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輝く男性インタビュー

横浜にアイスホッケープロチームをつくった!GRITSスポーツイノベーターズ株式会社代表 臼井亮人(うすいあきひと)さんインタビュー

GRITSスポーツイノベーターズ株式会社代表の臼井 亮人さん

GRITSスポーツイノベーターズ株式会社代表の臼井さんは、日本のアイスホッケー界に新しい風を吹かせようと、横浜にアイスホッケープロチーム「横浜GRITS」を発足しました。

これまでの日本のアイスホッケーチームは、実業団チームが中心でしたが「横浜GRITS」は、独立した新しいクラブチームとしてスタートしています。そのなかで、選手が安心してアイスホッケーを続けられるしくみとして、仕事と競技活動を両立できる「デュアルキャリア」の確立をめざし、日々活動されています。

スポーツ界では、セカンドキャリア問題が取りざたされているなかで、この「デュアルキャリア」をしくみ化し、将来的には日本のスポーツ界全体にこのしくみを普及させることを目標に掲げている臼井さんにお話を聞いてきました。

あらためてスポーツってこんなにすばらしいものなんだと感じさせられるインタビューでした。

ぜひ、お楽しみください。

聞き手:たいせつじかん編集部

 

■日本アイスホッケー界存続の危機を救うため、横浜初のプロチームを発足

プロアイスホッケーチームの横浜GRITSを発足

-まずは、臼井さんが横浜初のプロアイスホッケーチームを発足するまでの経緯を教えてください

臼井さん:私自身が小学2年生のころから本格的にアイスホッケーを始め、大学を卒業するまでの約14年間を選手としてアイスホッケーを続けていました。

私は、北海道出身なのでアイスホッケーがすごく身近なスポーツだったんです。草野球ならぬ、草アイスホッケーがそこかしこで楽しまれているような環境なんですよね。

-神奈川県では、見かけない光景ですね!では、もともとプロアイスホッケーチームを発足させたいという思いがあり、独立されたのですか?

臼井さん:起業はしたいと思っていましたが、まさかアイスホッケーチームをつくるなんて思っていませんでした。

大学卒業後は、商社に9年間勤務して、退職後に会社経営を学んでいる時期があったのです。そのときにアイスホッケー連盟の方とお話をして 日本アイスホッケー界が存続の危機にあることを知ったのです。

そのお話を聞いて、私がこの状況を何とかしないといけないと思い、会社を設立して事業の一環としてアイスホッケーのプロチームづくりを横浜で始めました。

-アイスホッケーといえば、寒い地域のスポーツというイメージがありますが、なぜ横浜だったのですか?

臼井さん:日本アイスホッケー界を存続させるために、まずは国内での知名度をあげていく必要があります。

おっしゃるとおり、アイスホッケーといえば北海道や東北のスポーツとイメージされることが多いと思いますが、実際は北海道や東北のアイスホッケー人口は減っているんです。

子どもの人口自体が減ってきていることが要因だと思います。

-そういう現状があったのですか。

臼井さん:そうなんです。けれど、関東では競技人口が増えてきているんですよね!

だいたい私の世代くらいの大学までアイスホッケーをしてきた人たちがそのまま関東に住み、その子どもたちがアイスホッケーを始める流れができつつあって、これからも増えていくだろうと思っています。

そういう追い風もあって、横浜にプロチームができれば子どもたちも興味をもちますし、益々盛り上がるんじゃないかなと思って、横浜の地を選びました。

今後は、子どもを対象としたアイスホッケー教室も開催して、横浜を中心に関東でもアイスホッケーが親しまれるように貢献してきたいと思っています。

■仕事と競技活動を両立できる支援体制を図る

胸には横浜GRITSのロゴマーク

-チーム運営のほかにも事業をされていますか?

臼井さん:スポーツ人材に特化した人材紹介事業もしています。これはメイン事業であるチーム運営と密接な関係にあります。

-チーム運営と人材紹介事業がどのようにつながるのかを教えてください。

臼井さん:私たちの所属選手を企業に紹介し、就職先を斡旋することを想定して始めた事業です。このことの背景には、選手が安心してアイスホッケーを続けることができる環境づくりをしたいという思いがありました。

学生時代は、スポーツにだけ没頭できる環境にありますが、社会人になるとスポーツだけに没頭することはできません。とくに、マイナースポーツはそれが顕著に現れます。本当に、仕事と競技活動を両立することは難しいです。

ですから、その問題を解決するために「デュアルキャリア」モデルを考案しました。

理念は、「夢」と「生きる活力」に満ちた社会を創ることと語る臼井さん

-御社の「デュアルキャリア」モデルは、具体的にどういうものなのですか?

臼井さん: 当然ですが、昼間は企業で働き、夜や休日に競技活動を続けているという方は今でもたくさんいますよね。でも、私たちの提案する「デュアルキャリア」は、企業側と、選手側の意識をしっかりとすり合わせたうえでマッチングするんです。

-従来とどのように違うのかを具体的に教えてください。

臼井さん:まず、選手側の意識を変える必要があります。仕事は競技を続けるための手段ととらえるのではなく、仕事でもしっかりと成果を出すという意識をもつ必要があるということを伝えます。

-なるほど。しかし、受け入れられない選手も中にはいるのではないでしょうか?

臼井さん:ここは私たちが、選手との面談を重ねて理解してもらえるように努めますが、最終的に分かり合えないとなれば、その選手をご紹介すること自体をやめます。

-なるほど!選手の中で仕事に対する優先順位が御社が求める意識水準まで高められないのであればご紹介をやめるんですね。

臼井さん:そうですね。そこを変えないとこれまでの現状と何も変わらないんです。そこは、強く意識しています。

そして、もうひとつは企業様にも選手を採用することのメリットをご理解いただき、そのうえでほかの社員の方とは勤務時間など一部違いがでますが、結果にコミットすることを理解していただいています。

これまでの形ですとどうしても、ほかの社員の目が気になるという理由で練習に行けなくなったり、逆に出社しなくなったりということが起きます。これでは何も解決しませんので、お互いの意識をすり合わせた上でマッチングをするようにしています。

重なりますが、これからは「デュアル」だから仕事をおろそかにしていいということではなく、仕事と競技の両方を全力で取り組むことが大前提だということを選手側も企業側も共通認識としてもつことです。

仕事と競技活動の両立は決して簡単なことではないですが、選手たちは仕事で結果を出し、企業側は戦力として選手を雇用するという関係性を維持する覚悟のうえで契約しています。

-たしかにその意識の変化はとても重要なことですね。では、人材紹介事業では仕事も競技活動も両方を全力で取り組みたい人材とデュアルキャリアを認めてくれている企業様とをマッチングさせていらっしゃるんですね。

臼井さん:そのとおりです。受け入れてくださっている企業の選手の評価は非常に良いです。「お客様からの印象も良くて、結果に貪欲でとにかくがんばるからすごく良いよ!」と高評価をいただくことが多いですね。

-競技を続けたい選手たちも企業様にとっても双方にメリットがあるとても理想的なかたちですね。

臼井さん:今後は、アイスホッケーだけでなくほかの競技にもこのしくみを導入してもらえるように働きかけ、スポーツ界全体を盛り上げていけるといいなと考えています。

■日本のアイスホッケーチームも必ず強くなれる

横浜の地域活性化にも努める

-臼井さんは、日本アイスホッケー界について今後の目標などは持っていらっしゃいますか?

臼井さん:2030年冬季オリンピックの開催地が札幌になるかもしれないと噂されているので、この先の10年間がとても重要だと思っています。

2030年の冬季オリンピックでメダルを獲得できるように、この10年間のうちに日本の世界ランキングを20位台から10位台に上げていき、日本での認知度を高めていきたいと考えています。

そして、横浜GRITSから日本代表選手がたくさん選ばれたらうれしいですね!

-アイスホッケーを楽しむうえで、見どころを教えてください!

臼井さん:アイスホッケーは5秒もあれば点が入るというくらいスピーディなスポーツです。さらに、選手たちの声やパックがフェンスに当たる音はとても迫力がありますから、そういったところをスタジアムで実感してもらいたいですね!

-では、最後に子どもたちや子育てに取り組むパパママたちへ、アイスホッケーの魅力を紹介してください!

臼井さん:先ほどもお話しましたが、アイスホッケーはスピーディなスポーツなので、瞬間的に判断し最適なプレーを選択することが求められます。

この判断の連続は、ほかのスポーツと比べてもかなり多いですし、間違いなく判断力は養われます。

おもしろいし、楽しいことはもちろんですが、これがアイスホッケーにしかない魅力のひとつだと思います。

-瞬時に判断しないといけない場面って、本当に多いですよね。
-今日はありがとうございました。これからも横浜GRITSを応援しています。

 

編集部のひとこと

ライター

せいくん

アイスホッケーに限らず、競技を続けたい!と願う選手たちの環境づくりのため、臼井さんはこれからも企業パートナーの募集・拡大を考えていらっしゃいます。

そして、首都圏で12季ぶりのプロチーム誕生となった横浜GRITSは、アイスホッケー界最高峰アジアリーグにも正式加盟が認められ8番目のチームとなりました。

コロナウィルスの影響でスポーツをすることも見ることも応援することもできなくなり、あらためてスポーツが生活を豊かにするものなんだと実感した方も多いのではないでしょうか。スタジアムで応援できる日が来たら、ぜひみなさんもアイスホッケーの迫力を体感してみてくださいね!

編集部メンバー

編集長
かなさん

ふたりの子どもがいるワーママ。お酒が好き。とにかく声が大きい。

ライター
せいくん

家事全般、特に料理が得意な新人ライター。気も声も小さい。

ライター
ゆめちゃん

好奇心旺盛。食べ歩きや女子会が大好き。いつもTシャツ。

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