たいせつじかん ?ほっと一息。少し休憩。幸せな時間?

輝く女性インタビュー

ママが地域で働く場所を作ろう! ポジティブ思考がもたらす快進撃―NPO法人おもいやりカンパニーインタビュー【前編】

買い物支援と多世代の居場所運営を行うNPO法人おもいやりカンパニー。“働く”か、“働かないか”だけではない、子育て中のママが輝くための選択肢がここにあります!前編は、彼女たちが求め続けていた「地域の居場所」を手に入れるまでのストーリーをお伝えします!

■初めまして!おもいやりカンパニーです

NPO法人おもいやりカンパニー 理事長 津ノ井さん

―本日はよろしくお願いします。

みなさん:よろしくお願いします。

―NPO法人おもいやりカンパニーといえば、昨年(2019年)は、ヨコハマまち普請事業のコンテストで入賞されたり、独自拠点「おもいやりハウス」をオープンさせたりと、快進撃が続いていますね。子育て中のママたちが活躍する団体だと聞き、SNSなどを興味深く拝見していました。ではまず最初に、自己紹介をお願いしてもいいでしょうか?

津ノ井さん:NPO法人おもいやりカンパニーの理事長・津ノ井美晴です。

吉永さん:理事の吉永淳未です。

根島さん:同じく理事の根島真希です。よろしくお願いします

―こちらの拠点「おもいやりハウス」は、10月1日でオープン1周年だったそうですね。おもいやりカンパニーは、ここでどのような活動をされているのですか?

津ノ井さん:ここ「おもいやりハウス」は、地域の交流の場・子どもたちの居場所として機能しています。子どもたちが大好きな駄菓子コーナーや、焼きたてクレープの対面販売が人気で、複数の小学校に通う子どもたちが放課後に集います。また、横浜市の介護予防・生活支援サービス補助事業を受けて高齢者サロンを週2回開催していたり、店内でランチなどの食事を楽しむことができるなど、世代を問わず、地域の方に利用される集いの場です。

でも、コロナ禍の現在では、集まるということがむずかしくなったので、店内での食事提供は止めてお弁当の提供のみとしたり、高齢者サロンも中止する期間があったりと、拠点としての機能はしかたなくスローダウンさせました。

根島さん:しかし、この10月から、拠点外の活動として、買い物支援「ママ・マルシェ」を再開できました。じつは、私たちおもいやりカンパニーのルーツは「買い物支援」なのですよ。

―「買い物支援」ですか?しかし、この横浜市南区中村地区の近隣には、大きくて立派な坂東橋・横浜橋商店街がありますよね?どちらかといえば、買い物に便利な地域なのではと感じましたが・・・?

津ノ井さん:中村・唐沢地域は、とても坂が多い町なので、買い物困難な世帯がたくさんいらっしゃるのです。ですから、個人宅のガレージで買い物支援をスタートさせました。10月からは新しく“どんとこい・みなみ”のスペースを借りてマルシェを開催し、日々訪問型生活支援サービスとして買い物代行を提供したりしているのです。

―そうなのですね。歩いていける距離に大きな商店街があっても、荷物を持って坂を上るのは大変ですものね。

津ノ井さん:はい。マルシェでは、野菜や焼きたてパンに加え、かさばるティッシュペーパーやトイレットペーパー、重い洗剤などの販売も始めました。

また、買い物代行をスタートさせたときは、商店街の商品を買えると知ると、しばらく行けなくなっていた昔なじみの店の味を求めて、お買い物をオーダーくださる方もいらっしゃいました。

―懐かしい味を思い出したのですね!あきらめていたあの味に再会するお手伝いができるなんて、すばらしいです!

吉永さん:でも、おばあちゃんの情報が古すぎて、もう店がなくなっているときもありました(笑)

―拠点の運営以外に、マルシェの運営、訪問型サービスの運営と、本当に大忙しですよね。さらにみなさんは現役の子育て世代とうかがいましたが。

津ノ井さん:はい。子どもは、中1、小5、小3、年中と4人います。

吉永さん:私は、中1、小4の子どもがいます。

根島さん:私は、中1、小4、小1の3人です。

―子育て真っ最中ですね!そして子どもが多い(笑)!いちばん上のお子さんの学年が同じですね。みなさんの関係は、このときからのママ友つながりなのでしょうか?

吉永さん:少し違っていて。私と根島さんは、自分たち自身が小学校1年生からいっしょの幼馴染なのです。家も近所で、子どもも同級生。

根島さん:恐ろしいやつです(笑)。

吉永さん:私は違う幼稚園だったのですけど、根島さんと津ノ井さんのいちばん上のお子さんが幼稚園でいっしょになって、小学校はみんないっしょになって3人が知り合いました。

津ノ井さん:私だけ神奈川県へお嫁に来た感じです。根島さんとは幼稚園はいっしょでしたが、子どもの性別が違っていたのでほとんどお話しすることもありませんでした。小学校に上がってからやっと、こども会や委員会がいっしょになって、お話しするようになりました。

 

■すべては“ハロウィン”のために!

―では、いちばん上のお子さんが小学校に上がってから交流ができたあと、どのようなきっかけで地域活動をするようになったのですか?

津ノ井さん:いちばん上の子が小学校に上がったくらいのときに、ケアプラザから”子育てサークルが全然ない、子育てサークルを作ってほしい”という相談を受けたのです。2番目の子が幼稚園に行っている間に、根島さんと私が、ケアプラザで地域のことなどをよく話していたのですが、それを目撃されていたようです(笑)

根島さん:行くところがなかったんですよね。下の子がいるとファミリーレストランでお茶もできなくて。

津ノ井さん:下の子がいないお母さんは、幼稚園のお迎えまでの合間に、ファミリーレストランなど行っている人もいたけれど、下の子がいるお母さんたちはそうもいかない。下がいるお母さんと下がいないお母さんで、やることが違っているから、おしゃべりしたいのだけど、できない。だから、毎週何曜日みたいな定期開催ではなく、幼稚園の早お迎えの日などに限定して、自由気ままに集まりの場をスタートさせたのです。おしゃべりできる場所としてゲットしたっていう感じですね。

―このおしゃべりの場がケアプラザさんからの「子育てサークルを作って」という相談で、サークル化するのですね。

根島さん: 最初はケアプラザの“部屋貸し“で始めたのですが、サークルを作ると部屋を定期的に借りられるということを知ったのです。そしたらサークルを作った方がいいよねと思ったのでサークル化しました。でも、部屋を定期利用するなら、何かボランティアをしないといけないという規約があったので、お掃除などの自分たちができるお手伝いをして。そういうことを通してケアプラザとの関係性ができてきて、お願いしたり、お願いされたりということが増えていきました。

―最初は部屋を借りて開催していた子育てサークルが、このおもいやりハウスのような「自分たちの拠点をもとう」と考えるようになったきっかけは何だったのですか?

根島さん:ハロウィンがきっかけです。ここの近くには[元町ハロウィン]があるのですが、すごい混雑で、行った人から「何十分も待ってアメ1個しかもらえなかった!」と聞いて(笑)。それなら自分たちでやったらどうかと思ったのです。

津ノ井さん:ハロウィンの2週間くらい前にやろうと決めました。お菓子を買って来て、最初の年はうちわの友だちだけで開催しました。

根島さん:翌年からは、自分たちの不用品を集めてフリーマーケットで売って、それを財源にして開催するようになりました。ケアプラザのイベントに参加して、3万円くらい売り上げて、3万円分お菓子を買ってくる(笑)。

そのうちに、ほかのお母さんたちも手伝うようになってくれたり、ケアプラザに来ているおばあちゃんたちに手伝ってもらったりして、たくさんの子どもたちに参加してもらえるようになりました。

―フリーマーケットの売り上げを、全部ハロウィンに投入!!太っ腹です!

根島さん:“フリーマーケットでお金をためてハロウィンでゼロになる”を繰り返す。なんのためにやっていたのだろう?(笑)

参加者も250人くらい来てくれるようになったので、ここ2.3年で参加費を100円ずついただくようになったのですが、子どもたちは山盛りのお菓子を抱えて、すごく楽しそうに、すごく喜んで帰っていきます。

津ノ井さん:ハロウィンを通して、おばあちゃんたちと子どもたちが遊んでいるのを見て、やっぱり交流できる場所って素敵だね。拠点が欲しいね!となっていきました。

 

■THE 「ママ・マルシェ」

―拠点が欲しい!と考えたみなさんは、次にどんな行動に出たのですか?

津ノ井さん:最初はもやっと「拠点が欲しい」と思っていたのですが、少し具体的な話に進みだしたのが2015年頃。地域に、駄菓子店の空き店舗があったので、そこで何かお店を始められたらいいのではないかと思ったのが最初でした。

根島さん:小学校からは坂を下りて、幼稚園からは坂を上がったちょうどど真ん中にある建て物で、「抜群の立地だね!」とか言っていたのですが。近所とはいえ、急に「借りたいです!」というのもむずかしいから、ケアプラザに情報を聞きにいったのです。ケアプラザも私たちの気持ちに賛同してくれて、いっしょに空き家を探してくれ始めたのですが手詰まりになってしまって。最初から拠点をもつのではなく、地域にお手伝いできるところから始めたらどうだろうと、考え方を変えるようになりました。

吉永さん:地域にお手伝いできることを考えたとき、私たちのなかで、「買い物を手伝ってあげたいな」という思いがずっとあったのですが、いきなりはどうやって始めていいかも分からないね・・・とケアプラザさんとも話していたら、「名前と顔を覚えてもらうのに、マルシェみたいなのをやったらいいのでは?」という話になり、ママ・マルシェをスタートさせました。

―なるほど!これがおもいやりカンパニーのルーツということなのですね。

津ノ井さん:私も坂の途中に住んでいて、子どもが小さいうちは、「大丈夫?」と声かけてもらっていたのですが、10年たつと、声を掛けてくれたそのおばあちゃんたちが、逆に「大丈夫?」という状況が生まれてきていました。

これまでも気になって、買い物を手伝ったりはしていたのですが、おばあちゃんたちはタダでやってもらうと遠慮してしまうのです。だから、しっかりお金をもらって、買い物支援サービスのシステムとして使ってもらった方が、おばあちゃんたちも遠慮しないし、ご近所以外の人にも使ってもらえるのではないかと思って、買い物支援サービスをスタートさせました。

―お金をいただいて、買い物支援をサービスとして、しっかり事業化することにされたのですね。

根島さん:最初は、市民団体が受けられる助成金があることも全然知らなかったので、手探りで活動していました。当初は、商店や飲食店など、普通の事業者として拠点をもとうとしていたのですが、試算するととてもむずかしいと感じて。でも、一旦考えを変えて、自分たちのできる地域活動から進めていると、ママ・マルシェや買い物支援サービスのように、小さいながらも事業化ができてきました。すると今度は、ケアプラザから横浜市の補助金事業を勧めていただくようになり、拠点をもつ道筋ができてきたのです。

 

■What is “クラウドファンディング”!?

―急がば回れ。遠回りしたようですが、結果として地域からの信頼を得ることができていたのですね。そして、拠点を取得する費用を得るために、「ヨコハマ市民まち普請事業」に応募したのですね。

津ノ井さん:はい。ここがターニングポイントでしたね。

根島さん:この事業はケアプラザを通して市役所から紹介されたのですが、「じゃあやろうよ!」「来年じゃなくて、今年!」という感じで応募をすぐに決めましたね。

―「ヨコハマ市民まち普請事業」といえば、市民が、自分の地域の問題を解決したい、地域の魅力をもっと高めたい、という思いを実現するための助成金を得るコンテスト。地域での合意形成が重要な審査ポイントだと聞きますが、その時点で町内会などの地域の方々ともいい関係を築くことができていたのですか?

津ノ井さん:連合町内会にママ・マルシェのチラシを毎回持って行っていたので、その場で「まち普請コンテストに参加します!」と宣言はしたのですが・・・ざわざわしたなかでしたし、あまり理解されていなかったと思います(笑)。

根島さん:いきなり若いママ世代が助成金の話をしても驚かれるだけですよね(笑)

―すると、申し込み時点では、3人でコンテストに臨もうとしていたということですか?!

みなさん:そう(笑)

津ノ井さん:1次コンテストに出るとき「ちょっと寂しいかもな・・・」と思って、ママ・マルシェのガレージを貸してくださっている方を誘って4人で出ました(笑)。

―明るい・・・。でもここは、悲願の拠点を得るための“勝負どころ”じゃないですか!?リラックスしすぎてやしませんか?

吉永さん:いつも「なんとかなるだろう」という精神。ひとりくらい神経質な人がいればよかったけど、誰もいなかった(笑)

根島さん:試練はまだあります(笑)。拠点を整備するとき、耐震工事が必要になったのですが、まち普請の助成金は耐震工事に使うことができないため、費用が足りなくなったのです。そのとき、横浜市のアドバイザーに、「これはクラウドファンディングしかないぞ!」と言われたのですが、私たちとしては、「クラウドファンディング?なんだそれ?」という感じだったのですが、それしかない!と言われたので、「じゃ、それやろう!」と、クラウドファンディングに挑戦しました。

―次から次へと出てくる課題に、右往左往せず、「なんとかなるわ精神」でふわりと乗り越えていっている、そんな印象ですね。

津ノ井さん:最初は地域からの寄付はあまり集まらないだろうと思ってクラウドファンディングをしたのですが、地域の方からもたくさんの寄付をいただき、拠点づくりを応援してもらっていることが分かってとてもうれしかったです。

 

編集部のひとこと

編集長

かなちゃん

3人のママからスタートしたNPO法人おもいやりカンパニー。ヨコハマまち普請事業、クラウドファンディング、介護予防・生活支援サービス補助事業など、さまざまな補助金・助成金などを次々と獲得して、念願の拠点をスタートさせました。
こんなに快進撃を続けるママたちとは、バリバリ働くスーパーウーマン集団なのかと思いきや、全員が超がつくほどマイペース!分からないことがあっても、あわてず上手に識者に助けてもらいながら、課題を乗り越えていく様子がうかがえました。
後編では、NPO法人を設立して拠点を運営し、地域に大きな貢献をしている専業主婦だった3人の活躍を通して、子育て中のママたちが地域で活躍する可能性の大きさも伝えていきたいと思います。

編集部メンバー

編集長
かなさん

ふたりの子どもがいるワーママ。お酒が好き。とにかく声が大きい。

ライター
せいくん

家事全般、特に料理が得意な新人ライター。気も声も小さい。

ライター
ゆめちゃん

好奇心旺盛。食べ歩きや女子会が大好き。いつもTシャツ。

あわせて読みたい