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輝く男性インタビュー

キッチュ!?シュール!?トンガッテル!?地元愛溢れるテレビ神奈川 人気番組「猫のひたいほどワイド」プロデューサー古矢智一さんインタビュー

tvk神奈川の人気番組「猫のひたいほどワイド」のプロデューサーを努める古矢智一さん

みなさんは、「独立局」という言葉を知っていますか? “日本テレビ” “フジテレビ” “TBSテレビ” など、みなさんがテレビ局として認知していることが多いのは「キー局」といい、その系列局を「系列ローカル(地方)局」といいます。そして「独立局」は、このいずれとも異なるテレビ局のこと。今回お話をうかがうテレビ神奈川(以降tvk)は、神奈川県のみを放送エリアとする独立局なのです。

インターネットが広がり、若者のテレビ離れが社会現象だともいわれていますが、神奈川県の独立局だからこそできるさまざまな取り組みや番組作りを通して、tvkは新しい時代の“テレビのチカラ”を発揮し続けています。今回は、そのさまざまな取り組みとともに、ふだんテレビ画面では見ることができない、テレビ局の舞台裏のお話を、tvkの人気情報番組「猫のひたいほどワイド」プロデューサー・古矢智一さんにたくさんおうかがいしました。

 

■「情報の地産地消」×「イケメン育成」=猫ひたワイドの神髄

-本日はよろしくお願いします。

古矢さん:よろしくお願いします。

-古矢さんは、tvkのお昼の人気情報番組「猫のひたいほどワイド」(以降、猫ひた)のプロデューサーとのことなのですが、この番組はどのような番組なのでしょうか?

古矢さん:はい。“猫のひたい”ほど狭いエリアの情報を、“ワイド”にお届けするお昼の情報番組です。「情報の地産地消」をコンセプトとして掲げていて、神奈川県の情報を神奈川県の視聴者に届け、その情報をもとに、神奈川県の人がそこへ出かけるなどのアクションをおこすきっかけとなる番組作りを心掛けています。

-「情報の地産地消!」いい言葉ですね!

古矢さん:神奈川県には鎌倉や湘南など人気の観光地があるので、キー局でもその地域の特集を組んだりしますよね。私どもは、そういった情報はもちろんですが、地元ならではの小さくてキラリと光る情報をとりあげて、ひろく県民に知らせていくことを目標に掲げています。

-地元局だからこそ手に入る情報ですね!また、情報の伝え方もとてもユニークですよね。

古矢さん:リポーターさんたちの“イケメン効果”を最大限に活用しています(笑)。女性視聴者が多いお昼の時間帯が放送時間ですので、そういった方々にいかに楽しんで情報を得てもらうかというと、“若くてイケメンの男性”が、“体当たりして一生懸命汗を流した”姿を通して神奈川県の情報を伝えたら、より楽しんで情報を受け取っていただくことができるはず!という狙いです。

-効果抜群です!イケメンクオリティがとても高くて、シビレマシタ。

古矢さん:はい(笑)。猫ひたリポーターの初めてのリポートは、“畑に収穫に行く”というお決まりがあるのですが、かっこいい男の子たちが、土と汗にまみれながら収穫している姿がとても好評を得ています。ピーナッツって、じつは土の中にできるんだよとか、どうやって収穫するのかということを知る機会は限られているので、とくにファミリー層を意識して、テレビで楽しみながら学んでもらえたらと思って企画しています。

いっぽうで、彼らはまだ20歳前後で、知らないこともたくさんあったり、収穫するものが食べたことがない物だったりして、じつに新鮮な体験を見せてくれます。

-年を重ねると見過ごしてしまうようなことでも、感受性の豊かな若いイケメンリポーターの反応はとても新鮮なのでしょうね。

古矢さん:番組は情報番組ではあるのですが、もうひとつ“イケメンたちの成長する姿をみせる”という軸ももっているのです。彼らは俳優さんなので、猫ひたのような生放送のリポーターや、自分の言葉で情報を伝えるというお仕事は初めて。番組の経験を通して、言葉で情報を伝えていく力が上達してくところを見せていくことを心がけています。だから、普通の番組だと編集したりするのだけど、猫ひたでは、敢えて失敗したところを隠さずに見せていき、視聴者からの叱咤激励のメッセージを募集しています。

-えー!どんな叱咤激励が来るのでしょうか!?

古矢さん:「あそこのコメントは伝わらなかった」とか、「マナーが悪い」とか「お茶わんの持ち方がおかしい」だとか。彼らも、次回同じ間違いをしないように心がけながらやっています。リポーターたちが、自分のお子さんの世代という方も多くて、お母さん目線で応援していただいています。

-まるで、参加型イケメンアイドル育成番組ですね!

古矢さん:はい!視聴者の方に育てていただいていて、彼らの成長も番組のみどころのひとつになっています。

 

■「ママ、プロデューサーってなぁに?」に答えられますか?

笑顔がすてきな古矢智一さん

-キー局の某番組で、番組ディレクターがテレビ出演するなど、タレントさんのように知名度があるディレクターがいらっしゃいますよね。でも、プロデューサーとディレクターってどのように違うのですか?

古矢さん:ディレクターは、番組の演出とかVTR(映像)を作るのが主な仕事。リポーターといっしょにロケに行くのはディレクターになります。いっぽう、わたしのようなプロデューサーは、番組全体をみるのが仕事。予算管理をしたり、VTRの内容に不適切な内容や間違えがないかをチェックしてGoを出したり、キャスティングをしたりします。月曜日はもっとにぎやかにしたいから、トークがうまい子をいれようとか、地元神奈川県の子を入れて地元色を強くしようとか。

-ディレクターは現場で、プロデューサーは全体管理という感じでしょうか?すると、古矢さんはディレクターも経験されたということですか?

古矢さん:そうですね。わたしも最初はアシスタントディレクター(AD)になってディレクターについて学び、ディレクターとしてVTRを作り、いまはプロデューサーとして番組制作に携わっています。

-テレビ業界というと、とても過酷なイメージをもっていたのですが、古矢さんは学生の頃からテレビ業界に思いがあって入ったのですか?

古矢さん:そうですね。学生の頃から映像制作の仕事をしたいという思いはありました。

大学を出て就職をしたころは、まだインターネットのはしりの頃。ISDNの時代で、「〇〇年までに光ファイバーが全家庭に入り、映像を全家庭に送れるようにするのだ!」という事業がスタートしたころで、「ああ、もうすぐそんな時代が来るのか!」と期待は膨らみ、映像の最先端に携えると夢を感じてました。しかし、インターネットでの映像配信が実現する時期にはまだ早く、会社の規模がとても大きかったこともあり、自分のやりたい映像制作の仕事はできませんでした。どうしても映像制作の仕事がやりたい私は、情報収集をしました。そんな折、tvkの募集を見つけたのです。当時はまだ映像制作としてはテレビが主流だったので、テレビ局なら映像の仕事ができるのではないかと期待して、地元のtvkへ転職したというわけです。

-どうしても“映像を作る“という仕事に熱意があったのですね。

古矢さん:そうですね。しかし、当時いた会社が描いていた未来が、今まさに実現してきているのをみて、「本当に言った通りになったなぁ、すごいな~」と思います。

 

■トンガッテル。それが、プライド

横浜市中区に本社を構えるtvk神奈川の外観

-tvkの番組は、ロゴや映像にインパクトがあるものが多いなと感じます。たとえば、猫ひたは、イケメンたちの原色のつなぎ服姿がなぜか忘れられない。「キンシオ」はイメージ映像が、「関内デビル」「戦国鍋TV」は番組名そのものが脳裏に焼き付いてしまう。そういえば、開局40周年に制作した「カモン!カナガワン」というダンス映像も然り。万人受けする整った美しいものというより、ものすごく次世代アートな感じがするのです。どれも「素敵~」というよりは「シュール!」という言葉が似あうような・・・。

古矢さん:シュールというか・・・「トンガッテル」かな。そういうのがtvkの色なのかもしれないですね。

-おお!なるほど!「トンガッテル」感じですね。

古矢さん:tvkはキー局と同じエリアで放送していて、予算もそんなにないなかで、番組を見てもらおうと思うと、目立つというか変わったことをしないとなかなか知ってもらえない。そういったところで試行錯誤したら、シュールというかトンガッタ番組が必要なときに出てくるのかな・・・と思います。ここで働く人はみんな、「ほかの局とは違ったものを作るぞ!!」という意識をもっていると思います。

-tvk公式キャラクターのカナガワニにも「トンガッタ」噂があるとか・・・。

古矢さん:カナガワニは、開局40周年事業のひとつとして、県民に親しまれるキャラクターを作ろうと、視聴者の選挙によって選ばれたtvkのキャラクターです。

この子のトンガっているところは、「ゆるキャラとは呼ばせない!!」ところ。制作したチームが、「これはゆるキャラじゃありません!ゆるくないです!!ちゃんと、きちんと、しっかりと作っています!!!」とゆるキャラという呼び方を許しません。ゆるキャラブームに乗って作ってはいるが、ゆるキャラじゃない!という自負があるキャラクターなのです。

-そういう背景も心意気も、トンガっていますね!

古矢さん:おかげさまで「かまれると幸せになる」という都市伝説まで生まれました。

 

■“はじめてばこ”と“カナガワニ”

tvk神奈川の人気番組「猫のひたいほどワイド」のプロデューサーを努める古矢智一さん

-tvkでは、神奈川県と連携してかながわMIRAIキャンペーンの推進を行っていますね。具体的にはどういった役割を担っているのですか?

古矢さん:かながわMIRAIキャンペーンは、神奈川県に生まれた赤ちゃんに、「はじめてばこ」のお届けを通して「ありがとう」を伝えるキャンペーンです。tvkでは、このキャンペーンの協賛企業・団体の確保や、テレビ番組等での告知、専用WEBサイトによる申込みの受付などを行っているほか、はじめてばこにも協賛品としてカナガワニのオリジナル絵本を同梱させてもらっています。

-すてきな絵本ですね。ん?でもこの絵本、字がありませんね?

古矢さん:この絵本は、tvkアナウンサーの朗読に添って眺める絵本になっています。絵本に付いたQRコードを読み込むと流れるようになっています。

-おもしろいしくみですね。絵本を眺めながら、朗読に合わせて、「これがカナガワニさんだよ、かまれると幸せになるんだよ~」なんて、ママは赤ちゃんに話しかけられますね。全編にわたって、絵がとても素敵です。ぜひ、チャンスがある方は手に取っていただきたいですね。

古矢さん:そうですね。

-はじめてばこだけでなく、tvkではさまざまな子どもたちの応援を行っていますね。

古矢さん:会社を挙げて、地域といっしょに未来を育てるというミッションを意識しています。たとえば、「あすの地球と子どもたち」というキーワードとともに、5年後10年後を視野に入れた番組とイベントのリアルな場面をリンクさせながら、環境の学びを深める取り組みを行ってきました。「どんぐりドリーム大作戦」では、自分たちのまちの環境を守る第一歩として、自分たちの地域のどんぐりを植えるイベントを開催、「海と日本プロジェクト」では、’海を通じて’ 海の大切さを知り、考えることで、環境のことをよりよく知っていくムーブメントを興しています。また「大豆100粒運動」では、県内約250の小中学校で神奈川の在来大豆を育ててもらうことで、食と農の大切さを伝えてきました。

-テレビ番組だけで情報を発信するだけでなく、リアルな場面で実際にアクションすることにつなげることで、実効性のある環境教育につながっているのでしょうね。これができるのは、地域密着のテレビ局だからこそなのでしょうね。

 

編集部のひとこと

編集長

かなちゃん

コロナ禍の休校中に放送したテレビ授業「テレビでLet’s Study」や「テレビホームルーム」は、コロナの不安と急に友だちにも先生にも会えなくなった子どもたちの不安を和らげたことでしょう。
また、「部活応援プロジェクト番組しゃかりき」をはじめとする学校紹介番組は、学校説明会が中止となり不安のなか受験の準備を進める中3生にとっては、貴重な情報を得る番組となったでしょう。
地域に密着し、地域愛にあふれ、そして、キー局に負けないトンガッタプライドを持つ独立局tvkだからこそ発揮できるテレビのチカラは、神奈川県民の価値のひとつなのだろうなと思いました。

編集部メンバー

編集長
かなさん

ふたりの子どもがいるワーママ。お酒が好き。とにかく声が大きい。

ライター
せいくん

家事全般、特に料理が得意な新人ライター。気も声も小さい。

ライター
ゆめちゃん

好奇心旺盛。食べ歩きや女子会が大好き。いつもTシャツ。

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