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お出かけスポットインタビュー

地球に興味をもつきっかけになってほしい!箱根ジオミュージアムの学芸員 山口珠美(やまぐちたまみ)さんインタビュー

箱根ジオミュージアムの学芸員山口珠美さん

箱根ジオミュージアム学芸員の山口珠美さん

2014年にオープンした箱根ジオミュージアムは大涌谷にある施設です。目の前に広がる大涌谷で自然の偉大さを感じ、そこで感じた疑問をジオミュージアムで勉強できるという老若男女すべての人が楽しめるスポットです。

お話をお聞きした山口さんは、ご自身も地学女子とのことで、おもしろいお話をたくさんしていただきました!今回、そのなかからいくつかご紹介します!

温泉街に行くと硫黄のにおいがするって言いますよね。

じつは硫黄自体ににおいはなく、あれは硫化水素のにおいだったってご存じでしたか?
たくさんの発見がある箱根ジオミュージアムについて、学芸員の山口さんにお話をお聞きしてきました。

ぜひお楽しみください。

 

聞き手:たいせつじかん編集部

 

■学んだことを実際に見ることができる!

大涌谷の様子

大涌谷の様子

-はじめに箱根ジオミュージアムとは、どのような施設なのか教えてください!

山口さん:箱根の火山や温泉、自然の魅力を紹介する箱根町営のミュージアムです。

ジオミュージアムのジオは、ジオパークのジオ。ジオパークとは、「地球・大地(ジオ:Geo)」と「公園(パーク:Park)」とを組み合わせた言葉で、「大地の公園」を意味し、地球(ジオ)を学び、丸ごと楽しむことができる場所のことで、現在、全国に43カ所あります。箱根ジオパークは、箱根町のほかに、小田原市、南足柄市、湯河原町、真鶴町の2市3町で協力して活動しています。

-なるほど!だから、箱根の大地をいちばん感じやすいこの大涌谷に箱根ジオミュージアムはあるんですね。

山口さん:大涌谷にあるので、たとえば活火山では実際にどのようなことが起こっているのか、温泉はどのようなしくみで供給されているのか、間近で見ることができるのでとてもわかりやすいと思います。

-箱根ジオミュージアムはいつオープンされたのですか?

山口さん:2014年にオープンしました。

2015年 大涌谷に新火口誕生!噴火前後の記録

2015年大涌谷噴火前後の記録が記されている

-オープンされてからまだ6年くらいなんですね!

山口さん:そうですが、オープンしてから1年後の2015年と2019年に大涌谷の火山活動が活発化して、それぞれ1年3カ月と5カ月ほど大涌谷を閉鎖していましたし、2020年にも新型コロナウイルスの影響で2カ月ほど臨時休館していましたので、実質開館していたのは4年くらいです。

2015年当時は、大涌谷の火山活動を見て、もしかすると噴火するかもしれないなと予想していたら本当に噴火したということですか?

山口さん:そうですね。火山活動の活発化をとらえる動きがいくつかあるのですが、その当時は、山体膨張という山が膨らむ現象が起こったり、地震の数が増えたり、火山ガスの量が増えたりしたことから、噴火警戒レベルが上がり、大涌谷を閉鎖していました。その約2カ月後に噴火しましたね。

-お話をお聞きして火山噴火がものすごく身近なものなんだと感じたのと同時に、ミュージアムの館内で火山噴火のしくみを学んでから、じゃあ外に出て実際に見てみましょう!ということができるんですもんね。

山口さん:はい、ミュージアムで学んだことや模型で見たものを外に出てすぐに確認できることが当館のいちばんの特徴ですね。こんなにフィールドに近いミュージアムはあまりないと思います。

今では、当時にできた火口の様子や噴火前後の大涌谷の様子を紹介しています。

2015年にできた新火口の様子も間近で見ることができる

 

■自由に学べる1話完結型パネル

テーマごとに学ぶことができる1話完結型パネルがある

-大涌谷でも火山活動があったように、生きている山が全国にはたくさんあるんですよね。

山口さん:活火山は、大涌谷のある箱根山も含め、日本全国に111カ所あります。なかでも24時間観測されている常時観測火山は全国に50カ所あって、箱根山もそのうちのひとつであり、大涌谷の観測網は充実していると思います。

-大涌谷はただの観光名所としか思っていませんでしたがすごいんですね!でも、箱根といえばやっぱり温泉も気になりますが、何か特徴はあるのでしょうか?

山口さん:箱根温泉は種類が豊富で20種類以上の泉質があり、温泉のデパートと呼ばれています。また温泉場も、江戸時代には7カ所で箱根七湯でしたが、現在では20カ所に増え、箱根二十湯になっています。

-それぞれによって性質が違うんですか。

山口さん:泉質によって成分が違っていて、色や効能も違います。なかでも大涌谷の温泉は乳白色で特徴のある温泉です。温泉がわき出ている光景を目にされたことがあると思いますが、大涌谷の場合は自然にわき出る温泉の量は少なく、おもに火山ガス(蒸気)の状態で地上に出ています。

その高温の火山ガス(蒸気)と水を塔のなかで混ぜ合わせることで温泉水となり、それを自然湧水の温泉とともに大涌谷温泉として供給しています。

-温泉は、すべてが地下から温泉水としてわき出ているわけではないんですね。初めて知りました!ちなみに大涌谷温泉ってあるんですね?

山口さん:ありますが大涌谷では入浴できません。大涌谷温泉は、仙石原や強羅エリアに運ばれていて、旅館などの温泉施設で入浴することができます。

館内には大涌谷温泉のしくみがわかる模型もありますし、外にも実際に温泉の造成塔もありますよ。

蒸気井温泉のしくみがわかる模型

-それは理解も深まるし興味もわきますよね!以前、阿蘇山に行った際にせき込んだ経験があるんですが、あれは火山ガスによるものなんですか?

山口さん:火山ガスによるものかもしれませんね。火山ガスの90%以上は水蒸気ですが、そのほかにも、鼻を刺すようなツンとくるにおいのする二酸化硫黄(SO2)や卵のようなにおいのする硫化水素(H2S)なども含まれています。

-けれど大涌谷ではあまりせき込まなかったんですが、ここでも火山ガスは出ているんですよね?

山口さん:大涌谷でも火山ガスは出ています。

ときどき火山ガス濃度が高くなるときがあるので、そのときは注意喚起の放送を流したり、火山ガスは水に溶けやすいのでおしぼりを配布したりします。

さらに、これはまだありませんが、より火山ガス濃度が高くなると建て物に避難したり、大涌谷から避難するような安全対策をとっています。

-きちんと防災対策も取られているんですね。では、次にミュージアムの館内はどのようになっているのか教えていただけますか?

山口さん:火山や温泉のしくみがわかる体験型の展示や、硫黄や溶岩などの実物展示、

1話完結型の展示パネルが50枚くらいあって箱根のさまざまなトピックが散りばめられています。

1話完結型パネルになっているのでわかりやすい
「火山と温泉の熱い関係」

新型コロナウイルスの影響もあり、今は一時的に休止していますが、火山噴火の実験や箱根の自然を題材にした工作教室などのイベントも開催しています。

-1話完結型だと、ほかの知識がなかったとしても自分に興味のあることや知りたいことを選んで見に行けるのでとてもいいですよね!

山口さん:順路もとくに決めているわけではないですし、好きなテーマや時間に応じて知りたい情報を見に行けるようになっていますね。

 

■学ぶ姿勢は興味から生まれる

さまざまな種類の岩が展示されている

-ここまで大涌谷と箱根ジオミュージアムのすばらしさについてお話をお聞きしてきましたが、山口さんおすすめの見どころはどこですか?

山口さん:館外では活火山の息吹を間近で感じられる火口周辺がおすすめです!

早雲山方面からロープウェイで大涌谷へいらっしゃると火口周辺を上から見られるので、それもおすすめしています。

館内では、硫黄の結晶と、温泉や火山観測のしくみを紹介して子どもたちに体験してもらうコーナーがおすすめです。

実物が展示されていることがめずらしいアンカー

-こんなに近くで火口を見られることなんてないですもんね。おとなの私でもすでに興味がわいているんですが、山口さんが感じる箱根ジオミュージアムの魅力って何ですか?

山口さん:やっぱり自然のしくみを楽しみながら学べるということが大きいですね。

ここには、子ども連れのご家族や旅行で来られる方などさまざまな方がいらっしゃいますが、どんな方にも興味をもっていただけるようになるべくむずかしい内容にならないように心がけています。

自然や火山って意外とおもしろいね!と思うきっかけになればいいなと思っています。

-ただ、温泉街に来て入浴して帰るだけじゃなくて、この温泉は火山ガスを利用した温泉なんだと感じながら入浴するだけでまた違った楽しみが増えますよね。

ユニークなパネルも

山口さん:興味をもつことで学ぶ姿勢が自然と生まれるものだと思います。

ここには興味をもてるポイントがいくつもあるので、そのなかで自分が気に入ったものを選んでもち帰ってもらえればうれしいですね。

-やっぱりこうしてお話をお聞きして、自然の不思議に触れて何かを学ぶということは大切だなと感じました。最後に、今取り組んでいることなどあれば教えてください。

山口さん:今は新型コロナウイルスの影響で体験型のものを休止しているので、私たちのホームページ上で自宅でもさまざまな体験ができる「おうちでできるコト」シリーズを始めています。

そこでは、おうちでできる火山実験の動画や箱根の大地のことがわかる塗り絵などをアップしているので、ぜひそちらでもたくさんの体験をしていただけたらと思います。

そして、お近くにお越しの際は、実際に箱根ジオミュージアムにも足を運んでいただいて自分の目で実物を見ていただきたいです。

硫黄自体ににおいはなく、独特な温泉のにおいは硫化水素のにおいである

硫黄自体は無臭である

-百聞は一見にしかずという言葉があるように、実際に見たときの驚きは想像以上でした。
本日はありがとうございました。

 

編集部のひとこと

ライター

ゆめちゃん

観光地として有名な大涌谷ですが、いつもの日常と違うところに来て感性が刺激されているところにこのような施設があることによって、小さい子どもたちからおとなまでが興味をもつきっかけになっていて、とても理にかなっていると感じました。

お話のなかで、知識として取り入れた情報を実際に外で見られる環境があることが魅力のひとつだとありましたが、お話をお聞きし館内も案内していただいて私のなかにももっと知りたいという気持ちがあふれてきました。

もし、近くに来ることがありましたら、そのときはぜひ足を運んでみてくださいね!

編集部メンバー

編集長
かなさん

ふたりの子どもがいるワーママ。お酒が好き。とにかく声が大きい。

ライター
せいくん

家事全般、特に料理が得意な新人ライター。気も声も小さい。

ライター
ゆめちゃん

好奇心旺盛。食べ歩きや女子会が大好き。いつもTシャツ。

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