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輝く男性インタビュー

シャボン玉一筋50年!国籍も年齢も越えて「0歳から100歳まで楽しませる」シャボン玉を作る!シャボン玉アーティスト杉山兄弟 兄・杉山弘之(すぎやまひろゆき)さんインタビュー

シャボン玉アーティスト杉山兄弟
左:兄の弘之さん・右:弟の輝行さん

シャボン玉アーティストの杉山兄弟がシャボン玉の虜になったのは、幼少期のころ、となりに住むおじいさんに見せてもらったシャボン玉だったそうです。

そのときに「こんな不思議なものはない」と心から感動した体験からすべてが始まり、シャボン玉を大きく作ること、そしてたくさん作ることがふたりの夢となりました。そして、地元横浜でシャボン玉アーティスト杉山兄弟を結成し、50年がたった今でもそのことばかりを考え続けているそうです。

シャボン玉の数では毎分100万発、大きさでは直径4.2m、長さではなんと最長20mのシャボン玉を作り、それぞれで世界記録を樹立されています。

兄の杉山弘之さんにお聞きし、実演は弟の輝行さんもいっしょにご協力いただきました。

ぜひ、お楽しみください。

 

聞き手:たいせつじかん編集部

 

■自分自身が感じた感動体験をたくさんの方に届けたい

杉山兄弟の兄・弘之さん

-まずは、杉山さんがシャボン玉アーティストとして活動されるようになった経緯を教えてください。

杉山さん:私が幼いころは遊び道具がなかったので、弟の輝行とよく近くの山に遊びに行っていました。遊び道具は自分たちで作るしかなかったので、木を削って物を作ったり、ほかの遊び道具を作ったりして遊んでいたんですよ。

物づくりが楽しかったので、当時から自分たちの手で何かを作る、発明するということが得意だったんだと思います。

そうしていつものように遊んでいるときに、近くのおじいさんがおもしろいものを見せてあげるからおいで!と、そこでシャボン玉を私たちに見せてくれたのです。

それが、シャボン玉との初めての出会いでした。

-初めてシャボン玉を目にしたとき、どう感じましたか?

杉山さん:こんな不思議なものがあるんだ!と子どもながら感動しましたよ。何もないストロー状の先から大きなシャボン玉が現れて宙に浮いているんですよね。さわったり時間がたつと跡形もなく消えて何も残らない。こんなすごいものがあるんだと、感動しました。

それから、シャボン玉の魅力に引き込まれて、自分たちでシャボン玉の道具を作って遊ぶようになりました。

虹色に輝くシャボン玉

-たしかにシャボン玉って不思議ですよね。

杉山さん:ただ、問題があったんです。当時はシャボン玉を作るには、棒状の先端にシャボン液をつけて、逆側から自分の吐く息でシャボン玉を作るしかなかったんですよね。

私たちは家でお昼ごはんを食べてから日が落ちるまで、ずっとシャボン玉を膨らませているわけですから、当然酸欠になっちゃうわけです(笑)。

-とくに子どものころは、一度夢中になったらなかなかやめられないですもんね。

杉山さん:これだと長く遊べないので、自分の口を使わずにもっと楽にシャボン玉を作れないかな?と考えたわけです。

そこで口で吹く棒状のものではなく、輪にしてそこにシャボン液の膜を張らせて口で吹かずに作れるものを発明したんです!

杉山兄弟が発明した輪っか状のシャボン玉道具

-この輪っかタイプのものは杉山さんが発明されたのですか?

杉山さん:そうなんです。自分たちで考えて自分たちで作ることが好きで楽しかったですから。

これを発明したおかげで酸欠になることはなくなりましたね!

-すごいですね。杉山兄弟は小さな発明家だったんですね!

杉山さん:中学生になってからは本格的に兄弟で発明することに凝っていきました。

火のつきやすい蚊取り線香、暗くても外で歩けるように先端にライトがついた靴、などいろいろ発明しました。

ライトがついた靴は失敗でしたね。歩くと足先は上に向くので自分の顔ばかりを照らすので、まぶしくて歩けたもんじゃないですよ。

今思えばおでこにライトをつければよかったんですね(笑)。

-でも、そのようにアイデアを出して自分たちで考えて作ったものから、成功や失敗体験を積み重ねていったんですね。

杉山さん:そうですね。その発明のテーマのひとつに「シャボン玉を大きくする」ということがありました。

このテーマは今でも変わらず、1983年に直径2mのシャボン玉を作ることに成功しギネス世界記録を樹立しました。

それから4年後の1987年に直径2.5m、そして1990年には直径4.2mのシャボン玉を作り、自らの記録を更新していきました。

-直径4.2mのシャボン玉ってかなり大きいですよね。

杉山さん:シャボン玉の中に子どもが10人くらい入れるほど大きいですよ!

こうして研究を続けていくうちに、シャボン玉で人を感動させたいと思うようになり、シャボン玉を仕事としてやっていこうと決意しました。

 

■自動車販売にシャボン玉が欠かせなかった!?

大学卒業後は、自動車ディーラーに就職したという弘之さん

-自身の会社を立ち上げる前に、弘之さんは自動車ディーラーに就職されたのですね。

杉山さん:私が小中学生のころ車も好きで、よく親に自動車ショーに連れて行ってもらった経験があったので、自分の好きなことで会社経営を学べる自動車ディーラーに就職しました。

事務所にはSPECIALシャボン液とともに車のおもちゃも飾られている

私が就職してからは、新しい自動車は自動車ショーや雑誌でしか見れなかった時代から、各店舗で試乗会が行われるようになり実際に乗って体験できる時代に移り変わっていきました。

試乗会があると車を買う前に実際に乗り心地を体験できるので、私たちにとってはより買ってもらいやすくなりました。

けれど、お父さんがどれだけ車が欲しくてもお母さんの後押しがないと車って買ってもらえないんですよね。

お父さんはお母さんを説得するために試乗会に連れていこうとするけれど、子育てが大変でそれどころじゃないわけですよ。
では、どうすれば子育てが大変なお母さんを試乗会に連れて来れるか考えた答えが、シャボン玉だったんです。

-自動車を買ってもらうための答えがシャボン玉なんですか?

杉山さん:そうです。試乗会をやります!と、ただチラシを作るだけではダメなので、試乗会で子どもがシャボン玉遊びを体験できるよ!と告知して、お子さんがいても家族全員で試乗会に来る理由を作ったんです。

そうすると、お父さんが商談をしている間に、お母さんや子どもたちはシャボン玉で遊んでいるんですが、子どもたちはシャボン玉で大はしゃぎです。

少しの間ですけど、お母さんも子育ての休憩ができますし、子どもの笑顔を見れるのでお母さんの心を掴むことができるんですよね。

それから、車がたくさん売れるようになったんです。

-自動車販売にシャボン玉が生かされたんですね!

杉山さん:もちろん自動車が売れることはうれしかったのですが、何よりシャボン玉で親子が感動している姿を見ると、もっとシャボン玉で人を感動させる人生を送りたいなと思うようになりました。

シャボン玉で人を喜ばせられる絶対の自信があったので勤めていた会社を辞めて、25,26歳のころに今の会社を弟とともに立ち上げました。

それから50年がたちますが、こんなに続けていると思いませんでした(笑)。

兄弟でケンカしたことも今では笑い話に

-会社を立ち上げた当初、困難はありませんでしたか?

杉山さん:たくさんありましたよ。私が会社経営を学んでいる間、弟はシャボン玉の研究をしていて、今でもその役割分担は変わらないのですが、私が依頼を受けた仕事を断ると、弟は「なぜ仕事を受けないんだ!」言ってきて、ケンカすることもありましたしね(笑)。
私なりに考えがあって断っていたんです。けれど、兄弟だったからこそ困難も乗り越えて長い間続けてこられたんだと思います。

そして、ふたりともシャボン玉が誰よりも大好きだということも大きな要因のひとつです。

-うまくいっているからこそ仕事の依頼があったと思います。そのときに仕事を断るのはかなり勇気のいる決断だと思いますが、なぜ断っていたのですか?

杉山さん:それは、一気に流行らせて一過性のものにしてしまうと長続きしないと思ったからなんです。継続的に仕事がもらえるような絶妙なバランスで仕事を受けたり、断ったりを繰り返し、流行りすぎず、でも忘れられないように心がけていました。

これも50年やってこられた秘訣なのかもしれません。

杉山兄弟が発明したさまざまな形をした道具

-なるほど、そういう考えがあったのですね。ただそうと分かってはいても仕事を断るのは難しい決断ですよね。長く経営を続けていくために、ほかに考えていたことはありますか?

杉山さん:ほかには、ライバルが出てきてもそのライバルが諦めてしまうような圧倒的な力の差を見せ続けることですかね。そうすると、子どもたちもシャボン玉といえば杉山兄弟だと印象づきますし、結果的に残るのは私たちになるんです。

ライバルを作らなかったのはよかったけれど、弟子は育てておいた方が良かったと今になって思いますね。今のところ受け継いでくれる人がいませんから(笑)。

■シャボン玉は年齢も国籍も関係なく感動を与えられるもの

無数のシャボン玉の中にいる弟の輝行さん

-会社を立ち上げてから、これまでどういう活動をされていたのですか?

杉山さん:はじめのころは有名アーティストのコンサートでシャボン玉を作ったり、国内外でシャボン玉ショーを行ったり、有名テーマパークのキャラクターとコラボしてショーをしたりしていました。

-海外の方の反応はどうですか?

杉山さん:言葉は通じなくても見るだけで笑顔になれるし、感動している様子が私たちにも伝わりましたね。言葉がなくても感動を与えることができるんだなと実感しました。

シャボン玉の中にシャボン玉!?

-すばらしいです!シャボン玉ひとつで国境も越えられるんですね!では、現在はどういう活動をされていますか?

杉山さん:現在は、「0歳から100歳まで楽しませる」をテーマに、幼稚園や養護学校、介護老人ホームで小規模なイベントをしています。

とくに幼稚園、小学生のお子さんを子育てされているお父さんお母さんって大変なんですよね。子ども同士なじめないとか、急に学校に行きたくないとか。でもそんなときに、学校でシャボン玉ショーが開催されると知ると、子どもたちはお母さんの言うことを聞いてすぐに幼稚園や学校に行くんですよ!

-私も楽しみなイベントがあるとお母さんの言うことを聞いていた記憶があります(笑)。

杉山さん:長くシャボン玉ショーを続けてきて気づいたことは、わが子が喜んでいる姿ほど感動するものはないんだということです。

私たちが行く先々で子どもたちが喜んで、その子どもたちを親御さんや先生が見て感動するんですよ。それを経験するとやめられないんですよね。

 

■ギネス世界記録のその先にあるもの

シャボン玉の数、大きさ、長さでギネス世界記録を樹立

-先ほどシャボン玉でギネス世界記録を樹立されているとお聞きしましたが、詳しく教えていだけますか?

杉山さん:とにかくシャボン玉を大きく、そしてたくさん作ることばかりを兄弟で考えていて、それぞれ最新の記録だと、1983年に毎分100万発の数、1990年に直径4.2mの大きさ、そして1996年に最長20mの長さの記録を作りました。

-大きさがけた違いなのですが、これは割れにくいシャボン液を発明されたということですか?

杉山さん:そうですね、研究に研究を重ねて丈夫なシャボン液を開発しました。

真剣なまなざしの杉山兄弟

-これは50年間の賜物なんですね。この記録もすごいのですが、現在でも記録更新を考えているのですか?

杉山さん:現在はギネス記録というよりも、子どもたちが遊びのなかで科学している心、それをきっかけに子ども同士、親同士がふれあい、親子で感動することをメインに活動しています。

シャボン玉をきっかけに子どもたちが仲良く遊んで、笑顔で楽しんでいる姿を日頃子育てで苦労しているお父さんお母さんにたくさん届けることが、現在の私たちの理想です。

-これからもたくさんの感動を与えられるようがんばってください。今日はありがとうございました。
-最後に、シャボン液の作り方を紹介します!

 

〜杉山兄弟特製!こわれにくい安全なシャボン玉レシピのご紹介〜

【準備するもの】
①精製水    1L
└コンタクトレンズ洗浄液もしくは浄水器の水
②ゼラチン   5g
└お菓子のゼリー粉
③液体石けん  280mL
└台所用で脂肪酸カリウムの石けんと表示がされているもの
④ガムシロップ 10mL
└割れにくくするため
⑤ラム酒    10mL
└表面の色を出すため
⑥炭酸水    20〜40mL
└割れにくくするため

【作り方】
まずは、①精製水を60度に熱し、②ゼラチンをいれてよくかき混ぜる。
その液体を40度に冷ましたあと、③液体石けんをいれてよくかき混ぜる。
ゆっくりとよく混ぜながら、少量のお湯に④ガムシロップと⑤ラム酒をいれて溶かしたものを混ぜる。
最後に、⑥炭酸水を泡立てずによく混ぜて1時間置くと、シャボン液の完成です。

※シャボン液は小出しに使用し、一度使用したシャボン液を未使用のシャボン液の中に戻さないようにしてください。
※シャボン液は、密封し直射日光をさければ1週間は保存可能です。
※子どもの手が届くところに置かないよう注意してください。

 

編集部のひとこと

ライター

せいくん

シャボン玉一筋50年、ギネス記録保持者と数字から驚かされることはありますが、杉山兄弟のおふたりには、「人を心から感動させること」が大前提にあるのだと知りました。

人に感動を与えることこそがおふたりのやりがいであり、この信念を曲げることなく続けられてきたからこそ、今があるんだなと感じました。

取材のとき、横浜市内の公園で実際にシャボン玉を作っていただきましたが、知らず知らずのうち親子が寄ってきて、子どももおとなも関係なく楽しまれている姿がとても印象的でした。

ついつい私も子どものようにはしゃいでしまいました!!

編集部メンバー

編集長
かなさん

ふたりの子どもがいるワーママ。お酒が好き。とにかく声が大きい。

ライター
せいくん

家事全般、特に料理が得意な新人ライター。気も声も小さい。

ライター
ゆめちゃん

好奇心旺盛。食べ歩きや女子会が大好き。いつもTシャツ。

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