別世界だと思っていた映画の世界に触れる機会をたくさんもらいました。

そうしたら、映画にまつわる仕事を具体的に知ることができて、映画の仕事をしてみたいと思うようになりました。

-では、宇崎竜童さんとの出会いがなければ映画監督になっていないですか?

三澤さん:なっていなかったでしょうね。映画にかかわる仕事との接点が普通に生活していたらないですよね。それにどんな仕事があるのかすらもイメージできませんからね。

そこから、日本映画大学の1期生として再度大学に入学しなおして映画を本格的に学ぶことになりました。

-教員になるつもりであったのに、かなり思い切った進路変更をされましたが不安はなかったですか?

三澤さん:これといって不安ということはなかったです。両親が理解を示してくれたことも大きかったかもしれませんね。

 

■映画監督を経験して自分のエゴイスティックな面に驚いた

映画監督として活躍する三澤さん

映画監督としての素顔を見せる三澤さん

-日本映画大学では、映画監督になるための勉強をされたんですか?

三澤さん:その時点でも映画監督になるよりは、私の性格的にもプロデューサーなどの映画を作るうえで関係者を束ねる調整役がいいのではないかと考えていましたので、監督になるためのカリキュラムはとっていなかったんです。

-そうなると、さらになぜ映画監督になったのかが謎ですね…

三澤さん:映画監督を始めるきっかけは、2年生の夏休みから始めた映画制作会社でのインターンですね。はじめはインターンのつもりでしたが、そのまま見習いのような形で学生時代はずっと働かせてもらいました。ここでいくつも映画制作にかかわらせてもらって、卒業のタイミングで映画を監督させてもらえることになったんです。

それが、茅ケ崎を舞台にした「3泊4日、5時の鐘」という作品なんです。

-なるほど!ここで映画監督になるチャンスがおとずれるんですね。実際、映画監督を経験されてみていかがでしたか?

三澤さん:そもそも映画監督には向いていないと思っていたわけですが、実際、映画監督の椅子に座って自分の思いをそのままぶつけて作品を作る経験をすると自分の中のエゴイスティックな部分がこんなにあったんだと気がつきました。

自分が作りたい作品を作ることがとても楽しかったですし、それが魅力的に感じました。

-それは、実際に経験してみないと分からなかったでしょうね。この経験が三澤監督の始まりですね。

三澤さん:そうですね。ここからがスタートですね。

 

■大磯の雰囲気が構想していたストーリーと合致した

「ある殺人、落葉のころに」のフライヤー

「ある殺人、落葉のころに」のフライヤー

-では、大磯を舞台にした最新作の「ある殺人、落葉のころに」についてお聞きしたいのですが、これはどのように作られたのか教えてください。

三澤さん:前作の「3泊4日、5時の鐘」は茅ケ崎を舞台にした男女のラブストーリーだったので、次はより社会的に踏み込んだ内容の作品を作りたいと思っていたんです。

そんなことを思っていたら、前作でお世話になった茅ケ崎館という旅館の方に、大磯はとてもおもしろい場所だから見てきなよと言われたんです。私は寒川町出身なので、それほど遠くないのですがじっくりと大磯に行ったことがなかったので興味をもって行ってみたんです。

-大磯町をじっくりと訪れてみていかがでしたか?

三澤さん:茅ケ崎と同じように海のある町なのにこんなにも印象が違うものかと、とても驚きました。

大磯は海と山が近いからなのか、茅ケ崎と比較すると閉じたような印象があって、良い意味で曇りが似合う町、そして、長い歴史の積み重ねによって作られた大磯らしさがあり、次回作のイメージと合致する町だと思ったんです。

-なるほど、町のイメージが作りたいと思っていた作品のイメージと合致したんですね。実際には、大磯のどのような場所での撮影が多かったのですか?

三澤さん:海や観光地ではなく、裏路地や山側のエリアでの撮影が多くなりました。作品自体が、「落葉のころ」と設定していることと、大磯がもつ色合いと映像をマッチさせると自然とそのような場所を選んでいました。

撮影場所にも使用された大磯の路地裏の風景

撮影にも使われた小さな十字路へ向かう路地

-撮影は大変でしたか?

三澤さん:友人を含めていろいろな方に協力をしてもらって、約10日間の撮影スケジュールで取り終えることができました。

そのあとは、釜山で開かれた映画祭で賞をいただき、最終的には満足の行く作品にできたと思います。

 

■次回作の構想について

次回作に向けて動き出す三澤さん

大磯の街角での1枚

-次回作の構想はすでに固まっているんですか?

三澤さん:そうですね。今は、ふたつの構想があります。ひとつは、新緑の葉山町を舞台にしたさわやかなラブストーリーを作りたいなと思っています。今回の作品テーマが社会的に踏み込んだものだったので、その反動かもしれませんが、さわやかな作品を作りたいですね(笑)。

あと、場所は離れるのですが三重県伊勢市を舞台にした作品を作ろうと考えています。

-やっぱり、三澤さんが作品を作るうえで場所はとても大切なんですね。

三澤さん:そうですね。見知った場所でもカメラをとおして見ると違う世界に見えたり、また、知ってる場所であったとしても1度解体して新しい解釈で作品の中で作り直す作業もとても楽しいと思います。

そうやって作っているので、地元の人にご覧いただいたときに違う場所のように感じたと言ってもられるのだと思います。

-なるほど。では、最後の質問ですが三澤さんの今後のビジョンを教えてください。

三澤さん:映像とのかかわり方が、ここ最近で急速に変化してきていると思っています。これまでは、映画とテレビだけであったものが、インターネットを介した配信サービスで世界中の人に作品を届けることができるようになっています。

ですから、既存の考え方に固執せずに、新しいものを受け入れて世界の人に届けられる作品を作りたいと思います。

-今日はありがとうございました。

『ある殺人、落葉のころに』は2021年2月20日(土)より東京・ユーロスペースほか全国で順次公開が決定しておりますので、詳細は公式SNSをご覧ください。

 

編集部のひとこと

ライター

せいくん

映画監督にインタビューをするということで、お会いする前はあまりお話いただけなかったらどうしようかと考えていたのですが、三澤さんは超がつくほどの自然体で、何をお聞きしても私たちがわかりやすいようにと気を使っていただき、やさしく答えていただいたことがとても印象的でした。

もうひとつ印象的なことは、町にはそれぞれ表情があるということでした。茅ケ崎と大磯は電車の駅では2駅しか離れていませんが、対照的な印象のある町だといいます。私も言われてみて共感することが多く、そういった観点で町を見たことがなかったので、これから訪れる町の表情をどのように感じるのかを自分で確かめてみようと思いました。

編集部メンバー

編集長
かなさん

ふたりの子どもがいるワーママ。お酒が好き。とにかく声が大きい。

ライター
せいくん

家事全般、特に料理が得意な新人ライター。気も声も小さい。

ライター
ゆめちゃん

好奇心旺盛。食べ歩きや女子会が大好き。いつもTシャツ。

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