たいせつじかん ?ほっと一息。少し休憩。幸せな時間?

輝く男性インタビュー

求めていた環境が真鶴町にあった。自分の絵を必要としてくれる人のためにこれからも絵を描き続けるイラストレーター山田将志(やまだまさし)さんインタビュー

真鶴町でイラストレーターとして活動する山田将志さん

イラストレーターとして活動する山田将志さん

高校時代はバンドマンとして活動しながら、CDジャケットやフライヤーの絵を描いていた山田さんは、友人の誘いをきっかけにイラストレーターの道を歩むこととなりました。

都会で過ごす生活のなかで他人との比較や嫉妬心に息苦しさを感じ、現在は自然豊かな真鶴町に移住し活動されています。

真鶴町で人の温かさを感じ、くらしのなかで感じる雰囲気を絵で表現する山田さんのインタビューです。
ぜひお楽しみください。

 

聞き手:たいせつじかん編集部

 

■自分らしくあるために

高校時代からバンドマンとして活動していた

-現在、イラストレーターとして活動されていますが、そこに至るまでの経緯を教えてください。

山田さん:私の地元は横浜市内で、高校卒業と同時にひとりぐらしを始めました。高校時代からバンド活動をしていて、いつか都内に住みたいなと思っていたので、綱島や日吉に引っ越して徐々に都内をめざしていました。

-バンド活動をされていたんですね!それまでは絵を描いていなかったんですか?

山田さん:もともと絵を描くことが好きだったので、子どものころから描いていましたが、本格的に絵を描き始めたのは27歳のころです。

-そのきっかけは何だったのですか?

山田さん:バンド活動中に趣味程度でCDジャケットやフライヤーを描いていたのですが、イラストレーターをしている友人が私の絵を見て、「いっしょに展示してみない?」と声をかけてくれたんです。

そこで初めてきちんと絵に向き合いました。

-美大や専門学校に通われたわけではなく、独学で絵を描かれているんですね!

山田さん:そうなんです。それがきっかけで、バンド活動は休止して絵を描くことに本腰をいれて、イラストレーターをめざすことになりました。

-ご友人の誘いでバンドマンからイラストレーターになられて活動内容は変わりましたが、それでも「いつか東京へ!」という気持ちはおもちだったんですよね?

山田さん:それは変わらず思っていました。けれど、そう思って生活を続けていくうちに疲れてきちゃったんですよね。

漠然と東京に行きたいと思っていましたが、そうするとどうしても他人と自分を比較してしまうし、売れていく人が気になってしまって。自分の好きなことをしているのにそれがだんだん嫌いになっていきそうな気がしたんです。

そう思ったのが30代前半のころだったと思いますが、その辺りから違う場所に引っ越ししようと思いました。

-自分の好きなことをしたい、好きなことができていればいいと思っていても、知らず知らずのうちに他人からの評価を気にしてしまって、これでいいのかと不安になることってありますよね。

山田さん:誰に何を言われたわけでもないのに、勝手に自信を無くしてしまうというか、そんな気持ちでしたね。

-その気持ちから「住む場所を変えよう」という発想になっていったんですね。

 

■ありすぎない良さに気づく

-ご自身の経験から住む場所を変える決心をされたわけですが、なぜそれが真鶴町だったのでしょうか?

山田さん:引っ越しを考えてから、他人の目を気にせずに絵を描いて生活できる場所を探していて、最初は伊東あたりを見ていたんです。

-伊東や真鶴の共通点を考えると海なのかな?と勝手に想像しちゃいました。

山田さん:そこはとくに考えていなかったですが、私がもつイメージのなかに海があったのかもしれませんね。

真鶴町には「真鶴まちなーれ」という町全体を使った芸術祭があるのですが、東京でお世話になっているPARKGALLERYが「海」をテーマにしたグループ展でそのイベントに参加しました。私もそのなかの作家のひとりとして絵を展示しました。

そのときにギャラリーのオーナーから「真鶴は良い場所だよ」と聞いていて、せっかく展示もしているから、ということで真鶴町に来たのが最初ですね。

-初めて真鶴町に来て、どんな印象でしたか?

山田さん:その当時は3月ごろだったと思いますが、電車から駅のホームに降りたときに吹いた風が暖かくてすごく気持ち良かったんです。
その瞬間を今でも覚えていて、そこで魅了されたんだと思います。

そのときは夜の7時くらいだったので外は真っ暗だったのですが、港までぶらぶら歩いていたら草柳商店さんという角打ができる酒店さんだけあかりがついていて、いっぱいだけって入ったんです。

そこで真鶴町の人たちに触れて、みんないい人たちでここに住みたいって思いました。

-以前、真鶴町に移住した映像作家の松平さんにインタビューさせていただいたときに草柳商店さんをご紹介いただいて私もうかがいました!
ギャラリーのオーナーさんから真鶴はいいよって言われたり、実際に来ていい町だなって感じて山田さんの心を動かしていったんだろうと思いますが、決め手になったできごとは草柳商店さんで真鶴の人たちに出会ったことなんですね。

山田さん:引っ越しの条件でこれがないと嫌だとかは考えていなくて、いいところがあれば住んじゃおうぐらいの感覚だったので、それがここだったんです。

-なんとなくイメージしていたものと真鶴町の雰囲気が一致したんですね。真鶴町に引っ越しをされて今何年目ですか?

山田さん:3年くらいです。

-実際に住んでみて感じた真鶴町の魅力ってどんなところですか?

山田さん:人と人との距離間が近いところですかね。もしかしたらそれが苦手だって感じる人もいるかもしれないですけど、私にとってはそれが居心地が良い距離感ですね。

あとは、海も山もあって自然が豊かなところや空気がきれいなところです。

-これまでさまざまな人に真鶴町の魅力を聞いてきましたが、みなさん「人」っておっしゃるんですよね。では、逆に不便だなと感じたところはありますか?

山田さん:都会に比べるとバスの本数が少ないとかはありますけど、原付があればどうにでもなるし、私はあまり不便を感じないですね。

あったら便利なものってたくさんあると思うんですが、無いなら無いで自分で考えて生活するし、自分にとって本当に必要なものを選別できる気がします。

私はありすぎるとかえって迷ってしまう性格なので、ありすぎない良さにも気づけました。

-現代は物で溢れかえっていて、無くなると困る、不便だと思いがちですが、当然昔は無かったわけで、それが無いと生活できないみたいな錯覚に陥ってしまっているんでしょうね。

 

■好きなことを好きな気持ちのままで

山田さんが描いたカレンダーのイラスト

山田さんが描いたカレンダーのイラスト

-山田さんが描かれた絵を事前に拝見して、ある意味ですごく写真のようで、さらに人のいる風景や食に関する絵を多く描かれている印象を受けたのですが、山田さんは想像やイメージしたものを描かれているのですか?

山田さん:イメージで絵を描くことはほとんどなくて、自分自身が体験したことを絵にしています。

自分が生活をしていて、「こんな絵を描きたいな」と思った瞬間に写真に撮ってそれを描きますね。

-山田さんの実体験を絵で表現されているんですね。

山田さん:それが多いですね。写真に撮ってそれを見て描きますが、自分の目で見た光景と写真とでは少しイメージが違うので、できるだけ自分が見た感じたものを意識して描いています。

実際に描いている途中の絵

-絵を描くにあたって、ご自身のルールや決めごとはありますか?

山田さん:とくにルールは決めていません。自分の描きたいと思ったものを描くようにしています。
自分の絵を見返すとくらしに関係している絵が多いので、そういうのが好きなのかもしれないです。

愛犬りくとじゃれあう山田さん

人懐っこい愛犬「りく」とじゃれ合う山田さん

もちろん依頼されたものは何でも描きますよ!

-なるほど。自分の描きたいもの描くことがルールだとすると、それができる環境が真鶴町にあって、きっと山田さんが求めていたことなんでしょうね。

山田さん:あと自分のなかで大きかったことは、お金の流れや働くことの意味を理解できたことです。

都会に住んでいたころは大勢いるうちのひとりという認識だったのでそれで自信を無くしてしまうこともありましたし、自分が描いた絵がどのようにして対価として自分のもとへ返ってきているのかも考えたことがありませんでした。

けれど、真鶴町の人たちとの距離間で生活をしていると自分を必要としてくれている人が目に見えますし、お金の流れもどうやって稼いで、それがどこで使われているのか?ということが見てわかるので、働くことってこういうことなんだなと理解できたんです。

だから、趣味で絵を描くことと仕事で絵を描くことの切り替えができるようになって、他人との勝手な比較や嫉妬心もないですし、自分に自信をもってイラストレーターとして活動できるようになったんです。

今は自分の好きなことを好きな気持ちのままでできていると思います。

-それってとても重要なことだと思います。では、最後に今後の活動について教えてください。

山田さん:これからもたくさん絵を描き続けたいなと思っているんですが、今真鶴町のカレンダーを制作していて、年末年始に真鶴町や東京、大阪で展示をするので、まずはそれを成功させたいなと思います。

-山田さんの絵を購入したい場合はどうすればいいですか?

山田さん:展示にきていただければと思います。

-わかりました。カレンダー制作がんばってください!今日はありがとうございました!

 

編集部のひとこと

ライター

ゆめちゃん

山田さんの話をお聞きして、自分自身に正直な気持ちで生活できているかと自問自答したときに100%できているとは言えないなと思いました。
くらしを豊かにするということは、自分の心を豊かにすることと密接な関係にあるのではないでしょうか。

そう考えると、足りない部分を補い合うことで生活の営みの連鎖ができ、それを感じたことによって肩肘を張らずに絵を描いて生活できるようになったという山田さんのお話は、とても理にかなっていると感じました。

これからも絵を描き続けていきたいという山田さんの絵を見ると、私はどこかで懐かしさを感じ、ほっこりとした気分になります。
ホームページやインスタグラムにたくさんアップされているので、ぜひチェックしてみてください!

編集部メンバー

編集長
かなさん

ふたりの子どもがいるワーママ。お酒が好き。とにかく声が大きい。

ライター
せいくん

家事全般、特に料理が得意な新人ライター。気も声も小さい。

ライター
ゆめちゃん

好奇心旺盛。食べ歩きや女子会が大好き。いつもTシャツ。

あわせて読みたい