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輝く男性インタビュー

人が人を呼ぶ真鶴町の魅力にひかれて移住を決意した映像作家松平直之(まつだいらなおゆき)さんインタビュー

映像作家の松平直之さんと妻の映子さん

映像作家の松平直之さんと妻の映子さん

都会の刺激に憧れて大阪から上京してきたという松平さんは、地方自治体のプロモーション映像を作るというお仕事の一環で、真鶴町と出会い、そして真鶴のすばらしさを知り移住を決断されたそうです。

妻の映子さんとの話し合いの末に移住し、理想としているくらしができていると語る松平さんに、移住について、そして真鶴の魅力、移住後のご自身の変化などをお聞きしました。

真鶴町の人情あふれる心温まるインタビューとなりました。
ぜひ、お楽しみください!

 

聞き手:たいせつじかん編集部

 

■真鶴町に住む人の優しさに触れて

3年前に真鶴に移住した松平直之さん

東京から真鶴町に移住をしてきた松平さん

-まずは、真鶴町との出会いについて教えてください。

松平さん:私は東京に憧れて大阪から上京してきて、映像の仕事をしているんですが、当初はCMや広告などの映像制作がメインの仕事でした。

しかし、徐々に地域の映像を撮ることが増えていったんです。そんななか、先輩の写真家から「真鶴町をPRする企画に映像で参加してみないか?」とお話をいただいて、そこで初めて真鶴町と接点をもちました。

-松平さんが地域の映像を撮り始めていたころに、タイミングよく真鶴町PR企画のお話をいただけたんですね!

松平さん:そうですね!地域の魅力を映像で表現するのはおもしろいなと興味をもち始めていたタイミングだったので、参加することにしました。

そして、撮影のために真鶴町に半年間通い、地元の人や風景を撮り続けました。そのうち、どんどん真鶴の友だちも増えていき、とてもすばらしい町だなと感じていくようになったんです。

今振り返ってもそのときの作品に関しては、いいものを作れたと思いますし、なにより真鶴町の人にも喜んでいただけるものが作れました。

でも、それは真鶴町の人々のご協力や自然のすばらしさがあってのことだと思っているんです。この撮影は今でも本当に良い思い出ですし、そのときの経験が今の映像制作にも生かされていると感じています。

 

↓こちらから動画を視聴できます
「真鶴半島イトナミ美術館」

 

-真鶴町にすこしずつ触れていくなかで、何より地元の人の温かさみたいなものを感じる機会が増えて、松平さん自身もどんどんはまっていっちゃったんですね。

松平さん:そうなんです。その半年間で小学校の子どもたちから商店のおばあちゃんまで、とにかくたくさんの人たちと出会いました。出会う人出会う人、みんなが魅力的で、私たちを受け入れてくれたんですよね。それがとてもうれしかったですね。

私が東京に住んでいたときは、年齢も仕事内容もあまり変わらない範囲の人たちとしか出会うことがなく、そのなかでしか繋がりをもててなかったんですよね。それに、近所付き合いもほとんどありませんでした。

私たちは妻と娘3人の5人家族なんですが、家族ぐるみの付き合いも多くなかったですし、もし何かがあったときに頼れる人がいなかったんです。

東京はこんなにたくさん人がいるのに不思議ですよね。

-東京に住みながら、真鶴町を知ったことで今の生活ってどうなんだっけ?と、見直すようになったんですね。

松平さん:東京での生活も悪いものではないしメリットもたくさんあるけれど、新しい選択肢として真鶴町に住むのも人生を楽しめそうでいいんじゃないかなと、ふと考えるようになったんです。

とはいえ、私も妻も職場は都内ですし、夢をもって大阪から東京に上京してきたわけですから、どれだけ真鶴町のことを好きになっても、まさか本当に移住することはないだろうと心の中では思っていました。

ですから、撮影終了後は、真鶴がふたつめの故郷になったなぁというくらいに思っていたんです。でも、急に真鶴の友達から「松平さんが好きそうな家が空きましたよ!」って連絡がきたんです。

そのときの私の心境は「えっ、俺、家探してないけど!」でしたね(笑)。

-新しいお店ができたからまた来てね!みたいな連絡だったら理解できるんですが、家が空いたよ!って、突然にする連絡ではないですよね(笑)。

松平さん:そうでしょ(笑)!でも、その友だちはそういうことを軽々しくいう人間ではなくて、私のこともよく見たうえで本当に好きそうな場所だったからあえて連絡をくれたんだと思います。

たしかに撮影のときに町中をまわったとき、良い雰囲気の家だなって思う家があったんです。

そしたらまさか、私の記憶にあったその家が空いたと言うんですよね。そして、これは何かの縁かもしれないからと思い、1度見に行くことにしたんです。

-不思議なことってあるもんですね!そのときは奥さまもいっしょに見に行かれたんですか?

松平さん:いえ、最初はついてきませんでした。妻は田舎ぐらしは悪くないと思っていたようなんですが、漁港の近くに住むことはイメージしていなかったようで(笑)。

-でも、さすがに松平さんの意見だけで決められることではないですよね?

松平さん:だから、どうにかして見にきてもらおうと考えたんですが、妻がその家の庭に鳥小屋があったら次見に行ってもいいよという、無理難題を出してきたので、半ばあきらめていましたね。

-映子さんは、そのときはどうしても行きたくなかったんでしょうね。

松平さん:だから、しかたなく最初はひとりで見に行ったら、なんと庭に鳥小屋があったんですよ!

私もびっくりしちゃって、すぐにそのことを伝えたら、妻もまさか鳥小屋があるなんて思ってもいなかったでしょうからとても驚いていましたけど、約束した以上嫌とは言えず見にきてくれてそれが決定打になったと思います。

真鶴の松平さん宅にある鶏小屋が移住のきっかけに

移住の決め手となった庭の鳥小屋

-それからすぐに引越しをされたんですか?

松平さん:すぐにはしませんでした。このお話をいただいた翌春に長女と三女が卒業と卒園を迎えるときだったので、大家さんに相談したら、半年もの間、善意で待っていただけることになりました。

-はじめは松平さんと真鶴町を映像というものが繋いでいたけれど、お互いが寄り添っていくなかで松平さんと真鶴町の人との間で直接繋がりができていたんですね。奥さまは、松平さんから真鶴町に行きたいと聞いてどういうお気持ちだったんですか?

映子さん:田舎に住んでみたいという気持ちはありましたし、家も見に行きましたけど自分のイメージとは違っていたので、正直う〜んという感じでしたね。

-えぇー、そうなんですか?もう松平さんの立場になってお話を聞いていたので、奥さまも乗り気になっていたのかと思っていました。でも、なぜ移住を決心することができたんですか?

映子さん:真鶴町で洋服を作っているご夫婦がいらして、「映子が好きそうだから紹介するよ」って主人にそのご夫婦のアトリエに連れて行ってもらったんですね。

お会いするととてもすてきなご夫婦で、アトリエもすごく好きな感じだったんです。そのご夫婦と親しくなってお話をしているうちに、こんなすてきな人たちがいるところなら住んでみてもいいかなって思うようになりました。

-奥さまも真鶴町の人と会ってから、ここならいいかもって気持ちが変わっていったんですね!

 

■自分の身の丈に合ったくらしを充実させる

真鶴に移住をして、都会の暮らしの方が不自由が多かったと話す松平直之さんと妻の映子さん

-松平さんも奥さまも「人」がいちばんにあって東京から真鶴町に来られたわけですが、実際にくらしてみて不便だなと思うことはありませんでしたか?

松平さん:私の場合はインターネットの環境さえあれば仕事ができますし、コロナ禍の影響でリモートワークが普及したこともありますし、都内に用があるときは電車で行けますから、とくに不便だと思うことはありませんね。

-奥さまはどうでしたか?

映子さん:真鶴に住んでみて、都内の方が不便だったなと感じることの方が多いですね。

-そうなんですか!?

映子さん:都内ではマンションくらしだったんですが、5人でくらすには広いと言えませんでしたし、周りに迷惑をかけられないのでいろいろなストレスを感じていました。

その点、こちらの家では多少騒いでも近隣の迷惑にならないし、車があれば近隣の商業施設に買い物に行けます。

都内だと駐車場代も高くて車自体もちにくいですし、そういう窮屈さは感じなくなりましたね。

松平さん:たしかに家の広さは重要だよね!もし、外出自粛期間中に都内の家でずっと閉じこもって5人で生活していたらと思うと、限界までストレスが溜まっていたんじゃないかな。

それに、都会でくらすにはお金を出して物を買うしかできないですけど、田舎だと畑を借りて作物を育てたり、釣った魚を食べたりできるんですよね。

自分の身の丈のなかでくらしを充実させていけるということがここにはあるなとすごく感じました。

松平さん宅にある一倉神社

松平さん宅の庭にある一倉神社

-コロナの影響もあって、社会全体でこれまでの価値観が大きく変わっていくような気がしますよね。映像を作るというクリエイティブな仕事をされていて、都会と田舎から受ける刺激の違いはありましたか?

松平さん:仕事柄、色彩や解像度の感覚を磨く、という面で考えると、自然の中で受ける刺激の方が強いと思います。

消費のための刺激ではなくて、くらしのなかで感じる刺激っていうんですかね。五感で感じられる刺激はこちらの方が強いと思います。

昔は、都会の刺激に興味をもっていたんですが、すこしずつ変化してきましたね。

-ご自身の感性もすこしずつ変わってきているんですね!では、地域の映像を作るにあたって意識するようになったことやご自身のルールなどはありますか?

松平さん:地域の魅力を伝えるには、その地域で生活している人に焦点を当てて映像を作るということですね。何気ない日常かもしれませんが、それがいちばん魅力的でかっこいいと思うんです。

人は環境によって変わるものなので、真鶴の人には真鶴らしさがあるし、違う町にはまた違うその町らしさがある。そういう人たちを育んできた土地ならではの自然、風景、季節感を入れ込みながら映像を表現できるように意識しています。

 

■人の元気が町全体を活気づける

 

-これまで田舎ならではの魅力についてお話をお聞きしてきましたが、これから田舎に移住しようと考えている人たちへアドバイスをするとしたら、どのようなことがありますか?

松平さん:たとえば真鶴の場合だと、水源がないので水道代が高かったり、プロパンガスなのでガス代が高かったりということはありますので、局面だけみるとマイナスと感じることは当然あります。

でも、私はそれ以上のプラスの面を見つけているのでいっさい気になりません。そういった都会との違いはどんな地方にも必ずあるかと思います。

あとは、興味本位や軽い気持ちで田舎に住みたいという感覚だとかえって住みづらくなることもあるので、それなりの覚悟は必要だと思います。しっかりと地域に自分も入って生活していくという意識というか。

こちらの方が重要かもしれないですね。

-その覚悟は、たとえばどういうことですか?

松平さん:これまでさまざまな地域の映像を撮ってきて、地域によってそれぞれの習慣や性質があると感じていて、当然保守的な部分もあると思うんです。

-何が良い悪いではなくて、生きる知恵としてこれまでの歴史のなかで作りあげられてきた性質がそれぞれの地域に根づいているということなんですね。

松平さん:そうです。だから、地域に属すというのは、率先して地域の行事や祭りにも参加したり、ここで根を張ってくらしますくらいの気持ちが必要で、中途半端な気持ちで田舎に引っ越ししても本当のおもしろさは味わえないんじゃないかなと思います。

-たしかに、東京に引っ越すとなったとき、地域に誰が住んでいるとかまではあまり気にしないポイントかもしれないですね。それに、地域に溶け込むことって容易ではないですし、相手に合わせてもらうという感覚でいるとずれが生じてしまうんですね。

松平さん:海があって山もあって環境は最高かもしれないけど、くらしは「人」があってのものなので、それは承知しておく必要があると思います。

-なるほど。真鶴町に住まいを移されて3年目になるということでしたが、松平さんからみて真鶴町はどのように見えていますか?

松平さん:私が真鶴町に来たころに比べると地元の若手が地場産業を盛り上げていたり、若い人たちの移住が増えてきたりして活気が出てきているかなと思います。

それはなぜかというと、真鶴町の人自身がこの町の魅力に自信をもって真鶴町っていいところだよって発信するようになったので、それを聞いて外からも興味をもって来てくれるんです。

また、真鶴町には「美の基準」というまちづくり条例があって、若い世代の人たちが真鶴町の本質に共感して移住してきたり情報を発信していたり、そういう流れで町外にも真鶴の魅力が広がったりもしています。

-町にも動きがあって人が元気であるということが大事なんですね。

松平さん:とても大事だと思います!だから、私は真鶴町だけでなくさまざまな地域の人や風景の魅力を浮き上がらせられるような映像を作って、その映像を見た地元の方々が自分たちの仕事のかっこよさに気づいて、ちょっとでも元気になったり自信をもったりしてもらえるような活動をこれからもやり続けていきたいですね。

-お話をお聞きして、私は松平さんのかっこよさに気づきました!これからも人を元気にさせるかっこいい映像を作り続けてください!本日はありがとうございました!

 

編集部のひとこと

ライター

せいくん

今自分の身のまわりに起きている現状が本当に自分の理想としているものなのか、自分の気持ちに素直になって見つめ直す時間はとても重要なんだと思いました。

そしてインタビュー後、松平さんのご紹介で大家さんの酒屋さんに立ち寄らせていただきました。

松平さんが元気のある町は人が元気であることとおっしゃっていたように、酒屋の女将さんもとても元気で歓迎してくださいました。この経験によって、私も真鶴っていいところだよと友人に話をしています。この連鎖が活気ある町を作っていくんだなと感じました。

もし機会があれば真鶴町を散策してみてはいかがでしょうか?

編集部メンバー

編集長
かなさん

ふたりの子どもがいるワーママ。お酒が好き。とにかく声が大きい。

ライター
せいくん

家事全般、特に料理が得意な新人ライター。気も声も小さい。

ライター
ゆめちゃん

好奇心旺盛。食べ歩きや女子会が大好き。いつもTシャツ。

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