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パルシステムインタビュー

みんなが安心してくらせる「心豊かな地域社会をつくりたい!」地域課題の改善をめざすセカンドリーグ神奈川 事務局次長・六角 薫さんインタビュー

「セカンドリーグ神奈川」を知っていますか?多様化する地域課題に向き合い、さまざまな提案をしている組織です。その事務局次長である六角さんに、今神奈川にある地域課題とは何なのか、その中で六角さんがどのような活動をされているのかお話をうかがってきました。

聞き手:たいせつじかん編集部

六角薫さん

「自分も一主婦です」と語る六角さん

主婦の視点で地域課題に取り組む

―セカンドリーグ神奈川はパルシステム神奈川ゆめコープと同じビル内にありますよね。ヨガや英会話のレッスンを開催している「コープゆめカレッジ」の教室と同じフロアにひっそりと入口があるので、いつも気になっていました。名前から活動を想像することができなかったのですが、どんなことをされているのですか?

六角さん:セカンドリーグ神奈川は2012年10月にパルシステム神奈川ゆめコープを母体として立ち上がった組織です。パルシステム神奈川ゆめコープの理念にあるように「心豊かな地域社会をつくる」ことを目的として、主に地域課題を解決するべく活動しているんですよ。

―地域課題というのはどのようなものなのでしょう?

六角さん:地域課題は突き詰めると地域住民一人ひとりのくらしと向き合うことから始まりますので、課題は多岐にわたります。神奈川県との協働事業として、県の5つの課と連携して取り組んでいます。とくに今、力を入れているのは、食品ロス削減と子どもの貧困です。

―県との協働事業なんですね。とても難しそうな課題です。そんな困難な課題に取り組む組織で、事務局次長というのは私からするととても大変な立場にいらっしゃるように見えます。六角さんはもともと地域課題に関連するようなお仕事をされていて、その立場になられたのでしょうか?

六角さん:いえ、私もみなさんと同じ主婦ですよ。独身の頃は、冷凍倉庫や不動産会社で働いていました。結婚・出産で子どもが3人おりますが、長男がアレルギーだったことで食品の安全性に関心をもち、生協に加入しました。その後、パルシステム神奈川ゆめコープの理事を9年経験する中で、自分が子育てする中で抱えた悩みも含め、地域福祉、少子高齢化、食の安全・安心、街づくりと、地域にはさまざまな課題があることに気づきました。それを解決するためには生協内の枠組みだけでは難しい部分があり、その部分を担うものとして、NPO法人の初代理事長としてセカンドリーグ神奈川の立ち上げに携わりました。

セカンドリーグ神奈川は当初、子育て支援という分野に取り組んでいました。パルシステム神奈川ゆめコープには子育て中の組合員が多く、組合員活動の中ですでに子育て支援の実績がありました。そこで、パルシステム神奈川ゆめコープの実績が生かされて、かつ地域や組合員からいちばん求められているものとして子育て支援に力を入れたのです。私自身が主婦として子育て中に抱えた悩みがあったので、その経験をセカンドリーグ神奈川の活動に生かせました。

―六角さんも主婦なのですね。主婦として悩んだ経験が今の活動に生かされているのですね。私自身も家庭があり、子どもを育てていますので、食品ロスや子どもの貧困という課題は他人ごととは思えません。自分ができることも含め、それらの地域課題についてもっと教えていただきたいです。

最近、まだ食べられるにもかかわらず、消費期限が切れた弁当などが大量に処分されている問題をニュースでみたことがあります。お店に限らず、私自身も気づいたら冷蔵庫や棚の奥で食品が消費期限切れになってしまっていることがよくあります。それが食品ロスですよね?

六角さん:そうですね。ご家庭での食品ロスを削減するために、セカンドリーグ神奈川でも各ご家庭でできることから始めていただくための啓発活動を行っています。たとえば、地域のイベントで「もったいない宣言」をしていただいたり、県の市民講座で食品ロスを減らすためにできることについての講義をさせていただいています。

―「もったいない宣言」とはどのようなことですか?

六角さん:ご家庭内にある「もったいない」ことを探して、紙に書きだしていただき、私たちが用意したボードに貼り出します。「水を出しっぱなしにしない」「ごはんを残さない」など、お子さんたちもいろいろ考えて書いてくれます。

もったいない宣言

パルシステム神奈川ゆめコープのイベントで実施された「もったいない宣言」

―あらためて書き出してみることで、身のまわりにあるロスを意識することができそうですね。それなら家で、子どもといっしょにできそうです。

市民講座ではどのようなお話をされているのですか?

六角さん:そうですね、ご家庭で買ってきたものを使い切ること、たとえば、魚1匹でも大根1本でも購入したらすべての部分を活用できるように工夫すること、計画的に購入することで家庭での食品ロスをなくすことを提案しています。みなさんが買い物のしかたを見直すことが大きな一歩になると思います。

セカンドリーグの母体であるパルシステムに関して言えば、宅配生協を利用するときは在庫をみて計画的に注文しますから、無駄なく購入できますし、パルシステムの組合員であること自体が食品ロス削減に貢献していると考えることができますね。

食品ロス

魚を手に入れたら・・・

食品ロス2

食品ロス3

全部使い切る!

―なるほど、私も買ってきたものを無駄にしないように、計画的に買い物をするようにします。各家庭で気をつけるのと同時に、先ほどお話ししたような、消費期限切れ食品を店が大量廃棄しているというニュースを見ると、とても心が痛みます。店や企業からの食品ロスについても、何かできることはないのでしょうか?

六角さん:はい、先ほどお話ししましたとおり、セカンドリーグ神奈川では子育て支援にも力を入れていますが、子ども食堂やひとり親世帯支援の一環として、企業から出るそのような食品を子育て支援団体に活用していただいています。

―「子ども食堂」というのはさまざまな理由で食べられない子どもに地域でごはんを提供する施設ですよね。最近も芸能人の方がご自身がオーナーをしている飲食店で子ども食堂を始めた、という新聞記事を見ました。子ども食堂は増えているのですか?それだけ、食べられない子どもが増えているのでしょうか?

六角さん:「子ども食堂」という名前ではない地域食堂としても増えています。経済的なことだけではなく、つながりの欠如や心の貧困などの課題もあり、食べるだけでなく、居場所としての子ども食堂・地域食堂が増えていると思います。

セカンドリーグ神奈川でも、子どもだけでなく、誰でも参加できる地域食堂「ふらっと食堂」の立ち上げ支援をしました。現在は「めさみーる+」と名前を変えて、川崎市武蔵新城で月一度開催されています。

―食事をすることで、地域の人たちといっしょに過ごし、つながりを作ることができますね。

地域にはさまざまな課題があるのですね。セカンドリーグ神奈川ではほかにどのような活動をされていますか?

六角さん:ほかには高齢者サロンからのご相談で、みんなで同じものを食べたいという希望があることを知り、サロンの記念式典のときにお弁当をお届けしたこともありました。

―課題が多く、六角さんも対応に追われてご多忙ですね!

六角さん:対応すべき課題は多いですが、私たちがいつも心にしている考えがあります。私たちの目的は「心豊かな地域社会をつくる」ことであり、食品ロス等個々の課題解決はそのための手段である、ということです。

その目的を達成するためにはやるべきことがたくさんありますが、異なる課題を解決するための個別の活動同士をつなげていくことが多いです。たとえば、先ほどお話しした高齢者の式典に届けたお弁当について言えば、お弁当の話を聞いてフードバンクがお米を提供してくださり、そのお米を使ってワーカーズコレクティブがお弁当を作ってくださり、そしてそのお弁当を召し上がった高齢者のみなさんが寄付をしてくださり、そこで集まった寄付金を子ども食堂支援にまわすことができました。それぞれの活動がつながった事例です。

―それぞれの地域課題は、個別の課題のようにみえて、じつはつながっているということですね。

六角さん:はい、ひとりの人が生きるということについて、今の社会システムでは対応しきれていない部分があるのかなと思っています。個別の課題で見ると社会保障でまかなえる場合もあります。しかし、誰に聞けばいいのかわからない。もしくは、生活の面だけみても、食事のこと、住宅のこと、子育てのことなどさまざまな問題に分岐しますが、それをワンストップで対応してくれるところがありません。

しかし、地域のつながりが強ければ、みなさんに相談をして協力し合えるような社会にできると思います。これが、私たちの目的である「心豊かな地域社会をつくる」ということであると思います。

地域のつながりが強くなり、お互いに助け合えるシステムができれば、セカンドリーグ神奈川の役割はなくなります。究極、セカンドリーグ神奈川が必要なくなることが私たちのめざすところなのかもしれません。

―自分たちの役割がなくなることが最終目標という考え方に驚きました。企業人として働いていると、どうしても会社の利益を増やすことや、自分の役職を上げたり、立場を守ることに目が行きがちです。それが間違っているとは思いませんが、一方で、六角さんのように、地域のために、自分たちの組織がなくなることを目指して活動されている方たちがいる、ということを知り、感動しました。

六角さん:もともと儲けたい、出世したいということからスタートしたのではなく、子どものアレルギーという、ひとりの親としての悩みがスタートでしたから。その悩みを解決するために生協に加入し、その中で子育て支援活動をし、そこから子育ても含めた地域の支援へと、自然に手を伸ばしていったという感覚です。私たち以外にも、ひとりの人が生きていくために生まれるさまざまな問題をサポートしている団体や人はたくさんいます。その活動同士をつなげる縁結びが、自分の今の役割だと感じています。特別な団体に入っていなくても、先ほどお話ししましたように、各家庭での食品ロスを意識したり、地域食堂に参加していただくだけでも、地域課題を解決する大きな一歩になると思います。

―私の一歩が、その先で「心豊かな地域社会」につながっているということですね。私もできることから始めてみたいと思います。今日はありがとうございました!

▼セカンドリーグ神奈川の情報ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

セカンドリーグ神奈川オフィシャルサイト:https://www.sl-kanagawa.org/

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編集部のひと言

地域課題に主婦の視点で取り組んでいらっしゃる六角さん。お話をうかがうとどれも私たちの生活に身近な課題です。地域課題は地域住民一人ひとりのくらしと向き合うことから始まるということで、課題は多岐にわたります。

こういった地域課題を知り、私たちが出来ることからはじめることがとても大切だと思います。今後も、たいせつじかんではさまざま地域課題に取り組んでいらっしゃる方にインタビューを行っていこうと思います。

編集部メンバー

編集長
かなさん

ふたりの子どもがいるワーママ。お酒が好き。とにかく声が大きい。

ライター
せいくん

家事全般、特に料理が得意な新人ライター。気も声も小さい。

ライター
ゆめちゃん

好奇心旺盛。食べ歩きや女子会が大好き。いつもTシャツ。

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