輝く男性インタビュー
- made in Nipponで横浜ブランドを創りたい!自称スーパークリエイターの横濱帆布鞄代表 鈴木幸生(すずきゆきお)さんインタビュー
横濱帆布鞄代表の鈴木 幸生さん
生まれは静岡県磐田市で、その後横浜に移り住み約20年。横浜にはかっこいい条件がそろっていると語る鈴木さん。
鈴木さんは26年間勤めてきた会社を退職し、横浜で「横濱帆布鞄」という横浜にこだわった新しい鞄のブランドを創りました。
協力会社はすべて横浜の企業であり、ブランドロゴには横浜の市外局番である「045」を採用するなど、どこまでも横浜にこだわり続ける鈴木さんの物づくりに対する信念を聞いてきました。
ぜひ、お楽しみください。
聞き手:たいせつじかん編集部
■かっこいい横浜の地で自分の手でブランドを創りたい
長年勤めていた会社を退職し、自身で横浜ブランドを立ち上げる
-26年間勤めていた会社ではどのようなことをしていたのですか?
鈴木さん:初めは物づくりの企画・デザインがメインでした。その後、東京進出をし会社の業績も勢いよく伸びていったので、次のステージにいくためにマネジメントやマーケティングなどのしくみづくりに携わってきました。
社長と数名で始めた会社も私が辞めるときには、全体で200人くらいの規模にまで成長していましたね。
-凄いですね。では、そこで物づくりのいろはを経験されたのですね。
鈴木さん:そうですね。退職してからは、自分の口とペンだけで食べていこうと2010年からコンサルティング会社の経営を始めました。しかし、起業後はなにかスッキリしない日々が続いたんですよ。そんな気持ちを抱えながら考えを進めていくうちに、やっぱり私は何か物づくりをしたいんだと思い至りました。
-そこから横濱帆布鞄が誕生したのですね。鞄を作るにあたって最初に始めたことは何ですか?
鈴木さん:前職では、老若男女問わず幅広い世代に対応できるように自社ブランドの商品を作っていたんです。しかし、それと同じことをやろうとすると、私ひとりではできないのでどのように進めようか悩んでいたんです。
そして、私が好きな横浜に目を向けてみたんです。横浜ってかっこいい条件がそろっているのに、突出した横浜発のブランドってあまりないような気がずっとしていたんです(笑)。
そのことは、逆にチャンスなのではないかと考えました。
前職の経験を生かし、横浜ブランドの鞄を作ることに決めました。さらに、「made in Nippon」にもこだわることにしました。
ブランドロゴには横浜の市外局番「045」が使用されている
-made in Nipponは聞き慣れないですね。
鈴木さん:国際的にはmade in Japanなんですけど、日本スタンダード、あくまでもこちら側からの目線でmade in Nipponとしています。
-なるほど、made in Nippon にこだわった横浜発の鞄ブランドが誕生したんですね。
鈴木さん:そうですね。そこから素材をどうするかを調べ始めて、横浜のかもめ町にある森野帆布船具工業所を見つけたので、そこを訪ねました。
-それが鞄の素材に使われている帆布を取り扱っている企業さんですね。
鈴木さん:帆布素材って綿か麻が主流なのですが、そこではビニロンという素材の帆布を扱っていて、見たのも聞いたのも初めてでした。
ビニロンは、戦前に日本で開発された化学繊維で、アメリカが開発したナイロン繊維より丈夫な繊維を作るという目的のもと開発されたものなんです。
難点は、かたすぎて日用品には合わないことですが、海上自衛隊の船に供給する物の原料として使われるくらい、丈夫で紫外線や潮風、火にも強いので、この帆布を使わせていただくことにしました。
ナイロンよりも丈夫なビニロン素材でできた鞄
-では、その丈夫でかたい帆布を使って鈴木さんが鞄を作っているんですか?
鈴木さん:2013年からは店内に工房を構えて自社でやっていますが、もともとは横浜の幸浦にある内田産業という縫製会社にお願いしていました。
この帆布で横浜ブランドの鞄を作りたいとお話をしたら、横浜ブランドだったらいいよ!とOKしてくれました。
2016年には作業効率向上のため、店内に構えていた工房を同倉庫の別区画に移転
-なるほど。横濱帆布鞄は、横浜の地で横浜の素材を使って生まれた鞄なんですね。そこまで横浜にこだわる理由は何ですか?
鈴木さん:やっぱり横浜ブランドって名乗るからにはそれなりの裏付けが必要だと考えています。横浜で作っていれば横浜ブランドと呼べるのかも知れないけど、私は場所や素材からすべて横浜にこだわることで真の横浜ブランドと名乗れると思っているんです。
だから、素材も日常使いなら必要ないくらい丈夫なものだけど、森野帆布さんの帆布を使うことに意味があるんです。
-なるほど!場所や素材をすべて横浜でこだわって誕生したものが横濱帆布鞄なんですね!
■順風満帆に歩んできたところでの東京オリンピックの延期
横濱帆布鞄の店内の様子
-店舗のある万国橋近辺は海外からのお客様も多そうですね。実際に海外のお客様が来られることはありましたか?
鈴木さん:海外観光客の来店は結構ありましたね。万国橋でも海外の方はよく見かけましたし、なんと言っても横浜ですから、海外の方はとても多いですよね。
2020年は東京オリンピックのために、より海外観光客の来店が増えるだろうと見込んでいました。
-店内にある茶室「芭和居庵」は、そういった海外観光客の方にも楽しんでいただくために用意されているのですか?
鈴木さん:そうですね。せっかく日本や横濱帆布鞄に来てくれたのだから日本の文化を感じてもらいたくて、オリンピック開催に合わせて店内に茶室を用意したんです。
茶室「芭和居庵」で来店客をもてなす
-なるほど、おもてなしとしてとてもすばらしい試みですね!
鈴木さん:これは海外の方にかぎらずですが、一度でも私たちのお店に来ていただいたら何か心に残るような経験をしていただきたいと考えています。それを創り出すことが私の役目だと思っています。
-店内に並んでいたアロハシャツにも何か理由があるんですか?
鈴木さん:アロハシャツは、一説によると日本からハワイへ移民した人が持ち込んだ着物を開襟シャツにリメイクしたものが始まりで、移民者の多くはこの横浜から出発していたと言われています。
-アロハシャツのルーツは日本の着物だったんですね。初めて知りました!
鈴木さん:ご存知ない方も多いですよね。でもこうして、アロハシャツ1枚から日本の歴史を伝えられる会話がお客様との間で生まれるので、そういうことも考えて今夏は制作して陳列するように試みました。
東京オリンピックは開催延期になってしまったけどね(笑)。
横濱帆布鞄オリジナルのアロハシャツ
-そんなことまで考えていらっしゃったんですね。
鈴木さん:新しいことやおもしろいことを発見できるように「自分はスーパークリエイターなんだ」と自分に言い聞かせていますね。あくまでも「自称」なんですが(笑)。
-お話を聞けば聞くほど「自称」ではなく、本当に「スーパークリエイター」だと感じています!
■すべてにおいて意味があり、横浜に住み始めたことも運命
誰よりも横浜にこだわりを持つ
-これから先はどのような計画を立てられていますか?
鈴木さん:これまで割と計画通りに進んできて自分でもツイてるなぁと思っていたんですが、オリンピックの延期は想定外でしたね!
それともうひとつ、店舗を構えている万国橋の倉庫が来年12月に建て替えられることになったんです。
もし仮に来年のオリンピックで世界の方々に横濱帆布鞄の情報が知れ渡ったとしても、来年の12月以降はこの場所に横濱帆布鞄はないかもしれないんです。
-そうなんですね!次の場所はもう決まっているのですか?
鈴木さん:この近辺でとは考えていますけど、まだ決まっていないです。やっぱりここのロケーションは横濱帆布鞄にぴったりですからね。
-これは初めての試練ですね。何としてでもこの危機を乗り越えないといけないですね。
鈴木さん:そうですね。でも、オリンピック延期にもきっと意味があると思っているんです。
私が横浜に住んだのも、たまたま横浜に空き物件があってそれを即決できたのも、なんとなく運命だと思っているんですよ。
横浜に住まなかったら、独立すらしていなかったかもしれないですからね。ちなみに、今は私の全体の計画でいくと、第2フェーズなんです。(笑)
-おっ、その先があるということですね!
鈴木さん:そうなんです。第1フェーズでは、前職の会社を大きくすること。
第2フェーズでは、横浜で好きなことをやること。
そして、第3フェーズでは65歳を過ぎたころからハワイに行って、これまでと全然違うことをしようと計画しています。これは秘密なので、まだ言えないですけどね(笑)。
そのためにも、この危機をしっかり乗り越えようと思っていますよ!
-分かりました。第3フェーズのお話はまた聞きに来ますね(笑)。今日はありがとうございました!
編集部のひとこと

ライター
せいくん
横濱帆布鞄は、単純に素材や場所にこだわって生まれた横浜ブランドではなく、それ以上に鈴木さんご自身が「スーパークリエイターである自分ならできる」と言い聞かせ、セルフプロモーションをし続けてきたことで生まれたものなんですね。
すべてのことに意味があると思うことで、ネガティブなこともプラスに捉えることができるんだとお話を聞きながら感じました。
お話のあと私も鞄を購入させていただき、毎日使用させていただいています。
本当に丈夫な鞄ですので、ぜひ一度手に取って確かめてみてください。
- 横濱帆布鞄公式ホームページ:
- http://www.045usmc.com/
編集部メンバー
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ふたりの子どもがいるワーママ。お酒が好き。とにかく声が大きい。 |
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家事全般、特に料理が得意な新人ライター。気も声も小さい。 |
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好奇心旺盛。食べ歩きや女子会が大好き。いつもTシャツ。 |