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輝く女性インタビュー

要らないものなんてない!すべての出会い、すべての経験に感謝!NPO法人幸区盛り上げ隊 代表・倉林智美さんインタビュー

川崎市幸区―川崎市でいちばん小さなこの区で、「NPO法人 幸区盛り上げ隊」は、“幸区をママが楽しく暮らせる街に”をコンセプトに、幸区の魅力の情報発信やイベントの企画運営など、ママたちが笑顔になる取り組みを行っています。

2020年11月―活動をスタートして3年、法人を支えるメンバーも、活動対象とする人も、ママにかぎらずさまざまな世代の人に広がって、NPO法人幸区盛り上げ隊は、その名の通り“幸区を盛り上げる”重要な存在となっています。今回は、NPO法人代表 倉林智美さんに、NPO法人幸区盛り上げ隊の魅力あふれる活動についてお話をうかがいました。

 

■ココにも、ココにも、ネコがいる!!??

―本日はよろしくお願いします。

倉林さん:こちらこそ、よろしくお願いします。

―まず、川崎市幸区は、どのあたりの地域になるのですか?

倉林さん:川崎市は縦長の地形で、北部・中部・南部と分けられるのですが、幸区は南部にあたる場所にあります。ラゾーナ川崎やミューザ川崎があるJR川崎駅西口からJR南武線沿いに、尻手・矢向・鹿島田駅周辺エリアまでが幸区です。

―では、大きな商業施設も住宅街もある地域なのですね。

倉林さん:はい。また、幸区には川崎駅周辺のような大きな商業地域もありますが、思わず引き寄せられてしまう庶民的な商店街もたくさんあります。私たちはこのような幸区の魅力を、ママにかぎらず、幸区内外の方にも知っていただきたいと思い、「幸区にゃんだふる通信」というフリーペーパーを2018年春から年間4回発行しています。にゃんだふる通信には、私たち自身が企画運営しているマルシェやイベントの情報だけでなく、区内さまざまなエリアのイベント情報のほか、幸区のおでかけスポット・教室・お店の情報をたくさん掲載しています。また、幸区の歴史に触れられる「今昔物語」や私たち法人の頼れるメンバーで、シニア地域活動家・齊藤 岳至さんが街の魅力を再発見する“がくさんぽ”など、個性豊かな地域情報がぎっしりつまったフリーペーパーです。

―このフリーペーパーは、幸区をさまざまな切り口で知ることができますよね。幸区にあるいろいろなものの“今と昔”を比べる「今昔物語」のコーナーもとてもおもしろかったです。生活の足である川崎鶴見臨港バス、さいわい緑道や矢上川など、今と昔の姿の違いを見て、ふだんは気に留めることもない地域の様子も、社会の変遷とともに大きく変わっているのだなと気づかされます。
おとなももちろんですが、このフリーペーパーは、小中学生が地域に関心をもつきっかけにもなりそうですね。

倉林さん:そう言っていただけてうれしいです。じつは、このにゃんだふる通信は、幸区の小中学校には全校生徒に配布しているのですよ。ほかにも、1部の保育園、幼稚園、施設・飲食店舗など100カ所以上設置していただいて、現在3万2千部発行しています。

―3万2千部!すごいですね!部数もすごいですが、にゃんだふる通信の用紙が分厚くて立派なのにも驚きました!どうしてこんなに立派な紙を使っているのですか?

倉林さん:確かに、フリーペーパーにしてはかなり分厚い紙を採用していますので、費用がかさんでしまうのは事実ですが、それでも厚紙にこだわって発行しているのは、チラシみたいにすぐ捨てられるものではなくて、一家に1冊という感じで、次号が出ても取っておいてほしいなという思いがあるからなのです。

また、にゃんだふる通信は幸区図書館で郷土資料の位置づけで収集いただいています。「幸区って素敵な場所だよ」という情報をみんなに配りたかったから、紙質にこだわったのは正解だったと思います。

―紙の厚さは、思いの熱さと比例しているということですね!
しかし、年4回の発行―つまり、3月に1回のペースで作業を進めなければならないのは、たいへんですよね。じっさいこのフリーペーパーは何人で作っているのですか?

倉林さん:メインでかかわっているのは3人。編集長・人見さん、DTPなどデザイン関連・梛野さん、営業が私です。梛野さんはデザインだけではなく、幸区に特化した郷土の伝承や資料の収集をしている郷土資料研究をしている担当でもあります。

でも、前出の岳さんが取材に参加してくれたり、にゃんだふる通信を応援してくださる企業・団体さまから記事情報をいただいたりと、みなさんの協力に支えられながら発行しています。

―確かに「今昔物語」や「がくさんぽ」など個性的な記事コーナーを縫うように、企業・団体さまの情報がたくさんありますね。でも、広告・・・という感じはあまりしないですね。

倉林さん:はい。応援いただく企業さまにも、地域に貢献していただいてる側面をお伝えしたいという思いから読み手に有効な情報を伝えられるように工夫しています。たとえば、川崎西口整骨院のスペースでは、産後のからだの悩みや女性ならではの痛みの解消に関する情報提供を掲載したり、ひまわり交通のスペースでは、「陣痛110番」という妊婦さんのためのサービスをご案内したり、「お子さんと交通ルールについて話していますか?」と投げかけることで、ママたちの関心の高い記事のひとつになっています。

―女性が関心がある内容が読み物として目を通せるので、すぐに必要な情報ではなくても、記憶の隅に残って、必要なときに思い出すことができそうですね。

倉林さん:にゃんだふる通信の紙媒体にとどまらず、ホームページを新規開設したり、InstagramやYouTube「幸にゃんねる」など、インターネットを活用した情報発信もしています。また、Twitterやblog「にゃんつるドットコム」は、幸区の情報だけでなく、隣接する横浜市鶴見区の情報も含めて毎日更新しています。

―紙媒体の情報の良さもありますが、やはりインターネット媒体の情報は、最新の情報が手に入るという面で大きな価値がありますよね。しかも、毎日更新されているのはすばらしいですね。
ところで・・・。先ほどからとても気になっていたのですが、「にゃんだふる通信」、「にゃんつるドットコム」、「幸にゃんねる」など、どの媒体にも“にゃん”がついていますよね。また、にゃんだふる通信には、かなり特徴的なネコのイラストがちりばめられていて、大きな存在感をかもしだしています(笑)。なぜ、ネコが採用されているのでしょうか?

倉林さん:にゃんだふる通信などでおなじみのネコのイラストは、メンバーの梛野さんがデザインした法人のオリジナルキャラクター「さいわいにゃん」です。なぜネコかというと、じつは、幸区の形をよく見てみると、このさいわいにゃんと同じ形をしているのです。オリジナルキャラクターを制作するとき、幸区の地図を眺め、眺め、眺め、さいわいにゃんの姿が浮かび上がったのです。

―なるほど!確かに見えますね、ネコに(笑)。

倉林さん:ありがたいことに、子どもたちがさいわいにゃんの絵を描いて届けてくれることもあります。幸区とともに、愛着をもって末永くかわいがっていただけたら幸せです。

 

■すべての出会いに感謝です!

―ところで、NPO法人幸区盛り上げ隊のメンバーは何人くらいいらっしゃるのですか?

倉林さん:現在、正会員17名、賛助会員を合わせると43名います。さいわいにゃんのデザインやにゃんだふる通信のDTPを担当するデザイナーの梛野さんをはじめ、ハンドメイドが得意なメンバー、からだのケアをする専門家など、メンバー一人ひとりがとても多彩な方ばかりです。みんなの協力があって、法人の活動が成り立っているのは間違いありません。

―このようにたくさんのメンバーが集まって協力してくれるようになったきっかけは何だったのですか?

倉林さん:ひとりまたひとり、団体とつながったメンバーが、さらにまた新たな縁をつないでくれて大きな輪ができてきました。しかしその前に、梛野さんと私が「幸区を盛り上げるために活動する団体を作るよ!」と宣言した時、10名くらいが「いっしょにやるよ」と手を挙げてくれたのが始まりです。先述した岳さんもそのひとりで、彼はそのときすでに「川崎を盛り上げたい!」と活動されていました。岳さんは生まれも育ちも幸区なので、立ち上げた時から共感と厚い協力をいただいてます。先に活動していた人脈やノウハウで助けていただいている部分は大きいです。

またそのほかに、地元で美容室をしているオーナーさん、鍼灸の先生、バレエの先生などが手を挙げてくださいました。

―「団体を作るよ!」と言って、すぐに10人集まるってすごいですね。

倉林さん:団体を立ち上げるとき、私は幸区に住み始めてまだ3年ほどでしたし、団体を立ち上げる1年前までは正社員でバリバリ働いていましたので、地域とかかわることはほとんどありませんでした。いっぽうで、梛野さんは幸区に長く住んでいたので、そのつながりがあったのは確かです。しかし、岳さんのように、私たちが「幸区を盛り上げたい」という思いをていねいに伝えることで生まれた新しいつながりがとても大きかったと思います。我々はママの団体ではありますが、男性がスタート時点で何人か加入していたことで「ママの活動を支えるために男性が手を貸すハードル」がとても低い団体になっているのではないでしょうか。

―団体設立の1年前まで、倉林さんはバリバリと正社員でお仕事をされていたとのことですが、「幸区を盛り上げたい」という思いや「地域活動をしよう」と思ったきっかけは何だったのですか?

倉林さん:私は12年間、イベント会社で働いていました。とても忙しくてたいへんな職場でしたが、やりがいがあって楽しくて大好きな仕事でした。第1子の育児休業後に復帰したのですが、子育てとの両立にむずかしさを感じ、思い切って退職をしたのです。そのあと、事務職に転職しようか、簿記などの資格を取ろうかともんもんと考えているなかで、育児セラピストの資格を取得しました。資格取得後、毎日出歩いて、ママたちの交流会などで育児セラピストのセミナーを開きながら川崎市・新城や大田区・大森などに通ううちに、地域活動をしている方と知り合うきっかけができました。

団体をいっしょに立ち上げた梛野さんとも、ママの交流団体主催のクリスマス会でいっしょに受付をしたことで出会いました。最初の出会いは、幸区どころか、川崎市でもない場所だったのですが(笑)

―すごい偶然ですね!

倉林さん:そうですね(笑)。「はじめまして」「どちらから?」「川崎市幸区です。」「え!?私も幸区」「幸区ってママの活動する場所がないですよねー」なんて話していて、「幸区でそういう場所いっしょに作りませんか?」と、あっという間に意気投合しました。いろいろな場所に出かけて行って、いろいろな人と話してきたからこそ、梛野さんとの出会いに結び付いたのだと思います。梛野さんも私も、すでに幸区とは違う場所で地域活動を進めていたのですが、この出会いがきっかけで、幸区を拠点に活動をスタートさせることになりました。

 

■週に1度はイベントやマルシェの日!

―会社を辞めたあとも、資格を取得したり、自分に必要な場所へどんどん出かけていくなど、倉林さんはすばらしい行動力の持ち主ですね。もしかすると今は、会社員時代よりもお忙しいのではないですか?

倉林さん:会社員のときは出張があったり、夜中まで仕事をしたりと、忙しさの内容が今とはまったく違っていました。しかし、この団体を立ち上げて、いろいろなイベントを企画・運営してみると、私は本当にイベント大好き人間なのだなとあらためて実感しました。

―具体的にどのようなイベントを開催されているのですか?

倉林さん:私たちの法人で力を入れているのは子連れで参加できるイベントやマルシェです。マルシェを開くときは、賛助会員のハンドメイドが得意なメンバーが協力をしてくれます。“かわさきジャズ”などの地域イベントのブースに出展したり、幸区内で協力してくださるお店のスペースをお借りするなどして、会場を変えながらいろいろな規模のイベントを開催しています。気が付けば、昨年はなんと年間45回もイベントを開催していました!

―年間45回!!・・・というと、ほぼ週1回はイベントやマルシェを開催していたということになりますね!!

倉林さん:本当ですね(笑)。マルシェに立ち寄って、ママたちがホッとできるといいなと思います。いっぽうで、私たちがイベントを開催することで、地域貢献に役立つ効果も生まれ始めています。

―具体的にどのような効果がありましたか?

倉林さん:たとえば去年・一昨年は、JR矢向駅近くにある塚越商店街で、「塚銀フェス」を商店街といっしょに主催しました。ここは、昭和6年から続く歴史ある商店街で、毎年5月から9月の最終土曜日に開催される夜店がにぎわいを集めていました。しかし、近年は全国の多くの商店街同様、人通りが減少し、さまざまな理由から、夜店の回数を減らす方向で動くことになっていたのです。そのとき商店街のご担当者に、「夜店に代わる何かをいっしょにやりませんか」というお誘いをいただいて、塚銀フェスを作りました。私たち団体がマルシェを開催することで、これまで塚越商店街に訪れたことがなかった人が、商店街に足を運んでくださるきっかけができました。その日は夜店同様、満員電車のような混雑ぶりで、大盛況のフェスとなりました。

―商店街の方からお声がけいただいたのですね。ご担当の方も、NPO法人幸区盛り上げ隊の活躍ぶりをどこかから聞いていらっしゃったのでしょうね。

倉林さん:じつはこれも、人と人のつながりから実現したものなのです。ひょんなことからつながった縁から、「いっしょにおもしろいことをしたいですね!」という話になって実現したコラボだったのですよ。

―ちょっとした人との縁を、しっかりと結び付けていく倉林さんの人間性がすごいです!

倉林さん:ありがとうございます。また、マルシェのほかに毎月1回「さいわいママ交流会」を開催しています。これは、ママが子連れでリフレッシュできる講座やセミナーを、定員10名で開催する、マルシェよりも交流性の高いイベントです。私はこのイベントの企画・運営を担当していて、これまでに、「0歳から楽しむJAZZライブ」「ベビーマッサージ」、「離乳食講座」など、毎月テーマを変えて開催しています。

―イベント大好き倉林さんが大活躍する分野ですね!

倉林さん:はい(笑)。私は育児セラピストとして自分が直接ママたちを癒すことも好きですが、ママとママを応援する活動をしている人をつなぎ、ママたちがリフレッシュする場所や時間を作る方が好きなのだなと思います。

―地元のお店とコラボして製品開発も行っているとうかがいました。

倉林さん:地元の和菓子屋「新岩城菓子舗」さんには、さいわいにゃんの焼き印をほどこした“さいわいにゃんどら”というどら焼きをオリジナルで作っていただいています。お店で販売しているどら焼きの1.5倍のあんこを入れて200円。マルシェなどのイベント限定で販売しています。マルシェで年間800個ほど売り上げる人気商品です。

―さいわいにゃんのかわいい焼き印のおいしいどら焼き。和菓子店のよい宣伝にもなりますね。

倉林さん:また、コーヒー焙煎の店「カフェデニム」さんとは、妊娠中や授乳中のママたちをターゲットにした“カフェインレスにゃんコーヒー”を作りました。いっしょにコーヒーの味を考えたり、カフェデニムのマスコットキャラクタ“デニムちゃん”とさいわいにゃんのコラボスタンプでパッケージを作るなど、ママたちの間で人気の商品となっています。

また、T.T BREWERY(TTブリュワリー)というOEM専門のクラフトビール醸造メーカーで、イベント販売用のオリジナルクラフトビール“幸盛(さちもり)ビール”も作りました。メンバーのママたちで試飲して、「これだ!」という味に仕上げています。

また、T.T BREWERY南部市場の店内に、ハンドメイド製品の販売コーナーを設置させていただくなど、さまざまなコラボを行っています。

―幸区ブランドを上手にアピールしているのですね!
ところで、川崎南部市場といえば、一般の人でも入れるのですか?

倉林さん:はい。お買い物もできますし、おいしいお食事どころも軒を連ねています。

ぜひ遊びに行ってみてくださいね!

■10年、20年後に続く覚悟

―ところで、NPO法人幸区盛り上げ隊は、任意団体「幸区盛り上げ隊!」を設立しておよそ半年ほどでNPO法人化を行っていますが、これはどうしてでしょうか?

倉林さん:にゃんだふる通信もマルシェやイベントの企画運営も、応援してくださる企業・団体さまが増えてきて、だんだんとビジネス要素が見えてきましたが、今はまだまだという感じ。NPO法人になると、法人税がかかったり、総会を開催しなければならないなど面倒な点も多いのですが、それでも私たちが法人格にこだわったのには理由があります。

ひとつは、小さな商店はもちろんですが、大きな企業とのコラボを見据えているからです。冒頭でお話ししたとおり、幸区は庶民的な商店街と川崎駅周辺の大きな商業施設を抱える地域ですから、私たちが法人格をもって信頼される立場に立たなければならないと考えたからです。また、オリジナルキャラクターのさいわいにゃんを守りたいという思いもあります。

もうひとつは、この団体の持続性への願いです。幸区盛り上げ隊を作ったきっかけは、ママが楽しく過ごせる場所にしたいと思っていましたが、ほかの地域団体や子育てサークルを見ていると、お子さんが大きくなると自然解散してしまっているところもたくさんありました。しかし私たちは、5年後、10年後、20年後もこの活動を続けていくという思いがあってNPO法人の認証を受けたのです。

―法人化したことには、大きな覚悟があったのですね。 

倉林さん:はい。今後はこれまでつながってきたさまざまなご縁を大切にしながらも、自分たちの独自拠点をもちたいと考えています。幸区を盛り上げたいから、気楽に「幸区盛り上げ隊」という名前を付けたのですが、今やこの名前が分かりやすく区民の共感を得ていると感じています。これからもたくさんの人とていねいにつながりながら、幸区を盛り上げていきたいと思います。

 

編集部のひとこと

編集長

かなちゃん

おっとりとやわらかな印象の倉林さん。お話をうかがっていても、「みんなに助けられている」「多彩なすばらしい人たちがつながってくださっている」と、常に周りに対する感謝と敬意を口にされていました。
しかし、倉林さんがイベント会社で培った企画力・行動力・コミュニケーション力こそ、とてつもないパワーをもっているのだろうなと感じました。すばらしい実績を笑顔で積み上げ、団体のメンバー一人ひとりが力を発揮できる場所を作っているのですから。
NPO法人幸区盛り上げ隊が、今後地域をどのように盛り上げていくのか、本当に楽しみですね。

編集部メンバー

編集長
かなさん

ふたりの子どもがいるワーママ。お酒が好き。とにかく声が大きい。

ライター
せいくん

家事全般、特に料理が得意な新人ライター。気も声も小さい。

ライター
ゆめちゃん

好奇心旺盛。食べ歩きや女子会が大好き。いつもTシャツ。

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